真心の伝わる政治を!
大串 ひろやす
平成21年第3回定例会 「地域防災力の向上を目指して!」
〈質問通告〉
地域防災力の向上に向けて!
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災害対策事業計画(減災計画)の今日までの達成状況と今後の課題は何か。
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計画は来年度改定となるが、その方法と改定計画の特徴は何か。
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自主防災組織としての「避難所運営協議会」のあり方を改めて問う。
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協議会ごとコミュニティ防災計画の策定を提案する。
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高齢者・障害者の方や健康に不安のある方へ「救急医療情報キット」の配布を提案する。
〈質問の全文〉
平成21年第3回定例会にあたり、公明党議員団を代表して質問を行います。
質問の目的は、あの阪神・淡路大震災の教訓を改めて確認した上で、区の防災対策の今日までの成果と今後の課題を問い、また新たな提案も行い、“地域防災力の向上を目指していく”ことにあります。
さて、早いもので、来年1月であの阪神・淡路大震災より丸15年が経過します。被害は死者6432人、全壊建物約10万棟という甚大なものでした。また死者の約8割がその家屋の倒壊に伴う圧死・窒息死という状況でした。
震災の教訓としては、国際公共政策博士の永松真吾氏が著書の中で述べられていることが参考になります。「阪神・淡路大震災の真のインパクトは、課題の発見にあるのではなく、課題への対処の方策についてであった。それまでが、自助・共助・公助という言葉によって、防災におけるそれぞれの主体の役割分担を明確にする『分業』の発想が強かったのに対して、阪神・淡路大震災以降はむしろそれぞれの主体が同じ目的を共有し連携して行動する、すなわち『協働』という発想に、より力点が置かれるようになったのである」(「減災政策論入門」)と。
また、法政大学大学院講師の鍵屋一氏も永松氏と同趣旨のことを述べられています。「防災対策において、住民の自己責任原則による自助、地域の助け合いによる共助を強調し、行政による公助を限定的にとらえようとする動きもありますが、地域防災力は行政が自助努力の必要性を訴えるだけで向上するものではありません。自治体は、困難な問題を市民の自助に押しつけるのではなく、市民とともに悩み、解決策を協働で創りあげなければならない」と。(「地域防災力宣言」増補版)二人とも、「自助、共助、公助が連携し、補完し合う」という考え方で行動していくことが大事であると述べられています。大震災の教訓は多くありますが、このことはとても大事なことだと思います。
国も都道府県も全国の区市町村も阪神・淡路大震災の多くの教訓をもとに、それまでの防災対策を見直し、新たな防災対策に取り組んできたと思います。この15年を仮に第1期とすれば来年よりは第2期、次の15年がスタートすることになります。
千代田区としても大震災の教訓がいかされたのか、この15年間の防災対策についてきちんと検証し成果と課題を一度整理する必要があると思います。そして来年の1月17日にはその結果も踏まえて区民に向けて防災対策の今後の取り組みを何らかの形で発表してはどうでしょうか。
阪神・淡路大震災以降の防災対策の特徴としては、以下の6点が考えられます。
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多様な主体による目標の共有と補完・連携の重要性が認識されたこと
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防災計画にそれまでなかった「減災」という考え方が新たに取り入れられたこと
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法定計画である地域防災計画とは別に、自治体独自に防災(減災)のための事業計画やアクションプログラム(行動計画)が策定されるようになったこと
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それらの計画には予算の裏付けを伴った具体的な数値目標が記入されるようになったこと
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数値目標の中心は、まちづくりと連携した建物の耐震補強となっていること
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「地域防災」という概念が重視されるようになったこと
などであります。
千代田区においては、平成18年3月に「防災対策基本条例」を策定しました。条例の理念は前文に以下のように謳われました。「災害時に千代田区にあるすべての人々が相互に助け合い、支えあうことを新たな理念としてとらえることが必要であり、これを『協助』とする。このような『自助』、『協助』、『公助』の理念のもとに千代田区に関わるすべての人々及び行政が相互に補完しあい、連携していくことにより災害対策に取り組んでいく」と。つまり、自助、協助、公助が補完し合い、連携するという理念をもって災害対策に取り組むことを宣言しました。ドイツのある市の条例ですが「市は市民の自助を補う」との文言が第1条の第1項に謳われていて、大変印象深いわけですが、区の条例も前文に「自助、協助、公助が補完し合う」と謳ったことは負けないくらいインパクトがあります。まさに阪神・淡路大震災の教訓を生かした理念といえます。
この基本条例の第20条では「災害対策事業計画」の策定を義務付けています。条例策定と同じ年(平成18年)の6月に計画は策定されましたが、この計画の特徴はなんといっても具体的な数値目標を設けたことにあります。計画にはこうあります。
「とりわけ本計画においては、区の災害対策上、重要課題である『地域防災力の向上』と『帰宅困難者対策』について重点的に取り組んでいくこととし、個々の事業のうち数値目標を掲げられるものについては具体的な減災目標(5年後)を立て実現に向けて取り組んでいくこととします」と。
例えば、「地域防災力の向上」としては、「耐震化の促進による全壊棟数の削減」251棟→190棟 などを始め9項目の数値目標がしめされました。事業計画として、当然それぞれの数値目標には予算の裏付けも伴っています。
本来ならば、防災に関するマスタープランとしての「地域防災計画」に数値目標を掲げて庁内はもとより関係機関との連携のもと総合的に総力をあげて対策を推進すべきです。しかし、国、都、区の現在の計画体系が未だ上下の関係にあることや、修正・見直しの仕組みに限界があり実効性が伴いません。真に実効性ある「地域防災計画」とすべく国の災害対策基本法も含めた抜本的な見直しが必要な時期にきていると思います。
それはさておき、“防災対策に取り組んできたこの15年間の成果と課題を整理し、次につなげたい”ということでは国も都も区もそれぞれが計画の検証を行う必要があります。また検証した結果を対等な関係にたって突合せを行い、区で難しい課題については都が補い、都で無理なことは国がそれを補うというように調整し、それぞれの次期の計画に反映させていくことが必要です。
区は、大震災の教訓を生かし、条例でその理念を明確にし、行わなければならない防災対策を数値目標の入った事業計画としました。条例と事業計画を策定したことは実効性ある防災対策を行うための大きな成果だと思います。この計画は期間が5年で来年度がその最終年度にあたり、計画の改訂も来年度予定されています。
そこで、今日までの災害対策事業計画で掲げた数値目標の達成状況はどうなのか、また今後の課題として残ったもの、また新たに課題として出てきたものは何か、お伺いいたします。さらに、次期計画への改定の方法と計画の特徴はどういう点になるのか、合わせてお伺いいたします。(→自助、協助、公助が補完し合う計画とするのだから、改定の方法としては行政のみで行うのではなく区民、大学、NPO、企業なども参加してもらうこと。特徴としては単なる庁内の行政計画とするのではなく、公共計画とすべきである)
次に、自主防災組織としての避難所運営協議会のあり方についてであります。
現在、協議会は避難所となる小学校、中学校ごとに地元町会を中心に設置されています。その数は16協議会であり、会議は年一回開かれています。
先日、(8月1日)麹町小学校にて親子で参加する「ぼうさい探検隊」が行われました。今年で3回目になります。主催は麹町小学校のPTA有志の会「ワーク・わく・クラブ」ですが、一番町児童館と四番町児童館、地元麹町消防団、消防署のレスキュー隊、NPO法人ワカモノまちing、企業では損保協会も協力しました。毎年、20組から30組の親子が参加して防災マップづくりを始め、レスキュー隊や消防団が行う模範訓練を見学します。
自主防災組織ということでは、町会を始めこのようなクラブやNPO法人、企業、大学そして広い意味ではマンションの管理組合も入るかもしれません。それぞれが防災に関して貴重な経験とノウハウを持っています。先ほどの災害対策事業計画には「地域防災組織の充実」の項があります。そこには「地域防災組織が地域の特性に応じて様々な活動を円滑に実施し、また平常時から連携し、補完し合うことのできる仕組みづくりを行う」と書かれています。ここでいう仕組みづくりとは、まさに自助を補う共助としての自主防災組織のさらなる充実を述べているところですが、共助の仕組みづくりということでは、もう一つ、各自主防災組織同士が連携し、補完し合う仕組みづくりをも意味しています。つまり様々な主体・団体が交流し、情報交換もできて、持っている貴重な経験とノウハウを繋げていく場であり、仕組みです。その仕組みの代表が避難所運営協議会であると思います。地域の町会を始め、クラブ(学校PTA)、NPO、企業、大学などが気軽に運営協議会に参加し、GISを利用して必要なマップを使って地域の防災上の課題を出し合い、その解決策について話し合えるようにしてはどうでしょうか。 行政の持っている技術また防災情報と地域の様々な力が一緒になれば多くの課題も解決できると思います。このことは正に、区が防災対策の理念とした「自助、協助、公助が補完しあう」という姿であり、また地域防災力の向上につながることでもあります。その場では、防災を切り口として様々な地域の課題も出てくるでしょう。それをまた皆で解決策を見出していくこと、これもりっぱな地域防災力の向上であります。
話し合われた内容で重要な事項は「運営協議会報」としてその地域の全戸に配布してもよいと思います。また話し合われた内容を項目ごとに整理していけば、りっぱな地域の防災計画、今注目されている「コミュニティ防災計画」になるでしょう。多分、計画といっても構えて作ろうとすると逆に難しく負担になるものです。無理がなく自発的な積み重ねこそが大事であると思います。もし仮に、自発的にコミュニティ防災計画を作成することになった場合のメリットは、参加者は勿論ですが、地域住民一人ひとりが地域の特性や状況を理解することにより防災上の地域の弱点を再認識するとともに、いざ災害時に自分がどうしなければならないのかという防災意識の向上に役立つということがあげられます。
このような「コミュニティ防災計画」作りにすでに取り組んでいる地域のある自治体は仙台市、岐阜市、茅ヶ崎市、静岡県下の各市町村などであります。(仙台市太白区ニュータウン町内会の「出さない君運動」死亡者を出さない、崩壊建物を出さない、火災を出さない)
避難所運営協議会の役割(あり方)とコミュニティ防災計画について述べました。
そこで、避難所運営協議会の在り方について改めてお伺いいたします。また避難所運営協議会として、勿論強制ではなく、その地域の特性を踏まえた防災計画(仮称)「コミュニティ防災計画」の策定を提案します。ご所見をお伺いいたします。
次に、「救急医療情報キット」の配布についてであります。
私も最初はこの「救急医療情報キット」といわれてもわかりませんでした。町会の婦人部の方より「港区で行っているので是非千代田区でもお願いします」とキットの写真を持ってこられたのが、私とキットの知り合うきっかけとなりました。
今日は、ここに現物を持ってまいりました。(現物を呈示)これは冷蔵庫に入れて保管しておくものです。使うのは緊急時と非常時だけです。このキットの中には、この「救急情報」(用紙を呈示)が入ります。内容は、
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氏名、住所、電話番号、血液型
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かかりつけ医療機関情報
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緊急連絡先
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服薬と持病の情報
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その他(救急隊員への伝言)
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介護情報
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同意欄
となっています。
また同じように、千代田区ではまだ用紙はありませんが、要援護者の避難支援情報(避難支援プラン・個別計画という)もこの中に入ります。内容は、
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避難所
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氏名、住所、電話、生年月日
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緊急連絡先
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住居建物の構造
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特記事項(肢体不自由の状況、認知症の有無、必要な支援など)
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緊急通報システムの(あり・なし)
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避難支援者
となっています。
医療情報と非難支援情報の重なるところもありますので工夫して一枚にしても良いと思います。大事なことは本人確認のための写真を必ず入れることです。そして保健証、診察券、薬剤情報提供書などのコピーも入れておきます。希望者には無料で配布されますが、その対象者は、高齢者や障害者、健康上不安を抱えている人となります。一人暮らしに限らず、同居者がいる場合も希望される人全員に配布されます。
(ステッカーを呈示して)シール性ステッカーは玄関ドアの内側に、磁気性ステッカーは冷蔵庫のドアに貼ります。救急隊が駆け付けたとき、ステッカーが貼ってあればこの家には「キット」があることが一目でわかります。このシンボルマークは世界共通で救急医療を意味する「命の星、The Star of Life」です。
港区ではキット安心「安全と安心は冷蔵庫から」というパンフレットを作成し好評です。申込みについては、①緊急通報システム、②要援護者登録制度、③情報キットの3点セットで行っているそうです。すでに3500名以上の人が利用されているそうです。全国から問い合わせや視察が相次いでいるのもうなずけます。北海道夕張市でも「命のバトン」と名前をつけて500人の方に試験的に導入し、アンケートでは96%の方が「必要だ」と回答しています。
先日、8月4日の産経新聞にもこの「救急医療情報キット」が大きく取り上げられました。「医療情報を冷蔵庫に保管するユニークなシステムは、米国・ポートランド市が実施する高齢者の救急対応を参考に港区が考案した」、「冷蔵庫ならどこの家庭にもあるし、すぐ眼につく。外部に事前に個人情報を知らせる必要もないので、プライバシーを守れる極めて都会型のシステム」である。また「急病時などで自宅に駆け付けた際に持病やかかりつけ医の情報があれば、迅速に救命措置や搬送選びに役立つ。災害時にも有用な画期的な取り組み」と、絶賛の記事を掲載しました。
個人情報については使用を限定するからといってもなかなか外には出したがらない高齢者の方が多いと聞いています。この点からも「キット」は画期的であり、福祉と防災の正にヒット商品といえます。
そこで、「救急医療情報キット」を高齢者や障害者また健康に不安を抱える方で希望する方へ配布することを提案いたします。ご所見をお伺いいたします。
以上、“地域防災力の向上を目指して”提案も含めて質問を行いました。
地震の被害を軽減するために、総合的な体系を持つ防災対策を計画的に実効性を持って推進されることを
望むものです。
区長並びに関係理事者の前向きな答弁を期待し質問を終わります。
ありがとうございました。
〈区長答弁〉
大串議員のご質問にお答えいたします。
災害に強いまちづくりは、区民の最大の願いでありまして、地域住民の生命・身体・財産を守ることが区の使命だというふうに考えております。
ご承知のとおり、私たちの千代田区は首都東京の中心に位置をしておりまして、我が国の政治経済機能が高度に集積する、いわば日本の心臓部に当たります。災害時にも、これらの機能の維持と迅速な復旧が求められることはご承知だろうと思います。一方では、区民は約4万6,000、膨大な昼間区民がおりまして、そうした意味では、そういうことをも考えながら、防災対策を展開していかなきゃいけないだろうと思います。
ご指摘のように、平成18年に災害対策基本条例を制定したわけですが、この条例の理念は、従来の理念と変わりまして、みずから助けるという自助と、力を合わせるという共助と、そして公――公助とをうたいまして、災害対策についての千代田区としての考え方を条例の中に前文あるいは各条文で示したわけでございます。もちろん、「減災」の概念は、自然災害の発生を防ぐことは困難でありますけど、いかに被害を最小限に抑えていくかという観点で、その減災という問題は、かなり私は大切だろうと思います。その中で、条例を受けた5カ年計画という中で、初めて10項目について減災目標を出させていただいたわけでございます。この千代田区の事業計画あるいは条例というものが、多分翌年の東京都の地域防災計画にも反映され、あるいはさまざまな自治体の5カ年計画に減災目標という、そういう数値目標が出てきたというふうに私は認識をしております。このように、災害に対する我々の思いというのは、こうした条例なり減災目標という形で出したわけですが、現実は必ずしも達成が十分ではないというふうに、今の段階で進捗状況を見ますと、そう思っております。
そこで、ご提案の阪神・淡路大震災にちなんで制定された「防災とボランティアの日」に、何らかの形で減災目標のこれまでの達成状況等をきちっと区民の皆様方にお示ししながら、次の改定計画に反映をしてまいりたいと思います。このことは、区民の皆様方みずからがご努力していただくもの、行政がやるもの、そうしたことが減災目標の中に入っておりますので、改めて1月17日のメモリアル・デイ、その日になるか、もう少し前になるかわかりませんけど、はっきりと進捗状況と課題を明らかにさせていただきながら、次回の改定に向けて、そうしたことを踏まえながら、次回の改定を進めてまいりたいと思いますので、ご理解を賜りたいと思います。
なお、その他に、あるいは詳細にわたりましては、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。
〈保健福祉部長答弁〉
大串議員の高齢者や障害者へ救急医療情報キットを配付する提案についてのご質問にお答えいたします。
この事業は、医療情報や緊急連絡先などの情報を専用の容器に入れて自宅に保管し、万一の緊急時に備えるもので、高齢者等の安全で安心な生活を支える1つの事業であると考えております。
一方、千代田区でも、救急医療情報キットと同様に、ひとり暮らし高齢者等の生活を支援する事業として、高齢者等の見守りや緊急通報システムの導入など、さまざまな事業を進めております。このため、まずは安否確認や見守り体制の整備といった観点からの現在の実施している事業に重点を置き、着実に推進するよう取り組んでまいりたいと考えております。
〈環境安全部長答弁〉
大串議員の防災に関するご質問に、区長答弁を補足してお答えいたします。
まず、平成18年6月に策定した災害対策事業計画の達成状況についてのご質問でございますけれども、災害対策事業計画では、「地域防災力の向上」と「帰宅困難者対策」を区の災害対策上の重要課題と位置づけて、その実現に向けて、これまで取り組んでまいりました。
具体的には、災害時要援護者対策については、要援護者名簿を整備し、地域住民の方々と防災機関で情報の共有化を通じて、各避難所ごとに救援体制づくりを進めてまいりました。また、帰宅困難者対策については、区内全域をカバーする目標数値である4つの地域協力会を結成し、啓発活動に加え、避難誘導や帰宅のための情報提供や飲料水の配布などの支援をしてまいりました。さらには、区内の8大学との防災協定を初めといたしまして、区内ホテル、家電小売店、業界団体と多様な災害時協力協定を締結するなど、自助・協助の充実を図ってまいりました。一方で、企業備蓄率の向上や住宅・建築物の耐震化の促進といった分野におきましては、さらなる取り組みの強化が必要であると認識しております。
災害対策事業計画の改定におきましても、その基本的な考え方を踏襲してまいりますが、減災目標未達の原因を初めとして、事業計画を総点検し、地域の実情や区民の皆さんの意見を踏まえて、さらなる事業手法の創意工夫を図ってまいります。
次に、避難所運営協議会についてですが、避難所運営協議会は、家屋の倒壊やライフラインの途絶等で避難所生活を余儀なくされた方々が自主的に円滑な運営活動ができるように組織されたものでございます。地域の中で最もコアなメンバーによる地域主体のコミュニティを形成することが肝要であります。こうした方々がひざを交えて話し合う中で、地域の実情を踏まえた図上訓練や防災マップづくり、災害時要援護者の救援体制の整備などを通じて、地域の課題を住民みずからが主体的に整理し防災計画としていくことは、極めて有用と認識しております。区はこうした取り組みに際して、警察・消防機関やボランティア組織と関連づけた行動指針の作成などについて支援してまいります。
〈再質問〉
13番大串ひろやす、自席から再質問させていただきます。
まず、次期計画の改定の方法と、それから、次期計画の特徴についてはどうですかという質問をしたんですけど、ちょっと部長の答弁の中にはなかったと思うので、それはお願いしたいと思います。特に、計画の改定の際には、自助・協助・公助がそれぞれ補完し合って行っていく防災対策ですので、決して、単に公助だけが行う行政のみの計画であってはならないと思います。やはり自助・協助・公助、それぞれの方が参加して、この次期計画の改定に臨めるように、そういう方法を考えていただきたいということが1点。
それから、計画の特徴としては同じですけれども、単なる行政計画ではなくて、公共計画、要するに皆の行動する計画だという性格をしっかり出して行っていただけたらいいなと思いますので、その点、答弁、もう一度お願いしたいと思います。
それから、成果と課題のほうですけれども、この要援護者対策は福祉部と防災課が連携して行う、それから、建物の耐震化、これはまちづくり推進部と防災課が連携して行う。いずれも未達というか、しっかりした成果が出なかったんですけど、これは庁内でもうちょっとしっかり連携ができなかったものかということです。例えば、耐震化の問題であれば、まちづくり推進部では耐震化計画があります。別途ですよ。ですから、防災課のつくっているこの事業計画の目標と、まちづくり推進部の行っている耐震化計画というのがリンクしていない。それぞれがばらばらに進めたら成果は余り上がらないと思います。一度、庁内でよくその辺は連携をとっていただいて、総合的に取り組むから総合計画として意味がありますので、よろしくお願いしたい。
それから、要援護者対策ですけれども、これも、福祉部がやっている高齢者対策とそれから防災課が行っている要援護者対策、対象はほとんど重なっていますので、これも連携してやってもらいたいと思います。ついては、僕は要援護者対策については「救急医療情報キット」、これは何かこっちの事業があるからこれはできないんだみたいな答弁でしたけれども、そうじゃないんですよ。これを使いながら、今、千代田区でやっている高齢者の見守り事業も一緒にやるんですよ。これがあれば、個人情報を出したくないというお宅も、これに入れて、「じゃあ、うちは冷蔵庫に入れるからいいです」となるじゃないですか。これは一緒にできるものですよ。何かこれがよほどの予算がかかるんだったら別ですけど、容器代だけですから。もう全然できると思います。だから、その辺は保健福祉部としてはもう一度答弁してもらいたい。これを使って高齢者の見守りも、それから、災害者の要援護者対策も一緒によるヒット商品というか、これを使ってやるんですよ。僕は、これはポートランド市がやった、それから港区がやった、今では日の出町もやった、夕張市もやった、恐らく全国が入っていくと思いますけれども、ぜひ千代田区でも、都市型のシステムとしてお願いしたい。これももう一度、答弁をお願いします。
以上で再質問を終わります。
〈区長答弁〉
大串議員の再質問のうち、減災目標の絡みで再答弁いたしますと、私の答弁がご理解いただけなかったのかもわかりませんけど、防災とボランティアの日に、現在の計画の進捗状況等をきちっと公表し、何ゆえに状況が到達していないかというところも含めてしっかりと公表し、そして、その中で区民の皆様方がいろいろなご意見をいただけるだろうと思います。そして、次期改定計画に反映をしたいということを私は申し上げたわけでございますから、ぜひ、その辺については、それぞれの所管がいろいろありますけど、そうしたことの課題も含めて公表をしていく、途中経過として公表すると、こういうことを申し上げているので、ご理解を賜りたいと思います。
その他については、関係理事者をもって答弁いたさせます。
〈保健福祉部長答弁〉
大串議員の「救急医療情報キット」の件につきましての再質問にお答えいたします。
先ほども答弁したとおり、ひとり暮らし高齢者等の支援事業につきましては、まず、安否確認のことが必要であるというふうに考えております。現在、緊急通報システムは200世帯の高齢者の方しか入っていないというような現状がございますので、その辺のさらなる普及、それから、地域の方が入っていただいている見守り隊が今年度中に起動する予定でございますので、部といたしましては、そういったことについて重点的に取り組んでいきたいというふうに考えておりますので、ご理解いただきたいと思います。
〈環境安全部長答弁〉
大串議員の再質問にお答えいたします。
1つは、先ほど区長もお答えしている部分もありますけれども、改定の方向それから特徴というのは、より地域の実情であるとか区民の意見を踏まえてつくっていくということで、自助・協助・公助の考え方は特に変わりはございませんが、それは引き続き踏襲してやっていくということでございます。それから、連携についてなんですけれども、耐震化計画については、まちづくり推進部との連携、それから、要援護者については保健福祉部との連携でございますが、情報交換等をやっていますが、まだそれは足りないというふうに私も認識しておりますので、この策定に対しては、その連携をさらに強めて進めてまいりたいというふうに思います。