top of page

平成27年第4回定例会

健康長寿のまち千代田を目指して!

27.41.jpeg

〈質問通告〉

健康長寿のまち千代田を目指して!

  • 高齢者総合サポートセンター「かがやきプラザ」の役割は、区民の健康長寿を支えるセンターでもある。そこで、健康長寿施策推進にあたり区長の基本的な考え方を問う。

  • 「健康長寿」のためには介護予防が大事だが、どう予防型の仕組みを確立していくのか。

  • 具体策として、高齢者の閉じこもりをなくすため「出歩きたくなるまち」を目指したい。そのための仕組みの構築は。

  • 社会福祉協議会、シルバー人材センターも入るが、高齢者の生きがいづくりや就労支援などは、それぞれ健康長寿には欠かせない。センターを中心に各生活圏域での展開はどう行っていくのか。

 

〈質問と答弁の全文〉

 平成27年第4回定例会に当たり、公明党議員団を代表して質問を行います。
 質問の趣旨は、どうすれば長寿の人が多く、要介護となる人の割合が最も少ない「健康長寿のまち千代田」を築いていけるのかということです。
 いよいよ高齢者総合サポートセンター「かがやきプラザ」もオープンとなりました。かがやきプラザのコンセプトは、パンフレットに明快であります。高齢者の方が住みなれた地域で尊厳を持って住み続けられるよう、在宅ケアの拠点として、また、麹町、神田の両あんしんセンターと 補完し、地域包括ケア構築のための拠点であるとします。
 私は、もう一つ、全ての区民の方の健康長寿を支える拠点であることをコンセプトに加え、明確にしてはと考えます。健康長寿は全ての基本であるからであります。高齢者がいつまでも健康で笑顔輝く「かがやきプラザ」にしていきたいものです。
 「要介護」、「要支援」の高齢者の方に、いかに手厚いサービスを提供するかが従来の介護のメーンテーマでありましたが、今では、「要介護」になる前のケアを重視するようになっています。いかに予防型の仕組みを確立し、健康長寿を実現していくかは、どこの自治体でも大きな課題となっています。かがやきプラザは、まさにその予防型仕組み構築のための拠点であります。かがやきプラザのスタートに合わせ、健康長寿のまち千代田へスタートが切れればと思います。

 最初に、健康施策推進に当たっての基本的な考え方についてであります。
 健康を規定する要因について、まず確認しておきたいと思います。健康は何によって決まるのかということであります。
 公衆衛生のエキスパートで千代田区の健康千代田21推進委員を務めています星旦二先生は、以下のように述べています。
 「1974年、カナダの厚生大臣ラロンド氏は、健康を規定する要因を、①医療システム、②生活習慣ないし行動様式、③環境要因、④人間遺伝学的要因の4つに分類し、医療の役割よりも、日々の生活習慣を好ましくすることや環境を改善することが重要であることを示しました。(いわゆるラロンドレポートであります。)その後、アメリカ厚生省は、1979年に、「Healthy People(健康総合戦略)」を報告し、このラロンドレポートに基づき、4つの要素を実際に早死にしたグループに当てはめて、それぞれの影響の割合を示したところ、医療システムが10%を示すのに比べて、生活習慣や行動様式が50%、環境要因は20%の寄与割合であることが報告されました。
 この試算結果は、健康づくりにおける人々の生活習慣の役割が大きいことと、環境整備の重要性を科学的に裏づけています。そこで、アメリカは、健康政策の重点課題を、医療中心ではなく、子どもたちの生活習慣を含めた一次予防を重要視する方向に転換したのです。
 日本でも、2000年(介護保険制度のスタートに合わせて)「健康日本21」を掲げました。生活習慣病対策を中心に、医療よりも日々の生活改善に力点を置いた政策です。しかしながら、日本はまだまだ医療に依存しているように思います。入院期間は、英米に比べ2倍から3倍も長く、インフルエンザの特効薬であるタミフルの消費は、実に世界の8割を日本が占めています」と。
 つまり、健康を規定する要因は4つであり、医療のみに頼るのではなく、日常の生活習慣や環境の改善整備が健康づくりや予防には大事であると述べています。
 また、1986年、WHO(世界保健機構)は、ヘルスプロモーション(日本語では健康づくり)という考え方をオタワ憲章として提唱しました。ヘルスプロモーションとは、「自らの健康を規定する要因を自らよりよくコントロールしていくこと」とされました。つまり、医療だけでなく、住まいや仕事、また生涯学習も含めて健康づくりを展開することとされたのであります。
 今までの述べたことを1枚にしてまいりました。健康を規定する要因としては、ラロンドさんが示した医療システムと生活習慣や行動要因、そして環境要因と人間遺伝学的要因。アメリカの厚生省が示したのは、これがそれぞれ寄与割合がどのくらいあるんだというのを科学的に裏づけました。そうして見ると、医療が10%、それから生活習慣が50%、環境要因が20%。だから、健康づくりにおいては、この生活習慣と環境要因が大事なんですよとして、健康づくりをヘルスプロモーションとしてうたったのがWHOです。そういうことになります。
 この健康づくりや予防ということでは、長野県が大変有名であります。長野県は早くから医療や薬に過度に依存することなく、生活習慣の改善など予防に努めてきたことは多くの人が知るところであります。今では、平均寿命は男性が80.88歳、女性が86.35歳で、男女ともに全国1位、かつ、一人当たりの後期高齢者医療費も最も少ない県の1つとなりました。また、要介護となる人の割合(要介護認定率)も低く、まさに健康長寿の県となっています。一朝一夕にはできません。ここまでになるには長い年月と、関係する皆さん、そして県民の方々の努力があったればこそと思います。
 長野県のその取り組みですが、代表的なものは3点でございます。
 1点目は、すぐれた地域医療です。地域医療とはどういうことなのか、若干説明が必要であります。星旦二先生は、以下のように述べます。
 地域医療とは、「地域住民全体の幸福を常に考えながら医療活動を行うことが求められ、単に疾病の治療にとどまらず、地域の住民に働きかけて疾病の予防や健康の維持、増進のための活動を行う」ことを言います。「リハビリテーション、在宅療養のサポート、地域で暮らす高齢者、障害者の支援などの事業、妊婦の保健指導や相談、在宅のひきこもり児童へのかかわりなどもその範疇です。医療を通じて地域の活性化に貢献し、住民自治を推進し、医師と地域住民がコミュニケーションを重ねながら地域社会を築いていくことを目指します」と。
 活動が広範囲に及びますが、ポイントは、地域医療とは、単に病気を治す治療にとどまらず、地域住民と一緒になって予防や健康増進に努め、住民自治を推進し地域社会を築いていくことにあると思います。長野県には、この地域医療を推進してきた偉大な先生が多くいらっしゃいます。諏訪中央病院の鎌田實先生、佐久総合病院の若月俊一先生、同じく色平哲郎先生らがおります。地域医療は、ある意味、経済合理性と対極にあり、病院経営としては大変なことだと思います。あくまで住民の健康のための予防に努めてこられたことに敬意を表したいと思います。
 2点目は、生涯学習であります。長野県の人口は約210万人です。それに対して、公民館の数は、本館、分館あるそうですが、合わせて1,236館、人口当たりの数は断トツの全国第1位です。人口5万人あたりにすると約30館ですので、いかに多いかがわかります。ちなみに、全国平均は5万人当たりにして約7館であります。主体性を育む生涯学習に力を入れ、取り組んでこられたことがわかります。
 そして、3点目が高齢者の就業であります。長野県の高齢者の就業率は30.7%で、全国第1位です。全国平均が20%前後ですので、こちらも群を抜く高い就業率となっています。仕事を持って働くということは生きがいであり、健康を保つことにもつながっていることと思います。高齢者の就業が高いことは大変すばらしいことであります。
 これらすぐれた地域医療、生涯学習、高齢者の就業などは、高齢者の生活習慣や行動様式として今では定着しており、お一人お一人がいつまでも主体性を持って、また、生きがいや尊厳を持って生活できることにつながっています。このことが結果として長野県民の健康長寿を達成しているのだと思います。
 健康長寿ということでは、埼玉県和光市も先進自治体として有名であります。要介護となる人の割合は、介護保険制度が平成12年度からスタートしましたが、その翌年から上昇し始め、現在は17%から18%になっています。しかし、和光市は今でも10%前後を維持しています。
 和光市の予防についてインターネットで検索すると、和光市の掲げる「高齢者が出歩きたくなる街・和光市」とありました。和光市の人口は約8万人ですが、特別養護施設は1軒しかありません。それより、小規模な施設を地域にたくさんつくり、高齢者の方が出歩きたくなるようないろいろな「ひっかかり」を歩いて行ける範囲の地域に用意しました、とあります。
 この件について、和光市福祉部長の東内氏に、地域包括ケアの日本の第一人者でございますが、直接電話してお聞きすることができました。 正確ではないかもしれませんが大要です。「介護保険制度の21年改正において、高齢者の日常生活圏域が指定されました。中学校区に1カ所の地域包括支援センターです。私は、形の見えないふわふわしたものが嫌いなので、きちんとシステマティックにできるようにしたかった。だから、地域密着型の小規模多機能の施設を生活圏域にそれぞれつくり、計10カ所つくりました。そして、例えば小規模多機能の認知症グループホームをつくりますが、そこには必ずパブリックスペースもつくります。運営事業者には、そこで、曜日や時間を変えてですが、リハビリ体操やマシントレーニング、料理教室やカジノなど、日常生活総合支援事業も行ってもらいます。その際、ニューボランティアと言いますが、近所の希望する方に研修を受けてもらい、その運営をお手伝いできるボランティアも養成します。パブリックスペースでは、高齢者の方が出かけたくなるようなさまざまなメニューが用意されます。そうすると、予防も形になり、見えるようになります。なぜそれができたのか。和光市はニーズ調査をきちんとやり、どの地域に、どのようなリスクを持った高齢者がどのくらいいるかということを把握しているからです。それが和光市の特徴です」とおっしゃっていました。大いに納得でございます。短時間に大事なところを話してくださり、感謝しております。要介護認定率の最も低い自治体であることもうなずけます。
 長野県の行っている地域医療や生涯学習、和光市の「出歩きたくなる街」などは、健康規定要因の「生活習慣や行動様式」の視点に基づく予防型の仕組み構築であると言えます。
 千代田区の平均寿命は、男性で80.1歳、女性で86.6歳です。しかし、要介護認定率は20.14%、また、後期高齢者の医療費は95万円であります。長生きではありますが、決して健康長寿とは言えない状況にあります。
 今後、いかに健康長寿のまち千代田を築いていくのか。区民の健康長寿のための活動をいかに支え、予防型の仕組みを構築していくのかは、大事な課題であります。健康施策推進に当たって、健康を規定する要因についてと長野県と和光市の取り組みを紹介し、予防型の仕組みの大切さを述べさせていただきました。
 そこで、健康施策推進について、基本的な考え方を区長にお伺いいたします。

 次に、予防型の仕組み構築の具体策についてであります。 
 予防型の仕組みをいかに構築していくかでありますが、1つは、長野県の取り組みとして述べました「すぐれた地域医療」であります。かがやきプラザにおいて、九段坂病院は、在宅ケアの拠点としての役割を担い、地域の医療機関や介護事業者と連携・協力し、総合的に高齢者の在宅療養を支援することとされています。とても大切なことであります。それとともに、さきに述べました地域医療をどう行っていくのかは大変重要であります。病院だけではできません。区、介護事業者、そして区民が一緒になって取り組むことが必要となります。
 そこで、千代田区として、地域医療についてどう考え、かがやきプラザを拠点として、どう地域医療を推進していくのか、お伺いいたします。
 2つ目として、健康を規定する要因からの予防型仕組み構築についてであります。
 「生活習慣や行動様式」の視点からの予防ということでは、ヘルスプロモーションとして示されたことでありますが、高齢者の方が好きなもの、興味がありそうな活動を、和光市のように身近な地域で行えるよう網の目のように、そういう場を設けることが必要ではないでしょうか。「出歩きたくなるまち千代田」であります。例えば、趣味やサークル、そして生涯学習。誰でも参加できる文化芸術活動やスポーツ活動。社会福祉協議会が行っているはあとサロンやふれあいなどのボランティア活動。町会などが主体的に行っている地域活動。区の行っているシルバートレーニングなど、さまざまな取り組みがあります。
 今後、身近な地域で高齢者の誰もが参加できるよう考えていく必要があります。周知についても同様、工夫が必要であります。実施主体もさまざまであり、区民の方への統一された周知が難しくなっています。
 そこで提案があります。
 私は、これらの取り組みをわかりやすく、地域ごとマップつきの冊子にしてはどうかと思います。通称「お出かけガイド」の作成です。「こういう講座があるなら私も参加してみたい」、「こういうことなら私もお手伝いができるかも」など、地域でもっと多くの高齢者の方が主体的に参加できるようになると思います。外出して、参加して、楽しく生きること、生きがいにつながること、友達と豊かに過ごせることがヘルスプロモーションの目指すところでもあります。
 そこで、「生活習慣や行動様式」を視点とした予防について、どのように考え、どのように推進されるのか、お伺いいたします。特に、生涯学習については、九段生涯学習館を拠点にしておりますが、健康づくりや予防という視点から、今後、生涯学習をどう推進するのかもあわせてお答えください。また、提案させていただきました周知のための地域ごとの冊子作成について、ご所見をお伺いいたします。
 次に、「環境要因」の視点からの予防についてであります。
 「環境要因」による整備とは、水も、空気も、住まいも、道路も、まちづくりなど、生活環境を視野に入れて、予防のために整備することとされています。
 和光市が、サービス付き高齢者住宅や、歩いて行ける範囲に小規模な施設をたくさんつくったのもその取り組みと言えます。千代田区としても、この点、一定の整備を進めてきたと思いますが、改めて、介護予防という視点から、今後の環境整備について優先順位をつけて計画的に進めていく必要があると考えます。
 そこで、介護予防のための環境整備についてはどのように考え、具体的には何をどのように整備していく予定なのか、お伺いいたします。

 次に、かがやきプラザに入ります社会福祉協議会とシルバー人材センターについてであります。
 健康長寿に欠かせないのが、高齢者の主体的な活動と就労であることは、既に述べました。社会福祉協議会は地域に入り、区民の方々と一緒になって地域行事を中心にさまざま活動をされています。また、区と区民の間に位置し、中間支援組織として地域ボランティア活動や地域のサークル活動など、さまざまな活動を支えています。生涯学習同様、高齢者の方が趣味やサークル、そしてボランティア活動に参加することは、生きがいにもつながっており、とても大事なことです。
 また、シルバー人材センターは、「高齢者の方が働くことを通じて生きがいを得るとともに、地域社会の活性化に貢献する組織」であります。すばらしいパンフレットもあります。「まちをつくる まちがいきる 地域社会の担い手 シルバー人材センター事業」「あなたの地域デビューを応援します 就業支援講習」と、事業や講習会の内容が掲載されています。かがやきプラザにこの2つの組織が入ったことは、区民の健康長寿を支えるということからも大変意義のあることだと思います。地域における活動を支える社会福祉協議会と高齢者の就労を支えるシルバー人材センターが区と連携し、力を合わせて予防への取り組みを展開されることを期待しております。

 そこで、社会福祉協議会、そしてシルバー人材センターの介護予防という視点から今後どのように活動を展開していくのか。また、高齢者には生活圏域という身近な地域でという考え方が大事であります。例えば麹町、神田という地域で、それぞれどう活動を展開していくのかもあわせてお答えください。
 以上、「健康長寿のまち千代田を目指して!」と題し、質問をさせていただきました。
 区長並びに関係理事者の前向きな答弁を期待し、公明党議員団の代表質問を終わります。

 ありがとうございました。
 

〈区長答弁〉

 大串議員のご質問のうち、健康施策推進の基本的な考え方について、私からお答えを申し上げます。
 単に、長生きするだけではなく、健康で暮らせる期間を延ばす健康長寿が重要であるということは議員ご指摘のとおりでありまして、私も全く同感であります。
 区は、生涯にわたり、健康な生活を営むことができるまちを理念として、「健康千代田21」計画を策定し、健康的な生活習慣を身につけることと健康づくりを進めるための環境づくりを柱として、さまざまな施策を進めてきております。来年度、健康千代田21の改定に当たりましては、お話のありました点も十分踏まえ、健康長寿をより明確に打ち出し、そして、健康長寿の延伸と、若くて亡くなる方の減少というファイナルゴールとして、生活習慣の改善とともに、介護予防についても指標を設定して取り組んでいきたいと思いますので、来年度の健康千代田21の中で、かなりこのことを明確にしていきたいと思います。
 健康長寿を達成するためには、区民が自ら健康的な行動を実践することが必要であり、そのためには、さまざまなご指摘がありましたように、社会活動に参加をし、生きがいを持って生活することも肝要だろうと思います。
 先般開設いたしました高齢者総合サポートセンター「かがやきプラザ」は、介護と医療が必要な高齢者だけではなく、多くの高齢者にとって、親しみ、利用していただける施設となるよう整備したと思っております。その中に、千代田区の社会福祉協議会、千代田区シルバー人材センターも同じ建物の中に入ることは、元気な高齢者の生きがいづくりの活動の場ともなります。今後、かがやきプラザを、医療と介護の拠点とともに、お話しのように高齢者の健康づくりの拠点として、地域で生き生きと暮らせる高齢者を増やし、健康長寿の千代田区というのを目指してまいりたいと思います。
 その他については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。

 

〈保健福祉部長答弁〉

 大串議員の健康長寿のまち千代田を目指す取り組みに関するご質問にお答えいたします。
 まず、地域医療の考え方についてですが、治療にとどまることなく、予防や健康増進を含めて広く捉えることが重要であるという点は、議員ご指摘のとおりであると考えております。千代田区では区内及び隣接区に大学病院等の高度医療を担う大病院が集まっており、高度専門的な治療・医療を受けるのに恵まれた環境にありますが、広い意味での地域医療という観点からは、今後一層の取り組みが必要であると考えております。
 かがやきプラザでは、九段坂病院が総合診療部門を設け、相談センターやかかりつけ医と連携して、高齢者の在宅療養を支援してまいります。そして、それに加えて、九段坂病院の医師が高齢者活動センターの嘱託医を務めることなどにより、介護予防や健康増進の面でも区民と一緒になって地域医療を推進していくことを目指しております。また、健康の維持・増進の活動については、高齢者活動センターを中心に行い、在宅療養の支援は相談センターが行うなど、かがやきプラザの各機能が役割分担をしながら連動することにより、高齢者の健康寿命を目指してまいります。
 次に、生活習慣や行動様式を視点とした予防についてですが、生涯学習やスポーツ、ボランティア活動など、身近な地域でできる活動への参加が介護予防にも有効であることはご指摘のとおりであります。今回の介護保険制度改正におきましても、介護予防は単に心身機能の向上だけでなく、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加により生きがいづくりや自己実現の取り組みを進めることとされております。
 さまざまな実施主体における各種事業について、参加する区民がそれぞれの生きがいや楽しみの中で自然と介護予防につながっていくよう、個々の状況に応じた事業や活動の案内をすることにより、参加の拡大に努めていきたいと考えております。
 ご提案の身近な地域の取り組みに関する地域ごとの冊子の作成ですが、現在、区の介護予防事業やボランティア活動などについては、「ちよだ生涯学習ガイドブック」として、広く取りまとめております。
 本区においては、日常生活圏域が2つと規模が小さく、交通の便が大変よいこと、また、特色ある地域活動を行っている主体は必ずしも2つの圏域にあるとは限らないことから、地域ごとではなく、全区を見渡せる冊子として作成していくことにより、ご自身の興味や関心、会場への行きやすさなどを考慮して、活動の選択ができるものと考えております。
 次に、環境要因の視点からの予防ですが、介護予防における環境要因としては、予防活動へのアクセスが最も重要であると考えております。
 区ではこれまでも、区民が身近な地域で歩いて参加できるよう、出張所や区内高齢者施設など、さまざまな場所で介護予防事業を実施してまいりました。今後も区民の皆様に身近な地域での事業の実施と合わせ、周知や参加の呼びかけ、楽しんで参加できる仕掛けなどを工夫するとともに、事業終了後も地域で活動が継続できるよう、交流や仲間づくりの視点を重視してまいります。また、かがやきプラザにおいては、介護予防事業や地域活動を支える人材の育成も行い、「支えられる側」ではなく「支える側」としての高齢者の生きがいづくりにも努めてまいります。
 最後に、かがやきプラザに入居した社会福祉協議会とシルバー人材センターについてですが、物理的にも協働しやすい環境が整ったことは、大変意義のあることだと考えております。これまでも社会福祉協議会と高齢者の見守り関連事業やサロン事業、地域福祉活動など、さまざまな場面で協力し、各地域で事業展開してまいりました。今後はシルバー人材センターとも有機的に連携を図り、高齢者が豊富な知識や経験、技術を生かし、さまざまな活動の場で自己実現を図り、生きがいのある生活が送れるよう、介護予防の視点を含めまして、高齢者の社会参加や社会貢献活動をさらに奨励し、年齢にかかわりなく活躍し続けられる機会を身近な地域の中で確保してまいります。
 

〈再質問〉

 5番大串ひろやす、自席より再質問させていただきます。
 千代田区としては、大病院、非常にたくさんあります。ベッド数も多い。だから、とかくそういうことからすると、そういうことに頼ってしまって、今、質問で述べたような予防とか健康増進ということになかなか区民の方、高齢者の方がこう、意識して取り組むというのは難しいかなと。よほど区と、それからかがやきプラザ、九段坂病院で一緒になって、千代田区の目指す地域医療というのはこういうことなんですよということをアピールしないと、何か一つ真ん中に大きな建物ができて、私たちはそこで面倒を見てもらえるのかと。まあ、もちろんそういうサポートの、あれはセンターですけど、中心は、やっぱり歩いていける、高齢者の方が歩いていける範囲でそういった活動がより身近に僕はできることが、健康増進であり、予防であると。だから、その点については、しっかり区としても地域医療の考え方を述べる、そしてまた、予防についての取り組みのあり方についても、しっかりアピールして、そして医療従事者と、区と、そして介護事業者、そして区民が一緒になって、健康長寿のまちを築いていけるように、ぜひしてもらいたいと。ですので、今後そういったアピールの仕方ですか、それについて、もう一回ご答弁いただければと思います。
 

〈保険福祉部長答弁〉

 大串議員の再質問にお答えをいたします。
 ただいまご指摘をいただきました、区としてのきちんとした考え方を区民の方にお知らせし、また、区自身、またかがやきプラザ、九段坂病院を含めたさまざまな医療・介護の事業者とも連携を強めて、取り組んでまいりたいと思っております。
 特に、千代田区で高齢者施設を整備する考え方の1つに、できるだけ地域バランスを考えながら整備していくということは、まさにこうした介護予防ですとか健康づくり、そういったことにもそういった施設は活用できると思いますので、今後もそうした観点からの施設整備を含めまして、身近な地域、できるだけ歩いていけるような範囲で日常的な活動が健康長寿に結びつくような、そうした取り組みを今後ともしっかりと進めてまいりたいと、そのように考えてございます。

bottom of page