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平成14年第4回定例会

​1.区の文化政策について 2.子どもの読書推進について

〈質問通告〉

区の文化政策について

  • 区民発意の文化芸術振興条例を策定すべき

  • 区長部局となった文化担当課の役割とその充実策について
     

子どもの読書推進について

  • 学校図書館の充実について

  • 具体的な読書推進方法は

  • ブックスタートを実施せよ



〈質問と答弁の全文〉

 平成14年第4回定例会にあたり公明党区議団の一員として一般質問させていただきます。
 さて、昨年12月に国会において注目すべき二つの法律が制定されました。それは、「文化芸術振興基本法」と「子ども読書活動推進法」であります。いずれも国の法律として私は画期的なものになったと思います。どこが画期的なのかといいますと、二つの法律とも国民に何かを規制するものではなく文化や読書を通し、個人のあるいは子どもの本来持っている創造性や表現力、そして個性を、発揮することをまず目標とし、そのために国や地方公共団体の責務を定めていることです。今までは、ややもすれば国のある目標の方が優先され国民や子どもの政策はそのための手段とされてこなかったか。それが、まず、国民や子どもの本来持っているあらゆる可能性の開花を優先することを高らかに謳い、そのための文化芸術の振興であり、また読書活動の推進としているのであります。
 文化芸術振興基本法の前文には、「文化芸術は、人々の創造性をはぐくみ、その表現力を高めるとともに人々の心のつながりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供し、多様性を受け入れる心豊かな社会を形成するものであり、世界の平和に寄与するものである。」とし、第14条で文化芸術活動を行う人の自主性の尊重また創造性の尊重を謳い、第35条で、それぞれの地域の特色ある文化芸術の振興を定めています。
 子どもの読書活動推進法では、基本理念として「読書活動は、子どもが言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、想像力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことができないものである。」とし、そのために読書活動の環境が整備されなければならないとしています。
 劇作家の山崎正和氏は、昨年の6月、公明党主催の「文化フォーラム」で講演された際、文化芸術振興基本法の制定は「小さいながらも日本の革命」と語り、「日本近代史上、初めて国民の情操と政治とが結びつくという大事件」と強調されていたそうです。

 そこで、私はこのような画期的な法律を踏まえ、最初に区の文化政策の内、文化芸術振興条例の策定について質問させていただきます。この条例策定については、昨年の第2回定例会でも質問しましたが、この1年半の間、今申した基本法が出来たこと、また住民主体の「文化による街づくり」が活発化してきている現状もあり、再度、取り上げさせていただきました。
 さて、その基本法の第4条には地方公共団体の責務、及び35条には同じく地方公共団体の施策が定められています。また、今月7日に文化審議会より出された基本的な方針(案)には「地方公共団体が文化芸術の振興を図るに際してはそれぞれの文化芸術の振興のための基本的な方針等に基づき施策を進めることが望まれる。」と、あります。すなわち地方公共団体は文化芸術振興のための基本方針を策定して施策を進めるべきと。各自治体でもその地域の特性に応じた条例が作られ、または条例策定に準備中であるというところも多く出てきています。今年に入り既に策定したところは、北海道の苫小牧市や三重県の四日市市があります。両市に共通しているのは議員提案によりできたこと、また両市とも今までの工業主体の街から、文化によるまちづくりを目指したことです。さらに23区では目黒区がこの6月議会で策定いたしました。また、現在策定中のところは金沢市や豊島区があります。金沢市は合併することにより政令指定都市を目指していますが、ただ合併するのではなく、文化芸術都市金沢をはっきりと目指し、そのための条例策定の準備をしているとのことです。
 また、住民主体の「文化による街づくり」については、茨城県取手市の例が新聞に紹介されていました。そこでは4年前にボランティア中心にスタートした「取手野外アートプロジェクト」に、今では10団体の募集のところ、全国から200団体もの応募があるまでになったそうです。毎年テーマを決めて街全体を展示場として行われています。これも市民、行政、大学と地元企業が一体となって「文化芸術の街へ」と、市民からの発意で行って成功している例で感心しました。
 千代田区でも区民自らの発意による文化活動は、5年目を迎えた街づくりサポート事業やこの度の400年記念事業などを通して活発になってきています。その400年記念支援事業には約90もの団体から応募があったそうです。私もそのうち約30団体が応募された、街づくり部門の公開審査の様子を見させていただきましたが、大学生やNPOなど若い人たちの熱意に圧倒されてしまいました。
 このような文化に対する欲求の高まりの中、私は、区民発意により、また区民主導で進め、区は強力にサポートするなど役割を明確にした文化芸術振興条例の策定を行うべきと考えますがいかがでしょうか。このことができれば、大変画期的なことで、まさに基本法に謳うところの目標、理念の実現となると思いますが、区長にその所見をお伺いします。

 次に、文化担当課の役割と充実についてです。
 千代田区としてはこの4月より区長部局に文化学習スポーツ課ができました。文化担当課が教育委員会から区長部局へ移ったことは、文化が、社会教育の他にも、街づくりや、環境そして福祉にもすべてに必要な視点とされ、もって総合的な政策が必要であるとの点から大変評価しています。今後、文化という概念があまりにも広いがゆえに明確な役割を示すことは重要なことと思います。さらに、教育委員会所管の社会教育の中での生涯学習と区長部局の文化担当課の役割を明確にする必要もあります。東京都でもこの4月より生活文化局へ文化に関する部門が一元化されたと聞いています。文化庁の調べですが都道府県における文化担当部局は、佐賀県や福井県などのわずか4県を除く、他の都道府県は全て知事部局となっています。また政令指定都市を含む中核都市39都市中では、約3分の2にあたる23都市が首長部局となっています。このように多くの自治体が首長部局へ置いた文化担当課の役割はどういうものになっているのでしょうか。
 私は、文化政策については第一人者といわれる帝塚山(てずかやま)大学の中川幾郎先生にインターネットのメールを通し直接尋ねてみました。直ぐ返事もきてびっくりしましたが、そこには役割として、

  1. 市民文化の活性化

  2. 都市文化の開発

  3. 行政の文化化

の3本柱がその領域であり、文化担当課がなすべきことは、理想論かもしれませんがと、ことわりながらも、自治体としての自立に向けた文化政策及び企画をすることでしょう。と。つまり3分野について、あくまでも自治の観点から文化の政策と企画を担う部署であるとのご返事でした。さっそく図書館に行き中川先生の「分権時代の自治体文化政策」という本を探して読みますと、そこには、地方分権の時代を述べた後に、こうありました。
 「自治体文化政策に関しては、その多くの内容が従来からも機関委任事務ではなく、各自治体独自の理念事業、政策形成が要求されてきた。安全、福祉、環境、保健、産業、土木建設、教育、都市計画などに通ずる、総合政策としての自治体文化政策の力量が、いよいよ全ての地方自治体に問われる事態となってきたといえよう。」と。まさに地方分権の時代、私も文化政策については全国一律ではない各自治体の力量の差がここで出てくる、しっかり自治体として政策を持ってのぞむところとそうでないところの差は歴然としてくる社会になるなと思いました。
 そこで、文化学習スポーツ課における文化に対する役割は何か、またその充実はいかに図っていくのか、お伺いします。

 次に子どもの読書推進についてとブックスタートについて質問いたします。
 本年、9月30日にスイスのバーゼルにおいて行われました国際児童図書評議会(IBBY)の50周年記念大会にご出席されました皇后陛下がご自身の体験を通してスピーチをなされました。そのご様子はテレビでも伝えられましたがとても感動的なものでしたので、最後の部分だけになりますが、まず、ご紹介させていただきます。
 「子どもを育てていた頃に読んだ忘れられない詩があります。未来に羽ばたこうとしている子どもの上に、ただ不安で心弱い母の影を落としてはならない。その子どもの未来はあらゆる可能性を含んでいるのだからと遠くから語りかけてくれた詩人の言葉は次のように始まっていました。
 生まれて何も知らぬ 吾子の頬に
 母よ 絶望の涙を落とすな
 その頬は赤く小さく
 今はただ一つの杷旦杏(はたんきょう)にすぎなくても
 いつ人類のための戦いに
 燃えて輝かないということがあろう
と。皇后陛下は98年のインドでの大会にもスピーチの予定がありました。この時の大会のテーマは「子どもの本を通しての平和」でありましたが、その時、インドが核実験を行ったことから大会はきわめて残念なことに見送られてしまいました。そこで講演はビデオにより行われることになりました。そのスピーチの題は「子ども時代の読書の思い出」でこれも感激的な内容でした。後に英語と日本語の両方で「橋を架ける 子ども時代の読書の思い出」として出版されました。
 さて、最近の若い人たちの活字離れは、最近の映像やメディアの進展と比例して急速に進んでいます。これも劇作家の山崎正和さんですが、26日の読売新聞に、「もし、活字文化が衰退を始め、人々が単なる情報におぼれて、主体的に考えることをやめれば、それは民主主義に対する義務を怠っていると言っても過言ではない。」と述べられていました。このような時、子どもの読書推進については非常に大事なこととなっています。
 最初に学校図書館の充実についてお伺いします。今年度から総合的な学習やお調べ学習などで学校図書館のニーズは格段に高まってきました。保護者の方からももっと充実して欲しいとの相談も寄せられています。子どもたちに必要な蔵書を増やすことを始め、コンピュータを導入し各学校図書館を始め都立などの公立の図書館との連携を図り、子どもたちが必要としている本を直ぐ利用できるように整備されてはどうでしょうか。13年3月現在学校図書館にコンピュータを整備しているのは全国の公立学校で23.6%に過ぎません。さらにクラスでの授業との連携を考えれば、時には図書館で行っている団体貸し出し制度をさらに充実させて学校で利用できる工夫なども必要でしょう。これらの点も含め学校図書館の充実をどうはかっていくのか、お伺いいたします。
 施設面の次に、具体的な読書推進方法についてであります。
 現在、千代田区の各小学校では朝の読書タイムを設けその時間は、生徒は勿論、先生も職員も皆読書をしているとのことですが、大変良いことだと思います。この読書推進の方法について、各自治体の小学校でも様々な工夫がされています。子どもの読書推進に関して効果が歴然としているのはやはり専門の司書の方を中心とする事例であります。
 長野県伊那市の伊那北小学校では、司書の方による空き教室を利用しての「図書の時間」が好評です。教科との連携や読み聞かせなど2年生から4年生までの生徒で年間35時間行っているそうです。また、福生市立第2小学校では司書の方に代わり、学区内に住まわれている児童文学で有名な赤木かんこさんが学校図書館に全面的に協力してくださり、そこに保護者の方々35名が図書館ボランティアとして毎週水曜日を活動日とし、本の選定を始め、古くなった本の修繕を行うなどの活動をされています。
 千代田区においても読み聞かせのボランティアグループや司書の資格を持ったお母さんもいらっしゃいます。そういう地域の方々との連携は欠くことができません。その他、学校単位でなく、区内小学校全体で取り組む例もあります。板橋区で行った「読書オリンピック」が良い例であります。先日そのボランティアを行っている方がその様子をビデオにして持ってきてくれました。板橋区内の小学校の内、33校が参加しました。生徒同士がチームを組み優勝を競うものですが当日は親子でチームを組んで参加している組も8組あったそうです。予め課題図書を決めクイズ形式で進められます。進めていく上での課題は何ですか、と聞くと、参加した子どもたち全員が今後とも喜んで読書に興味が持てるよう、問題を工夫することでした、とのことでした。
 以上のようにいくつか例をあげましたが、学校図書館を中心に学校、司書の方、そして地域の連携があって子どもたちの読書の推進はなされるということがわかりました。
 私たち千代田区には、本の街神田を有します。まさに子どもの読書推進方法については、どこよりも積極的に取り組んでいくべきと思いますが、いかがでしょうか。具体的な方法をお伺いします。

 最後にブックスタートであります。
 ブックスタートとは、どのような運動かということですが、それは地域の保健所で行われる0歳児健診の際にすべての赤ちゃんと保護者にメッセージを伝えながら絵本を手渡す運動です。そのブックスタートの歴史は、1992年に英国のバーミンガムで始まり、日本では2000年「子ども読書年」推進会議、これには子どもの読書に関わる280の団体、企業、個人が参加していましたが、その推進会議によってブックスタートが紹介され、運動が開始されました。2001年4月に21市区町村から開始した日本のブックスタートは親子に本の楽しさを伝える運動として、また、地域の子育て支援運動としても広がっています。この9月には、297市区町村が実施又は実施予定と急速に増えているそうです。そのブックスタートの特徴はというと行政の各機関と地域のボランティアが協働、連携して行うこと。つまりブックスタートの「計画」、「準備」、「実施」、「フォローアップ」、「継続」という各段階で、保健所、図書館、子育て支援課そして地域のボランティアを始め、時には保育園や学校とも連携してそのサイクルを回していくことが大きな特徴となっています。赤ちゃんへの絵本を通して保護者、行政、地域の協働による読書推進であり、子育て支援でもあります。長野県塩尻市では、今年から実施されましたがここでは4ヶ月健診時にプレゼントとし、読み聞かせをしているそうですが、その時のお母さん方のなんとも穏やかな笑顔は子どもへの最高のプレゼントです、と報告をいただきました。千葉県の柏市では今年の5月からですが、ここでは図書館と健康推進課そして児童育成課が協力して行っていますが、実施するのは100%地域のボランティアだそうです。そのボランティアの募集では20人の想定に113名の応募があり検討の結果、85名の方に協力をお願いして実施しているそうです。多くの希望があり嬉しい悲鳴です、とのことでした。
 そこで、千代田区でも是非実施に向け検討すべきと考えますがいかがでしょうか、お伺いします。

 以上、区の文化政策について、また子どもの読書推進についてそしてブックスタートについて質問をさせていただきました。
 今月13日に1980年に世界で始めて女性大統領となったアイスランドのヴィグディス元大統領が来日されました。平和と文化の国づくりを一貫して推進してこらました女史はこう語られたそうです。「世界では経済的な物差しで大国と小国という区別をするが、大事なことは、国がどのような強い声を持っているかです。」と。
 まったくその通りだと思います。千代田区も基本構想に示された将来像、「都心の魅力にあふれ、文化と伝統が息づくまち」に向け区民が誇りの持てる、また千代田区は強い声を持っているといえるような文化並びに読書に関する政策を積極的に実行されることを望み、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。


〈区長答弁〉

 大串議員のご質問のうち、区の文化政策と文化芸術振興条例の策定についてまずお答えいたします。
 文化に関しましては、たしか昨年の第2回定例会でもご質問をいただいたところであります。今日ほど私たちの生活の中で心の豊かさが求められているんだろうと思います。正に物から心への時代という認識をほとんどの国民が持っているんだろうと思います。そうした意味で、昨年、文化に関する基礎的な法律が制定されましたことは、大串議員からるるお話がありましたとおりでございまして、大変すばらしい法律だというふうに思っております。
 私たちの社会の中で文化芸術を涵養し、そして創造ができるその社会こそ、人間生活に営みを与え、そして潤いを持たせる、充実した社会生活を享受できるものだというふうに思っております。こうした認識を私自身持っておりますが、事この千代田区におかれましては、ご案内のとおり、昭和59年に「教育と文化のまち千代田宣言」がなされまして、文化に関しましては、正に区民の皆さんがつくるまちであり、あるいはまちそのものであり、区民生活そのものであるという、そういう宣言をされています。
 来年迎えます江戸開府事業も、こうした教育と文化に関する宣言という理念を受け止め、あるいは昨年の文化芸術振興法という、そうした法の趣旨を受け止めて、来年の江戸開府400年事業というものを展開してまいりたいと思っております。こうした400年記念事業は様々な事業が行われるわけでございますが、正に400年培われたそうした文化を振り返り、そして継承し、そしてこの千代田区から新しい文化を創造していきたい、こういう意味づけを持って開府400年事業を実施してまいるわけであります。
 この開府400年事業の中には、昨日もご答弁申し上げましたが、いろいろ区民の方々、あるいはここでお勤めになっている方々自らがいろんな形で参画をいただくような、そういう内容もございます。区民あるいはここで働いている方々こそが文化の担い手であるというこの認識を持っているわけでございます。幸い、来年の開府400年事業の中でも、「21世紀の都市と生活と文化」をテーマにしましたシンポジウムも予定しておりますので、そうした中で、広範な区民の皆様方の機運等を踏まえ、本区の文化・芸術の振興に関する基本的な方向を条例でまとめてまいりたいというふうに思っております。条例を考える上では、多様な、広い観点からいろんな方々のご意見も頂戴してまとめてまいりたいというふうに思っております。

 次に読書に関しまして若干ご答弁を申し上げます。
 大串議員から、読書に関しまして劇作家の山崎正和さんのお話が出ましたが、山崎さんは、今年の読書週間の中で、読書離れ、あるいは活字離れということを踏まえまして、活字文化こそ人間らしい人間のあり方そのものであるという、そういうことを読書週間の中でお話をしております。正に今情報が氾濫して、そして何が本物であるかわからぬ。どちらというと切れ切れの情報が出されて、私たちの生活が受身になっている。あるいは感情的、あるいは感覚的な誘惑に負けそうだと。落ちついて物を考え、そして主体的に考えるということが非常に失われていると。そういう意味で、読書、すなわち活字とは正確に情報社会の中で物を判断する骨格である。あるいは船で言うといかりであると、こういうようなことを山崎正和さんはお話をしています。正に読書の大切さということを端的に物語っているんだろうと思います。
 読書離れという時代の中で、何とか小さいときから読書をするということを身につけるということは、私は、これからの時代を担う子どもたちにとって大変重要だろうというふうに思いますし、このことについては真に受け止め、それぞれのところで一生懸命やってまいりたいといいうふうに思っております。
 詳細あるいは具体的なことについては、関係理事者をもって答弁させていただきたいと思います。

〈区民生活部長答弁〉

 大串議員の区長部局に新設した文化担当課の役割と文化施策の充実についてのご質問にお答えします。
 ご案内のように、本年4月に教育委員会にあった生涯学習課とスポーツ分野も含め、文化施策の総合的推進を図るため、区長部局に全庁的な観点から文化学習スポーツ課を新設いたしました。文化は教育だけでなく、福祉にも、まちづくりにも、地域振興にも、すべての分野に密接にかかわっております。各部で実施している各種の事業は文化に不可分にかかわっており、こうしたことから現在、その事業の統合整理のもと情報の一元化を図り、さらなる充実を目指し、各担当部課と協議検討をすすめているところでございます。また、区が運営するスポーツ施設の使用窓口の一元をも図り、組織の縦割り化の排除も進めてきたところでございます。
 今後は、文化学習スポーツ課が社会教育、社会体育という限られた分野だけでなく、区における文化行政の総合窓口の役割を担い、地域文化の振興に向け、努力していく所存でございますので、ご理解のほどお願い申し上げます。

〈教育員会事務局次長答弁〉

 大串議員の子どもの読書推進とブックスタートに関するご質問にお答えいたします。
 まず、学校図書館の充実についいてでございますが、児童・生徒の読書活動は子どもたちが言葉や知識を学ぶとともに、豊な心を育み、健やかに成長するために必要不可欠なものであると受け止めております。ただいま区長の方から、読書あるいは活字に関する認識が示されましたけれども、教育委員会としましても、活字離れによる子どもたちの読む力の低下が、学校教育のみならず、社会的にも問題視されており、学校においては、これまで以上に本に親しみ、また読書を通じて学ぶ力が身につくような取組みの強化が必要であると強く認識をしております。
 したがいまして、教育委員会としましては、児童・生徒の自主的な読書活動と、併せて学校図書館を利用した教育活動の充実が必要であると考えております。このため、こうした読書活動に必要な蔵書の確保に努めてまいる所存でございます。
 また、区立図書館の図書等の資料が学校でも活用できるように、図書館で一定冊数の図書をまとめて貸し出しをする、いわゆうる団体貸し出しの制度を使うことにより、学校図書館を効率的に補完する方法も検討してまいります。なを、現在図書館で準備している新図書館システムが稼動する平成15年度からは、学校からインターネットを使って区立図書館等の資料の検索が可能となります。これによって、学校と区立図書館等との連携がさらに広がっていくものと考えております。
 次に、読書活動推進についてでございますが、来年度から、学級規模に応じてではありますが、学校に司書教諭の資格を持つ教員を配置し、児童・生徒の学習内容に応じたきめ細かな読書指導を進めていく予定にしてございます。また、今年度からは、小学校全校において始業前の読書タイムを実施するとともに、学級文庫を充実いたしました。この結果、かなりの成果をあげておりますので、これらの取組みをさらに充実していきたいと考えております。今後、区立図書館の一層の活用や、読み聞かせのボランティアグループなど、地域の方々との連携を深め、子どもたちに多様な読書活動の機会を提供できるよう考えてまいりたいと存じます。
 最後に、ブックスタートについてでございます。この活動につきましては、赤ちゃんと保護者が絵本を介して向かい合い、暖かくて楽しい語りかけのひとときを持つ、そういったことを応援するために始められたというふうに受け止めております。具体的には、保健所などで行われるゼロ歳児健診の機会などで、赤ちゃんと保護者にメッセージを伝えながら絵本を渡す、こういうことが行われているようでございます。ただ、この活動につきましては、乳幼児の心や言葉の育む上で大変意義深いという認識は持っておりますが、まだこの活動自体が緒についたばかりということがございますので、関連する保健所、それから子育て推進室、そして我々教育委員会が連携をしまして、具体的な内容について調査研究してまいりたいというふうに考えておりますので、ご了承のほどよろしくお願いいたします。

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