top of page

令和3年第3回定例会

「東京地方検察庁がした不起訴処分に対する検察審査会への不服申立てを求める請願」
に対する意見発表

 検察は、告発した前区長の「虚偽の陳述」について「嫌疑なし」、「証言拒絶」については「嫌疑不十分」、また前区長夫人の「不出頭」については「嫌疑不十分」、「記録不提出」についても「罪とならず」との裁定主文をもって不起訴としました。
 この件について請願者は「請願の趣旨」で述べている通り、それぞれの裁定主文を不当とし検察審査会への審査を要求するものです。私たち会派は検察のこの度の決定は至極妥当なものであり覆しようのないものであると判断しています。

 その理由をそれぞれ申し上げます。
 最初に前区長の「虚偽の陳述」についてであります。
 請願では販売事業者の「本人はもとより、その知人を名乗る者からも、本件優先物件が『事業協力者住戸』であるとの説明の有無の確認はなかった」との回答のみをもって前区長の証言が虚偽であると断定していますが、このことのみで客観的に虚偽であると断定することは困難であり、また主観的にもその証言が虚偽である旨の認識をしていたかということについても認めるに足る証拠を見いだすことは困難なことは明白であります。よって、検察の不起訴理由「嫌疑なし」は至極妥当であります。
 なお、この「嫌疑なし」とは人違いなどの嫌疑の残らない、いわば完全無罪の場合に出される判断であり、この判断を重く受け止めるべきであります。

 次に前区長の「証言拒絶」についてであります。
 請願では「証言拒絶」とする理由について「証言できない理由につき何ら述べることもない、単に証言を拒み続けた」とするのみであり、それのみをもって証言拒絶とすることは困難であります。証人尋問の一問一答のこの件に関するところの一連の質問と答弁は昨年の告発議決の際、反対討論で述べていますのでここでは引用はしませんが、証言拒絶と断定することは何ら実態のない独善的な決めつけであり失当の誹りを免れません。検察は「嫌疑不十分」としていますが、形式的には証人尋問の形をとっている以上、嫌疑がないとまでいえないからにすぎません。
 よって、「嫌疑不十分」を不当とすることは、証人尋問の実態を無視したもので合理的な根拠はないものであります。

 次に前区長夫人の「不出頭」についてであります。
 請願では「嫌疑不十分」を不当とする理由について、前区長夫人が出頭しなかった事実のみで具体的な理由を明示していません。そもそもこの件については出頭請求の手続き自体に問題があります。問題である理由はこれも昨年の告発議決の際、反対討論で述べました通りです。検察は「嫌疑不十分」としています。そのことを不当とするには召喚手続きの実態を無視したもので合理的な根拠はありません。

 次に前区長夫人の「記録不提出」についてであります。
 請願では、「証言に代わる資料の提出に応じなかったことが『記録不提出』にあたるとしています。照会にたいして回答書を作成することが、法にいう「記録の提出」に該当するという独自の見解に基づくものであります。
 検察の「罪とならず」を不当とする理由は、一般的な法解釈からは乖離したものであります。

 以上、述べましたように、検察審査会に対する不服申立については、不服を申し立てるべき具体的あるいは合理的な根拠ないし理由がないことは明らかであります。よって、本請願は不採択とすべきでありあす。

bottom of page