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平成18年第1回定例会

​減災対策の推進について

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〈質問通告〉

減災対策の推進について

  1. 区として減災対策に取り組む基本的な考え方を問う

  2. 減災対策の推進にあたって
    ①マンションや木造住宅の耐震補強をいかに進めていくのか
     
    ②災害時要援護者対策をいかに進めていくのか
     
    ③子どもが主体となる真の防災教育を実施すべき
     
    ④災害時、情報の収集と伝達ができる体制をどう構築するのか

  3. 減災対策を総合的かつ計画的に推進するため、数値目標までしめした減災計画が必要である。そこでこの度の「災害対策事業計画」はどのようなものになるのか。 また「地域防災計画」の見直しはどのような視点で行うのか。



〈質問と答弁の全文〉

 平成十八年第一回区議会定例会にあたり公明党議員団を代表して質問を行います。
 自治体として取り組むべき重要課題としての防災・減災対策について質問させていただきます。

 今から11年前の平成7年におきた阪神・淡路大震災は、それまでの防災対策の様々な点を大きく見直すきっかけとなりました。それは、区長も召集挨拶で述べられましたが、一つは防災対策の中心が減災対策に移行したこと、もう一点は今まで「公助」中心の防災対策であったものが、「自助」、「共助」、「公助」それぞれが大事であり、それぞれの力を最大限発揮することにより防災・減災対策を推進していこうと変わったことであります。大きくはこの二点に集約できると思います。
 私たちは天変地異など自然災害の発生を防ぐことはできません。しかしその被害を小さくすることはできます。この被害を最小限に抑えることを目標として対策を講じていこうとすることが減災対策です。「防災」というと予防、応急、復興対策と範囲が広く行うべきことが多いのに比べ、「減災」は、被害をもたらす要因、被害を小さくする要因を分析し効果的な対策を選択しそこに資源を集中することで被害を減らそうとする考え方であります。防災の目的は、区民の生命、自由、財産を守ることにあります。であるならば地震が起こった後の対策も大事ですが、むしろ地震が起こる前に被害を少なくするこの「減災」対策がきわめて重要であります。
 「自助」、「共助」、「公助」という考え方については、防災の分野ではもうあたりまえになってきていますが、近年「自助」、「共助」を強調しすぎて行政の行う「公助」を限定的にとらえようとする動きには注意をせねばなりません。例えば平成14年12月に全面改訂された「東京都震災対策条例」であります。「自らの命は自ら守る」という自己責任の原則を基本理念に据え、都民及び事業者の責務と役割を強化しました。その結果、以前の条例では規定されていた「必要と認める一般建築物に対する耐震診断」は原則として都民、事業者の責務であるとして削除されました。一方で地域防災力の向上を訴えておきながら、区民の役割、企業・団体の役割、自治体の役割と峻別し自治体が自助努力の必要性を訴えるだけで地域防災力の向上は果たせるのでしょうか。結果はむしろ逆効果でしょう。自治体は困難な問題を区民の「自助」に押しつけたりするのではなく区民とともに悩み、解決策を協働でつくりあげていかねばなりません。「自助」、「共助」の力が最大限に発揮できるよう「公助」の役割と責任はあると思います。その点、千代田区においては、「他人を尊重し気遣い手を取り合って生きる」という「共生」の精神・理念があります。防災・減災対策における「自助」、「共助」、「公助」の関係においてまさにその理念は必要ではないでしょうか。つまり、自立と助け合いの精神を尊重するということであります。
 さらに「協助」ということでは、神田和泉町・佐久間町に全国でもその模範となる歴史があります。佐久間公園にその「防火守護地」の石碑があり、石碑にはこう刻まれています。「この付近一帯は大正十二年九月一日関東大震災のときに町の人が一致協力して努めたので出火をまぬがれました」と。この「協助」の源となったのは今で言う「地域コミュニティ」でありましょう。その良き伝統は区内の多くの地に今日まで引き継がれていると思います。
 そこで、理念と歴史がある千代田区として、これからいかに減災対策に取り組んでいくのか、その基本的な考え方を区長にお伺いいたします。

 次に、減災対策推進にあたっての具体策についてであります。
 最初に、建物の倒壊をいかに防ぐのかということであります。減災対策の筆頭にあげられる政策課題でもあります。
 阪神・淡路大震災は、建物の倒壊を防ぐことがいかに減災対策として重要かについて教えてくれました。震災直後になくなられた方は約5500人ですが、その内の9割は住宅の倒壊で、残り1割は家具の下敷きになって圧死または窒息死で亡くなりました。しかもその90%以上が発生してから15分以内に亡くなっており、ほとんど即死状態であったそうです。死亡した原因の大半が建物の倒壊であります。全壊した住宅は約10万棟あり、その住宅の約8割は昭和56年の建築基準法の耐震基準改正以前のものでありました。いわゆる旧耐震であります。仮にこれらの住宅をすべて耐震改修・耐震補強していたならば、改修した住宅の全壊率は1%以下になるとされていますので、全壊住宅は1千棟で犠牲者も60数名にととどまったであろうといわれています。
 このことを貴重な教訓として、震度7や6強が予測される首都直下型地震に対して、被害を最小にするためには、まずは室内の安全である転倒防止も含めてですが建物の耐震補強をして住宅を強くすることであります。自治体として区民の生命・自由・財産を守るためには、それを区民の自助努力に任せるのではなく政策的に耐震補強を推進する必要があります。この点、区として平成16年度から実施している「家具の転倒防止器具取り付け事業」、今年度から実施した「建築物の耐震診断助成」、また来年度から実施される「マンション等の耐震改修助成」、制度としてさらに拡充された「木造住宅耐震促進事業」など建物の倒壊を防ぐための施策は充実しました。マンションの多い千代田区において自ら耐震診断や耐震改修・補強をしようとしても費用がかかりすぎるという声があるなか、このような助成制度ができたことは大いに評価できるものです。あとはいかに自治体として耐震改修・補強を進めていくかであります。制度は作ったが実績があがらなかったとならないようしたいものです。せっかくの減災対策も進みません。私は具体的に推進するための方法として二点提案したいと思います。
 一つは、地域防災計画の反省点を踏まえてということになりますが、具体的数値目標を示して進めるべきではないかということであります。地域防災計画の反省点とは、肝心な予防対策に数値目標が示されていないため被害軽減が進まなかったということでありました。耐震改修・補強の推進は減災対策の柱の政策でもあります。千代田区としての現状、目標とする年限、目標である予想される効果など具体的な数値目標を示して進めてはどうでしょうか。「自助」、「協助」、「公助」それぞれが施策の目的と期待される効果を共有することが重要だからです。
 国は昨年の2月に内閣府の中央防災会議の専門調査会が、首都直下型地震について今後10年以内に30%、30年以内に70%の確立で起こると予想しその被害想定をまとめ発表しました。詳しい数字は省きますが、被害軽減のための建物の耐震化について今後10年で90%までにするという目標数値を掲げました。またつい先日も東京都防災局は地震による死亡者数や建物の倒壊数などの被害予想を公開しました。千代田区は死亡者数44名、建物全壊数764棟、帰宅困難者57万人、今回からエレベーター閉じ込め台数も発表されましたがそれは554台であります。(マップを提示しながら)これはその東京都防災局のWebサイトよりプリントアウトしたものですが、地面の揺れやすさとこちらは東京湾北部地震M7.3の場合の震度分布です。千代田区の地盤もゆれやいところもありますよというところに、首都直下型地震が発生したらその揺れは震度6強ですよ、とこれらのマップは注意をうながしています。残念ながら区別のさらに詳細なハザードマップまでは公開していません。こちらは同じく東京都都市整備局が公表しています地域倒壊危険度マップです。こちらは相対評価となっていますが町ごとの建物の倒壊危険度が示されています。地盤の強度と建物の建築年と構造などにより作成したとのことです。5段階中最も安全が1危険は5となっています。千代田区内は1から3が多い。担当者は、今後は耐震補強を行った建物のデータをどう取り込んでいくか検討しているところですと話されていました。
 さて、このような状況の中、区としての建物の耐震化の現状はどうなっているのか、マンションや木造住宅合わせて建物の何%が安全な建物であり、倒壊の危険度の高い建物、またそのおそれのある建物などをまずは把握する必要があります。その上で改修や補強が必要な建物が何棟あるから、何年までに何%まで改修・補強を完了させる。その結果、災害時に予想される死亡者数は何人まで軽減できる。また得られる経済的効果はいくらです、と示すことができます。例えば「千代田区倒壊建物0作戦」と掲げてこれら関係する施策をまとめて計画化し取り組まれてはどうでしょうか。重要性のアピールにもなるし、実効性は上がると思います。
 推進するための提案として、もう一点はできるだけ安いコストで信頼できる補強工事や技術などの情報を、行政を始め関係する事業者、NPO、専門家、住民らが共有する仕組みを作ってはどうでしょうか。そして住民が気軽に相談できる体制を合わせて用意することであります。この技術や工法の共有については、現在、国や都、各種団体や協会の後援による「耐震補強フォーラム実行委員会」が昨年第一回目の報告書を公表したところであります。さらに区がその技術工法の推奨や補強効果の保証を行うなどできれば最高であります。今回の助成制度を利用した改修・補強も大いに進むのではないでしょうか。
 建築物の耐震改修を早期に促進することを目的に、国では昨年暮れに耐震改修促進法の改正が行われたところです。さらに耐震改修に要した費用の一定割合を税額から控除する税制面の優遇策も現在検討されているとのことです。
 減災対策の政策の柱でもある耐震補強の推進について2点の提案をさせていただきました。
 そこで、区として今後具体的にいかに進めていくのか、お伺いいたします。

 次に、災害時要援護者対策であります。
 災害のまさに直後は行政や地域の支援つまり「公助」「共助」が間に合わないことから、当然「自助」が中心となります。その際、「自助」だけでは助からない人がいます。一人住まいの高齢者、身体・知的・精神障害者、難病患者、妊産婦、乳幼児そして外国人などであります。自治体としていかに要援護者対策を行っていくかは減災対策として、先ほどの耐震補強がハード面の最重要課題とすれば、この要援護者対策はソフト面の最重要課題であります。
 この要援護者対策での成功例としては、阪神・淡路大震災のときの人口1万人強でありますが淡路島北淡町(ほくだんちょう)が有名です。住民や消防団員らが、どの家に高齢者がいるのか、しかもどの部屋で寝ているかまで知っていたため、地震直後から素早い救助活動がなされました。その日の午後4時52分には町内全域の救助活動を終了し、行方不明者ゼロを確認したそうであります。
 千代田区でも町会や商店会、また消防団や消防署など防災関係機関なども地域に密着した活動を日常から展開しており、いざというときの貴重な「協助」の力であります。反面、最近では新しいマンションも増え全ての要援護者を地域で把握することは不可能となってきています。昨年の国勢調査のための調査を地域の人たちが行いましたが、作業が大変困難であったことからもそのことがうかがえます。そこで「公助」の助けが必要でありその体制をいかに構築していくかが大きな課題となっています。日常から要援護者を支援している福祉の関係者、ケアマネージャー、ホームヘルパーなどの方々と地域の方々がどのように役割を分担し、災害時、いかに早く効果的に救助活動と安否確認ができるようにするのか検討が必要です。まずは「公助」としての役割を果たすには庁内で要援護者対策推進に際して福祉部門と防災部門との連携を進める必要があります。より実効あるものにするために庁内横断的な専門の災害時要援護者対策推進の課を設けるなどしてはどうでしょうか。そこでは要援護者に関する情報の共有化、避難支援プランの作成、要援護者参加の訓練、災害時の要援護者への情報伝達、避難誘導、安否確認・非難状況の把握、避難所での支援まで考えて行う必要があります。「公助」としてそこまで行って初めて、地域の「協助」も最大の力を発揮できることとなるのではないでしょうか。
 そこで、区として災害時要援護者対策をいかに推進していくのかお伺いしいたします。

 次に、防災教育についてであります。
 残念ながらこの11年間変わらなかったものに防災教育があります。
 現在、小学校・中学校で行われている防災教育は主に「避難訓練」であります。真の防災教育の目的は、いざ災害というとき子どもたちが自ら自分の身を守ることができるということであります。そしてそのために必要な知識、技術を身につけることにあります。避難訓練も大事で必要でありますが、いつも先生の指示に基づいて逃げるだけならば、防災意識、知識、技術の習得にほとんど結びつくとは思えません。地震がどういうものかわからなければ地震への対応を真剣に考えることはできません。まずは子どもたちが地震発生から時間の経過に伴って、自分の周辺でどのようなことが起こるかを具体的にイメージできることが重要であります。そしてその状況に対して適切に対応できるよう自ら考えられるようにする。そのためには実践的でリアリティのある教育を子どもたちの発達段階に応じて積み重ねることが必要であります。子ども自身が主体的に防災について考え、行動できるようになることが防災教育の目的の「災害から子どもたちが自ら身を守ること」に通ずるものと思います。防災教育と並んで学校では、犯罪・暴力から子どもたちが自ら身を守ることを目的とする「予防教育」があります。こちらの方は現在CAPの行っている「予防教育」が全国的にも認められ多くの学校で行われるようになりました。子どもたちが本来持っている力を発揮することにより暴力から自らを守るというCAPの理念は、防災教育にも必要ではないかと思います。次世代を担う子どもたちに対し、学校や地域を中心とした防災教育を実施することは、子どもたち自身の生きる力を育むことにもつながることと思いますがいかがでしょうか。
 そこで、千代田区としての防災教育についていかに行っていくのか方法や内容等についてお伺いいたします。

 次に、災害時の情報の収集と伝達であります。
 情報の収集手段としては、各防災機関によるバイクによる現場情報収集、衛星電話を利用しての各地域の自主防災組織からの収集などがあります。伝達手段としては現状スピーカーを通しての防災広報、区のWebサイトでの広報などですので、いざというときには何も情報が入らないかもしれません。千代田区ではまだ実現していませんが、登録していていただいた方への携帯メールでの情報提供、地域FM放送局を利用しての情報の提供、区の防災広報やFMも受信できる携帯ラジオの配布、熱海市では一台700円のラジオを200円で有償配布し、現在1万台が普及しているとのことです。収集と伝達両方に有効な手段として、アマチュア無線クラブとの協力、すでに実施している例として文京区があります。千代田区では地域クラブを始め消防署や警視庁そして大学や企業にアマチュア無線クラブもあります。9月1日の防災の日には消防署や警視庁は訓練を呼びかけ、いざ災害となったときに協力してくれるアマチュア無線局の情報を蓄積しています。阪神・淡路大震災のときも地域のアマチュア無線局と自衛隊のアマチュア無線局の交信が重要な役割を担うことができたことは有名な話です。
 いくつか例を出しましたが、各防災関係機関と区民、区民相互が正確な情報を共有することは、「自助」、「協助」、「公助」の連携とそれぞれの力を最大限に発揮するためにはきわめて重要であります。国、都、自治体や防災関係機関はそれぞれの目的に応じて情報を収集しますが、全体としての共有化がなかなかなされません。このため被害の把握が遅れたり、同じ情報が堂々めぐりを繰り返したりする危険性もあります。正確な情報をどう収集し整理し、伝えていくのか。災害対策の一次的機関であります千代田区、そして他の自治体とは異なる地域特性のある千代田区として果たすべき責任と役割はあまりにも重大であります。平常時においてもこれだけの情報の収集と伝達を行う体制づくりは容易ではありません。急ぎ災害時における情報の収集・伝達の体制を各関係機関とも協議し検討すべきと考えます。
 そこで、今後区として災害時における情報の収集と伝達のための体制をいかに構築していくのか、お伺いいたします。

 最後に、数値目標まで示した減災計画についてであります。
 減災対策は今まで述べてきたように防災課だけでできるものでなく、関係する部局はまちづくり推進部、福祉部、教育委員会、環境土木部などにおよび、全庁あげて総合的かつ計画的に取り組まなければ実行は不可能であります。その総合的かつ計画的に実行するためには数値目標まで示したいわゆる「減災計画」を作成する必要があります。耐震改修のところでも具体的な数値目標の必要性は述べた通りです。現状での地震による被害想定をベースとしてそれぞれの自治体は被害の最小化に向けて取り組んでいくこととなります。5年でこれだけの予算を投じ、そのことによる人的、経済的減災効果はこうである、というようなことが具体的に住民にわかるようになります。また計画作成に関して大事なことは、自助、協助、公助それぞれが参加して、課題(政策課題)を共有しながら一緒になって考え、作成するというプロセスをとるということであります。自助、協助を尊重し、重要視するのであるならば当然の作業でしょう。
 今回、区として減災計画としての「災害対策事業計画」を策定中とのことですが、どういうものになるのかお伺いします。また「地域防災計画」の課題もあるわけですが、実効性ある「地域防災計画」への見直しをどのように行いどのようなものになるのかも合わせてお伺いいたします。

 以上、減災対策について基本的な考え方とまた重要課題合わせて6点について質問させていただきました。
 先ほど述べましたが新聞に地震による区ごとの被害想定が大きく報道されました。今自分の住んでいる地域はどのくらいの揺れが想定され、どのくらい危険なのかとの問い合わせも多いと聞いています。地域の方々からの質問や提案をこの度代弁させていただきました。区長並びに関係理事者の前向で明快なる答弁を期待し質問を終わります。
 ありがとうございました。


〈区長答弁〉

 大串議員の、減災対策に取り組む基本的考え方についてのご質問にお答えいたします。
 ご案内のとおり、災害対策については、従来、一般的に「防災」という言葉が使われてきており、法令はじめ自治体の条例も同様であります。読んで字のごとく、災害を防ぐ、あるいは被害をゼロにする、というイメージが強い言葉・概念です。これに対し、減災は、地震など天変地異の発生を防ぐことは困難であり、これを自然の現象として受け入れ、その被害を最小限に抑えていく、とする考えであり、本区では、条例の基本理念として自助、協助、公助の3つの助により、減災対策を積極的に推進していくこととしております。
 減災の推進にあたって、柱となる事項は、災害弱者対策、集合住宅の耐震性の促進、情報の収集・伝達体制の整備、帰宅困難者対策などでありますが、それぞれの施策に対し、人的、設備的投資を効果的に投入し、地域防災力の向上を図ってまいります。
 招集挨拶でも申し上げたとおり、災害対策は詰まるところ、「人間力」であります。議員言及の神田和泉町・佐久間町の例のほか、区内には、震災や戦災時に人々が力を合わせて町を守ったという類似の話が幾つも伝わっております。先人達の町を思う心は、今も祭りなどの行事に、地域の防災活動等に受け継がれております。私が「共生」の理念を踏まえ、町会の再生と活性化に取り組むのも、このような、江戸から四百年、千代田の人々に脈々と受け繋がれた日本人の温かい心と情緒の種火を絶やすことなく、できれば再び全国に広げていきたいとの想いがあるからであります。
 なお、詳細については、関係理事者をもって答弁いたさせます。


〈総合災害対策室長答弁〉

 大串議員の、ご質問のうちまず、災害時要援護者対策をいかに進めていくのかについてお答えいたします。
 ご指摘のとおり、災害時要援護者対策としては、地域の協助による救済活動が重要と考えます。また、マンション等が増え地域で要援護者を把握していくことが困難になっている状況もあります。このため、区では防災と福祉等関係各部が連携し、各課が所管している、災害時に自力での迅速な避難が困難と思われる高齢者等の名簿を、個人情報保護審議会に諮問し了承を得たうえで、要援護の対象者リストとして作成したところです。今後、約6千名の対象者に対し、救援希望の有無を調査し、その後、希望者への職員による聞き取り調査を実施し、要援護者名簿として整備してまいります。
 一方、町会等の自主防災組織による救援救護の仕組みづくりを推進するため、一部モデル地区を設定し、救援救護に必要な人員確保にあたっての課題等を検証しながら救援体制づくりを進めてまいります。合わせて、区と町会等の地域関係者で要援護者情報を共有し、減災対策の着実な推進を図ってまいります。
 次に、災害時の情報収集と伝達についてでありますが、災害時における、正確な情報収集と、伝達は災害対策上、極めて重要な課題であります。このため各防災関係機関との緊密な連携のもと、適切な情報収集と広報活動に努め、被害状況を把握するとともに、緊急対策を実施し、パニック等の二次的災害の防止に努めてまいります。
 情報の収集・伝達手段としては、現在、防災行政無線と各連合町会長宅に配備されている衛星電話がありますが、不感地域解消と迅速な情報伝達収集といった点では、多くの課題が残っているのが現状であります。また、今までの情報のあり方は、行政から区民への一方通行になりがちでありましたが、今後は、区民と行政の双方向通信が必要と考えます。
 その第一歩として、新年度事業において、携帯電話のメールを利用した希望者への災害情報の配信を開始いたします。
 さらに、新庁舎にあわせて多機能な防災情報システムを整備するとともに、屋上に高所カメラを設置し、災害状況の早期把握に努めてまいります。
 いずれにしても、災害時における情報の重要性はその速度と確度によって、人的災害等に大きな影響を与えることから、各防災機関、区、区民相互が情報を共有化し、迅速に提供しあえる体制づくりを進めてまいります。
 次に「災害対策事業計画」についてのご質問でありますが、
 区の災害対策事業としては、防災部局が直接実施する訓練や備蓄、避難所の整備等の事業のほか、まちづくりや土木部局が担当するハード施策、福祉や教育部局が担当するソフト施策があります。
 策定中の「災害対策事業計画」は、これらの事業を体系化し、中長期的スパンで計画的、総合的に推進していくため今回、初めて策定するものであります。ご指摘の、数値目標の設定等につきましては、科学的データの収集、解析、シミレーション等が必要となりますが、具体的目標を立て、施策を展開していくことは、区民・事業者にも分かりやすいことから、今後、検討してまいります。   
 次に、「地域防災計画」の見直しはどのように行うのか、とのご質問ですが、
 区としては、今回、新たに基本条例を制定し、その中で、「自助、協助、公助の3つの助により減災に取り組んでいく。また、災害対策事業計画を立て、計画的・総合的に事業推進を図って行く」ことを明らかにしたところであります。したがって、次期の地域防災計画の修正に当たっては、これらの視点に立って、必要な見直しを行って参ります。


〈まちづくり推進部長答弁〉

 大串議員のご質問のうち耐震補強の推進についてお答えいたします。
 まず、千代田区の建築物の現状ですが、区内のマンション棟数は約五百棟で、その内、約170棟、(34%)が昭和55年以前の旧耐震設計によって建築された建築物です。
 また、木造住宅は区内に約千七百棟あり、ほとんどが築後四十年以上経過している状況にあります。 一方、昨年11月の耐震改修促進法の改正により、区市町村も耐震改修促進計画の策定に努めることとなりました。これを受けて、千代田区においても、平成18年度に、建築物の耐震診断及び耐震改修の実施に関する目標、建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための施策、建築物の地震に対する安全性の向上に関する啓発及び知識の普及に関する事項等を内容とする耐震改修促進計画を策定してまいります。
 次に建築物の耐震化支援についてですが、耐震改修促進法において建築物の耐震診断及び耐震改修の実施を支援することを目的として、耐震改修支援センターの制度が創設されました。
 また、東京都においては、耐震診断・補強設計事務所の登録制度の創設や、耐震改修工法や耐震装置の技術提案の募集を行っています。こうした諸制度の活用や、国・都との連携を図りながら、さらなる情報収集・情報提供に努め、相談体制の充実を図るとともに、今回実施した緊急マンション等の耐震促進事業等を有効に活用して耐震化を促進し、安全・安心のまちづくりを推進してまいります。


〈教育委員会事務局次長答弁〉

 防災教育についての御質問にお答えいたします。
 防災教育の実施にあたり、次のことを主なねらいとしております。
 安全教育の一部をなすものであり、児童・生徒が災害や防災についての基礎的・基本的な事項を理解すること、安全に関して自ら的確に対応できる判断力や行動力を身に付けること、災害時に進んで、他の人々や地域の安全に役立つことができるような態度や能力を養うことです。特に、突然起こる地震等に対しては、児童・生徒等が瞬時に安全な行動がとれるようにするとともに、臨機応変に対処できるようにするため、効果的に防災教育を進めていく必要があります。
 このような考え方に基づき、区内各学校・園におきましては、防災教育の指導計画の作成や指導体制づくりに努め、避難訓練を含め教育課程の中に位置付け、実施しております。今後、防災教育の実施にあたっては、具体的な災害を想定し、いつどのような災害に遭遇した場合でも安全に避難できる態度や能力を身に付けられるよう体験型の防災教育の実践をして参ります。
 地域の実情に応じ、児童・生徒がそれぞれの地域で自ら考え行動できるよう、総合的な学習の時間の活用等により保護者や地域・関係機関を巻き込んだ教育指導ができる協力体制の確立に向けて、学校を指導してまいります。

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