真心の伝わる政治を!
大串 ひろやす
令和3年第1回定例会
1.千代田の新時代へ、新たな基本構想の策定を! 2.子どもの笑顔あふれる社会を目指して!

〈質問通告〉
-
千代田の新時代へ、新たな「基本構想」の策定を提案する。所見は。
-
総合計画の構造や性格また期間など総合計画のあり方を問う。
-
子どもの笑顔輝く千代田を目指して! 選挙公約では「子育てしやすさ日本一に!」を掲げられた。多くの区民が期待している。そこで、「子育て」についての基本的な考え方を問う。
-
「子どもが健やかに育つための環境の確保に関する条例」について、乳幼児期の育ちは特に重要であり、条例では形態や実施主体の違いに関わらず等しく子育て環境の確保に努め、社会全体で子育てを支えるとしている。もってすべての乳幼児の健やかな育ちを保障していくものと理解している。そこで、改めて条例の目指すものまた特徴は何かを問う。
-
園庭のない保育所が増えている。遊具も含めた代替園庭としての公園の整備が必要である。今後どう行っていくのか。
-
散歩や公園に向かう園児たちを交通事故から守るためキッズゾーンの設置を。
-
子どもの権利擁護機関の設置について
〈質問の全文〉
令和3年第1回定例会にあたり、公明党議員団の一員として一般質問いたします。
最初に、自治体の最上位計画としての基本構想についてであります。
この度の区長選挙において区長は見事に当選されました。それは選挙公約として掲げられました「千代田の新時代」を是非とも築いてもらいたい、また共に築いていきたいと多くの区民が期待しまた希望を託された結果だろうと思います。その期待と希望に応えるため、新時代構築への基本的な理念や目標そして方針を議会の議決が必要な新たな基本構想として策定すべきと考えます。区民の方々の理解と協力なくして千代田の新時代を築くことはできないからであります。
基本構想としては、昭和53年に元区長遠山景光氏が策定したものが最初ですが、当時は第二次石油ショックでしたので区民の生活は苦しく不安であったことと思います。そのような中、区として何をなすべきかという目標と区民と共に歩む方針を明らかにしたのです。一部引用させていただきます。
「経済的な繁栄を優先してきた社会は、物質的な豊かさを助長したが、反面環境の破壊や人口流動に伴う地域社会での人と人とのつながりの欠如など反福祉的要素を引きおこし健全な区民生活の基盤がゆりうごかされた。こうした状況は都市部においていわゆる都市化現象として首都東京たる千代田区に集中的に現れ」(た)(中略)「今こそ区民に最も身近な自治体たる区は何をなすべきかを真剣に考え、区民に明らかにしていく使命を担っている。従って区は区民を主体とし、区民一人一人の自覚と行動を基礎とし、心と心のふれあいのある新しい連帯感にうらうちされた地域社会をつくりだすことこそ必要である。(中略)このような状態の実現を図るためには区と区民がともすれば与える側と、与えられえる側という一方通行的な関係になりがちであったものを、両者が理解、協力し、相互に与え、与えられる関係を作りださねばならない。そうなってこそ、今日の自治体に求められている究極的な使命が果たせるものと考える。換言するならば区民の生活の真の豊かさとは、区と区民が一体となった区民福祉の向上である」と。
今から43年も前に述べられたものですがすばらしい内容であります。当時、多くの区民に希望と勇気を与えたものと思います。まさに「希望の構想」であります。
そこで、この度、公約として掲げられました「千代田の新時代」を確かなものとすべく、新たな基本構想の策定を提案いたします。未だ新型コロナにより区民の生活は厳しく大きな不安を感じているがゆえに遠山氏同様「希望の構想」たる基本構想が必要だからであります。ご所見をお伺いいたします。
次に、総合計画のあり方についてであります。
平成23年の自治法改正により市町村は基本構想を定めねばならないとする第2条の4項が削除されました。国の義務付けがなくなった今、自治体の意思として総合計画を策定する、しないも含めた総合計画のあり方が問われています。
この度、新しい区長が誕生したのを機に区として総合計画のあり方についてどうあるべきかを整理してはどうでしょうか。具体的には、
-
一点目として、現在基本構想と基本計画の2層構造としていますが構造をどうするかという点。
-
二点目は、計画の期間をどうするのかということです。私としては基本構想の期間をSDGsやパリ協定などの国際基準に合わせ2030年までの10年間とし、基本計画の期間も同じ10年としますが前半の5年を予算の裏付けのある計画とし後半の5年は展望計画として5年ごと改定できるようにします。そうすれば2層構造でも社会の変化に対応もできますし、区長選挙のあった年に見直し改定もできることになります。政治サイクルと行政サイクルをできるだけ一致させるためです。
-
三点目は、計画の性格についてであります。任意の行政計画としてなのか、それとも区民と一緒に取り組むための計画、いわば公共計画としてなのかということであります。
-
もう一点あります。それは計画書の有償販売についてであります。基本構想と基本計画「未来プロジェクト」は一冊になっていますがこちらは500円、その評価書は700円、そして毎年の予算の概要は600円であります。これらは区民からいただいた税金の使い道を区民へ報告する報告書という役割があります。よって、在住の区民の方には買ってもらうではなく世帯に一冊無償で配布してはどうでしょうか。
以上、総合計画のあり方について述べさせていただきました。改めて総合計画のあり方についてどう考えられているのかお伺いします。また4点についてのご所見もお伺いします。
次に、子どもの笑顔輝く千代田を目指して、子育て施策についてお伺いします。
区長は、公約でコロナ対策についで「子育てしやすさ日本一」を掲げられました。多くの区民、特に乳幼児をもつ保護者の方々は大いに期待していることと思います。招集挨拶では、この点、「待機児童ゼロ」と「保育の質の向上」について述べられました。千代田区における乳幼児(0~6歳)の数は平成23年の2533人から直近では4511名へとこの10年で約1.7倍と大幅に増えていますので保育の量の確保と質の向上も含めた子育て施策は大変重要となっています。
そこで、改めて「子育てしやすさ日本一」を目指して、子育て施策をどう推進していくのか、基本的な考え方をお伺いいたします。
次に、「子どもが健やかに育つための環境の確保に関する条例」についてであります。
前文ではこう述べています。「乳幼児の育成環境は、その後の子どもの発達に大きな影響を及ぼすことから重要である。(中略)子育て世帯の実情に合わせた多様な子育て支援の仕組みの中で、その形態や実施主体の違いにかかわらず、子育てを行うすべての家庭が、利用手続、提供される保育・教育、施設環境、利用者負担等において等しく良好な子育て環境を享受できるようにする必要がある。千代田区内において、すべての子どもの最善の利益が実現され、子どもを生み育てることに優しく、子どもが健やかに育成される環境を確保するためにこの条例を制定する」と。(スクリーン1を表示)

前文と第3条で、子どもの権利の尊重をベースに子育てをする親への支援と子どもの育ちへの支援を、第7条で、自ら選択して遊ぶことができるよう環境の確保と整備を約束します。もってすべての子どもの健やかな成長を保障した素晴らしい条例であると理解しています。(1を閉じる)
そこで、環境確保条例で目指したものとは何か、また条例の特徴とは何か改めてお伺いいたします。
次に、代替園庭としての公園の整備についてであります。
私は昨年子育て支援員資格取得のため研修に参加しました。コロナ禍にもかかわらず動画やZoomなど工夫して講習を実施くださったあい・ぽーとの皆さん、そして実習を担当してくださった園長さんや保育士の方々に心より感謝申し上げます。
さて、実習で午前中の外遊びに行った際のことです。その日は千鳥ヶ淵公園でしたが、次から次と他の園の園児たちも保育士さんに連れられてやってきます。帽子の色が園によって違いますのでたくさんの園がきていることがすぐわかります。園ごとに遊具をゆずりあいながら遊びます。私たちは砂場でしたが、滑り台で遊ぶ園、ブランコで遊ぶ園、中にはそのまま通りすぎざるをえない園児たちもいました。(パネルを提示)その時、ゆずりあって何とか遊ぶにしても既に限界にきていると痛感した次第です。(スクリーン2を表示)

スクリーンにある通り保育所の定員はこの10年で1138名から2920名へ2.6倍と急増しています。園児の増加に代替園庭としての遊具も含めた公園の整備が追いついていないのが現状であります。条例で約束した乳幼児の発達と成長のための環境の確保と整備に本格的に取り組む必要があります。(2閉じて3表示)

遊具の点検については日常の職員によるものの他、年に一回専門家による総点検が行われています。写真は点検したその日がわかるシール、また何歳用の遊具なのか、さらに注意しなくてはならないことは赤いシールで表示されています。
公園ごと何歳用の遊具があるのか、または不足しているのか、手を洗うための水栓やトイレはあるのか等、各保育所との情報共有を図りながら整備していく必要があります。(3閉じる)
そこで、遊具も含めた代替園庭としての公園の整備また遊び場の確保を今後どのように行っていくのかお伺いいたします。
次に、キッズゾーンの設置についてであります。(スクリーン4表示)

先日、港区が都内では初めてキッズゾーンを設置したとのニュースがありました。さっそく設置されたキッズゾーンと周辺の様子を見に行ってきました。また、担当の課長にも電話ですがお話をお伺いすることができました。(4閉じる)道路管理者、交通管理者、保育施設などによる合同点検を実施し危険箇所を確認したこと、キッズゾーン連絡協議会を設け設置候補とする場合の基準を定めたこと、スクールゾーンのような車両規制は行わないが道路表示をもってドライバーへの注意を促すとすることなどであります。大変参考となりました。
園児たちが安全に安心して移動できるように区として万全の対策を講じていかねばなりません。
そこで、散歩や公園に向かう園児たちを交通事故から守るためキッズゾーンの設置を提案いたします。ご所見をお伺いいたします。
最後に、子どもの権利擁護機関の設置についてであります。
先日、「子どもの権利 条例で守る 都議会3会派定例会に上程へ」との新聞報道がありました。「国連が採択した『子どもの権利条約』に基づき、子どもの権利を尊重することや子どもの利益を最優先することを基本理念として掲げ」との記事です。都において子どもの権利を守る条例ができること大いに賛成であります。全会派一致で可決成立されることを望むものです。
さて、子どもの権利を守るということでは、第三者による子どもの権利擁護機関の設置が是非とも必要であります。令和元年第4回定例会でこのことについて質問しましたが、その際、教育長が答弁に立たれ「いじめや虐待など差し迫った課題への対応といった昨今の状況を鑑みますと、子どもの個別救済はもとより子どもにまつわるさまざまな制度の改善提案等を行う第三者機関の設置。そしてそのことを視野に入れました条例につきまして検討を始める時機に来ている認識しております。本区の実情を踏まえ、鋭意検討を進めてまいります」と前向きな答弁をいただきました。
そこで、第三者による子どもの権利擁護機関の設置について、現在の進捗状況はどうなっているのかお伺いいたします。
質問は以上であります。
区長、関係理事者の前向きな答弁を期待申し上げまして一般質問を終わります。
ありがとうございました。
〈区長答弁〉
大串議員の御質問のうち、初めに、新たな基本構想の策定に関する御質問についてお答えいたします。
私の区政運営の基本的な考え方は、まず、67,000人の区民の皆様の命と健康を守る対策をいち早く提供すること、そして、その先に、子供、高齢者、障害者施策の充実や環境対策、文化・スポーツ振興などに取り組み、豊かさ・住みよさ日本一の千代田区を築くこと、まさに「コロナ禍に打ちかち千代田の新時代を築くこと」でございます。
現在、社会はコロナによって時代の大きな転換期を迎えており、そういった流れをしっかりと見極め、千代田区の将来像を描いていくことが肝要だと認識しております。したがいまして、まずは、最優先課題であるコロナ対策に注力しつつ、この千代田の新時代、新たな基本構想の策定については、その在り方も含め、庁内で十分に議論してまいります。
次に、子育て施策の基本的な考え方の御質問について、お答えいたします。
私ごとで恐縮ですが、私にも5歳の子がおります。子育て真っ最中という日々の中で子供の成長を目の当たりにし、子育ての楽しさを実感しているところでございます。一方、そうは申し上げましても、子育ては楽しいことばかりではもちろんございません。いらいらすることも、あるいはふらふらになることもしばしばありまして、まさに地域の方をはじめ、周囲の手助けがあって子育てができていると日々実感しております。本区ではこれまで、子育てをしている御家庭を支えるために、様々な取組を行ってまいりました。保育園や学童クラブの待機児童対策はもちろんのこと、手当の支給や医療費助成などの経済的支援、さらには相談体制の充実やバリアフリー環境の整備など、支援を拡充させてまいったことは御案内のとおりでございます。このような支援策につきましては、社会経済状況の変化を見極めつつも、今後ともしっかりと取り組んでまいります。同時に、私は、子育てがより一層楽しくなるためのヒントやアイデアや、子供に対してはこういう対応でいいんだと、こういう子育ての仕方で大丈夫なんだという安心感を、保護者の皆様方と共有したいと考えております。
一方、子供たちを温かい目で見守り、子育て世帯、保護者に対しては温かい手を差し伸べる、このような地域社会であることが、子育てしやすさ日本一を目指すためには必要であります。目をかけてくださった、手を差し伸べてくださった、そのありがたさを感じているからこそ、また恩返ししようと、できることをしようという支え合いの気持ちが自然と生まれてくるものだと思っております。
このため、区政として、子育て支援にしっかりと取り組んでまいりますと同時に、区民の皆様方におかれましても、支え合いの地域社会づくりに御理解、御協力をいただけることを願っております。
なお、詳細及び他の事項につきましては、関係理事者をもって答弁いたします。
〈子ども部長答弁〉
大串議員の子どもの笑顔輝く千代田を目指して、子育て施策についての御質問にお答え申し上げます。
まず、子どもが健やかに育つための環境の確保に関する条例についてでございます。
本条例は、子ども・子育て支援新制度の枠外に置かれる認証保育所や区独自の補助施設につきましても認可施設と同等の位置づけを行い、その形態や実施主体の違いにかかわらず、区が関与する未就学児に対する全ての保育・教育サービスにつきまして、等しく良好な子育て環境が確保できるようにすることを目指しているところでございます。
そして、本条例におきましては、区及び事業者の一般的な責務を定めるだけでなく、区有施設の活用や代替園庭の確保など、具体的な支援策につきましても定めているところが特徴でございます。
次に、キッズゾーンの設置についての御質問でございます。
本区では、令和元年5月の大津市の事故を受けまして、まず、各保育園長あるいは施設園長による保育施設の連絡会を開催いたしまして、地区ごとに分かれて危険箇所の抽出を行いました。その後、十数回にわたりこども支援課や道路公園課、あるいはその他道路管理者、各警察署と合同の点検または協議を重ねまして、危険箇所にガードレールを設置したり、あるいは青信号の間隔を延ばすなど、園児が安全に、安心して公園、散歩に行くことができるよう対応策を講じてまいりました。
また、各施設におきましては、危険箇所を記入した散歩マップを独自に作成し、職員や園児、保護者の皆様方に周知をし、日々の園外活動に生かしているところでございます。議員御指摘のキッズゾーンにつきましては、保育所等の周辺道路における自動車運転手への注意喚起の手法の一つであると認識をしております。
今後、御紹介いただいております港区の先行事例等も参考にしながら、本区におきましても関係部署及び関係機関と連携しながら、保育園の園外活動のさらなる安全確保について検討をしてまいります。
最後に、子どもの権利擁護機関の設置についての御質問でございます。
子どもの権利擁護機関につきましては、子供の権利を守るためのみならず、いじめ等の事案が発生した際に、調査の透明性を高める有益な手段であると認識をしております。現在、当該機関を既に設置しております他の都市の事例を参考に検討をしているところでございまして、今後、本区の実情に即した取組となるよう具体の検討を進めてまいります。
〈環境まちづくり部長答弁〉
大串議員の代替園庭としての公園の整備に関する御質問にお答えいたします。
現在、区が管理している公園は、都市公園が22園、児童遊園が23園で、計45園となっております。こうした中、近年の人口増加に伴い、公園や児童遊園の利用状況にも変化が生じております。特に、顕著な傾向としては、議員御指摘のとおり、園庭のない民設の保育園が増え、園児が遊ぶ代替園庭としての利用が増大している実態がございます。
このような現状を踏まえ、子ども部とも連携しながら代替園庭としての利用状況や保育園の意見などを詳細に把握しつつ、公園の様々な使われ方なども考慮しながら、今日のニーズに合わせた公園機能の見直しを進める必要があると認識しており、早急に検討してまいります。
〈政策経営部長答弁〉
大串議員の総合計画のあり方に関する御質問について、区長答弁を補足してお答えいたします。
基本構想等の構造につきましては、区民や区議会の皆様と区の将来像、方向性を共有する上で、どのようなつくりとすることがよいのかといった観点などから、検討してまいります。
次に、計画期間につきましては、社会経済状況の変化が著しい今日において、長期間の構想や計画を策定することに課題があることは認識しておりますので、議員から御提案いただいた点も踏まえまして、基本構想・基本計画の構造、役割等を併せて検討してまいります。
次に、総合計画の公共計画への位置づけに関する御質問ですが、本区の計画策定や各事業の取組に当たりましては、区民の皆様とともに地域の実情に即した施策を展開していく重要性等を踏まえ、参画と協働を推進しております。現行の基本計画の策定に当たりましても、行政が一方的につくるのではなく、区民会議や住民説明会、パブリックコメントを実施し、区民の皆様の御意見を聞きながら策定したところであり、議員御指摘の要素も有していると認識しております。今後もこうした取組を継続してまいります。
次に、計画書及び予算の概要の無償頒布についての御質問にお答えいたします。現在、区が発行する各種計画書や報告書等の頒布に当たっては、御購入を希望される方に印刷経費等の実費額を御負担いただくこととしております。そのため、御質問の冊子につきましても有償で販売しているところですが、PDF形式で電子化をし、千代田区のホームページに掲載することで、必要に応じて、いつでも閲覧・印刷できる状態にしております。御質問の無償化につきましては、基本計画の策定主旨や性質、他の冊子との整合性等も含め検討していく必要があると認識しております。



