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真心の伝わる政治を!
大串 ひろやす
平成12年第1回定例会
1.中小企業・商店街の活性化策について 2.地域コミュニティ活性化について
〈質問通告〉
中小企業・商店街の活性化策について
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中小企業・商店街の活性化策について基本的な考え方を問う
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情報化支援を行うべき
地域コミュニティへの支援について
〈質問と答弁の全文〉
平成12年第1回定例会において、公明党議員団の一員として一般質問させていただきます。
発言通告に基づき、中小企業、商店街の活性化につき、3点質問を行います。
さて、区民の一番の関心は、何といっても経済、景気の動向にあります。現実の厳しさは今年に入り、さらに深刻になっています。昨年、99年の全国の企業倒産件数と区内の倒産件数を見てみます。全国では98年10月からスタートした信用保証協会による特別保証制度のおかげで、前年の98年の1万9,000件から19%減少し、約1万5,400件になりました。もう一つ、千代田区内の数字ですが、これは驚くことに逆に20%増えて、220件となったということです。それ以前の3年間が180件台で推移していましたので、びっくりしています。
当然、千代田区でも同じ時期に特別保証制度はスタートしていましたし、なぜ千代田区だけが逆に厳しくなったのか。これは、最も厳しい影響があると言われる卸、小売が千代田区には多いのも原因の一つと思います。
さて、中小企業を取り巻く環境の変化を見ますと、情報化の急速な進展、いわゆるIT革命の進行が挙げられます。世界的な広がりと予想以上の早さで進んでいます。大手企業は情報技術の活用によるビジネスプラン・リエンジニアリングという手法を使い、生産効率の改善を図っています。そして、情報に強い元気なベンチャー企業も数多く誕生しています。しかし、多くの中小企業、商店は、情報化の必要性は認識していても導入できず、またパソコンは持っていてもネットワーク化できず、メリットが受けられません。
ここで、中小企業はどのくらいあるのか見てみますと、区内に事業所数は約3万6,000社、うち従業員300人以上の会社はわずか430社にすぎません。それ以外は中小企業ですので、率にしてみますと、何と98.8%となります。業種別では、先ほど言いましたように卸、小売、飲食店が1万4,500社、率で40.2%を占め、次いでサービス業の1万2,000社、33.3%、この2業種で7割以上となっているのが千代田区の特徴です。
そこで、これら厳しい現状を踏まえ、中小企業、商店の多くの方々と最も身近に接している自治体の長である区長にその活性化策、また取り組む姿勢をお伺いします。
中小企業、商店街の情報化、ネットワーク化は、真摯に取り組むところについては、区としても積極的に支援していかなくてはならないと思います。そこで2点目として、その具体策をお伺いします。
私たち公明党は、昨年からこの1月末まで、情報通信料の引き下げのための署名活動を青年局を中心に全国で展開し、1,352万名の署名を集めました。そして、神崎代表、浜四津代表代行が2月15日に小渕首相に渡し、申し入れを行いました。これもIT革命を限られた一部の人たちのためでなく、多くの方々が有利に使用できるための運動です。また、日本の経済発展、景気拡大のためにはぜひ必要となってきます。
公明党として、2月に入りますと、すぐこれも全国で中小企業の実態調査を展開しています。私も一件一件訪問し、お話を聞くと、一様に「1年前の2月より景気は悪くなった。今年に入り、さらに悪くなった」と答えは返ってきます。先ほどの数字を裏付ける形です。決して大げさではありません。ある社長は、「もう同業者が10件も店を閉じた。区は情報化の後押しをどう考えているのか」と詰め寄ります。「情報化に対するその企業、商店のレベルに応じて、例えばAランクからDランクまであるとすれば、それぞれに応じた支援をしてもらいたい」と。また、ある方は、「情報が欲しい。とれる場を提供してほしい」。また、ある商店の方は、「商店街としてネットワークをつくってもらえたら」と訴えます。また、「ホームページをつくりたいが、どこに行ったら教えてくれるのか」。ほか、「中小企業に対する施策を国、都、区に分け、わかりやすく説明したものが欲しい」。また、「講習会、セミナーを3時から4時半ぐらいの時間帯で行ってもらえないか」等です。どれも切実な訴えです。区と中小企業センターとの連携の上、施策としてのメニューはそろっていますが、実際スタートしているのは少ないのが現状ではないでしょうか。時間的ゆとりはありません。ぜひお願いします。
最後に、地域コミュニティへの支援についてお伺いします。
私は先日、吉祥寺南町のあるNPOへ行ってまいりました。その日は、パソコンの講習会が2人ずつペアで10台ぐらいのパソコンを使って行われていました。場所は、その南町の市の施設であるコミュニティセンターです。私は、そこで地域のいろいろな人々にお会いすることができました。ボランティアで事務のお手伝いをされている主婦、会社を定年となり、パソコンの講師を買って出た人、ご夫婦でパソコンを習いに来ている人、中には障害を持たれた方も活動されていました。その人たちの姿を見、また中心者の熱く語るその思いに触れ、今までの私のコミュニティに対するイメージを変えなくてはなりませんでした。途中から、自分が恥ずかしくもなりました。
そこはNPOという形をとっていますが、インターネットを利用し、地元商店街の方々が様々な情報を発信し、主婦の方々もその感想を返します。そのような情報のやりとりの積み重ねが買い物客との信頼関係を築き、地域の活性化につながっているのだなと思いました。その方は、他の地域のコミュニティ組織とネットワークを組み、さらに拡大していきたいと熱っぽく語っていました。
このようなコミュニティは、NPOに限らず、ボランティアグループあり、サークルあり、様々な形態が考えられます。少子・高齢化が進む中、今後ますます増えてくるでしょう。高齢で単身世帯の増加や、近隣との関係が希薄になっていることなどから、より一層地域の区民によるコミュニティ活動の重要性は明白であります。
千代田区の商工振興基本計画の中に、コミュニティ施策はコミュニティ商店街事業助成とあります。内容は、地域コミュニティ形成の場となる商店街づくりを目指す事業助成です。
ここで、少し他区での例を紹介いたします。品川区では、各出張所をその地域コミュニティの活動の核とするため、地域センターと名称を改め、地域とのかかわりを深めながら、地域の活性化を図っていくとのことです。
また、大田区では、区民参画型の「学び合いとまちづくり」と銘打ち、各種グループが区の文化センターにおいて活動しています。子どもボランティアあり、高齢者によるシルバーカレッジありです。すべて区民が企画し、運営まで行っています。これもコミュニティの立派な形です。
板橋区には、板橋グリーンカレッジと称する高齢者大学があります。これは区の企画ですが、そこでの触れ合いの姿は非常に参考になります。
さらに海外、ニューヨーク市シリコンアレーの成功例は有名ですが、ここでも市民によるNPOのコミュニティネットが市との協力の中で行われました。
いろいろ例を出しましたが、このようにコミュニティの姿は情報化の進展と少子・高齢化により以前とは異なってきております。これから地方分権がスタートするに際し、これら住民自らのグループは、区としては協力していく大事なパートナーでもあります。千代田区でも街づくり公社の行っているまちづくりサポート事業、またSOHO支援事業等、他区にも自慢できるものもあります。
大規模再開発による地域活性化の時代は終わりました。各区のコミュニティに対する取り組みはまちまちで格差がありますが、千代田区としてはぜひ本格的に地域コミュニティ支援を行い、商店街の、そして地域の発展につなげていかなければならないと思います。
区民は区を選択できません。それゆえ、間違っても区民に対し傲慢になってはなりません。むしろ、どうしたら区民の皆様に最上のサービスができるのかを常に心がけ、取り組まねばなりません。地域コミュニティに対する区としての取り組む姿勢、お考えをお聞かせ下さい。
以上、区長並びに関係理事者の積極的かつ前向きなご答弁をお願いし、質問を終わらせていただきます。(拍手)
〈区長答弁〉
大串議員のご質問のうち、IT革命という環境変化の中での中小企業、また商店街対策に関するご質問にお答えいたします。 現在、中小企業は、規制緩和や高度情報化の進展等に伴う急激な変化の中で、新たな局面に対応していく必要性を強く求められております。特にその中で重要なことは、高度情報化の進展に対応していくことであり、このことがまた中小企業の競争力を高めていくことにもつながるのではないかと考えます。
こうしたことから、昨年3月に策定いたしました商工振興基本計画におきましては、情報化支援とネットワーク化を主要施策の一つに位置付けております。中小企業や商店街等の情報化への取り組みと広域的な情報発信の支援をハード、ソフトの両面にわたって、財団法人ちよだ中小企業センターとも連携を密にし、積極的に進めてまいりますので、ご了承願いたく存じます。
なお、他の事項につきましては、関係理事者をもって答弁をいたさせます。
〈地域振興部長答弁〉
大串議員のネットワークづくり、または情報化の支援策についてのご質問にお答え申し上げます。
IT革命は、インターネットの急速な普及によって、中小企業が自らの努力によって競争力を強化し、さらなる発展を可能にさせるものであり、区としても積極的に支援してまいりたいと考えております。 現在、情報化支援の具体的な施策としましては、個別企業に対しましては、中小企業センターにおいて情報化の経営相談、各種OA講座やパソコンコーナーでの指導をしておりますが、さらに平成12年度から、中小企業センターのホームページを活用して、希望する区内中小企業、商店街、工業団体等の情報をインターネット上で紹介していくデータサービス推進事業に取り組んでまいります。
また、商工振興課におきましては、商工業活性化支援事業の中で、商店街や産業団体が積極的に進める情報ネットワークシステム、機器の設置やホームページの開設などを支援しております。そして、両者が連携をより一層密にし、支援体制を構築してまいります。
今後とも、利用者や関係団体のご意見を十分取り入れながら、PRを含め、情報化支援施策の一層の充実に努力してまいりますので、ご了承をお願いいたします。
次に、中小企業、商店街の活性化策の中の地域コミュニティ支援策についてのご質問にお答え申し上げます。ご指摘のように、地域の活性化にはコミュニティが重要であります。これまで区といたしましては、地域コミュニティの活性化等のために町会への支援を始め、区民を中心とする様々なグループ活動への支援として、区民会館その他の施設などの優先利用や講師等の派遣助成支援などをいたしてきているところであります。 ご質問にありますように、今後は新しい波としてNPOやボランティア団体等の活動がより活発化することが十分想定されるところであります。このような団体に対する場や機会の提供については、情報化社会の進展を十分視野に入れた支援策が必要と考えております。
今後、関係部並びに公社とも十分調整しながら、地域コミュニティの活性化、そしてそれが中小企業、商店街の活性化とも結びつくよう検討してまいりますので、ご了承いただきたくお願い申し上げます。
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