真心の伝わる政治を!
大串 ひろやす
平成27年第1回定例会
平和と人道の世紀へ、リーダーシップを!

〈質問通告〉
平和と人道の世紀へ、リーダーシップを!国際平和都市千代田区宣言から20年が経過する
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改めて区の平和・人権施策推進の基本的な考え方を問う。
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これまでの20 年間の取り組みの成果と今後の取り組みを問う。
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節目にあたり、新たに子どもどうしの中国、韓国との交流事業を提案する。所見は。
子どもが健やかに育つための環境の確保に関する条例について
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すべての子どもたちの健やかに育つ権利を条例で担保したことは、区の誇りである。改めて、条例の理念と目的を問う。
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次世代育成支援計画(案)について。
〈質問と答弁の全文〉
平成27年第1回定例会にあたり、公明党議員団を代表して質問を行います。
質問に入る前に、過激派組織「IS」のきわめて非人道的な行為により亡くなられました後藤健二様、湯川遥菜様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
さて、昨今、イスラム国と称する過激派組織「IS」の非人道的な行為や機関銃を持った兵士、まちを戦車が走る映像などが毎日テレビで報道されています。また昨日のニュースでは老婦人が涙ながらに「平和以外何もいらない」と訴えている映像もありました。このような報道に、私だけでなく多くの国民もまた平和と人道について考えさせられることになったと思います。
本年は、戦後70年であり、区にとっては「国際平和都市千代田区宣言」から20年という節目の年であります。
そこで、最初にこの節目にあたり、21世紀を「平和と人道の世紀」とすべく、平和・人権施策について質問と提案を行います。
「国際平和都市千代田区宣言」は、平成7年3月に議会の議決を経て区民の総意として宣言されました。素晴らしい宣言文ですので読まさせて頂きます。
地球は 生命が息づく かけがえのない星
この地球を 平和と希望にみちた
輝く星にしよう
過去 私たちは 戦争を経験した
多くの人びとが傷つき 犠牲となった
二度と戦争が起こることのないように
かたく誓い いつまでも 後世に伝えていこう
現在 世界の各地で まだ争いがある
飢えで 苦しんでいる人びとがいる
地球環境の破壊が つづいている
今はもう自分たちだけの平和と安全を
考える時代ではない
国際都市千代田区に住み 働き 学ぶ私たちは
世界の人びとと 連帯して 核兵器をなくし
平和な世界を築きあげよう
未来に向かって 世界の人びとと 友好を深め
同じ地球の仲間として お互いを理解しあおう
私たちは 世界の恒久平和を 実現するために
積極的に 行動することを
ここに宣言する
平成7年3月15日
この宣言は、前段で過去の戦争を二度と繰り返さないことを、またこのことを後世に伝えて行くことを誓います。そして、後段では、自分たちだけが平和で安全であればよいという時代ではなくなったこと、そして世界の人々との連帯をもって核兵器をなくし、同じ地球の仲間としてお互いを理解しあい、世界の恒久平和を実現するために積極的に行動することを宣言します。誠にすばらしい宣言であります。
具体的な平和事業としては、この宣言した平成7年より広島、長崎、沖縄への「平和使節団の派遣」を、平成14年度からは東南アジアへの「地球市民ツアー」を開始しました。メンバーの中心は、今は平和使節団は中学生と高校生、地球市民ツアーは高校生であります。
地球市民ツアーは、現在はカンボジアへの派遣ですが、内戦で大量虐殺があったキリングフィールドと呼ばれる場所やスラム街のお宅への訪問、また小学校や保育所なども訪問しカンボジアの子どもたちとも交流します。(平成25年度の報告書を提示し、地雷で足をなくした子どもの写真。訪問した先々で感じた感想も全員載せていることを紹介する)参加したメンバーの方々は大変貴重な経験をつむことができたと思います。
さて、UNHCR 国連難民高等弁務官事務所の年間統計報告書は、2013年末時点で紛争、迫害や人権侵害のため移動を強いられた人の難民と避難民の数は5120万人に上り、2012年末時点では4520万であり、わずか1年間で600万人増えたこと。またその数が急増した主な要因はシリア紛争であると報告しています。
この5120万人の内8割が子どもと女性であるとされています。人間の尊厳の土台となる自分を自分たらしめてきた世界(共同体や地域また国)を丸ごと失い、そのことにより人権が根こそぎ奪われるという悲惨な状況にあります。難民や避難民の人々の苦しみの根源がそこにあると思います。20世紀を「難民の世紀」と呼んだ政治・哲学者ハンナ・アーレントは、すでに1951年にすでに警鐘を鳴らしていました。「自分が生まれ落ちた共同体への帰属がもはや自明ではなく絶縁がもはや」選択の余地がないものとなったときその人々は「市民権において保証される自由とか法の前の平等とかよりも遥かに根本的なものが危うくされているのである」(「全体主義の起源」より)と。残念ながら21世紀に入っても難民の数は減るどころか逆に増えているのが現状であります。
平和宣言で、恒久平和を実現するために積極的な行動を約束しました。私たちは何ができるのか、この節目の年を迎えた今、改めて考えていく必要があります。
平和への取り組みとしては
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国連及び国連関係機関による取り組み
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また、国レベルにおける対話と基調とした平和外交
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そして自治体レベルにおける平和、人権施策
などがあります。どの取り組みも非常に重要であります。
私はこれらの取り組みをさらに有効ならしめるための基礎として宣言文に「世界の人々と連帯して」とありました「市民社会の連帯」が必要であることを訴えたいと思います。
連帯を築いた一つの例として、1991年から2000年まで国連難民高等弁務官を務められ、難民問題と平和構築は深い関係があることを世界中にアピールした緒方貞子氏の活動があります。緒方氏には多くの功績がありますがその一つに「ボスニア女性イニシアチブ」事業があります。女性たちが立ち上げた小規模のビジネスに資金援助を行いその自立を支援するというものです。例えばサラエボの人形づくりです。人形は3種類あり、ムスリム、クロアチア、セルビアそれぞれの民族衣装をまとっています。かつて戦火を交えていた三つの民族の女性たちが一緒に仕事をしながら民族どうしの連帯(緒方氏は「社会の再生」と表現しています)を築いていった例であります。(「緒方貞子 難民支援の現場から」より)緒方氏は「政治を超えた安定感というものがある社会をつくらないと、本当の安全とか繁栄とか安定というものにはならないのではないかなというのが最近の私の感想です。政治がガタガタしても動かない社会が必要なんですよ」と述べています。(〃)同感です。「安定感のある社会」も「市民社会の連帯」も同じ意味かと思います。
もう一つの例は、戦後の1963年のエリゼ条約(仏独協力条約)を機に本格化したフランスとドイツの青少年交流であります。50年以上の歴史がありますが、これまでになんと800万人もの青少年が交流したそうであります。一年に16万人もの青少年の交流が行われている計算になりますので大変なことであります。この間、青少年どうしの一対一の友情の絆が幾重にも築かれ、両国の社会的連帯が築かれていきました。この市民社会の連帯があって、フランスとドイツの関係は盤石なものとなり、さらにはヨーロッパの統合、EUの誕生につながったのではないでしょうか。恐らく政治レベルだけではこうはいかなかったと思います。
この市民社会の連帯を進めるに際し重要な点があります。何を持って連帯していくのかという点であります。それは、人間としての尊厳、また生命の尊厳であります。平和宣言でいえば冒頭の部分です。「地球は生命が息づくかけがえのない星」とあり、地球上のすべての生命の尊厳を謳っています。この尊厳をお互い守り抜くという誓いを持って連帯していくということが大事ではないでしょうか。
国家や民族、宗教、イデオロギーなどの違いを乗り越え、世界の誰しもが同意できる事項、また願っていることが、このすべての人々の生命と尊厳、人権をお互い守り抜くということであります。緒方氏が高等弁務官退任の挨拶で述べた言葉も「尊厳」(リスペクト)でした。
国連憲章や世界人権宣言などで、基本的人権を守る役割が明確にされたはずの国家が、逆に人々の生命や尊厳を脅かす事態を引き起こしてしまうケースもあります。この本末転倒ともいえる状況に、国連は、(2015年を目標年次とした)ミレニアム目標に次ぐ2030年に向けての新しい国際目標の設定に、「地球上の一人の例外もなく、すべての人々の生命と尊厳をあらゆる脅威と悲惨さから守られるべき」との方向性の打ちだしが検討されているそうです。大事なことであり是非とも世界のどの国も参加する明確な目標として設定されることを願ってやみません。
現在は、「報復の連鎖」ともいえる状況ですが、この連鎖を断ち切り、尊厳をベースとした「人道の連帯」へ大きく転換していきたい。そのためのリーダーシップを国際平和都市千代田区はとっていくべきと考えます。
戦後70年、また「国際平和都市千代田区宣言」から20年という節目の年にあたり、宣言を改めて紹介させていただき、また、行動としての市民社会の連帯が必要なことを述べさせていただきました。
そこで区長に、区の平和・人権施策推進について、基本的な考え方をお伺いいたします。
また、併せて、平和使節団や地球市民ツアーなど先ほど述べましたように評価しておりますが、今日までの20年間の取り組みの成果と、今後の取り組みについてはどのように行っていくのかお伺いします。
次に、具体策として、日中韓3ヶ国による子ども交流事業の提案についてであります。
フランスとドイツの青少年交流がその後のフランスとドイツの市民社会の連帯につながったことは述べました。
現在、日中韓の青少年交流は、JOCA(公益社団法人青年海外協力協会)が8年前から行っており、日本からは毎年約100名の青少年が参加しています。また、自治体では新潟市が、(1997年から)ロシア、中国、韓国、フランスの小学生と夏休み期間に一週間「はばたけ21未来の子どもたちへ」という交流活動を行っています。野外炊飯あり、お祭りあり、「はばたけ世界子どもサミット」も行われるすばらしい事業が行われており、とても参考になります。
勿論、一朝一夕に市民社会の連帯はできません。長い時間がかかるかもしれません。しかし、その交流の積み重ねは友情の絆となり3国間の盤石な友好関係を必ずや築いていけることと思います。子ども期に築いた友情は決してくずれないからであります。
そこで、平和都市宣言から20周年という節目にあたり、日中韓3ヶ国による子ども交流事業を提案いたします。ご所見をお伺いします。
次に、「子どもが健やかに育つための環境の確保に関する条例」についてであります。
本条例は、先の平成26年第四回定例会にて制定されました。
第1条の目的には、
「この条例は、子どもは大人とともに社会を構成する一員であり、また未来の社会の担い手であるという認識の下、子どもが健やかに生まれたまた育成されるよう、千代田区において、子どもを産み育てることに優しい環境を確保することを目的とする。」と、あります。権利という文言はありませんが、すべての子どもが健やかに生まれ、健やかに育つ権利があることを、そしてそのための環境を確保していくことを謳ったものと理解しています。また第3条では区と事業者の責務を定め、①子どもの最善の利益(子どもに関係があることを行う時は子どもにとって最も良いことを優先させるというもの)が実現される環境の実現、②子どもの人権の尊重などであります。第4条、第5条では、園の運営形態や実施主体の違いにかかわらず、子どもが健やかに育つよう等しく保育・教育サービスが実施できるよう定めています。
一方、共育の最上位計画である平成22年4月に策定した「千代田区共育マスタープラン」であります。
共育の理念・目標として、
「次代を担う子どもが健やかに生まれ育つことは、すべての人の願いである。子どもは、生まれながらにして人間としての尊厳を有すると同時に、社会の中で『健やかに育つ権利』を有している。」と、こちらは子どもには人間としての尊厳と健やかに育つ権利があることを明確に謳っています。そして、その権利の実現をめざし、①子どもの最善の利益を考慮すること、②子どもの施設及び役務の提供は適正な基準を確保する(ここは、条例でいう「園の運営形態や実施主体の違いにかかわらず、子どもが健やかに育つよう等しく保育・教育サービスが実施できる」に相当します)などが述べられています。
条例とマスタープランを改めて比べてみますと当然と言えば当然なのですが、理念や目的またその骨格をなす部分はまったく同じと言えます。
プランで謳っていた理念や目的をまたその実現のための方法などを条例として改めて制定したことは、子どもにとっても、子どもを持つ保護者にとってもさらなる安心につながり、またこのような条例を持っていることは区民の誇りでもあります。
そこで、改めて、「子どもが健やかに育つための環境の確保に関する条例」理念と目的、そして特徴とは何かお伺いいたします。
次に「千代田区次世代育成支援計画」についてであります。
現在、「千代田区次世代育成支援計画」(案)のパブリックコメントが行われています。
この計画は、子ども・子育て支援法に基づく法定計画であり、記載される内容としては、
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区域の設定(地域別に定めることになるのでその地域の設定)
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保育園の定員の推移(供給)
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保育需要の推移(需要)
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保育園の種類(保育体制確保の内容)
など主にハード面に関する内容となっています。肝心なソフト面である保育・教育の質の記述は求められていません。
私は平成25年第4回定例会で、ハード面だけでなくソフト面も記述すべきと質問しました。区としては子どもの健やかな育ちを保障するため保育・教育の質について「就学前プログラム」を作成しています。運営形態や実施主体に関係なく等しくサービスが提供できるようプログラムを組んだものです。もし「次世代育成支援計画」に記述ができなければこのプログラムの概要版を作成しセットにして計画としてはどうかと提案もしました。(その時の答弁は、「計画は、質の高い教育・保育や、子育て支援の計画的かつ安定的な提供を通じ、子どもの健やかな発達を保障するためのものです。・・・当然に、保育の質ということについての議論も踏まえた上で、今後、計画の策定を行ってまいります。」と。)
この度の支援計画(案)を拝見いたしますとやはりハード面のみの記述となっています。「子どもが健やかに育つための環境の確保に関する条例」もでき、第4条、第5条で保育・教育の質の確保が約束されました。今後どのような内容で行っていくのかという質の部分も区民の方々に支援計画で示していくことは当然であると考えます。
そこで、「千代田区次世代育成支援け計画」において、ソフト面である保育・教育の質の内容をどう示していくのか、再度お伺いします。
以上、平和と人道の世紀を目指して、リーダーシップを!と題し、平和・人権施策について、また「子どもが健やかに育つための環境の確保に関する条例」について質問を行いました。
区長及び関係理事者の前向きな答弁を期待し、公明党議員団の代表質問を終わります。
ありがとうございました。
〈区長答弁〉
大串議員のご質問のうち、区の平和・人権施策推進の基本的な考え方についてお答えを申し上げます。
ご質問にもございましたように、本区では、平成7年3月15日の区政記念日に「国際平和都市千代田区宣言」を公表いたしました。宣言文では、国際平和都市千代田区に住み、働き、学ぶ全ての人々が、過去の歴史や現状を冷静に見詰め、未来に向かって世界の人々と友好を深め、お互いを理解し、恒久平和を実現するため積極的に行動することを決意したものであります。区が国際平和を宣言することの意味は、区民の生活を守り支えるための根幹であります。人権尊重、それが平和象徴であるからであります。
したがって、自治体の平和活動は、地域や区民の皆様方の参加のもとで取り組み、区民一人一人の意識や活動を地道に積み上げていくことが大切だと思います。
また、豊かな地域社会を目指すに当たり、全ての人がさまざまな違いを乗り越え、お互いを理解し、認め合い、そして人権を尊重し合うことにより、ともに生きる地域社会を目指す必要を改めて確認しなければならないと認識しております。そのことが、安定化した地域社会及び地域社会の連帯感につながるものと私は大いに期待をしているものであります。
私たちは、区民一人一人が地域社会においてお互いの人権を尊重し、個性と能力を十分に発揮できるような地域社会でなければならないと思います。今後も、平和のとうとさ、一人一人の命の大切さや基本的人権を尊重する取り組みを引き続き推進してまいります。
なお、平成14年から始めました地球市民ツアーについては、私は毎回報告会を聞いております。ぜひ、議員各位にもそういう形で臨んでいただきたいと思います。その中で、私は、平和に対する高校生、大学生の報告を受け、新たな平和に対する気づき、学びというものを、十分に学びながら、これからも平和に関する施策を着実に進めてまいりたいと思います。
なお、詳細及びその他の事項については、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。
〈政策推進担当部長答弁〉
大串議員のご質問のうち、国際平和都市千代田区宣言から20年間の取り組みについてお答えいたします。
本区では、宣言の趣旨に基づき、平成7年度からさまざまな平和事業を実施しております。まず、広島・長崎・沖縄へ平和施設団を派遣し、平和のとうとさを直接肌で感じていただいております。事業開始から今年度までの派遣総数は、298名となっております。
また、報告会では、「平和とは世界の誰もが幸せな暮らしをすることだと感じた」というご意見や、「私たち一人一人が語り部となって広く伝えていきたい」などの思いを語っていただいております。
平成9年度には、平和への願いをつないでいくために、戦争体験記録集「語り継ぐ平和への願い」を発行し、庁舎前に平和記念モニュメントを設置してございます。さらに、平成14年度からは、国際協力活動の現場を訪問し、環境・貧困・平和・人権などの問題を考える機会を提供するために、地球市民ツアーを実施しており、今年度までに高校生を中心に154名を派遣しております。このツアーをきっかけとして、国際協力事業に携わっておられる方もいらっしゃいます。また、平成22年3月には、平和首長会議に加盟し、他の自治体と連携しながら、世界平和に向けた活動を進めております。今年の3月には、宣言から20年目を迎えます。その節目に当たり、3月14日に記念事業を行い、宣言の意義を再確認するとともに、平和への思いを継承してまいります。また、今年は、戦後70年を迎えます。戦争体験者が高齢化していることを鑑み、改めて戦争体験記録集の発行を予定しております。その際、戦争体験者へのインタビューは、次代を担う若い世代の方々にお願いし、将来の語り部になっていただけることを期待しております。
区は、これまでさまざまな平和事業に取り組んでまいりましたが、第40回区民世論調査では、約8割半ばの方が、国際平和都市千代田区宣言を知らないとお答えいただいております。一方、約5割の方が、今後平和事業へ参加したいとお答えいただいております。このような結果を踏まえて、多くの方々に参加していただけるよう、平和事業の工夫をさらにしてまいりたいと考えております。
最後に、子どもたちの日本と中国、韓国との交流事業についてお答えいたします。
これまで地球市民ツアーのプログラムの中では、タイとベトナム、カンボジアの子どもたちとの現地での交流を行っております。また、昭和63年度からロンドンのウエストミンスター海外交流事業を実施しております。言葉や文化・歴史を乗り越えて、子どもたちはすぐに打ち解け、仲よく交流を始めます。世界の恒久平和実現のためには、次代を担う子どもたちがさまざまな国の子どもたちと交流し、お互いを理解し、尊重し合うことが大変重要であると考えております。したがいまして、日本と韓国、中国の子どもたちとの交流につきましては、現地の実態などを調査し、交流の可能性を検討してまいります。
〈次世代育成担当部長答弁〉
大串議員の、子どもが健やかに育つための環境の確保に関する条例についてのご質問にお答えいたします。
平成27年度からスタートする、子ども・子育て支援新制度では、就学前の乳幼児を育てるご家庭からの申し出により、教育または保育の必要性、区が認定することとされ、その受け入れ施設として、幼稚園、認定こども園、認可保育園、小規模保育事業が位置づけられております。しかし、新制度の仕組みでは、従来から本区が推進してきた認証保育所や、区が独自に行ってきたこども園、幼保一体型保育施設などの多様な教育・保育施設が法制度の枠外に置かれてしまいます。しかし、法に定められた認可施設だけでは、保護者の皆様のご期待に応えることはできません。
そこで、認証保育所や幼保一体施設として区が独自に提供している保育サービスなど、新制度の中では体系づけられていない保育サービスについても、条例で明確に位置づけるとともに、区立と私立、認可保育所と認証保育所、こども園と幼稚園、幼保一体施設など、その形態や実施主体の違いにかかわらず、等しく良好な環境で子育てができるようにすることを明らかにするため、本条例を制定したものです。
また、このように法制度の枠にとらわれず、全ての施設において等しく良好な子育て環境を確保する姿勢を明らかにし、そのための手段として区有施設の積極的活用などを明記したところに、本条例の特徴があります。
共育マスタープランにおける「共育」の理念は、本区における子育てや教育にかかわる全ての施策における基本理念であり、本条例もこの理念を踏まえたものです。「共育」の考え方は、今後も引き続き区における次世代育成の基本理念として継続してまいります。
次に、次世代育成支援計画について、保育・教育の質の内容をどう示していくかですが、計画の中で保育・教育の質の向上につながる事業を個別に掲載しているところです。具体的には、保育士の処遇改善支援などを盛り込んだ認可保育所や認証保育所等の補助項目の拡充や、就学前教育推進等に向けた公立・私立園の交流連携を強化することなどを計画しています。
今後、「子どもが健やかに育つための環境の確保に関する条例」や、「就学前プログラム」に基づいた教育・保育の質の向上に取り組むことを、支援計画の中に明記し、積極的に取り組んでまいります。
〈再質問〉
14番大串ひろやす、自席から再質問させていただきます。
前向きな答弁をいただいたと理解しております。区長の答弁を若干補足させて――補足というわけではないんですけれども、こう理解していいのかと。こう理解したいということで、ちょっと、再度質問をさせていただきたいんですけれども。
立派な宣言のもとに、区民の皆様とともに取り組んでいかなければいけない。そのために、豊かな地域社会に向けて取り組んでいきましょうということで、それが緒方貞子氏がいうところの安定化した社会でもあり、市民社会の連帯にもつながるんだと、そういう答弁であったと私は理解しております。
区民の皆さんが、この立派な平和都市宣言を一緒に共有しながら、その高い理想というんですか、そういう人権とか尊厳とか、そういう大事なこともみんな一緒に考えながら、豊かな地域社会をつくっていくんだというところの意識がしっかりできている中に、緒方氏がいうところの、政治のレベルがどんなにがたがたしても、びくともしない社会を築いていくんだ、それが平和につながるんだと緒方氏が言っていましたけど、そういうことにつながるだろうし、それから、宣言で言っていた世界の人々との連帯していくんだということにも、そこがベースとなってつながっていくんだというふうに私は理解しましたけども、それでよろしいかどうかを再質問したいと思います。
〈区長答弁〉
大串議員の再質問にお答えいたします。
私の言い方が的確でなかったのかどうかわかりませんけど、そういう趣旨でお答えをしたつもりです。
もう一度申し上げますと、豊かな地域社会を目指すに当たり、全ての人が、さまざまな違いを乗り越え、お互いを理解し、認め合い、そして人権を尊重し合い、ともに生きる社会を目指す必要性を改めて確認しなければならない。そのことが、安定化した地域社会及び市民の連帯につながるものだというふうに私は認識をして、平和に関する取り組みをしてまいりたいと思っております。以上です。