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令和3年第3回定例会

​「子どもと親の育ちを地域全体であたたかく支えるまち-千代田」を目指して!

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千代田区次世代育成支援計画を提示して

〈質問通告〉

「子どもと親の育ちをあたたかく支えるまち-千代田」を目指して!

  • 子ども支援、親支援とともに親と子の関係性への支援をどう行うのか

  • 区長が自ら子どもたちへメッセージを発信することを提案する、所見は

  • 教育長へ保育・教育についての基本的な考え方を問う

  • ​保育所などでの定員割れの影響について、各保育所や施設が支障なく運営できるように区は万全を期せ

  • 母子健康手帳について、親子健康手帳を併記することを提案する、所見は


〈質問と答弁の全文〉

 令和3年第3回定例会に当たり、公明党議員団の一員として一般質問いたします。
 質問の趣旨は、「子どもと親の育ちをあたたかく支えるまち-千代田」を目指して5点質問し、新型コロナにより厳しい状況に置かれている子供と親へ区はどう向き合おうとしているのか、その姿勢を問うものであります。


 最初に、子どもと親への支援についてであります。
 先日、このような相談がありました。2歳半のお孫さんがいらっしゃいますのでもうおばあさんになりましたが、その方からです。「娘は出産し、子育てに頑張っています。テレワークということもあり御主人も自宅で仕事をされています。娘は食事をつくりますが自分は食べることができないと、痩せてしまい、また精神的にもとても追い詰められているようだ」というものでありました。すぐ、あい・ぽーとの行っている子育てひろばを紹介させていただきました。その後、娘さんは子供を連れてひろばを数回利用することができ、今は落ち着き一安心ですとのことでした。
 このように、長く続くコロナの影響で母親が心身共に疲れ切ってしまうというケースは多くあるのではないでしょうか。
 恵泉女学園大学学長の大日向雅美氏は、今年2月ですがこのように述べられています。「コロナ禍への対応に社会を挙げた取組が進み、関係者の御苦労はいかばかりかと思いますが、他方で子育て中の親や子供をいたわる視点があまり見られないことにいたたまれない思いです。昨年の春先に取られた突然の一斉休校・休園、登園自粛、そしてステイホーム、テレワークと次々と打ち出される対策はいずれも感染拡大予防上、必要なものとして打ち出されたとしても、それが親をどれほど疲弊させ子供たちを怖がらせていることでしょう。母親一人を育児に孤軍奮闘させてはならないとの思いは、子育て支援に関わっている全国各地の人々の悲願でもあったわけです。変化と不安が日常となる時代を生きる私たちが、未来を生きる子供たちのために、そしてその子供たちのために日々、懸命に子育てに当たっている親たちのために、できることは何かを改めて考えるときではないでしょうか」と。そして、その必要なこととは子供支援、また、親支援だけではなく、「親と子の関係性への支援」であるとも述べています。とても大切な指摘であります。
 関係性ということでは、0歳から5歳までの乳幼児期は成長発達の最も大事な時期であり、この時期における子供への関わり方、つまり子供との関係性は特に大切とされています。コロナ禍の今、なおのことであります。
 さて、平成27年3月策定の千代田区次世代育成支援計画であります。(現物を提示)
 これは現物、今日持ってまいりました。この計画の理念として最初に書かれています。「子どもと親の育ちを地域全体であたたかく支えるまち-千代田」、まさに今この理念が求められているんではないかと思います。残念ながら、これは平成27年度からの31年度までの5か年の計画であります。ですので、本当はコロナの起こる前に終わってしまっていますので、本当はこれ欲しかった。

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スクリーン1

 (スクリーン1を表示)スクリーンに示しました、この親育ちのところ、「育児の大半を一人で担い、心身の負担に苦しむ母親、一方、仕事に追われ育児に十分関わることができない父親の問題は、子育て困難現象をもたらす中心的な問題の一つである。子育ては女性だけの役割という考えを脱し、父 親の育児参画支援を視野に置いた、親育ち支援が必要である」と書かれました。(1を閉じる)
 コロナ禍である今、私たちは行政も地域もここに掲げられていました「子どもと親の育ちを地域全体であたたかく支える」との理念に立ち戻るべきではないでしょうか。
 そこで、コロナ禍における子育ちと親育ち支援、また親と子の関係性への支援についてどう行っていくのか、その考え方について、お伺いいたします。また、そのための具体的事業としては、子育て支援員養成事業、各園や児童館での一時預かりや子育てひろばなどが考えられますが、これらの事業の拡充策や、新たな事業が予定されていればあわせてお答えください。

 次に、区長自らが子供たちに向けてメッセージを発する件であります。
 コロナに関するニュースは連日報道されています。これも、国民と正しい情報を共有するということでは当然かもしれません。他方、子供たちは不安と恐怖をいっぱいに感じています。そういう中、子供はいつも以上に自分のことを受け止めてもらいたい、答えてもらいたいと思っていることでしょう。また、人に抱きしめられ、友達同士触れあって育つ経験が何よりも大切な時期でもあります。ですので、例えばコロナ対策とともに、「今はお友達と触れあわない、互いに触らないようにしましょう。でも、それは大切なお友達を守るため、そのお友達の大切な人や家族を守るため、みんながもう一度、仲良く遊べる日を迎えるためなのですよ」というようなメッセージを子供たちに向けて発信してはどうでしょうか。
 世界では、フィンランドのサンナ・マリン首相、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相、ノルウェーのエルナ・ソルベルグ首相などが子供向けの記者会見を開き、子供たちからの質問にも丁寧に答えられているそうです。ノルウェーのソルベルグ首相は自宅で育児と仕事をしなくてはならない母親に向けても、「頑張りすぎない。完壁な保護者にならなくていい、ただ、親の注目を引きつけようとする子供に気づいてあげてほしい」と呼びかけました。日本では、仙台市の郡和子市長や西宮市の石井市長なども動画を通してメッセージを発信しています。
 そこで、区長自らが、子供たちに向けてこのたびの新型コロナ対策について分かりやすくメッセージを発し、子供たちからの質問に答えられるようオンラインなどを工夫して行ってはどうでしょうか。ご所見をお伺いいたします。

 次に、「共育大綱」、「共育ビジョン」についてであります。
 改めて、現教育ビジョンについて確認したいと思います。

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スクリーン2

 (スクリーン2を表示)タイトルは「人が人を育てる」であります。冒頭の「策定にあたって」には「人は未来への希望を「教育」という形で、次の世代へ託してきました」から始まります。そして、「人と人のつながりの中で人が人を育て、育てられ大人も子供も共に成長していく「共育」が必要です」と全体を貫く共育の理念を明確にします。続いて、基本理念と考え方には「共育の理念に基づく関係が成り立つためには子供と深い信頼で結ばれていることが不可欠」であり、「子供に自分の考えを押しつけるのではなく子供の声をしっかりと聞き、常に『子供の最善の利益』を考えながら子供を育てていかなければなりません」と。(2を閉じる)
 ここでは、共育の理念に基づく関係の大切さについて述べているところですが、少し補足させていただくと、その関係とは、子供の主体性を尊重し、またどんな小さなサインであっても受け止め、応えてあげる受容的で応答的な関係となると思います。そして、この関係性の中で子供は成長し発達ができるということは言うまでもありません。ビジョンで目的として掲げた「子供の健やかな育つ権利の実現」であります。
すばらしいビジョンであり、大いに評価するものです。
 ただ、今回のコロナ禍はつながりの中で育つとしたこのつながりを危うくし、関係性をつくり保つことを難しくしているのであります。繰り返しになりますが、「親と子への関係性への支援」が今求められています。
 現共育ビジョンの特長について述べさせていただきました。策定は平成28年3月ですが、その後、コロナやGIGAスクール構想などの環境の変化、法的には児童福祉法の改正や保育指針や、また学習指導要領などの改正も行われました。さらに区長、教育長も変わりましたので、総合教育会議を設置しての改定も予定されていることと思います。
 そこで、共育ビジョン改定のスケジュールはどうなっているのか、また、現ビジョンで目標として掲げた子供の健やかに育つ権利の実現、また、つながりの中で大人も子供も共に育つとした共育の理念などは引き継がれることと思いますが、引き継ぐかどうかも含めて、教育長に保育・教育についての基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
 次に、保育所などで定員割れを受けての今後の子育て事業についてであります。

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スクリーン3

 (スクリーン3を表示)スクリーンは、今年4月1日現在の各保育・教育施設の定員数と空き状況であります。上段が定員数、下段が空き状況です。一番下の段になりますが、0歳児では87人、1歳児と2歳児では合わせて98名、0歳児から5歳までの全体では幼稚園の169名を入れてですが、576名の空きがあるという状況であります。ちなみに、0歳から5歳までの人口の変化は、コロナ前の平成31年4月1日現在は合計で3770人であり、今年の4月1日は3737人となっており、ほとんど変わりません。よって、定員割れの原因はコロナの影響によるものかと思います。(3を閉じる)
 そこで、定員割れが子育て事業に及ぼす影響について、コロナの収束が見通せない中、今後の申込み状況を予測するのは難しいと思いますが、区としてどう分析し、今後の保育所への入園をはじめとする子育て事業についてどう考えておられるのかお伺いいたします。
また、定員割れの影響が各保育所や施設にどのように及ぶのか、この秋から入園の申込みも始まります。各保育所や子ども施設としっかり連携し、それぞれの運営に支障が出ないよう区としてどう対応するのかも併せてお答えください。


 最後に、母子健康手帳の名称についてであります。
 手帳の役割は母子の健康を守ることにあります。妊娠中の経過や赤ちゃんの健診、予防接種などを一冊にしたもので、6歳まで記入欄があります。母子健康法では母子健康手帳と呼ばれていますが、特に名称を規定しているわけではありません。
 子育てをめぐる環境や価値観の変化もあり、名称について親子健康手帳と併記する自治体が増えているとの報道がありました。来年4月から併記をするさいたま市、昨年度から始めた江戸川区の例を紹介しておりました。
 併記することによるメリットとしては、

  1. 父親の育児参加への促進につながること

  2. 妊娠中のパートナーとしての役割を意識できること

  3. 家族みんなが受け入れやすい名称であること

  4. 父親が母子の健康についてより理解を深めることができること

などが考えられます。
 また、記載する内容についてもコンパクトなサイズですので限られると思いますが、ぜひ工夫していただき、千代田区としても親子に喜ばれる手帳にできればと思います。
そこで、母子健康手帳の名称について親子健康手帳と併記することを提案いたします。
 御所見をお伺いいたします。

以上、「子どもと親の育ちを地域全体であたたかく支えるまち-千代田」と題し、質問させていただきました。区長、教育長、関係理事者の前向きな答弁を期待して公明党議員団の一般質問を終わります。ありがとうございました。

〈教育長答弁〉

 大串議員の質問のうち、今後の保育・教育についての基本的な考え方についてお答えいたします。
 本区の教育委員会におきましては、平成28年3月、「共に育つ」「共育」を基本理念とする共育ビジョンを策定いたしました。この基本理念に基づく子供たちの関係性につきまして、大串議員は「子供の主体性を尊重し、またどんな小さなサインであっても受け止め応えてあげる受容的で応答的な関係」と御説明されました。この御指摘、私も全く同感でございます。
 この関係性は、幼児期の教育、保育から連なる教育の本質を捉えたものであり、令和の日本型学校教育に示された主体的・対話的で深い学びの実現にもつながる大変重要なことだと思っております。現在、技術革新やグローバル化の進展などにより、子供を取り巻く環境は日々刻々、変化しております。また、新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、子供たちの学習環境や日常生活にも大きな影響を与えております。こうした環境の変化に踏まえまして、本区の共育ビジョンについて、改定の議論に着手したところでございます。
 「共に育つ」「共育」という言葉そのものを引き続き使うかどうかは分かりませんが、少なくとも、議員から御評価をいただいておりますこの基本理念そのものは、継承してもよいのではないかと私は考えております。
 いずれにいたしても、今後、教育委員会内部で大いに議論を重ね、今年度内での改定を目指してまいります。

〈子ども部長答弁〉

 大串議員の「子育て」と「親育ち」、また「親と子の関係性への支援」について、及び保育所での定員割れを受けました今後の子育て事業についての御質問にお答え申し上げます。
 まず、コロナ禍におけます「子育て」と「親育ち」、また「親と子の関係性への支援」についての御質問でございます。
 今般のコロナ禍におきましては、外出も、また気分転換すらままならない生活が続いております。こうした中での子育ては想像以上に困難であると、私どもも認識をしております。こうした状況であるからこそ、大串議員御指摘のとおり、子供と親の育ちを地域全体で温かく支えること、このことが大変重要であり、「子育て」が「孤立をした孤育て」にならないように、親と子の関係性に重きを置いた支援をしていく必要があると考えております。したがいまして、大串議員が御例示をいただきました、地域全体で子育てを支援する子育て支援員養成講座の実施や、各園や児童館での一時預かり保育、あるいは子育てひろばのような事業につきましては、継続して取り組んでまいります。
 また、コロナ禍での感染リスクに配慮をいたしましたオンラインの活用も含めまして、親と子の関係性への支援を充実させる新たな取組につきましても検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、「定員割れの要因分析と今後の子育て事業」についてでございます。
 今後の保育の需要と供給につきましては、「子ども・子育て支援事業の量の見込みと確保方策」において見込んではおりましたが、策定直後に発生をいたしました新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、想定をしておりました保育需要には至っておらず、保育所の利用に空きが生じているところでございます。テレワークの推進など新たな生活様式の浸透により、これまでのような保育需要がなくなるのか、あるいは保育需要が以前のように回復をするのか、新型コロナウイルス感染症が収束をしていない現状におきましては、今後の保育需要を正確に予測することが困難な状況であることは、大串議員御指摘のとおりでございます。つきましては、新型コロナウイルス感染症の収束状況を見定めた後に、保育需要と供給計画の見直しにつきまして、その必要性も含めた検討を行ってまいります。
 次に、「定員割れが保育所に及ぼす影響と対応策」の御質問についてでございます。
 一定程度の定員割れ、特に0歳児の年度当初に限ったものであれば、各保育事業者におきましても想定をされていたところでございます。しかしながら、現在の状況は、園児数に応じて国等からの補助負担金額が決定をされる保育事業の運営におきまして、経営面で多大な影響があると考えております。このため、保護者のニーズを把握するとともに、各保育事業者の御意向を丁寧に伺ってまいります。そして、各歳児の定員を変更することや空き室を有効活用することなどを含めまして、各保育施設と緊密な連携を図りつつ、事業継続への支援を進めてまいります。

〈地域保健担当部長〉

 大串議員の御質問のうち、母子健康手帳の名称について、親子健康手帳と併記することに関する御質問にお答えいたします。
 母子健康手帳は妊娠、出産、育児に関する一貫した健康記録であり、乳幼児の保護者に対する指導書としての役割を持っております。社会情勢や保健医療福祉制度の変化を踏まえ、国はおおむね10年ごとに内容の見直しを行っているところです。昨今、子育てにおいて、父親や家族、地域の関わりが重要であると言われており、母子健康手帳の名称や手帳の在り方が、国においても議論されているところです。
 区としましても、父親や周囲の家族が、より子育てに関わっていくよいきっかけづくりになると考えており、親子健康手帳と併記することについては、積極的に検討していきたいと考えております。また、手帳への記載内容についても、区の裁量で追加が可能であり、今後工夫してまいりたいと考えております。

〈行政管理担当部長〉

 大串議員の子供たちに向けたメッセージに関する御質問について、お答えいたします。
 議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症に関するニュースが連日報道され、その多くが感染リスクを強調することで国民の自粛を促すものであるため、子供たちにとっては、不安と恐怖を感じるであろうことは容易に想像することができます。また、子供たちの保護者の皆様が、我が子を感染リスクから何としても守らねばならないという強い思いを抱くことも自然なことだと思います。このような不安を少しでも解消するために、子供たちや保護者の皆様に向けて、新型コロナウイルス感染症対策に関するメッセージを分かりやすく発信することは、とても重要なことであると認識しております。
 本区では、これまでも若者向け、妊婦の皆様向け、そしてお子様やその御家族向けに、それぞれが今、一番心配されていること、また、知っていただきたい情報を区内のお医者様を通じて動画で配信し、それぞれに反響がございました。
 今後も、区長自らの発信や、オンラインの活用を含めまして、子供たちと保護者の皆様の不安解消につながる効果的な情報発信の方法について鋭意検討してまいります。

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