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大串 ひろやす
令和2年第2回臨時会
「虚偽の陳述及び証言拒否に対する告発」に対する質疑及び反対討論
委員会提出議案第2号 「虚偽の陳述及び証言拒否に対する告発について」に対する質疑
委員会提出議案「虚偽の陳述及び証言拒否に対する告発について」質疑を行います。
只今、提案理由の説明が委員長よりありましたがその内容について質疑いたします。
最初に、告発にいたった経緯についてであります。
「100条調査権を企画総務委員会に付与されることになったきっかけ」について2点述べられました。一つが、本年3月6日の「一部報道機関により・・・報道されたことである」としています。その内容ですが、さも、開発事業者及び販売事業者に対して事務執行上の便宜が図られ、結果として一般に販売されることのない「事業協力者住戸」を区長または家族が購入できたのではないかとの報道であります。その報道がなされたことが百条調査権を行使する理由にあげられているということはその報道が正しいことを前提にしていると思われます。そこで、何をもってその報道が正しいとしたのか、お伺いいたします。
2点目が、3月9日に行われた千代田区議会予算特区別委員会におけるその報道に関しての事実確認するため行った質疑において「事務執行上の便宜が図られた疑惑が拭いきれず」としたものです。予算特別委員会では、事務執行上の便宜が図られたのかどうか、また図ることは可能だったのかという点について集中的に議論されたと思います。そこで、「疑惑が拭いきれず」とした理由は何か、改めてお伺いいたします。
次に、「告発の事実の要旨」として述べられた偽証の陳述についてであります。
具体的には、6月16日の証人尋問の際の「自分ではなく知り合いを通じて確認した」との区長の証言が、「自己の記憶に反した虚偽の陳述」であるとしています。6月24日付けレジデンシャルからの回答書にある「確認はございませんでした」との文言のみをもって判断したであろうと思いますが、どうして「自己の記憶に反した」と断定できたのか、改めてお伺いいたします。
次に、「告発の事実の要旨」として述べられた証言の拒否についてであります。
知人の氏名を述べないことが「正当な理由がないのに」「証言を拒んだ」としています。そこで、「正当な理由がない」とする根拠は何か、お伺いいたします。
以上であります。委員長の明確な答弁をお願いいたしまして私からの質疑を終了します。
ありがとうございました。
〈百条調査委員会委員長答弁>
大串議員の質疑に対してお答えいたします。
まず、告発に至った経緯について、100条調査権を企画総務委員会に付与されることになったきっかけ、その1つとして、一部報道機関の報道を取り上げていると。これにつきましては、一部報道機関の内容、これは対象住戸が事業協力者住戸であったこと。容積率が緩和され、結果的に高さ10メートル上乗せされ60メートルで建設されたこと。その特定行政庁は千代田区長であったことなどが述べられておりました。このことについて、当委員会は100条調査権に基づく調査の中で、内容を検証し、事業協力者住戸であることが明らかとなりました。そしてまた、これにつきましては、我が区議会の木村議員から、3年間に及ぶ予算特別委員会での質疑の中から掘り下げてきたものです。その状況の中で、加えて報道からの事業協力者住戸というス
クープの中で、しっかりと我々議事機関である区議会がこのことを明らかにしていかなければならない。そういうことから進めてまいりました。
続きまして、予算特別委員会での総括質疑について、疑惑が拭い切れない、これは一体どういうことかということです。
平成27年11月7日、当該三番町マンションに関するウエルカムアンケートの販売事業者による対応内容が、記録に、「本人」、次男でございます。そしてまた、「本人の妻、お子様、お母様」、これは石川区長の夫妻でございます。「と4人で来場。Fタイプ気に入る。6階前後。11月27日までに担当者から連絡して、次回、アポ取得」と記述があり、同年11月7日付の予定価格表では、Fタイプの5階、6階、7階は一般住戸であったにもかかわらず、その僅か12日後に同年11月19日付の予定価格表でFタイプ6階住戸が、既に事業協力者住戸として表示されておりました。6月16日、区長に対する証人尋問で、一般販売に必要な登録受付と抽せんをしていなかったと証言が明らかとなりました。そこで、なぜ、この人気物件が抽せんなく区長ご家族に提供されたのか。区の事務執行が正しく行われていたのか。つまり、千代田区議会にも報告をせず日比谷エリアマネジメントに無償貸付けなど、事務執行上の便宜が図られたのではないかという疑惑が生じたからです。区長に対する証人尋問結果、今まで区議会における虚偽答弁、また本証人尋問における正当な理由のない証言拒否など、数々の問題点がこの100条に基づく調査で浮き彫りになりました。今後も100条に基づく調査で真相をしっかりと明らかにしてまいります。
告発事実の要旨についてです。
虚偽陳述について、記憶に反するとは何か、こういうご質問です。これにつきましては、提案理由説明のとおりでございますが、あえてお答えするということであれば、知り合いを通じて確認した記憶が、区長または知り合いから確認がなかったという三井不動産レジデンシャルからの回答と二律背反していたことから、虚偽と判断いたしました。
また、証言拒否についてです。これにつきましては、既に中間報告等、本会議でもやっておりますが、具体的に6月16日の証人尋問で知り合いは誰か。そうしたら区長のほうから、証人から、勘弁していただきたい。それでは委員会で計らいまして、文書で回答を求めていきます。こういうところでの計り事で終わっております。そしてまた、6月19日に照会を区長の代理人宛てに送っております。6月25日回答。そしてまた、6月30日にもまた照会をし、7月3日に回答を頂いております。回答の内容は、全てプライバシーなのでお答えできない。このことについては、自ら、はっきりと、その知人は誰で、いつ、どこで、何をどのように確認したのか、これについては隠す、答弁を拒絶する内容ではない。そう判断し証言拒否、そういうふうに判断させていただきました。
以上、大串議員に対する質疑の答弁を終了いたします。
〈再質問〉
20番大串ひろやす、再質問させていただきます。 再質問は2点であります。 最初に、一部報道機関が報道したその内容がなぜ正しいと判断できたのか。この点でございま す。 今、委員長のほうからは、そのようなスクープがありまして、その内容を検証していきますと いう答弁でございました。私は、その報道が原因として100条を付与したんであれば、それが 正しくなくてはいけない。それを調査するためにというんでは本末が転倒しているんではないか と思いますので、改めてその報道の何が正しいのか、その根拠をお示しください。 もう1点であります。それは、企画――すみません、予算特別委員会で行われた質疑、その中 で事務執行上の便宜が図られたのかどうか、その疑惑が拭い切れずとしたその理由をお示しくだ さいとしたものです。この点については私も質問させていただきましたけれども、区長がその事 務執行上の便宜を図ることができるのか、またそういうことができたのか、(ベルの音あり)議 論しました。しかし、制度上、仕組み上、それは不可能であるということがあの予算の質疑の中 では明らかになったんではないでしょうか。いま一度この点について、なぜ拭い切れずとしたの か、改めてご答弁いただければと思います。
以上でございます。
〈百条調査委委員会委員長答弁〉
まず、正しいか否か、先ほども答弁させていただいたとおり、この総合設計制度並びに地区計画、当然、三番町並びに富士見のマンションについても同様の質問を、木村議員がずっと継続的に質問してきております。その中で今回のスクープがあり、そしてまた、三井不動産レジデンシャルからは、度重なる回答の中で、ここは事業協力者住戸として説明をした、こう、回答書を頂いております。間違いなく、この一部報道機関からの内容につきましては、100条調査権をもって調査を進めたからこそ明らかになったことだと私は確信しております。そしてまた、何で拭い切れないのか、このことについては、なぜ事業協力者住戸だったのか、これが確定したというこの前提であれば、間違いなく、あっせん利得に近いものがあるんではないか。それは何だったのか。民間も、ただではそういう対応はしません。そして、その中から起こってくるのが、例えば今回の尋問でも明らかになったとおり、富士見のマンションでは転売益が7,000万、そして日比谷エリアマネジメントにつきましては、土地だけで225億、そしていつの間にはそこに上積みしている建物30億が、区の所有になっておりました。場合によっては、固定資産税が、行政でございますので、かからない。こういうことを、一つ一つ丁寧に、これから調べていく。そしてまた、様々な分かっていることをこれが正しいということについて分かってから調べるものではない。100条調査権をもって、間違いなくこの事業協力者住戸であることが判明したことが皆さんにご理解いただける、区民にご理解いただける内容と、私は確信しております。
以上です。
委員会提出議案「虚偽の陳述及び証言拒否に対する告発について」反対討論
委員会提出議案「虚偽の陳述及び証言拒否に対する告発について」反対の立場から討論を行います。
まず、私たち公明党議員団の立場を明確にしておきたいと思います。
本年、3月11日の第一回定例会本会議において「総合設計制度の調査に関する決議」、いわゆる100条調査権を企画総務委員会に委任することの議案ですが、採決する際、私たち公明党議員団は本会議を退席し採決に加わりませんでした。その理由を申し上げます。
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100条調査権の行使にあたっては慎重であるべき
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石川区長自らが説明責任を果たすべき
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今は、新型コロナ対策に集中すべき
との3点であります。このことは私たち公明党議員団の立場であるからです。
さて、100条調査権の行使についてであります。
その権限が強大であるだけに特に慎重でなくてはならないということは皆さんもご存じの通りですが、確認のため「議員必携」(全国町村議会議長編 第11次改訂新版)からその部分を引用させていただきます。「強制力を伴う強力な権限であることからその発動に当たっては、政争の具に供したり、個人的秘密に及んだり、個人攻撃の手段に利用されたりすることがないように慎重を期すべきである。運用に当たっては、特に次の諸点に留意されなければならない。
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議員個人の権限ではなく、議会の権限であること。
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この権限を発動するに当たっては、特別の強権発動であるから、質疑、質問、資料の要求、検査権、監査請求の行使等の手段を十分に尽くした上で判断すべきであること
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個人の基本的人権やプライバシーに属する事項については特段の慎重な配慮をすること。
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議会の調査権は、犯罪捜査や検察機関の捜査とは異質のものであることを十分留意しること。
と。
また、同様の趣旨から権限の濫用を防止するため「調査の限界」も定められています。項目のみご紹介いたします。第一法規の議員ナビからです。
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目的上の制約による限界
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司法権との関係による限界
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検察権との関係による限界
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執行機関との関係による限界
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基本的人権との関係による限界
の5点であります。
以上の点を踏まえ、この度の議案について反対である理由を述べます。
その第一に、経緯として述べられたこの度の100条調査は、慎重さを欠き行使に当たっての留意点を逸脱するものであるということです。
議案の説明では「100条調査権を付与することになったきっかけ」について述べられました。100条調査権を付与することになった理由として、最初に本年3月6日に一部報道機関が報道したことであるとしました。その内容とは、被告発人が家族と共有名義で所有しているマンションが一般には販売されることのない「事業協力者住戸」であったこと。そしてそのマンションの建設に際し、総合設計制度を利用しマンションの高さを10メートル上乗せできたが、その特定行政庁が千代田区長であったとするものです。
そして、二点目は、3月9日の千代田区議会予算特別委員会総括質疑において、この報道の事実確認を行ったが、「開発事業者及び販売事業者に対して事務執行上の便宜が図られた疑惑が拭いきれない」からだとしています。
100条調査権を行使する理由としては、はなはだ疑問があります。それは、その報道が確かな根拠に基づくものではなく憶測によるものであること。そして3月9日の総括質疑ではその報道をもとに質疑が行われましたので報道が正しいとして質問した側としては「疑惑は拭いきれない」となるのはいわば当然だったといえます。そして、そのことをもって100条調査権の行使の理由としているからです。
憶測による報道やその報道に基づく疑惑があるからと100条調査権を行使することは先ほどの強権だけに慎重に、また行使に当たっての留意点から明らかに逸脱するものです。さらに、100条調査権を行使するためには調査の対象となる事件を特定することまた調査の範囲を明確にすることができず、「目的上の制約による限界」を超えてしまいます。現に今回の100条調査の目的には「総合設計制度及び地区計画制度に係る事項」とあるのみで、調査の範囲が広すぎて包括的と言わざるを得ません。包括的な調査はできないとする「目的上の制約の限界」を明らかに超えるものです。
以上、最初に、そもそもこの度の100条調査は、慎重さに欠けるものでありまた行使に当たっての留意点を逸脱するものであること、そして「目的上の制約の限界」を超えるものであることを指摘させていただきます。
次に、虚偽の陳述についてであります。
具体的には、6月16日の証人尋問の際、区長が述べた「知り合いを通じて確認した」との証言が、自己の記憶に反した虚偽の陳述であり偽証にあたるとするものです。質疑でも確認しましたがレジデンシャル側からの「確認はありませんでした」との回答書の一言をもって「記憶に反した」と断定するには無理があるのではないか。(「悪魔の立証」と言われる「なかったことの証明」を)レジデンシャル側からも「ありませんでした」とする詳細かつ合理的な説明がない限り、レジデンシャル側からの回答が正しいと断定することはできないからであります。よって、現段階において虚偽の陳述であるとは断定できません。
次に、証言拒否についてであります。
具体的には、同じく証人尋問の際の区長が述べた「その知り合いは誰かということは勘弁していただきたい」と陳述したことが、「正当な理由がないのに証言を拒んだ」としています。尋問では「勘弁していただきたい」と陳述した際、委員長は「いや、その事業者って、あなたは答えているから、それが知り合いということについて、これは答えられない、それで書類についても提出できない。証言拒否。もしくはそれについては、そういう扱いの中で、今日はとどめるしかないですよ」と、その後、確認する質問をせず容認し、証言を拒否するか否かが明確になっていません。また、その後の文書照会をもってこれを証言拒否と断定するのは法理上無理であるとされます。文書照会と証言は明らかに異なり、照会に応じないことが証言拒否とは言えないからであります。よって、証言拒否と断定することはできません。
以上、委員会提出議案「虚偽の陳述及び証言拒否に対する告発について」反対の立場から、この度の100条調査権の行使がいかに慎重さを欠き、また行使に当たっての留意点を逸脱しているのか。そして、虚偽の陳述ともまた証言拒否とも断定できないことを述べさせていただきました。
今一度今回の100条調査権の行使はどうだったのかを考えていただき、提案された告発するという議案を是非否決していただくよう心からお願いし反対討論を終わります。
ありがとうございました。