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令和4年第2回定例会

1.核抑止から脱却し人間の安全保障へ!
2.内部統制方針を策定せよ! 

3.HPV9価ワクチン接種について区独自の補助制度を設けよ
4.基本構想の策定にあたり

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​「人間開発報告書1994」を提示して!

〈質問通告〉

1.平和と人道の世紀を目指して!
  ・国際平和都市千代田区宣言に謳われた核兵器の廃絶と恒久平和実現への取り組みが今ほど求められている時はない。そこで、改めて区長にその決意と今後の具体的な取り組みを問う。
​  ・提案として、今日まで平和使節団また地球市民ツアーに参加された方々による平和フォーラムの開催、そして「平和への提言」をまとめ、発表してはどうか。
2.   内部統制の制度構築を!
  ・区長に内部統制(法令順守)について基本的な考え方を問う。また区市町村は努力目標とされたが内部統制方針を早急に策定し制度化することを求める。
3.  9価HPVワクチン接種へ補助制度を設けよ!
4.   基本構想の策定について
 
〈質問の全文〉

 令和4年第二回定例会にあたり公明党議員団を代表して質問を行います。
 質問に入る前に、うがい友義議員が急逝されましたことに謹んで哀悼の意を表します。また、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により子どもを始め罪のない多くのかけがえのない命が失われています。犠牲となられたすべての方々に深く哀悼の意を表します。また、一日も早いロシア軍による攻撃停止と無条件での完全撤退を祈ります。
 それでは、質問通告に基づいて順に質問を行います。
 最初に、平和と人道の世紀を目指して平和施策について問います。
 区の平和宣言からちょうど20年の節目である平成27年第一回定例会でも質問をさせていただきました。ロシアによる核の使用をちらつかせてウクライナへの侵攻は人の命や尊厳を踏みにじる暴挙であり世界のどの国も許すものではありません。核の脅威がかつてなく高まっている今日、再度取り上げさせていただきます。

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スクリーン画像1

(1を表示)千代田区は戦後50年の節目にあたる平成7年3月の区政記念日に国際平和都市千代田区宣言を議会の全会一致の議決をもって行いました。宣言はスクリーンの通りです。前段では二度と戦争を起こさないことを、また世界の人々と連帯し核兵器のない世界を築いていくことを誓います。そして、後段では世界の恒久平和実現へ積極的に行動することを宣言します。誠にすばらしい宣言であります。この年から広島、長崎、沖縄への平和使節団の派遣をそして平成14年からはJICAの協力を得て地球市民ツアーも行っています。メンバーは主に中高生であります。時代を担う若い人たちが語り部の方から直接お話を聞き、資料館や戦争のあった現地を訪問することは貴重な体験となるでしょう。区として若い世代の全ての方にこのような機会を提供していること評価するものです。(1を閉じる)
 
今年の平和使節団の派遣に私も広島へ議員として同行させていただくこととなりました。先日、その事前研修が行われ広島平和記念資料館前館長の志賀賢治氏からZoomでしたが資料館の映像と共に直接お話を聞くことができました。大変貴重なお話と映像でした。スクリーンに写せないのが残念ですが、特に心うたれた4枚の写真をご紹介させていただきます。一枚目は資料館本館入口正面にあります少女の写真です。右腕に包帯を巻き来館者をじっと見つめ、その眼差しは私たちに何かを訴えているかのようです。本館に入りますと被爆直後の2枚の写真があります。被爆から3時間後で爆心地からは約2.3キロメートルの御幸橋の上だそうです。写真は、何かを腕に抱えた女性です。説明では「彼女が抱えている赤ん坊は黒焦げだったそうです。その赤ん坊に向かって『目を開けて、目を開けて』と名前を呼びながら半狂乱で叫び続けていた」(「広島平和記念資料館は問いかける」より)と。もう一枚は「頭髪が焼け縮れ、腕からは自分の皮膚をぶら下げた半裸の女性」の写真です。「強烈な熱線は人々の表皮を一瞬にして黒こげにしてしまいました。引き剥がされた皮膚を体からぶら下げて人々は逃げ惑いました」と。(同上)そしてもう一枚は、黒焦げの弁当箱です。中学生一年生の遺品です。「三日間捜し回ってようやく弁当箱をお腹にかかえたまま白骨化した遺体を発見した母親が、寄贈したメモに、次のように書き残しています。
8月6日 朝7時
米、麦、大豆の三種混合飯に
ジャガ芋千伐りの油いため
こんな粗末な弁当を あ、うれし と
よろこんで持って出て よう食べずに
腹の下に抱きかかえたまま死んでいました
ああ無残
頭、顔の骨で見つけ出しました
母 シゲコ 付記」(同上P.56)と。
 核の恐ろしさ、悲惨さがこれだけでもよくわかります。「被爆の実相」であります。
 世界の人々がこの恐ろしさや悲惨さを実感していただき核は決して使ってはならないものであるという思いを共有することが宣言で約束した「世界の人々と連帯して核兵器をなくし平和な世界を築く」ことにつながるのだと思います。先の入口の少女の眼差しはそのことを私たちに訴えているのではないでしょうか。少女の心です。
 来年のG7は広島で開催されることが決まました。この「被爆の実相」をG7各国の首相が直接見ることの意義はとても大きいものがあります。議長を務める岸田首相には是非ライフワークとしての核のない世界の実現に向けて大いにその力量を発揮されることを期待しています。
 核のない世界の実現に、もう一点、考えていかなくてはならないことがあります。それは、核による安全保障からの脱却であります。
 ロシアによる核の使用をちらつかせながらのウクライナへの侵攻を現在の核による安全保障では止めることはできませんでした。2019年の賢人会議で報告された「核抑止は危険な基礎」であることが明らかとなったのではないでしょうか。一部に、核の脅威には核をもって対するべきとの議論もありますが明らかに間違いであり私たちは断固反対します。それは日本が永年国是としてきた非核三原則に反することは勿論ですが、何よりも先の少女の心、広島や長崎の心に反するからであります。
 核による安全保障に代わる新たな安全保障のあり方が今ほど求められている時はありません。核を保有している国も、持たない国もまた核の傘のもとにある国もまた国の体制やイデオロギーが異なってもすべての国が同意でき共有できる新たな安全保障であります。それは、私は国連人間開発計画が1994年に提唱した「人間の安全保障」であると断言したい。
(現物を提示)この人間開発報告書には「人間の安全保障という新しい考え方」が必要であるとしてこのように記されています。「私達は、あらためて考え方を根底から変える必要に迫られている。核の安全保障から『人間の安全保障』へと頭をきりかえなくてはならない。(中略)人間の安全保障は武器への関心を向けることではなくて人間の生活や尊厳にかかわることである。人間の安全保障という考え方は単純ではあるが、21世紀の社会に大変革をもたらすカギとなるのではないか」(P.22)と。私も大賛成であります。
 人間の安全保障について外務省のホームページに説明があります。

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 (2を表示)「人間一人ひとりに着目し、生存・生活・尊厳に対する広範かつ深刻な脅威から人々を守り、それぞれ持つ豊かな可能性を実現するために、保護と能力強化を通して持続可能な個人の自立と社会づくりを促す考え方です。(中略)従来の国家を中心に据えたアプローチでは不十分になってきており、『人間』に焦点を当て、様々な主体及び分野間の関係性をより横断的・包括的に捉えることが必要となっています」と。(2を閉じる)
 この人間の安全保障については国連においては日本が最も強く主張してきたことでありました。日本が国連に加盟して65年が経過しましたが人間の安全保障ほど注目され国連の政策を動かしてきた理念はないとされています。国連では「ジャパンブランド」とも言われえているそうです。その最大の功労者は元首相の小渕恵三氏と元高等弁務官の緒方貞子氏であります。詳しく述べる時間はありませんが以後この人間の安全保障は日本外交の大きな柱となっているのです。
 核のない世界を目指して人間的悲惨=「被爆の実相」の共有と核による安全保障から人間の安全保障への転換が今こそ必要であることを述べさせていただきました。
 そこで、区長へ改めて核兵器のない世界また世界の恒久平和実現への決意とそのための今後の取り組みをお伺いします。また、人間の安全保障についてどのようなお考えをお持ちなのか、ご所見をお伺いします。
今後の具体策について一つ提案があります。
 平和使節団そして地球市民ツアーに参加された方々は毎回報告会の開催や報告書の作成を行っています。大変貴重ですばらしいものです。そこで、これまで平和使節団や地球市民ツアーに参加した皆さんが一堂に会し、(仮称)千代田区平和フォーラムを開催し平和への提言をまとめてはどうでしょうか。提言は国や世界に向けて発表することもできると思います。ご所見をお伺いします。

 次に、内部統制についてであります。
 平成29年の自治法改正により150条に「管理及び執行が法令に適合し、かつ適正に行われていることを確保するため」とした内部統制に関する規定が新たに追加されました。その主な内容は

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① 内部統制に関する方針の作成と必要な体制を整備すること
​② 内部統制方針は公表すること

③ 会計年度において内部統制について評価し報告書を作成し監査委員の審査に付し監査委員からの意見を付すこと。またその報告書は議会へ報告し公表すること
などであります。(3を閉じて4を表示)

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スクリーン4

 そして、内部統制の目的は総務省の内部統制ガイドラインには
①  業務の効率的かつ効果的な遂行
②  財務報告書等の信頼性の確保
③  業務に関わる法令等の遵守
④  資産の保全
とあります。特に、3番目の法令等の遵守です。「法令等の遵守とは、業務に関わる法令その他の規範を遵守することをいう(中略)公務員に対しては、住民の信頼の基礎となる法令等の遵守についての要請が特に高い」と、改めて書かれました。(4を閉じる)
 もともと法令遵守については自治法の第2条16項に規定があり「法令に違反してその事務を処理してはならず」と、また次の17項には「前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為はこれを無効とする」とまで書かれています。それでも敢えてまた150条を追加した理由はなんでしょうか。私は、一つは法令等と等の文字を加え「業務に関わるその他の規範」を加えたこと、もう一点は方針の公表や報告書の公表が義務付けられたように住民による監視機能の強化にあったのではと思います。
 先日、内部統制方針をいち早く定め、区民にも分かりやすい報告書を公表した文京区へ視察に行ってきました。(5を表示)

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 スクリーンは文京区の内部統制方針です。
①  いち早く内部統制方針を定めた理由は
②  制度として確立した目的は
③  区民に分かりやすい報告書の作り方は
④  評価が通常業務の負担にならないためにはなど
とても参考となりました。23区では文京区以外にも足立区、港区、杉並区、大田区、墨田区など多くの区がすでに方針を定めて制度化しています。(5を閉じる)
 「守るべき法令その他の規範」についても確認しておきたいと思います。
 一般的に法令とは国の法律や命令そして自治体の定める条例や規則であるとされます。そして「その他の規範」とは、業務に関わる内部規範とされますので、自治体が定めた基準や要綱、ガイドライン(方針)などであると思います。
 例えば、神田警察通りの道路整備についていえば、「神田警察通り沿道まちづくり構想」を作成しそれをもとに将来像としてのまちづくり方針まで定めていますので、単なる道路整備ではなく道路整備を含むまちづくりの計画であります。当然関係する法令とは都市計画法となります。よって、計画には合理性が求められ住民合意のための適正な手続きも必須であります。区が定めた「付属機関の会議等の公開に関する基準」や「意見公募の要綱」そして「参画・協働のガイドライン」などはまちづくりの手続上必要な「内部規範」に当たります。とても残念なことですがこれらの「法令及び関係する規範」に基づく行為は当該工事の議案が議決されるまで行われることはありませんでした。「住民の信頼の基礎となる」とまで表現された法令等の遵守が守られていなかったということです。
 そこで、区長に内部統制、特に法令等の遵守についてどのように考えておられるのかお伺いします。また、神田警察通りに関する法令等の遵守についてはどうお考えなのかも合わせてご答弁ください。そして、一日も早く内部統制方針を定め体制整備を行うことを求めます。ご所見をお伺いします。
 次に、区長の指揮監督による内部統制についてであります。
 総務省の内部統制ガイドラインによれば「長は、その補助機関である職員に対する指揮監督(補助執行の方針、基準及び手続等についての命令や、遵守義務違反、職務の達成上不適当なことはないかの監視及び是正)(法154条)を通して、内部統制の整備及び運用を自らの事務として」行うとあります。区長は今まで以上に職員に対する指揮監督を通して内部統制を行っていくこととなります。当然責任も重大となります。
 そこで、区長に指揮監督を通しての内部統制についてこの約一年半どう行ってきたのか。また今後はどう行っていくのかお伺いします。

 次に、9価HPVワクチンについてであります。
 今年の4月から子宮頸がんワクチン接種についての積極的勧奨が再開されることになりました。勧奨が控えられていたこれまでの9年間に接種を逃した方への接種、いわゆるキャッチアップ接種も始まりました。
 子宮頚がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を原因とするがんです。約100種類あるHPVの内、発がんに関係するウイルスは15種類であり、性的接触によって感染されるとされています。日本では年間約1万人の女性が罹患し、約2900名の方が亡くなられています。罹患者は20代後半から40代までが多く若年化が進んでいます。若年層での罹患率は発展途上国と同程度でOECD加盟国ではワースト3であります。
 ワクチンは、定期接種となっている「サーバリックス(2価)」と「ガーダシル(4価)」の2種類と任意接種である「シルガード(9価)」の3種類があります。2価はHPV感染症の主な原因となる二つの遺伝子型(HPV16型、18型)に対応し、4価は4つの遺伝子型(2価の16、18型に加え6型と11型)に対応します。この2価と4価は子宮頸がんを約70%予防できると言われています。定期接種の対象は小学6年生から高校1年生相当の女子となります。
 9価ワクチンは9つの遺伝子型(2価と4価にプラスして31、33、45、52、58型)に対応し約90%の予防効果があるとされます。9価ワクチンはアメリカやイギリスまたオーストラリアなどではすでに定期接種化されていますが日本では承認され昨年の2月から販売されているものの任意接種であります。よって、費用は全額自己負担となっています。
 費用は1回あたり約3万円かかり2価や4価と同様3回接種ですので10万円くらいかかることになります。先日、この9価ワクチンの接種について「費用の面からあきらめざるを得ない方もいます。富士市では独自に補助制度を設けたことをニュースで知り是非千代田区でも補助制度を設けていただけないか」との相談がありました。
 さっそく富士市への視察を申し込み、書面による調査となりましたが行うことができました。(6を表示)

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①  9価ワクチンへ補助を決めた理由は
②  補助額を一回当たり17,000円とした理由は(2価と4価と同額とした)
③  副反応があった場合の対応は
④  男性へのHPVワクチンの接種は
⑤  ワクチンに関する正しい情報の周知方法は
などの質問全てに丁寧に回答をいただきとても参考となりました。特に、9価ワクチンへの補助を決めた理由ですが「定期接種の一環として市民要望に応えること、また、予防接種の機会の公平性を図ることを目的としています」との回答でしたがまったくその通りだと思います。全国に先駆けてこのような補助制度を設けられたことに敬意を表します。(6を閉じる)
 なお、この9価ワクチンについては今年3月の厚労省専門部会において定期接種化に向けての方針が了承されたとの報道もありました。一日も早く定期接種となることを願っています。
 そこで、9価ワクチン接種について定期接種の一環として、また予防接種の機会の公平性の観点から区独自に補助制度を設けることを提案いたします。ご所見をお伺いいたします。また、9価ワクチン接種に対しての相談体制の構築や正しい情報提供を丁寧かつ確実に行うことなど検討が必要となります。現段階での状況についてお伺いいたします。合わせてご答弁ください。
 次に、HPVワクチンの男性への接種についてであります。
 2020年末ガーダシル4価ワクチンが肛門がんに適応拡大されるとともに9歳以上の男性への接種が承認されました。「HPV感染は、女性特有の子宮頸がんや外陰がんだけでなく肛門がん、陰茎がん、咽頭がんにも関与するとされています。男女ともに感染しそのほとんどがHPV6型と11型に起因する尖圭(せんけい)コンジローマはパートナーへの感染による発症が多く再発率が高いことで(も)知られています。男性もHPVワクチンを接種することは『自身の感染予防』や『パートナーの防衛』さらには『社会全体の防衛』につながることが期待されています」(Answers News 2021.03.01より)
 そこで、承認がおりています男性への4価ワクチン接種について補助制度を設けることを提案いたします。ご所見をお伺いいたします。

 最後に、基本構想の策定についてであります。
 区長は、招集挨拶で基本構想について述べられました。「本区の将来像として『伝統とモダンがとけあい、未来に躍進するまち~彩りあふれる、希望の都心~』を基本構想として掲げます」と。きれいなフレーズが並びますが極めて抽象的でどういうまちなのか、区民にはわからないのではないでしょうか。基本構想は区民の皆様と一緒に目指すべき将来像を示すものですので具体的であるべきです。
 そこで、区長が目指す千代田区のまちの将来像とはどういうまちなのか、そして何を実現したいのか具体的に述べていただきたいと思います。あと一点、基本構想では目標年を定めないこととしたこと、また基本計画についてはそもそも計画自体策定しないとしましたがその理由も合わせてご答弁ください。

 質問は以上であります。区長及び関係理事者の前向きなご答弁を期待しまして公明党議員団としての代表質問を終わります。
 ありがとうございました。

〈区長答弁〉

 大串議員の御質問のうち、初めに平和施策に関する御質問にお答えします。
 核兵器のない世界と恒久平和実現についてですが、現在のウクライナにおける状況を前に、改めて国際平和都市千代田区宣言の重みを実感し、恒久平和を実現するため積極的に行動する決意を新たにしました。
 この宣言の理念のもと、本区においては、毎年、次代を担う若い世代を中心に、広島、長崎、沖縄・鹿児島への平和使節団派遣、ポーランドなど海外への国際交流体験を行うなど、積極的かつ継続的に平和事業を行っております。
 今後も、平和使節団の派遣、特に今年は、特別にお招きする被爆ピアノによる夏の平和イベント、地球市民講座など、あらゆる機会を捉えて、区民の皆様の平和への行動につながるよう、さらに積極的に取組を進めてまいります。
 次に、人間の安全保障についてですが、人間一人一人に着目し、それぞれの持続可能な個人の自立とそして、社会づくりを促す考え方であり、その重要性が増していると認識しています。貧困と格差など、社会不安は暴力的紛争を生じさせます。今だからこそ、「人間の安全保障」の下、国際社会、人類同士の連帯に向けて、私たち一人一人も行動していかなければならないと考えています。このことは区が進めてきました多文化共生や、また、多様性と包摂の理念と重なるものです。
 基礎的自治体の長としては、今年初めて行った国際交流フェアなど、地域における一人一人の交流により、相互理解を深める取組を進めてまいります。
 次に、基本構想に関する御質問のうち、本区の具体的な将来像等についてお答えいたします。
 基本構想は、区の目指すべき将来像を描き、行政計画の最上位に位置づけられる理念です。特に、今日のように変化の激しい予測困難な社会においては、時代や変化により色あせることのない普遍的な将来像をお示しすることが重要であり、誰もが共感しやすい表現に努めたところです。
 基本構想の骨子案に掲げた将来のまちの姿をより具体的に表現しますと、例えば、高齢者が地域のコミュニティーやデジタル技術の活用による見守りによって、その人らしく健康に暮らすことができるまち、また、御家庭の状況に応じた多様な子育てサービスを受けられる、安心して子育てのできるまち、災害や感染症などの危機に対応できるとともに、安全で安心な生活環境が保たれたまちなどが挙げられます。今後の変化の激しい時代に、このような姿を実現するためには、効果的、効率的な行財政運営を確保することはもちろんのこと、新たな技術の積極的な活用や地域の価値向上に強みを持つ多様な主体との連携など、新たな取組にもチャレンジしていく必要があります。
 基本構想の骨子案は、こうした考え方に基づき取りまとめてきましたが、今後、区民や学識経験者で構成する懇談会などを通じて、様々な方々の御意見を伺い、多くの方が共感できる基本構想を作り上げてまいりたいと考えております。
 御理解賜りますようお願いいたします。
 なお、詳細及び他の事項につきましては、関係理事者から答弁いたします。

〈地域保健担当部長答弁〉

 大串議員の御質問のうち、「9価HPVワクチン」に関する御質問にお答えします。
 まず、9価ワクチン接種の区独自補助制度に関してです。
 区は、これまで2価と4価のHPVワクチンに関して、定期接種の対象者への情報提供、国の制度を活用した区独自の接種期間の延長、この間に自己負担で接種された方に対する償還払いを実施してまいりました。また、国の積極的勧奨再開に対して、区は相談体制など準備を整え、令和4年2月末には23区では最も早く定期接種対象者へ予診票の一斉送付を行いました。
 令和4年4月には積極的勧奨が差し控えられていた対象者に対し、2価と4価ワクチンの公費負担によるキャッチアップ接種が始まったところです。9価ワクチンは国内では令和2年7月に使用承認されましたが、定期接種の対象とはなっておらず、健康被害が生じた場合には、予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度の対象にはなりません。
 現在、厚生労働省の予防接種に関する審議会・検討部会で、9価に関する定期接種化の是非、2価、4価と比較しての有効性や安全性について議論がされているところです。そのため、現時点で任意接種の9価ワクチンを御希望の方は、全額自己負担となっておりますが、国の動向を注視し、議論の進捗に対しては速やかに対応してまいります。
 9価ワクチン接種に関する相談体制の構築については、国の動向を踏まえ、正確な情報を適切かつ迅速に入手し、保健師を中心に丁寧に寄り添った対応を行ってまいります。
また、区ホームページ、区公式LINE、広報紙等を活用し、情報発信に取り組んでまいります。
 次に、男性のHPVワクチン接種についてお答えします。
 現在、男性のHPVワクチン接種は、4価ワクチンが承認されておりますが、定期接種の対象とはなっておりません。引き続き国の審議会の検討を注視し、その動向に併せて対応してまいります。

〈文化スポーツ担当部長答弁〉

 大串議員の平和事業の御提案に関する御質問にお答えします。
 御質問の中で触れていただいたとおり、平和使節団等に参加された方々につきましては、毎年、報告書の作成とともに、報告会を行っていただいております。
 また、終了後にも、戦没者追悼式での平和への決意表明など、平和事業への御協力をいただいています。
戦後70年の平成27年には、若い世代の聞き書きによる、「未来へつなぐバトン千代田区戦争体験記録集」を発刊し、その映像記録を平和イベントで公開しました。今年は、夏の平和イベントにおいて、原爆・平和展と同時に、平和使節団のOB・OGの方々の会である、「白い鳩の会」主催の「~被爆ピアノを囲んで考えよう~へいわってすてきだね」と題するイベントが開催されます。この中で、平和使節団に参加された皆さんが体験談を語る場も企画されております。
 今後も、御提案の趣旨を踏まえ、平和使節団等の参加者をはじめ、区民の皆様の主体的な行動につながるような取組を積極的に進め、国際平和都市千代田区として世界の恒久平和に向けて広く発信してまいりますので、御理解を賜われればと存じます。

〈政策経営部長答弁〉

 大串議員の御質問のうち、初めに内部統制に関する質問にお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、自治法改正により導入された内部統制制度につきましては、業務の効率的かつ効果的遂行や、業務に関わる法令等の遵守など、内部統制の4つの目的を達成するために導入された制度でございます。その中でも、御質問の「法令等の遵守」につきましては、地方公共団体として業務を遂行する上で、基本となる重要なものであると考えてございます。
 また、御指摘の神田警察通りの道路整備に関しましては、適法な手続を経て進めてきたものと認識しておりますので、御理解のほどお願い申し上げます。
 なお、内部統制方針を定めて体制整備を行うようにとの御指摘についてでございますが、御案内のとおり、都道府県や指定都市においては制度導入が義務化されておりますが、それ以外の区市町村は努力義務とされております。
 国のガイドラインにおいても、自治体ごとの規模に応じた柔軟性ある対応を求める方針が示されていることから、各自治体においては、それぞれの状況に応じて内部統制を進めているものと認識しております。本区においては、内部統制の重要性を十分認識し、国の方針に準拠しながら、本区の実情を踏まえ、創意工夫による内部統制を整備・運用することとし、日々取り組んでいるところでございます。
 次に、区長の指揮監督による内部統制の取組と今後について、でございます。
本区においては、従前から実施してきた内部統制のための取組に加え、令和2年度から新たに区独自の3つの取組も実施しております。
 1つ目は、法令等の遵守をさらに徹底するため、各所管が作成する事務処理マニュアルなどを一覧化し、組織内への浸透を図ってございます。2つ目は、正しい事務処理方法を確認し、繰り返される定期監査での指摘事項を減少させるため、従来の対応・改善事例集による周知に加え、具体の事務作業において分かりやすく確認できるチェックリストを作成し、各職場での再発防止に努めております。3つ目は、管理監督のチェック意識の醸成のため、決裁承認者となる係長に昇任する職員を対象とした実務研修などにおいて、チェックリストの活用を徹底してございます。こうした取組により、定期監査において2年連続で受けていた指摘が、前年度に比べて7割以上も減少する効果が得られました。
 このように、内部統制の取組により、一定の効果が生まれておりますが、今後も引き続き、その効果を検証していくとともに、大串議員の御指摘を踏まえまして、他の自治体の事例なども研究し、より適正な事務執行に努めてまいります。
 次に、基本構想に関する御質問のうち、目標年次の設定等についてお答えいたします。
今後の変化が激しく、予測困難な時代における基本構想には、時代や変化により色あせることのない普遍的な将来像をお示しすることが必要であると考えております。
 こうした考えから基本構想そのものに目標年次を定めることは想定しておりませんが、具体の取組については、基本構想に掲げる将来像の実現に向け、中長期的視点での取組を進められるよう、仕組みを構築しているところでございます。
 次に、基本計画の策定についてでございますが、基本計画は、基本構想に掲げる将来像を具現化するため、中長期の施策の方向性などをお示しするものでございます。しかしながら、中長期の計画という性質上、策定時点から計画上の取組と毎年度予算に基づく具体的な取組に乖離が生じるなどの課題がございました。
 また、今後、ますます変化が激しくなることが想定される中、長期の計画では行政運営に柔軟性を欠くことが危惧され、議会の皆様からも同様の御指摘をいただくことがございました。このため基本構想では、大きなビジョンとして将来像をお示ししながら、変化に柔軟に対応できるよう、基本計画の策定にとらわれず工夫していきたいと考えてございます。具体の対応策の詳細につきましては、検討の進捗に応じて議会の皆様にも御報告し、御意見を頂戴してまいりたいと存じます。

〈再質問〉

 3点、再質問をさせていただきます。
 1点目が、例として挙げました、神田警察通りについて、法令等の遵守はどうですかという質問でした。
それについては、きちんと守っていますよという答弁、短い答弁でした。私は、これ本当にそうなのかな、ここで具体的にその一個一個について述べる時間はありませんし、述べませんけれども、しっかりと私は検証してもらいたい。このことについて、答弁いただきたいと思います。
 それから2点目に、内部統制についてですけれども、内部統制については、既に千代田区としても創意を工夫して行っていますという答弁でしたけれども、今質問でも述べましたとおり、多くの区が義務ではなくて努力となっていても、それを定めて、内部統制の体制を取って行っている。これは区民に対する、やっぱり説明責任を果たして、住民にしっかりチェックできるような体制をつくるんだということからやっているんだと思います。文京区に行ったときもやらないという理由はありませんと答えていました。ですので、再度、内部統制方針を定める意向はないのか、お伺いしたいと思います。
 それから3点目に、基本構想、基本計画ですけれども、私は変化が激しいからこそ、中長期の計画が必要なんじゃないか。もともと自治法には相互的かつ計画的な行政運営を図るべきだと書かれております。そのためには、変化が激しいから定めないんだではなくて、しっかりとした計画を私はつくっていただきたい。それが住民の皆さんと一緒に千代田区をつくっていくという基本ベースとなるわけですから、それがなくては駄目です。また進行管理もできません、PDCAサイクルも回すことができません。ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 以上3点でございます。よろしくお願いします。

〈政策経営部長答弁〉

 大串議員の再質問、3点にお答えいたします。
 まず、1点目、神田警察通りの道路整備に関しましては、この間、議会の中でも様々な御議論をいただいてきたことは承知してございます。こちらにつきましては、それらを含めて現段階では適法な手続を進めてきたものというふうに認識しているところでございますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。
 次に、内部統制方針の件でございます。
 各自治体において、様々な工夫をもって取り組んでいるというところは御答弁差し上げたところでございます。その工夫の仕方の一つとして、様々な観点から取り入れられるべきところは取り入れていくということも検討はしたいと思います。いずれにしましても、各自治体の事例などもさらに研究をして、より適正な事務執行に努めてまいりたいと存じます。
 最後に3点目、基本計画を策定していない点でございます。
 現状、単に基本計画をなくすということではなくて、基本構想の実現に向けた、毎年度の予算編成の過程で、中長期的な取組方針を示すことも考えております。御指摘いただいたPDCAを回せるというようなことも、その中で検討していきたいと思いますので、御理解いただければと存じます。
 

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