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真心の伝わる政治を!
大串 ひろやす
令和4年第3回定例会
1.監査制度の充実強化を目指して
2.総合計画のあり方について

「みんなで考えよう これからの千代田」を提示して
〈質問通告〉
1. 監査制度の充実強化を目指して!
(1)監査制度の目的について
2017 年の自治法改正では監査委員は監査基準を定めることとされた。監査基準に基づく監査とは、行政の行う事務の執行が法令に適合し正確であることは勿論、経済的、効率的かつ効果的に実施されているかを監査し、もって住民の福祉の増進と行政への信頼確保に資するものである。監査の目的である。そこで、改めて監査とは誰のために行い、何を監査するのか。また、監査の目的は。
(2)監査制度の充実強化に向けて
①3E 監査は特に重要だが現在具体的にはどう行っているのか。
②工事監査について、現在、年に一件の工事監査となっているがどのような基準に基づき監査を行っているのか。また工事の抽出基準は。
③長の作成する「監査結果に基づく措置対応」について、監査の指摘にどう改善したのかその内容を具体的に記述すべき。
④外部監査制度について
2. 総合計画のあり方について、現在策定中の基本構想は
(1)総合的かつ計画的な行政の運営に資するものになるのか
(2)区と区民が将来像を共有できるものになるのか
(3)基本構想は来年度予算編成の根拠とできるのか
〈質問の全文〉
令和4年第3回定例会にあたり公明党議員団の一員として一般質問を行います。
最初に、監査の目的についてであります。(スクリーン1を表示)
地方自治法
第199条第3項
監査委員は、第一項又は前項の規定による監査を実施するに当たっては、当該地方公共団体の財務に関する事務の執行及び当該地方公共団体の経営に係わる事業の管理又は同項に規定する事務の執行が第二条第十四項及び第十五項の規定の趣旨にのっとってなされているかどうかについて特に、意を用いなければならない。
(第一項は財務監査を前項とは行政監査を指す)
第2条第14項
地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
第2条第15項
地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければならない。
(カッコ内は大串)
スクリーン1
自治法第199条第3項は監査委員の職務権限を定めています。スクリーンの通りですが「監査委員は(中略)監査をするに当たっては、当該普通地方共同体の(中略)事務の執行が第2条第14項及び第15項の規定の趣旨にのっとってなされているかどうかについて特に意を用いなければならない」と。その第2条の14項とは「住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」と、有名な条文です。自治体の組織としての目標を示したものであります。この点に特に意を用いよとされたわけですが、これまで各自 治体その基準や方法はまちまちであったと思います。(1を閉じて2を表示)
平成29年の自治法改正
各自治体で監査基準を定め、公表の義務付け
住民監査請求に基づく監査以外の場合にも勧告権限を付与
監査専門委員を選任する権限の付与
内部統制評価報告書の審査の義務付け(都道府県、政令指定都市のみ)
議選監査委員の義務付けの緩和
条例により包括外部監査を実施する自治体の実施頻度の緩和
総務省の監査基準案
(目的)
第1条 地方公共団体において監査委員が行うこととされている監査、検査、審査その他の行為は、当該地方公共団体の事務の管理及び執行等について、法令に適合し、正確で、経済的、効率的かつ効果的な実施を確保し、住民の福祉の増進に資することを目的とする。
千代田区監査基準
(目的)
第2条 千代田区において監査委員が行うこととされている監査、検査、審査その他の行為は、区の。事務の執行等について、法令に適合し、正確で、経済的、効率的かつ効果的な実施を確保し、もって住民の福祉の増進に資することを目的とする
スクリーン2
この点、平成29年の自治法改正において監査委員は監査基準を定めて監査を行うこととされ、総務省がその指針ともいえる監査基準案を示したことは大変意味があることとなりました。第1条の目的に「当該地方公共団体の事務の管理及び執行等について、法令に適合し、正確で、経済的、効率的かつ効果的な実施を確保し住民の福祉の増進に資することを目的とする」と書かれ、監査の目的また監査の視点を改めて明らかにしたからです。
千代田区監査委員も法が施行となる令和2年に千代田区監査基準を定め、目的も明確にしました。内容は総務省案と同じでも「もって」という言葉を敢えて挿入し、監査を通して区の事務執行が必ず住民の福祉の増進につなげていくことを決意として述べたものと理解しています。(2を閉じる)
そこで、改めて監査は誰のために行い、いかなる視点を持って、何を監査するのか、そして何を目的として行うのか、監査事務局長へ現在行っている範囲で結構ですのでお伺いします。
次に、監査制度の充実強化に向けた具体策についてであります。4点あります。
1点は、事業の執行が申し上げましたように住民にとって経済的(Economy)、効率的(Efficiency)かつ効果的(Effectiveness)(有効性と同義です)なものとなっているのかといういわゆる3E監査についてです。(世界ではすでに標準となっています。アメリカでは3Eと言われ、イギリスではバリューフォーマネーと言われています)
財務監査ということでは千代田区の事業数は約800あり、そのすべてを3Eの視点から監査することは今の監査事務局の職員数では至難のことであります。よって対象とする事業全般から一部を抽出して監査しその結果から全体の成否または適否を推定するという方法がとられています。このことについて千代田区監査基準には「監査委員は監査等の対象のリスクを識別し、そのリスクの内容及び程度を検討した上で、監査を実施する」と、そしてリスクとは「組織目的の達成を阻害する要因をいう」としています。だとすると、事業の抽出をするためにはこのリスクはしっかりとした内部統制のもとに把握していかねばなりません。
一方、行政監査は「区の組織、人員、事務処理方法その他の行政全般について必要に応じて」行うとされます。(※1)こちらは事業の抽出ではなくテーマを設定し全庁横断的に法令遵守は勿論、財務監査同様3E監査を行うとされます。例えば東京都は毎年行っていますが、昨年及び今年のテーマは「新型コロナウイルス感染症対策事業について」でありました。
千代田区監査委員の監査報告書を見ますと例年「事務の執行」括弧して「行政監査的視点による」としていますので毎年の定期監査の中で財務監査と併せて行政監査も実施していると思われます。だとすれば、財務監査、行政監査それぞれの結果について報告書に記載されてなくてはなりません。
住民にとって事務執行が経済的、効率的、有効的に行われているかという3E監査の方法について述べました。
そこで、3E監査は財務監査、行政監査それぞれにおいて現在どう行っているのか、また結果についての記載はどう行っているのかも合わせてお伺いします。
次に、工事監査についてであります。
監査委員は工事監査について区が契約した工事全てでなくそのうちから1件を抽出し行っています。監査報告書には「契約金額1000万円以上の工事のうちから監査委員が決定する」とあります。
一般的に工事監査は技術監査が必要なことから外部の専門機関に調査を委託し行うことになります。その際の監査実施基準としては、①事業の妥当性、②設計の合理性、③積算の根拠性、④工事契約の合理性、⑤仕様書の運用性などとされています。(※2)いずれも重要です。特に、「事業の妥当性」と「設計の合理性」は大事な視点であります。
そこで、現在、工事監査についてはどのような基準に基づいて実施しているのか、また「事業の妥当性」及び「設計の合理性」についての監査はどう行っているのか、そして工事の対象を選ぶ抽出基準はどう定めているのかお伺いします。
次に、「監査結果に基づく措置対応について」であります。
監査の役割の一つに行政の住民へのアカウンタビリティに資するということがありあます。(※3)(3を表示)
令和3年度の「措置対応について」
https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/586/sochikohyo-r3.pdf
令和2年度の「措置対応について」
https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/586/sochikohyo-r2.pdf
令和元年度の「措置対応について」
https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/586/sochikohyo-r1_1.pdf
スクリーン3
スクリーンは区長が毎年作成する「定期監査の結果に基づく措置対応について」3年分を並べたものです。見ていただくとわかりますが監査結果に対する対応については「再発防止策を中心に、所属職員を指揮監督の上、業務のチェック体制を確認し、その徹底を図ることを各所属長に通知しました」と、この3年間判で押したような文章となっています。さらに、後段の指摘事項についての措置対応も同様であります。(3を閉じる)
肝心などのように改善できたのかがまったくわかりません。当然、事項によっては改善まで時間を要するものもあるでしょう。それはそれで何年の監査結果に対しての措置対応として記述すればよいと思います。改善した具体的な内容を書かなければ行政の住民に対するアカウンタビリティを果たしたことになりません。また、監査委員からすれば監査基準に定めた行政に対する「指導的機能の発揮」(※4)も形骸化してしまいます。
そこで、「監査結果に基づく措置対応について」は「監査の結果」また「指摘事項」に対してどう改善できたのかその内容を記述すること、また監査委員に提出する時期については199条の第14項の規定により改善できた都度としてはどうでしょうか。区長に所見をお伺いします。
次に、外部監査制度についてであります。
平成9年の自治法改正により新たに外部監査制度が設けられました。地方分権を前にして自治体のチェック機能の強化と監査の独立性と専門性を強化することにその目的はありました。監査委員監査と外部監査人の行う監査が重複することなく補完し合い自治体の監査制度の充実強化を目指したものです。
ただし、導入に際し注意しなくてはならないこともあります。日本総研主任研究員の高坂晶子氏がレポートの中で述べていることです。「『誰のために、何をチェックするのか』を曖昧にしたまま監査委員制度はスタートしたため、監査対象からの独立性に難のある運用となった。加えて、自治体が監査委員へ依存して内部統制の強化改善を怠ったことが災いし、不正な行政執行が跡を絶たない弊害が生じた。(中略)監査委員制度の曖昧な性格を放置したまま外部監査人制度を導入した場合、一層の混乱を招くおそれはきわめて高いといえよう」と。(※5)重要な指摘であります。
そこで、この高坂氏の指摘を踏まえた上で、条例を制定し外部監査制度の導入を提案たします。ご所見をお伺いいたします。
次に、総合計画のあり方についてであります。
現在、基本構想について懇談会を設置して策定中でありますが、骨子が固まる前に是非聞いておきたいことであります。3点あります。
1点は、策定中の基本構想が本当に総合的かつ計画的な行政の運営を図るものになるのかということです。
平成23年の自治法改正により自治体の基本構想の策定義務はなくなりました。しかし、それはあくまで自治体自らの判断で定めるという地方自治の趣旨に沿うためであり、決して総合的かつ計画的な行政運営までをなくしたものではありません。
平成28年12月に千代田区議会は「議会の議決に付すべき事件に関する条例」を全会一致で可決いたしました。議決が必要な事項として「総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想の策定、変更又は廃止」としました。また条例の提案理由の説明でも「総合計画は、従来から区の総合的かつ計画的な行政運営の方向性を示すものであり、区民にまちづくりの長期的な展望を示すものである」と、述べています。その通りであります。
この度はこの条例に基づく初めての総合計画策定となります。基本構想に目標年を定めないこと、基本計画も策定しないことなど今までの総合計画とは大きく異なります。
そこで、この度の総合計画について改めて体系、位置づけ、目的をお伺いいたします。またこの計画が「総合的かつ計画的な行政運営」に資するものとなるのか、その理由も含めてお答えください。
2点目は、基本構想が区と区民が目指すべき将来像を共有できるものになっているのかという点です。
基本構想は目標年を定めず普遍的なものだけを記述するとしています。その理由は「社会情勢の変化が激しく、不確実な時代にあっても区は、多様化するニーズに迅速かつ柔軟に対応し、質の高い行政サービスを適切に提供していくため」としています。しかし、本当にそうでしょうか。行政が公共の全てを担っていた時代ならそれもありえるかもしれませんが、今は区と区民が共に取り組まなくては公共の何事も成し遂げることはできません。社会の変化が激しい時であるからこそ長期的また中期的なビジョンを示し区と区民が共有することが大事なのではないでしょうか。区民は将来が見通せないことに不安を抱いているのです。(現物を提示※6)これは、今日お持ちしたのは「みんなで考えよう これからの千代田」平成20年に区が作成して、区民に示したものです。ここには、現在のそれぞれの課題と、それから解決の方向性、つまり分野ごとに課題情報と政策情報を細かく書いて、区民に示して、意見を求めるものです。この冊子を作って、意見をいただいて、この当時の基本計画の改定を行ったんです。私は、この姿勢が今こそ必要なんじゃないかというふうに思います。
そこで、基本構想は区と区民が共有できるビジョン、将来像を描いたものとなりえるのか、お伺いたします。
3点目に、総合計画と予算編成との関係です。
コロナのような緊急のものは除いて総合計画に基づかない予算は基本的にはありえません。(4を表示)

スクリーン4
総合計画と予算の関係です。総合計画としては基本構想のみの一層構造です。しかもその基本構想は繰り返しになりますが目標年もなく普遍的とする抽象的なものです。さらに基本構想はたたき台の段階で議決もされていません。そのたたき台をもとに組織としての方針をたてた上で予算編成するとしています。(4を閉じる)
そこで、改めて来年度予算編成にあたり、何を根拠に編成していくのか。また組織としての方針の立て方は具体的にはどうするのか合わせてお伺いします。
質問は以上であります。区長並びに関係理事者の前向きなご答弁をご期待申し上げまして一般質問を終わります。
ありがとうございました。
〈答弁の全文〉
〈政策経営部長答弁〉
大串議員の御質問のうち、初めに、監査制度の充実強化についてお答えいたします。
まず、区長の作成する「監査結果に基づく措置対応」についてでございますが、議員御案内のとおり、毎年度、監査委員から通知された事務の執行に係る定期監査の結果を受けて、区長から監査委員宛てに、区の措置対応について通知しております。
この内容につきましては、執行機関の長として、監査委員の御指摘に対する措置の内容について、包括的にお示ししたものでございます。
一方で、実務的には、監査委員の御指摘に対し、全ての事項ごとに発生原因を分析し、再発防止策を立て、対応や改善を図った結果を一覧にし、速やかに全庁で共有しております。この一覧につきましては、まずは再発防止を最優先に、いわゆる失敗事例として、職員間における共有を進めてきたところでございます。しかしながら、議員御指摘のとおり、区の措置対応については、区民の皆様にとって、より分かりやすい内容としてお示しする視点も重要であることから、今後、通知の内容や時期につきましては、他の自治体の状況も参考にしながら、精査をしてまいります。
次に、条例制定による外部監査制度の導入についてでございます。
外部監査制度は、監査委員制度を補完することにより、地方公共団体の行財政運営について住民の信頼が高まることを期待して、平成9年の地方自治法改正により設けられました。この制度は、文字どおり外部の専門家の力を借りることによって、監査の独立性と専門性を強化するために重要な役割を果たすことになる一方で、ミスや不正を未然に防ぐための内部統制も重要であり、現在実施している自己点検や研修の実施といった内部努力にも努めていかなければならないことは、言うまでもございません。
これら現行の取組も踏まえ、外部監査を実行するためには、議員御提案のとおり、すみ分けや役割分担をどのように図るかという視点が肝要であります。加えて、監査委員とともに、議会の皆様の御意見も、また重要でございます。
いずれにいたしましても、監査委員の皆様とも情報を共有しながら、執行機関として、まずは内部統制をしっかり進めていくとともに、状況に応じて、外部監査制度の研究にも取り組んでまいります。
次に、総合計画の在り方に関する御質問にお答えいたします。
総合計画は、行政運営上の最上位計画に位置づけられるものでございます。
議員御指摘の議会の議決に付すべき事件に関する条例の提案説明にありますとおり、総合的かつ計画的な行政運営の方向性を示すものであり、区民にまちづくりの長期的な展望を示すことを目的として策定するものであると認識してございます。総合計画の体系として、法律上、策定義務があったのは基本構想だけですが、実際にはその下に基本計画や実施計画が策定され、これを総称して総合計画と呼ぶ例が多く見受けられます。本区もかつては、基本構想、基本計画に加え、実施計画や推進プログラムを策定しておりましたが、社会状況の変化への対応等に課題があったため、平成22年に現在の基本構想と基本計画の体系に移行いたしました。
それから約10年が経過し、変化のスピードが加速する中、より柔軟な行政運営を図るため、改めて総合計画の構造の見直しの必要性を認識したところでございます。このため、新たな基本構想は、区と区民の目指す大きな方向性を示すものとし、その時々の課題に対する具体の取組は、毎年の予算編成の際、基本構想の方向性と整合性を図った中期的な取組の方針を定めることとし、必要な取組を、機を逸することなく実行に移してまいりたいと考えております。こうすることで、基本構想に基づく総合的かつ計画的な行政運営を図りながら、区民サービスのさらなる向上の実現に努めてまいります。
次に、基本構想のたたき台が、区民と共有できるものとなっているのかとの御質問についてでございます。
社会の変化の激しいときこそ、しっかりした中長期的なビジョンを示し、区と区民が共有して行政運営すべきとの御指摘ですが、区としても、目指すべき方向性を区民と共有することが大変重要だと考えております。
また、共有する方向性は、移り変わる社会の中でも変わらずに目指すべきものとすることで、総合的、計画的かつ柔軟な行政運営を実現できると考えているところです。なお、基本構想のたたき台につきましては、団体関係者へのヒアリングやパブリックコメントに準じた意見収集により、様々な方から御意見を賜っております。また、これらの御意見は基本構想懇談会でも共有し、多様な御意見を踏まえた上で、懇談会としての提言書が提出される予定でございます。
今後、区では、この提言書を踏まえ、たたき台の修正を検討し、素案をつくる予定ですが、素案の策定後もパブリックコメントや説明会を実施するなど、幅広く周知し、説明責任を果たしていくことで、区民と将来像を共有してまいります。
次に、来年度予算の編成についてでございます。
令和5年度予算は、予算編成方針に基づき、新たな基本構想の策定を見据えて編成することとしております。
ただし、議員御指摘のとおり、新たな基本構想については御議決をいただいておりませんので、内部的に並行して必要な整理を行っているところでございます。さきにも触れましたが、新たな基本構想のもとでは、これまでの基本計画に代え、基本構想に掲げる分野別の目指すべき姿ごとに、将来像に向けた方針を定めることとしております。将来像に向けた方針は、毎年の予算編成の際、基本構想の方向性と整合性を図った中期的な取組の方針と体的な取組を示すもので、一度定めた方針も、社会状況等の変化に応じた見直しを可能としております。
このことにより、新たな取組の必要性が生じたときは、そのタイミングで基本構想との関係を明らかにしつつ、機動的かつ計画的な行政運営を実現できると考えております。令和5年度予算は、こうした考えの下、編成してまいりますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。
〈監査委員事務局長答弁〉
大串議員の御質問のうち、監査制度に関わる御質問にお答えいたします。
まず、監査は誰のために行い、何を目的として行うのかとの御質問についてですが、区の事務の執行等に対する監査を適切に実施することで、区民のために福祉の増進に資することを目的として行っております。
次に、いかなる視点を持って、何を監査するのかとの御質問についてですが、各年度の監査実施計画で、監査の項目及び着眼点として定めており、例えば財務監査であれば、対象部課等が行っている財務に関する事務の執行について、予算の執行では、計画的、効率的、効果的に執行しているか、収入事務では、調定等適正に行われているか、支出事務では、違法、不当な支出はないか契約事務では手続、履行確認は適正に行われているか、現金・金券類の出納保管事務では、管理が適正に行われているか、財産管理事務では、公有財産、債券等の管理は適正に行われているか、事務の執行は法令等に従い適正に行われているかなどの視点・着眼点を持って監査を行っております。
次に、3E監査は、財務監査、行政監査それぞれにおいて現在どう行っているのか、結果についての記載はどう行っているのかとの御質問についてですが、財務監査、行政監査ともに、経済的観点から、事務の執行が、より少ない費用で実施できないか、効率的観点から同じ費用でより大きな成果が得られないか、あるいは、費用との対比で最大限の成果を得ているか、効果的な観点から事務執行の結果が所期の目的を達成しているか、また、効果を挙げているかといった観点から監査を行っております。
また、各年度の監査基本計画で、定期監査を行う際に、行政監査の趣旨も踏まえて実施すると定めており、具体的には、委員監査時に各所管課長から業務内容及び特徴的な事業の概要・実績等の説明を受け、事務の執行は、法令等に従い、適正に行われているか行政監査的視点も踏まえて実施しております。結果の記載につきましては、定期監査の結果として総合的に記載をしております。
次に、工事監査について、どのような基準に基づいて実施をしているのか、事業の妥当性及び設計の合理性についての監査はどう行っているのかとの御質問についてですが、各年度の監査実施計画において、工事計画の妥当性、内容、規模等が適切か、設計が法令等に適合し、かつ合理的、経済的か、積算が適正な算出か、契約の手続は適正か、施工・監理・検査について手続は適正かなど、5つの項目について基準を定めております。
工事監査については、専門的、技術的な視点から調査を行うため、適切な技術を有する法人または個人に調査を委託し、その報告を調査の一環としております。その際、仕様書に調査の視点として、先ほどの基準を示して、調査を行っております。
最後に、工事監査の対象を選ぶ抽出基準はどう定めているのかとの御質問についてですが、各年度の監査実施計画において、定期監査の監査対象とする事項として定めております。当該年度に施工する契約金額1000万円以上の工事のうちから監査委員が別途選定するもの1件に係る設計、契約、施工等を対象とするとしております。
〈再質問〉
再質問させていただきます。
まず、基本構想と予算との関係なんですけれども、今、答弁していただいたものを聞きますと、議決はされていないという、これからいろいろな意見を聞いて、パブリックコメントも行って定めていくということなんだけども、それから予算編成じゃあとても間に合わないと思うんですよね。ですから、それがされていない、たたき台の段階で、各組織、部が、組織の方針を定めるけれども、その根拠として、このたたき台でいいのかと、議決されていないたたき台でよろしいのかと、それをもう一回聞きたい。
それから、共有できるかという点なんですけれども、今、非常に変化の激しいときである。先ほど示した、みんなで考えようこれからの千代田のあのとき平成20年の9月にリーマンショックがありました。大変社会が動いているときでした。あのときも100年に1度の危機のときだと言われる中でしたけれども、きちんと計画を定めて、将来のビジョンを示そうとしたんですよ。あの冊子を使って、政策情報、課題情報を併せて示した。その中でつくっていった。
私は、そのぐらいの区の姿勢がやっぱり必要なんじゃないかと思いますので、現在の総合計画の進め方、もう一度、お答えしていただければと思います。
あと僅かですけれども、監査結果に対する措置対応ですけれども、これについては、答弁を聞きますと、包括的に示したもの、一覧表があるんだということなんですけれども、あるだけじゃ駄目なんで、先ほどこれから区民に示せるように考えていきますということですけど、この点についても、もう一度、どのように示すのかをお伺いしたいと思います。
以上でございます。
〈政策経営部長再答弁〉
大串議員の3点の再質問にお答えいたします。
まず、1点目の予算との関係についてでございます。
こちら、御指摘のとおり、現在、議決を得ていない基本構想のたたき台に基づいて、予算編成に入っているという状況であることは、御指摘のとおりでございます。一方で、予算編成方針を定め、こちらの方針にのっとって、予算編成に入っているということでございます。最終的には議決をいただいた基本構想と、同じく御議決をいただく予定の予算が整合取れるように、今後取り組んでいきたいというふうに考えております。
2点目の区の課題をあらかじめ示した上で、基本構想の策定に入ったらどうか、どうだったのかという御質問でございます。10年前の基本計画の改定だったと思いますけれども、そのときには、御指摘いただいたような冊子をつくって課題を提示していたというところでございます。現状におきましては、様々な課題がある中で、柔軟な対応ということを第一義的に考えております。柔軟な対応をしていくために、基本構想に、今、策定、たたき台をつくっている基本構想では、普遍的な課題を取り上げ、基本構想はございませんが、毎年の予算編成の中で、しっかりと柔軟な対応を、整合性をもって取り組んでいきたいというふうに考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
監査結果の措置対応についてでございます。
こちらにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、御指摘いただいた点を踏まえまして、しっかりと区民に分かりやすい、説明責任を果たせるような形でのお示しができるよう、研究に取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
参考資料一覧
※1 逐条地方自治法P.705より
※2 日本技術士会より
※3 「公的部門の監査の効力とアカウンタビリティの構造」石川恵子より
※4 千代田区監査基準 第13条
※5 「地方主権時代の自治体監査のあり方」1998.5 高坂晶子より
※6 「みんなで考えよう これからの千代田」平成20年 千代田区発行




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