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真心の伝わる政治を!
大串 ひろやす
令和4年第1回定例会
1.持続可能な都市ちよだを目指して!
2.住民主体のまちづくりを目指して!

港区の「ビル風対策の手引き」を提示して
〈質問通告〉
・持続可能な都市ちよだを目指して
①区独自に環境影響評価制度を設けよ ②ビル風に対する対策を手続きとして定めよ
・住民主体のまちづくりを目指して
①まちづくりの適正な手続きをルールとして定めよ ②協議会のあり方は
〈質問の全文〉
令和4年第1回定例会にあたり、公明党議員団の一員として一般質問を行います。
最初に環境影響評価制度についてであります。
環境影響評価制度、いわゆる環境アセスメントは、1993年に制定された環境基本法の第20条の「環境影響評価の推進」を根拠としてできたわけですが、その目的について最初に確認しておきたいと思います。
Sustainable Development「持続可能な開発」の本来の意味である「開発は地球環境を将来にわたって守ることができる範囲でしかできないこと」を確実とするための手続き制度であります。言い方を変えれば人間の行う事業や開発は環境への配慮を何よりも優先するということになります。
環境アセスメントの第一人者である千葉商科大学学長の原科幸彦氏はこのアセスメントの目的についてこう述べています。「アセスメントはルールに従い社会的な手続きとして行われる。その目的は、事業者が十分な環境配慮を行ったことを社会に対して説明すること、すなわち事業者の説明責任、アカウンタビリティを果たすことにある。(中略)環境配慮に関して合理的で公正な判断をしたということを社会に対して示す。これを効果的に行うプロセスがアセスメントである」(「環境アセスメントとは何か」P.87より)と。
世界ではアセスに自主的に取り組み環境にどう配慮したのかという手続きに基づいた環境配慮書を事業計画書とセットにして説明することが標準となっています。日本でも同様に事業者が説明できるようにするためには自治体として原科氏が述べるようなプロセスとしてのアセスメント制度を用意する必要があります。事業者は制度を通して環境配慮を合理的で公正な判断のもと行ったことを社会へ、地域へ説明することが可能となるからです。
23区では唯一、港区だけが環境影響評価制度を要綱として定めています。対象とする事業は、都が特定地域においては建築物の高さ180m以上でかつ延べ面積15万m2以上としていますが、これでもかなり巨大な事業ですが、港区は高さの制限は設けず延べ面積が5万m2以上を対象としています。Teamsを使ってですが担当課長からお話を聞くことができました。「私たちは、より良い環境を未来の世代に伝えていかなくてはなりません。人が便利で快適に生活するための開発事業であっても、環境に悪い影響を与えてよいはずがありません。高層ビル建築などの開発事業の内容を決めるときには、良い環境を守ることについてもあらかじめよく考えることが大切です。港区環境影響調査制度は都市機能が集積する港区において、開発が環境との調和や自然との共生に配慮して行われるよう促」すものですと。(リーフレットの制度の背景より)と。大いに同感であります。(スクリーン1を表示)

スクリーン画像1
具体的な調査項目や手続きの流れはスクリーンの通りです。なお、調査項目の内、どの項目について調査を行うのかは地域と建物の特性及び区民の意見を踏まえて選定しますとのことです。簡易なアセスにつながるものであります。都の環境アセスを補完しまた事業者の自主的な環境への配慮を促すものとなっており大いに参考にしたいと思います。(1を閉じる)
あと、今後主流になると思います簡易な環境アセスについて少し触れておきたいと思います。先ほどの原科氏がポイントとして述べていることです。「一つめは、手続きの簡素化・・・二つめは、地元(の方々)が何を心配しているのかきちんと把握すること。調査項目の絞り込みにつながります。そして三つめは既存のデータの有効活用です・・・日本のアセスは、最初から大掛かりにするから非効率。事業開始前から情報提供を十分に行い評価項目の絞り込みをしておけば費用も期間もかからない」(2015年SOLAR JOURNALより)と。アメリカは日本の約2000倍の実施件数ですがその99.5%がこの簡易なアセスで終了しており、日本のような詳細なアセスまで進むのは0.05%でしかないそうです。日本のアセス法はその対象をかなり巨大な事業に限っているため極端に実施件数が少ないのが現状です。これでは冒頭に述べましたアセス本来の理念も目的も果たせません。
アセス本来の理念と目的、また港区を例に自治体においても手続きとしての制度を設けることの大切さを述べさせていただきました。
そこで、「持続可能な都市ちよだ」を目指し、都のアセスにかからない一定規模以上の事業を対象とした千代田区独自の環境影響評価制度の創設を提案いたします。ご所見をお伺いいたします。
次に、ビル風対策についてであります。
風の強い日のビル風は歩くことも困難とします。ビルにぶつかって建物の両サイドで上方から下方に斜めに向かう風、いわゆる吹きおろしです。またぶつかって建物の両サイドに向かう風、剥離流というそうですがこの吹きおろしと剥離流が互いに影響しあって強いビル風となります。
ビル風については環境アセスの評価項目として、東京都では風環境として、港区では建造物影響の中に入っています。港区ではさらにこのビル風対策を要綱により別途定めています。その特徴は、ビル風対策に係る手引きを作成し(現物を提示)持ってまいりましたけれども、港区のビル風対策に係る手引きです。内容は事前協議、風の影響評価そして対策となっています。対策は主に植栽によるものとなっています。手引きは常に適切な科学的判断が加えられ必要な更新がなされるとのことです。(スクリーン2を表示)

スクリーン画像2
これは、神保町にあります風工学研究所にお伺いしビル風対策についてご説明していただいた時のものです。たくさんの例を紹介していただきましたが本日は4枚だけスクリーン画像とさせていただきました。植栽によるものや工作物により対策を講じた例であります。とても参考となりました。地元にこのような日本における風環境評価の最先端研究所があることは大変心強い限りであります。(2を閉じる)
千代田区は現在、歩いて暮らせるまちづくり、いわゆるウォーカブルなまちづくりを目指しています。このビル風に対する対策をどうするのか大きな課題であります。
そこで、区としてビル風に対してどう認識されているのか、また対策をどう行っていくのかお伺いいたします。そして、事業に対し事前協議や風環境評価また対策についての手続きを定める「千代田区ビル風対策」の創設を提案いたします。ご所見をお伺いいたします。
次に、住民主体のまちづくりについてであります。
旧都市計画法は1919年に制定され、経済成長に対応するための都市整備が主な目的でした。その後、都市への急激な人口集中があり、市街地のスプロール化(無秩序な拡がり)が一気に進みました。また道路などの都市施設の整備も環境や景観への配慮を欠いたものとなったことは皆様ご存知の通りであります。1968年にはその反省を踏まえ現在の都市計画法が制定されました。内容は大きくは3点です。一つは土地利用の計画、二つは都市施設の計画そして三つめは市街地開発事業の計画であります。そして法の理念として第2条に「適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきこと」と謳われ、都市計画制度を運用する際、合理的であることが大前提となったのです。
旧都市計画法が行政主体の全国画一的な都市計画とすれば現都市計画法は住民主体の地域の実情に即したまちづくりと言えます。実際、そのための法改正が重ねられてきました。
例えば、1980年の地区計画制度の創設、1992年の市区町村のマスタープランの策定、そして2000年の改正では第3条に住民に対して都市計画に関する知識の普及及び情報の提供が、第16条の3項と第17条の二には住民又は利害関係人からの地区計画の案の申し出また決定の手続き定めることができることが新設されました。ただし「条例による」と。ちなみにこの改正により2000年以降千代田区には未だありませんが、自治体によるまちづくりにおける手続き条例の制定が相次ぎます。名称は「まちづくり条例」や「地区計画等の案の作成手続きに関する条例」などであります。
あと一点、法の改正ではありませんが、2003年に国交省が法を分かりやすく説明した都市計画運用指針を作成し公表したことがあります。その中で強調されたことがありますので紹介させていただきます。「土地の合理的な利用が図られるよう制限を課す場合、その根拠として適正な手続きに裏打ちされた公共性のある計画として機能するものである」と述べていることです。「裏打ちされた」という文言を使い合意を得るための適正な手続きについて改めて強調されたことを私たちは真剣に受け止めねばなりません。
現都市計画法は制定より50年以上が経過しましたが、それまでの行政による画一的なまちづくりから住民主体の地域の実情に即したまちづくりへと大転換を目指した歴史であったとも言えます。ただ、そのことを実現するもしないも各自治体の裁量によるとされたのです。
そこで、樋口区長にまちづくりについてどのような認識をお持ちなのか、基本的な考え方をお伺いします。また、16条の3項や17条の二による手続きなどを定める条例を早急に制定すべきと考えますがご所見をお伺いします。そして、地域においてまちづくり構想や沿道ガイドライン等を定める際に必要となる合理性の確保と住民等の合意を得るための適正な手続きを定めた(仮称)「まちづくりに関する手続きガイドライン」の策定を提案いたします。ご所見をお伺いします。
次に、まちづくりに関する協議会についてであります。
千代田区では地域においてまちづくりに関しての構想やガイドラインを策定しようとする時は、検討の場として協議会を設置してきました。公の会議体とするために設置要綱を定めます。そこでは、目的、検討事項、委員、組織、開催などが定められています。(スクリーン3を表示)

スクリーン画像3
これは国土交通省の「ルールづくりの進め方とポイント」の中でまちづくりに関する検討会について示されたものです。①には、その会議体は地区の代表となり得る組織となっているのかということですが、行政が公の組織として認定する際の判断基準となるものです。また④は公開について、⑤は会則ですが会としての決定手続きを定めることとしています。両方とも重要ですが区の協議会設置要綱にはその定めがありません。(3を閉じる)
この検討組織について注意しなくてはならないことがあります。龍谷大学教授の大田直史氏が述べていることです。「住民参加の仕組みが行政による合意形成の手段と化す危険性にも注意を払う必要がある」と。(「住民参加のシステム改革」P.128より)決して行政の手段として使ってはならないとの指摘であります。その通りであります。
区はこの点に十分注意し、本来の住民参加の仕組みとしての協議会としていくこと、そして、協議会に求められる合理性の確保と適正な手続きというまちづくりの根幹をなす役割と機能が果たせるようにすべきであります。
そこで、改めて協議会のあり方はどうあるべきなのか、また協議会として果たさなくてはならない役割と機能とは何かお伺いします。
質問は以上であります。区長並びに関係理事者の前向きな答弁を期待申し上げまして私の一般質問を終わります。
ありがとうございました。
〈答弁の全文〉
〈環境まちづくり部長答弁〉
大串議員の環境アセスメントの御質問にお答えいたします。
環境影響評価制度は、事業者が、大規模な開発事業などを実施する際に、その事業が環境に与える影響を予測・評価し、住民や関係自治体などの意見を聞き、専門的な立場からその内容を審査するなど、事業実施による環境への影響を少なくするための手続、仕組みであり、都条例では、御指摘のとおり、原則として延床面積10万平米以上が対象となっております。これまで区内では、淡路町、飯田橋駅西口、そして、計画中の内幸町地区の再開発事業等が対象になり、事業者が作成した環境影響計画書を縦覧し、意見を聴取して、専門家の審議などを踏まえ対応を図ってまいりました。
議員が調査された港区は、当区以上に多くの高層建築が施工・計画されており、床面積5万平米以上10万平米未満を対象として、独自の環境影響調査制度を要綱で定めております。御指摘の千代田区独自の環境アセスについては、千代田区の用途地域の指定状況や土地利用の動向、建築計画に関わる他の様々な制度との関係、事業者や開発に参加する区民に与える負担などを考慮しながら、令和4年度における開発事業の事前評価・事後検証の在り方検討と併せて、鋭意検討をさせていただきます。
〈まちづくり担当部長答弁〉
大串議員の御質問にお答えいたします。
初めに、ビル風対策です。高層建物の建築計画については、当該区域の通風データによる、風環境への配慮が必要で風洞実験やコンピュータシミュレーションなどにより、風、気流などの影響を予測し、その予防及び改善のための適切な措置を講じることとなります。
具体的に区内では、住宅地相当や中高層市街地相当などの風影響評価の区分があり、計画建物により当該区域の規定値を超えないよう建物を計画し施工しているところです。ただし、竣工後に想定以上のビル風が発生していることも事実として認識しており、その際は事業者に対し事後対応を個別指導しているところでございます。御提案のあった千代田区ビル風対策事業の事前協議や風環境評価などができる手続などにつきましては、来年度まで予定している再開発事業の事前・事後における評価制度の構築の中で検討をしてまいります。
次に、住民主体のまちづくりの御質問にお答えいたします。
都市計画に定める地区計画等の案について、本区では、都市計画法16条第2項の規程に基づく、地区計画等の案の作成手続に関する条例により、素案の提示方法や意見の提出方法、説明会の開催等について定めております。これに加えて法第16条第3項では、住民又は利害関係人から地区計画に関する都市計画の決定や地区計画等の案の内容となるべく事項を申し出る方法を定めることができるとされております。
御提案の条例化については、申し出に当たっての住民同意の割合や敷地規模の設定などに関する条件整理が必要となるため慎重に進めていく必要があると考えております。また、(仮称)まちづくりに関する手続きガイドラインの策定に関する御提案ですが、地域におけるまちづくり構想や沿道ガイドライン等の策定に当たっては、それぞれの地域特性や検討経緯などを踏まえながら、一定の手順・手続を経てこれまで取り組んできたものと認識しております。
このような取組を進めていくに当たっては、情報発信の在り方はもとより、多様な意見を出し合い、地域の中で共通認識を築いていくことが重要であると認識をしております。そのため、既存のまちづくり協議会に加え、広く意見を受け止める場としてオープンハウスの開催や、地域向けワークショップの開催など、まちづくりに関する地域の意見聴取に努めるとともに、区の考え方など区政に関わる情報を分かりやすく発信する方策など具体的な手順についても研究し、地域まちづくりの方向性を地域合意の下で進めていく、その手法等についても整理をしてまいります
次に、まちづくりに関する協議会の御質問にお答えいたします。
これまで本区では、地域主体のまちづくりを目指し、町会、商店街、学校、病院などその地域で活動する方々で構成されるまちづくり協議会の場において、地域の課題解決に向けた将来像の共有を図ってきました。これにより、民間事業との連携による駅前空間の環境改善や電線類地中化整備、区の道路公園の改修整備などの事業化につなげてまいりました。
今般、まちづくり協議会での議論された結果について、様々に御意見をいただいております。まちづくり構想や沿道ガイドライン等の御質問と同様に、情報発信の在り方はもとより、多様な意見を出し合いながら地域の中での共通認識を構築していくことが重要であると認識しております。このため、まちづくり協議会の在り方についても検討をしてまいります。
〈再質問〉
再質問をさせていただきます。
お二人の部長さんから答弁いただきましたけれども、こちらに伝わってくるものがないです。
区民のために、区民の主体性を大事にする。どうしたらいいのか。環境アセスもそう、それから、まちづくりもそうであります。私たちはちゃんとやっているんですよと何か言いたげな答弁でした。そうじゃなくて、法にはちゃんと書かれた、それから都市計画運用指針にも書かれた、合理性の確保と適正な手続をきちんと定めなさいと書いてある。それは自治体なんだよって。自治体の裁量によるんだというところまで書かれている。だから今までの手法では駄目なんですよ。
千代田区はこれから全てのまちづくりを進めていくに当たって、一度、今までのまちづくりのやり方をね、反省してもらいたい、私は。協議会の在り方だってそうですよ。協議会の在り方だってですね、今、きちんとしたものがないがゆえに、地域の協議会ごとにやり方がまちまちですよ。区民には分からない、それがだから、千代田区として統一的なまちづくりの手続はどうあるべきかというのをきちんと定めてもらいたい。その下に千代田区らしいまちづくりが展開してもらいたいんですよ。千代田区に住んでよかったなというまちづくりをやるんでしょ。
それは、樋口区長が就任して、これからいよいよ2年目に入りますけれども、私は千代田区がまちづくりをどう考えて、これからどう望むのか聞きたかった。部長以下の人たちは、その区長のまちづくりの考え方を補佐して、実現に向かって努力するべき、そう思っています。ですから、今、私は質問の中で申し上げましたけれども、手続について改めてどのように千代田区としては定めるのか。今までのものについてはどう反省するのか、その2点についてお伺いします。
〈再答弁〉
〈環境まちづくり部長再答弁〉
大串議員の再質問にお答えをいたします。
私のほうからは、主に環境アセスの関連での、先ほどの御答弁に補足してお答えをしたいと思ってございます。建築計画に関わる様々な事前のアセスメント、実は千代田区では建築計画の早期周知条例、それから、景観計画に基づく事前の手続、さらに建築物環境計画書制度、開発事業に関わる住環境整備推進制度などですね、それぞれの分野でかなり深い事前の評価検証の仕組みがございます。
しかしながら、御指摘のとおり、そういったものがそれぞれの分野で縦割りになっていないかという部分についても課題がございます。それを含めまして、先ほど、御提案ありました環境アセスという観点からですね、総合的に検証するような仕組みについて検討できないかと。それにつきましては、令和4年度、開発事業、事前評価、事後検証をどうしていったらいいかということを検討いたしますので、その中でですね、アセスの仕組みとしてどうあるべきか、アセスという形でやるべきなのかどうなのかも含めまして、研究をしてまいりたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。
〈まちづくり担当部長再答弁〉
大串議員の再質問にお答えいたします。
まず、合意を得るための具体的な手続、それと協議会の在り方という、また再質問かなと。先ほどの答弁でも申し上げたとおり、そちらに関してはちゃんとしっかり検討をしていきたいと合意を得るための具体的な手続について、その地域まちづくりの方向性を地域合意の下で、進めていくための整理をしっかり来年度から実施していきたいと。それと、その協議会等の在り方についても検討をしていきたいというふうに考えております。
それともう一点、16条3項、この条例化に関しましては、例えば、郊外の住民の方だけが住む、その住居地域などでは取り決めやすいものになるのかなと思うんですけれども、千代田区のように住居や業務、商業が混在する地域では多様な考え方があることは事実です。その申出の方法だとか、申出後の取扱いについて、様々な角度から検討をしていくことが必要ではないかと痛切に感じております。そのため、先ほど答弁したとおり、条例化に向けては慎重に検討する必要があるだろうとそういうふうに考えております。




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