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真心の伝わる政治を!
大串 ひろやす
平成21年第1回定例会
安心と信頼の千代田へ、仮称「千代田区希望の構想」を示してはどうか
〈質問通告〉
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安心と信頼の千代田へ仮称「希望の構想」を示してはどうか
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平成13年に示された財政白書「強い財政を目指」してはどこまで達成されたのか。また財政白書の改定を行ってはどうか。
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基本計画改定の趣旨と方法は。
〈質問と答弁の全文〉
平成21年第1回定例会にあたり公明党議員団を代表して質問を行います。
質問の主旨は、現在の「百年に一度」といわれる社会経済の危機に際し、いかにして区民生活の安心を支え、また信頼の絆を築いていけるかという一点にあります。それはまた成長優先により失われた希望と絆を取り戻すことでもあります。
最初の質問は、「安心と信頼の千代田へ、仮称『希望の構想』を示してはどうか」であります。
構想するにあたっての視点ですが、①信頼の絆の形成、②身近な公共空間の形成、③福祉の将来展望の3点を取り上げ、質問させていただきます。
このような時だからこそ、現状を正しく認識し将来をどう展望するのかは極めて重要であります。今年1月19日、国の「経済財政の中長期方針と10年展望について」が公表されました。そこには将来展望の必要性が述べられています。「将来展望を欠いたまま、場当たり的に対応しているだけでは大きな方針を誤ることになる。(中略)将来展望を具体的に描き、官民で共有することが将来の意味のある具体的な行動を引き出すことにつながり、それによって個人、地域、国全体の各レベルの不透明感・閉塞感を払拭し得る」と。その通りだと思います。ただ不透明感・閉塞感を払拭し得るかどうかはあくまでどういう将来展望を描くかにかかっていると思います。住民に最も身近な自治体としてどういう構想、ビジョンを描くのかが重要であります。
1月6日の日経新聞「経済教室」は作家村上龍氏が「希望再興へビジョンを描け」と題して書いていました。一部引用させていただきます。
「今回の信用収縮に対し、おもに政府とメディアに顕著だが、現状認識がずれていて危機意識が欠如している印象がある。(中略)今回の危機は循環的なものではなく歴史的な大転換期かもしれないという仮定にたったシミュレーションと将来的ビジョンが必要だ」と。さらに現在の日本の現状についても述べています「日本社会は、各層、各組織相互の信頼が失われつつあって、今回の経済危機でさらに鮮明に表面化した。与党と野党、与党内の各グループ、官僚と政治家、内閣と議会、経営と労働、正規社員と非正規社員、富裕層と中間層と貧困層、自治体と中央政府、老年層と若年層、そして国民と国家さまざまな利害の対立が顕在化し不信の連鎖が起こりやっかいな悪循環が始まっているように見える。」また「『この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。でも希望だけがない』というのは、私の小説(「希望の国のエクソダス」)の登場人物である中学生の台詞(せりふ)だが、どうして日本社会は豊かになったのに希望を持つのが難しく、閉塞感に包まれているのだろうか」と。さらにビジョンに必要なこととしては「高度成長によって失われたものもあって、それらを新しい形で再構築するというのが、中長期的な対策なりうるのだと思う。もっとも重要なのはいうまでもなく『環境』、それと『家族、世間などの親密で小規模な共同体』だろう。(中略)『環境』と『親密で小規模な共同体』の再構築というビジョンを共有すること、希望を発生させる装置として実質的に有効なのはこの二つであると私は考えている」と。引用は以上ですが、村上氏の「希望再興へのビジョン」に私も賛成です!
また今年の元旦の東京新聞ですが、その一面トップは「100年に一度の岐路」との大見出し、そして社説のタイトルは「人間社会を再構築しよう」でした。東大教授の神野直彦氏の著書「『希望の島』への改革」(2001年)からの引用で「希望の協力社会」を紹介するものでした。
私もさっそく「『希望の島』への改革」を読みました。神野氏も作家の村上氏も多少言葉は違ってもその言わんとしているところは共通しています。それは、現状をしっかり認識した上でビジョンを示すことの重要性、そしてそのビジョンの目標とするところは希望の再興であり、必要なこととしては「人間の絆」の形成であるとしている点です。あと村上氏は「環境」をあげ、神野氏は「身近な公共空間の形成」と強い福祉を行うための「強い財政」としています。このような時に何を構想しどういうビジョンを描くのか大いに参考になります。
さて、区長はこの度の議会招集挨拶で三期目のスタートにあたり区政運営の基本方針を示されました。私なりに要約しますと、
一点目に、二期目に引き続き共に生きる「共生」を区政運営の基本的な考え方としたこと。二点目に、「人と人とのふれあい」、「地域の絆」、「相互の絆」を大切にした「共生社会」の実現を目指すとしたこと。三点目に、住民が行政に対して「何をしてくれるか」という受身ではなく「自ら何ができるのか」という姿勢が大事であるとし、その知恵と力を結集して「協働参画」・「分権型社会」を築いていくこと。そして四点目ですが、そのためには「強い財政」という基盤が必要であるとしたことであります。
いずれもこのような社会状況のときであればこそ重要なことであり、大いに評価できるものです。特に2番目の「地域の絆」は村上氏がいうところの「親密で小規模な共同体」であり、神野氏のいう「人間の絆」であります。日本は戦後一貫して経済成長を優先させてきたわけですが、一定の成果はあったものの失ったものも大きすぎました。それは子どもたちから希望を失わせ、(「親子関係に関する調査報告書」東京都生活文化局2003年)、「親密で小規模な共同体」「人間の絆」「地域の絆」を断つことになったのではないかということです。また最近の新自由主義はあらゆる面で二極化を招きその傾向をより鮮明にしました。
このような状況を放置しておくことはできません。村上氏は「歴史的な大転換期」といい、神野氏は「歴史の峠」といい、東京新聞は「100年に一度の転機」と表現しました。いろいろなところでこの失われた希望と絆を取り戻そうと行動を開始しています。絆ということでは、愛知県は「親と子の絆」というテーマでメッセージとイラストを募集し、冊子「親子でよかった」を発行しました。(現物を紹介)23区では世田谷区が昨年の11月に「地域活性化・地域の絆再生」というテーマでシンポジウムを開催し、以後「地域の絆」再生を目指し子育てからまちづくりまで全庁的な取り組みを開始したそうであります。またテレビ東京は開局45周年記念として絆をテーマとして取り上げ、「家族との絆、友人との絆、先生と生徒との絆、地域社会との絆、日本と世界との絆、人間・地球と自然環境との絆・・。私たちの周りにある、断つことのできないあらゆる絆について、多くの視聴者の皆様と考えてみたいと思います」と、メッセージを募集しました。また先日、ある生命保険会社がチャリティコンサートを主催し区内のボランティア団体も招かれ参加しました。参加者がその主催した企業のCSR報告書を私に見せてくれましたが、表紙には「絆」という文字が大きく書かれていてびっくりしました。企業の社会的責任報告書をCSR報告書といい、毎年作成しているそうです。多くの企業が絆の形成をその理念として取り組んでいることを改めて知りました。
このような中、区として、共生の考え方をもっと広くアピールしこの信頼の絆形成へ音頭を取り積極的に取り組まれてはと考えます。絆といっても共生の考え方なくしては形成できません。また共生社会の実現といっても、絆なくしては実現できないからであります。私は21年度を「信頼の絆」形成元年と位置づけ取り組むことを提案したいと思います。ご所見をお伺いいたします。
3点目の住民の「何ができるのか」という姿勢で協働参画社会を目指すとは、神野氏のいう「身近な公共空間の形成」であります。先ほどの「『希望の島』への改革」の中で「身近な公共空間の創出」について述べています。「人々から遠いところにある政治システムを目に見えるところに取り戻すこと」(P.117)また「『公共の空間』を身近なところに創出すれば、地域住民が決定過程だけでなく執行過程にも参加することができる」と(P.144)つまり、目に見える身近な公共空間とは、行政から区民に政策情報を始め必要な情報が提供され、行政と区民が現状と課題をお互いに共有できている状態といえます。この点、先に区が作成した「みなで考えよう、これからの千代田」は項目ごと課題と解決の方向性が記述されており大変意義のあるものです。旧来の「何をしてもらうのか」という姿勢は公共の遠い近い、目に見える見えないは関係ありません。しかし、「何ができるのか」という姿勢は身近に公共空間がなくてはいくら姿勢があってもできません。身近な公共空間をつくることがまた皆で担う公共につながっていくといういい循環がもう協働参画社会であると思います。まさに公共の再構築といってもよいと思います。身近な公共空間の形成についてご所見をお伺いいたします。
あと一点、それはどういう福祉を目指すのかという福祉の将来像です。
区は平成15年に保健福祉の総合計画として「いきいき百科」を作成し、福祉の「生活必需品宣言」をしました。その意味するところは「本人の自己決定を尊重し、誰もが必要なときに、必要なサービスを『生活必需品』として選択し利用できる」ことにあります。
平成12年に社会福祉法が改正されました。その主旨はこれまでの生活上困難を抱える限られた人だけにサービスを提供する福祉から誰もがいつでも利用できる福祉への転換であり、いわゆる救貧福祉から一般的・普遍的福祉への転換でした。平成14年、厚生労働省が発表した「低所得者の新たな生活支援システム検討プロジェクト報告書」に、政府としては初めて「福祉から就労へ」という言葉が使われました。このことをきっかけに自立を目的とした一連の自立支援政策が策定されていくこととなりましたので、大変画期的なことでした。しかし、残念ながら自立という言葉は使われていても未だ「福祉から就労へ」という理念は実現されているとはいえません。先ほどの神野氏は、「強い財政」(ストロングファイナンス)とともに「強い福祉」(ストロングウエルフェア)を提唱しています。「強い福祉」とは、「それぞれのかけがえのない人間の能力を最大限発揮し、新しい時代を創出していこうとすれば、安心して冒険ができるように失敗しても生活を保障する強い福祉が必要となる。協力社会の約束の地は相互に助け合い、励まし合う強い福祉を実現することにある」(「『希望の島』への改革」P.18)と述べています。つまり強い福祉とは「福祉から働くための福祉へ」(エコノミスト2009年2/3号)ということであります。
この福祉と就労・雇用政策との連携、また自治体の総合力の中での雇用政策の必要性については先の定例会にて質問させていただき、雇用を区の仕事として受け止めるとの答弁をいただいたところです。今後、福祉ということでは就労のための福祉が実現されることを期待するものです。
平成15年に生活必需品としての福祉を宣言されてより既に6年が経過しました。現在の福祉の位置はどこにあり、今後どのような福祉を目指すのか。福祉の将来展望をお伺いいたします。
以上、広く区民に仮称「希望の構想」を示してはどうかと提案させていただきました。ご所見をお伺いいたします。また中身についても三つの視点から質問させていただきました。合わせてご答弁下さい。
次に「強い財政を目指す」とされた財政白書についてであります。
白書は「現状の分析」と「これからの財政運営」の大きく二編からなっています。白書には三つの役割があるとされます。①客観的な資料となること、②現状をわかりやすく伝えること、③すなおなメッセージ性があることの3点です。平成13年の財政白書はその全てをみたす立派な白書であると思います。しかし、作成されてよりさすが7年以上も経過しますとその役割も既に終えているといわれても仕方がありません。これから皆で公共を担おうというときに、また21年度は行革大綱を含む大事な計画の見直しが予定されているときに区民が財政情報を知る客観的な資料がないというのはなんとも心もとないかぎりであります。財政白書の改定が急がれるのもそのためであります。
まず今日までの達成状況を確認しておきたいと思います。この財政白書の特徴は大きく二つありました。一つは「強い財政を目指す」とされたこと。もう一つは公会計の目的でもあります「区民の負担」と「事業の成果」の関係を明確にし「区民の行政への参加を促し」たことであります。「住民自治の側面からも重要である」と書かれました。
そこで、一つは「強い財政」はどこまで達成できたのか。二つ目は「区民の負担」と「事業の成果」の関係を明確にする資料はできたのか。そしてそのことにより住民の参加は進んだのかお伺いいたします。
現在、急がれる財政白書の改定はどうなっているのでしょうか。もし予定はないとするならば、それに代わる何らかのものを用意されていると思いますが、区民に現在と将来の財政情報をわかりやすく伝え、そしてすなおなメッセージをいかにして伝えるのかお伺いいたします。
さらに、財政情報の利用ということでは自治体として取り組まねばならない新たな課題もあります。それはアニュアルレポート、いわゆる年次財務報告書の作成をどうするのかということです。昨年10月末に公会計研究会が、会合を開きアニュアルレポートの中身について議論がなされました。そこでは、「公会計は作るだけでなく利用する段階にきた」とし、レポートに首長のメッセージもしっかり書き込むことで一致したそうであります。
このアニュアルレポートは前年度にどのような政策目標をたて、どのような予算を組み、その結果として政策目標が達成されたのかどうかを示すものです。達成されていなければその原因も書きこみます。同時にそこから生じてくる新たな課題や政策目標も書かなければなりません。いわば区民に年一回報告する自治体の成績表であります。既に作成済みのところは熊本県宇城市、また現在作成に向けて準備中のところは荒川区や浦安市などであります。
そこで、アニュアルレポート(年次報告書)の作成を提案いたします。ご所見をお伺いいたします。
最後に、基本計画改定の趣旨と方法についてであります。
区長は招集挨拶にて、基本計画の改訂について以下のように述べられました。
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基本計画の改訂は推進プログラムと行革大綱を含めて行うこと
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計画期間を短くし、区政課題また区民要望に対応できる計画とすること
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計画の内容はわかりやすくすること
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誰もがいつでも参照できるコンパクトなものにすること
以上をもって区民に区が何を目指しているのかを明確にし、区政の目標を共有しながら区民の目線で区政運営に取り組むこととする、と。
わかりやすく誰もがいつでも参照できるコンパクトな計画ができること大変評価いたします。その上で、二点ほど質問いたします。
一点目は、この計画の見直しにより、区の総合計画全体の構成はどうなるのかということです。
今までの基本構想、基本計画、そして実施計画の三層構造が一層になると理解してよいのでしょうか。つまり、基本構想は理念もしくはビジョンのみにして、いわゆる「千代田市を目指す」と「百万人を活力とする自治体」の二つの基本方針のみにし、基本計画は期間を短縮して実施計画とするというものです。もしくは基本計画の前半5年を財源の裏づけのある実施計画とし、後半の5年を展望計画とします。そして見直しは計画期間を一年残した4年目に行うというものです。この方法をとれば有権者は政策の方向性を選挙で選択することができるようになります。
そこで、総合計画全体の構成はどのようになるのか、また基本計画の期間はどうなるのかお伺いいたします。
二点目は、見直しの方法と計画の性格についてであります。
繰り返しになりますが、区長は住民の「何をしてもらう」から「何ができるのか」という姿勢について述べられ、「協働参画」を訴えられました。よって計画の見直し作業は、公共を共に担うであろう多くの主体の参加をえてされるべきと考えます。執行機関の単なる行政計画にとどまらない皆で担う「公共計画」としての性格を持たせてはどうでしょうか。既に町田市では公共計画として策定済みであり、練馬区では現在見直し中ですがその策定方針に行政計画にとどまらない公共計画としていくことが明確になっています。
そこで、今回の基本計画の見直しの方法と計画の性格をどう位置づけて行うのかお伺いいたします。
以上、失われた希望と絆を取り戻すために、安心と信頼の千代田へ仮称「希望の構想」を示してはどうだろうかと提案も含めて質問させていただきました。
本年は丑年ですが、丑という字はつながりや絆を意味するそうです。本年が絆形成へ確かな第一歩となるよう前向きで積極的な答弁を期待して会派を代表しての質問を終わります。
ありがとうございました。
〈区長答弁〉
大串議員の共生の考え方をもっとアピールし、信頼の絆形成に積極的に取り組んだらどうか、身近な公共空間の形成に関する所見、希望の構想等についてのご質問にお答えいたします。
私は再三、共に生きるという共生を申し上げております。この共生は、まさに連帯と協働参画というのが基本でありまして、そこをつなぎ実現するのは、お話のように信頼の絆だというふうに思います。この絆こそ、家族も含めて身近な地域での私は価値であり、最大の財産だという思いでございます。
ところで、絆という、そういう言葉、これはもう、漢字を見ればご承知のとおり、糸という字に半でございます。すなわち、糸でもひもでも結構ですけど、それをお互いに半分ずつ持ち合っていくという字だと私は思います。どちらかが強く引っ張れば離されるし、引き寄せられる。お互いにそれぞれが持っているひもを、お互いに理解をしながら、思いやりをもって持つこと。これが私は絆ということだろうと。これは冒頭申しましたように、まさに共生というものの考え方に通ずるものだろうと思います。
千代田区は、そういう意味で、私は何回となく共に生きるということを申し上げてきましたのは、単に区民だけではなく、ここに働く皆様方も含めて、千代田区のよりよい地域づくりという意味で共生を申し上げ、具体的な例として生活環境条例を申し上げてきたわけでございます。
もう少し敷衍いたしますと、我々が戦後、いろんな社会の変遷がありましたけど、私はその信頼の絆とかということを考えるときに、「サザエさん」の漫画のようだと。つまり、家族がちゃぶ台を囲んで、そして、それぞれ、行っていることはばらばらでございます。テレビを見たり、新聞を読んだり、そういう中に、やはり、しかし絆がある。当時、ある面ではそんなに豊かでなかったと。あるいは物質的に豊かでなかった。しかし、大変、私はそういう意味では、そういう社会というのは心の豊かさを持っていたんだろうと。それが、やはり家族から身近な地域にそういうのが広がっていくということが、私は一番望ましい社会だというふうに思っています。しかし、現実は、そういう意味ではさまざまな時代背景の中で、なかなかそういう状況がつくられない。働き方の問題も含めて、そういう状況であることは事実ですけど、原点はそういう感じを持っております。それを、家族だけではなくて、自分の身近なところで、まさに絆、共生社会というものをつくっていくということが、私たちの千代田区づくりの私は最大のポイントだというふうに思います。
ところで、公共空間のお話が出ましたけど、これは単に物理的な空間の話をしているのではないと思います。まさに身近なところで、福祉でも教育でも、そうしたことが身近なところで決められる。そして、その地域に住んでいる方々のオーダーメイド的な、そうしたことができる。それが身近な公共空間というふうに思います。と申しますのは、身近なところで物が決められるということは、ある面では行政の透明性ということにもつながる。国や東京都とは距離が遠いですし、あるいは、何を負担して何のサービスを受けるか、そういう身近な公共空間づくりが私は住民との関係で信頼を築くことにもなり、そして、協働参画という社会になると思います。ある面では、分権というのはそういう私はとらえ方をしながら、これから中身をつくっていくという、そういう社会づくりだというふうに思います。そういうふうに身近な公共空間というのをとらえ、解釈をしております。当然、我々が区政を担う場合には、あるいは区政を行う場合には、区民の皆様方の安心だとか、あるいは、明るい展望が持てるような形で、計画的に仕事をするということは当然のことでございますので、今回の改定計画の中にそうしたことをどういう理念で盛り込むかは、これからの作業の中でいろんな知恵を出していきたいと思います。
それから次に、「生活必需品としての福祉」ということを6年前に申し上げました。確かに福祉が、貧しい人のためではなくて、すべての人にとって共通する、生きていく、あるいは人間らしく生きていくための商品、必需品だということを申し上げたわけでございます。この背景には、単にレディーメイドのサービスではなくて、まさにオーダーメイドのサービスをそれぞれがつくっていくという意味もあろうかと思いますし、もう一方では、当然、生活必需品という中身は時代とともに変わってまいります。例えば、家族のありようが、先ほども申し上げたような社会が私は望ましいわけでございますが、必ずしもそうでない状況で家族の役割も変わってまいります。あるいは、子育てに関する役割も変わってきます。それによって、生活必需品の中身は時代背景とともに変えていくという、あるいは追加をしていくということは当然のことだろうと思います。特に福祉については、介護と医療等については再三申し上げておりますように、そうしたことをどう組み合わせながらサービスを展開するというのも、ある面では生活必需品のサービスを時代に合わせてつくり変えていくということになろうかと思います。
その他の事項については、関係理事者をもってご答弁を申し上げます。
〈政策立案担当部長答弁〉
大串議員のご質問のうち、まず、財政白書の改定に関するご質問にお答えいたします。
区民の目線で考え、区民のニーズに安定的・継続的に対応してサービスを提供していく自主・自律した区政運営のためには、強い財政基盤が必要不可欠であるという観点から、区では平成13年8月に財政白書を策定しまして、現状の分析と今後の財政運営への提案を行いました。白書の提案に基づき、財政運営方針として、経常収支比率と人件費比率の数値目標を定めた「千代田区行財政改革に関する基本条例」を平成14年3月に策定し、安定した財政基盤の確立を目指してまいりました。この結果、経常収支比率は、平成13年度決算の79.5%に対して、平成19年度決算では69.0%となり、10.5ポイント改善しております。また、人件費比率についても、平成13年度決算の33.2%に対して、平成19年度決算では22.4%と、10.8ポイント改善しております。これらの指標改善は、自主・自律した行財政運営の確立に向け、行財政改革の不断の取り組みの成果だと認識しております。
さらに、財政白書で平成12年度決算の事業別コストをお示しして以降、継続的にコストの分析を行っており、平成17年度決算からは「主要施策の成果」にコスト分析を掲載して、コストと成果の関係をわかりやすくお示ししており、行政の効率的運営に寄与しているものと考えております。
また、財政状況をわかりやすく区民の皆様にお示しするという点では、予算書とあわせて毎年発行している「予算の概要」においても、翌年度の事業や財政状況はもちろんのこと、全事業の予算・決算対比表の各種資料を添付するなどの工夫をしております。
さらに、財政の状況や事業に要する費用について、広報紙などでお伝えすることにより、区民の皆様方の区政に対する関心を高め、さまざまなご意見をいただき、また、議会においてもご議論をいただいてきたところです。
現行の「主要施策の成果」や「事務事業コスト分析」、「予算の概要」などの内容を踏まえ、ご提案の財政白書の改定やアニュアルレポートの作成を含め、区民の皆様方に区政のあり方をともに考えていただくために、財政状況等をわかりやすくお示しする方法について検討してまいりたいというふうに考えております。
次に、基本計画の改定についてでございます。
まず、基本構想については、今回見直す予定はございません。したがいまして、二層構造になるというようなことでございます。
改定基本計画では、施策レベルで課題解決の方向性と施策の目標を示す一方、毎年の予算策定時に従来の推進プログラムで示しておりました、主要な施策や施設整備の年次計画をお示しすることといたします。この結果、事業の計画については、予算編成に合わせて毎年見直してまいります。計画期間につきましては、社会経済情勢の変化や計画としての評価サイクル、単年度である予算との関係を総合的に勘案し、5年程度の計画期間としてまいります。また、できるだけ参加型の計画となるよう、策定の段階で多くの方々からのご意見をいただく機会と場の設定について検討してまいります。
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