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真心の伝わる政治を!
大串 ひろやす
平成13年第4回定例会
情報化の進め方について
〈質問通告〉
情報化の進め方について
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情報化推進のためのビジョン、戦略について
〈質問と答弁の全文〉
平成13年第4回定例会にあたり公明党区議団の一員として一般質問させて頂きます。
私は区の情報化(電子化)について質問させて頂きます。IT支援ということでは11年第3回定例会で「SOHO支援について」また12年第1回定例会においては「中小企業におけるIT支援」と「地域コミュニティ支援」ということで取り上げさせていただきました。それから現在にいたるまでの情報化、ITの普及のスピードはまた目を見張るものがあります。少し数字的にみてみますと通信白書によれば11年のインターネット利用者は2706万人だったそうですが12年ではなんと4708万人に達し利用者の人口普及率は1年間で21.4%から37.1%にまで上昇しました。世帯への普及率も19.1%から34%となりました。さらに今年に入ってからの通信料金の大幅下落で常時接続で高速のADSLなどは利用者が急増しています。料金を比較すると1年前あれほどアメリカとの格差があるといっていたものがこの10月現在では日本の方が若干安いくらいにまでなったそうです。NTTの高速通信加入者の今年9月までの数字は年初16000回線だったものがこの9月には920000回線を超えてきています。これからすると今年の新規利用者も全体では着実に増えていると予想できます。来年にはこれらの通信状態の安定性も増すといわれていますので新規加入者には喜ばしいことです。総務省予測では4年後の17年には利用者数は7670万人を予測しています。私も議員になって始めてパソコンを使い始めましたのでまだ全くの初心者です。いろいろな方にアドバイスも頂きご迷惑もおかけしてしておりますが今は始めてよかったと感謝しています。
さて私は最近言われている電子自治体また情報化とはどういうことなのか、ちょっと漠然としたところがありましたが先日あるフォーラムに参加させていただきその重要さとすばらしさを改めて認識できました。そして区としての情報化、電子化とはどういうものなのか。もっとイメージをつかみたいと2つの先進自治体、市川市と岩手県滝沢村への視察、そして民間ですが電子政府デモスペ-スへ行って参りました。相談支援システム等実際に体験してみてITによって住民の方が行政サービスをこのように利用できればすばらしい。またサービスそのものも住民のニーズがどこにあって困っていることはなにかが行政としてもリアルタイムで把握できることから変わってくるであろうし、組織のあり方も変わるかもと実感しました。先進自治体といわれるところが情報化にも熱心に取り組んでいるのも納得できました。
さて森前首相のとき「世界最先端のIT国家」を目標とすIT基本法が昨年11月に成立しました。ここでは国として高度情報通信ネットワーク社会を目指す目的、基本理念、基本方針がうたわれています。さらにそれを5年以内に具体化すべく今年3月にはe-Japan戦略が発表されました。同じ3月に東京都でも15年度までを目標とした電子都庁推進計画を発表しました。また11年8月から改正住民基本台帳法が順次施行され来年8月より全国の自治体で住民基本台帳ネットワークシステム(通称住基ネットワーク)を稼動させることとなりました。そして15年度までには総合行政ネットワークシステムも区市町村で接続が見こまれています。
そこで、このような変化の激しくなっていくなか、まず区として何のための情報化またはIT化かまたどう進めていくのか、区民の皆様に明らかにする必要があると思います。「情報化推進計画」または「IT戦略プラン」というような明確なビジョン、戦略を自ら作成していくことは必要ではないでしょうか。
昨日の自民党代表質問に対して情報化指針を策定中であるとの区長答弁もありました。決して国からまたは都から言われて義務的に作成するようなものではあってはなりません。そうでなければこれからの区の情報化は失敗してしまうでしょう。なぜならこれは住民のサービスのことでありまた地域のことだからです。横須賀市の廣川課長はIT戦略は地域戦略だ、決してITだけの話しではなく、地域全体をどうやって振興していけるのかという大きな戦略が求められている、またそのためには企業、国の研究所、教育機関、市役所がチームを組んで戦略を検討し実際にプロジェクトも動かしています。と語っています。決して横須賀市をまねる必要はありませんが地域戦略ということでは千代田区は全国どこの自治体よりも多くのコンテンツがあります。たとえば秋葉原の電気街、またリナックスカフェは12月オープンですし、そして神保町古書店街などはその代表でしょう。またソフト系IT産業も増えています。昨年度におけるこれら会社の昨年度における増加率では23区中、千代田区は港区に次いで第2位となっています。さらに産官学民の連携を考えるとなると千代田区が一番ではないでしょうか。まさに地域としてまた区としては無限の可能性を秘めたIT戦略を作ることが出来ると思います。単なる庁内だけの問題とは全く異なります。
情報化をすすめ電子自治体となると何が変わるのか。日本総合研究所の井熊氏は「2003年電子自治体ITが進化させる公共サービスの将来像」という講演の中でいくつか指摘されていますが私はその中でも特に「行政と住民」との関係という点からは次ぎの3点が非常に参考になると思いますのでちょっと紹介させて頂きます。まず1点目はこう述べられています「行政には『補完性の原則』というものがあります。これは住民に一番近い行政機関である区市町村がまず最初に公共サービスを行い、区市町村ができないところは都道府県が補いさらに国が補うという仕組みです。ですからそもそも構造としては行政サービスは住民を向いて行われるということです。ところが予算や政策という面では国の力が非常に強いのも日本の特徴です。そうして政策を実行する場合国の意思決定が都道府県に行き区市町村に行きという流れにある。IT化はそのような流れを住民の側からという流れに変えてしまうということになります。上意下達から顧客指向へ大きく変わる可能性があるということです。」と。この点は三重県の北川知事もよく「官が面倒をみる『管理型行政』から顧客指向の『経営型行政』へというこ とと同じだと思います。
2点目にはこう述べられています。「サービス指向の流れができるということも特徴です。ITでどういうサービスを提供していくのか。またどう提供するのかということに目が向けられます。日本の行財政の仕組みはハードよりにできていますが、このITによりサービス指向にならざるを得ない。」と。全く私もかくある電子自治体を目指すべきと考えます。またそういう情報化にしていくべきと思います。自治体として現行のサービスをただIT化するのではなく新しいITがインフラとなる社会に対応した新しい行政サービスを創造していかなければならりません。これまでの行政サービスは「提供者主体=行政主体」のモデルであり申請窓口などのように「来るものは拒まず、去るものは追わず」利用者の方からサービスや情報に向かう仕組みになっています。しかしITを利用することにより行政サービスや情報の方が住民=利用者に合わせていく「利用者主体=住民主体」の行政サービスが可能となります。
3点目には「さらに組織のあり方も変えてくれます。米国商務省のレポート『デジタルエコノミー2000』の中で「IT化の成果はヒエラルキーの強い組織、あまり柔軟ではない組織では効果を発揮できなかった。」という報告がなされています。顧客指向で柔軟にサービスを提供していくために組織そのものが柔軟である。それが大事だ。」と、この点については先日の新聞記事に「住民サービス向上に組織を大幅に見なおす自治体が増えている」と紹介されていました。そこには静岡県、広島県、三重県、福島県とならんでいましたがいずれの自治体も情報化に熱心なところばかりですが偶然ではないでしょう。より効率的な行政運営につながって行きます。
以上情報化により目指すべき方向はIT戦略は地域戦略である。上意下達の管理型行政から顧客中心の経営型行政へ。またサービス指向、これは提供者主体行政主体から利用者主体区民主体へ。そして縦割り組織から柔軟な組織へ。これらの4点は情報化を自治体自らが主体的にまた産官学民の連携を持って取り組むことによって実現できることだと思います。
現在各自治体で情報化に対する取り組みは差があるのも事実です。先進的な自治体は明確なビジョンと戦略のもとすでに走り出しています。そこでこれらの点を踏まえ最初に区の情報推進計画またはプランはどういうものを考えられているのか。リーダーシップを発揮される区長にお伺いします。
次ぎに、今年度より実施していますIT講習について、現時点での成果とそれを受けての今後の施策についてお伺いします。
4日間のコースなど日程にはいくつかのパターンがあるようですが参加された方々は皆さん喜ばれています。引き続きパソコンを習いたいがどうしたらいいか。習ったことを利用したいので土日学校などで空いているパソコンを貸して頂けないか。ご夫婦そろって習い始めいいきっかけが出来ました。等反響は大であります。総務省の発表によれば全国でこの9月までの状況として開設講座数161000講座、受講者数266万人、応募者数394万人で倍率は1.28倍だそうです。特に女性と高齢者の割合が高くなっています。この講習の主旨は全国民がIT革命の恩恵を平等に受けられるためにとスタートしました。ある自治体ではIT講習とは別に高齢者向けに講師としてボランティアの方の協力を得て教室を開いています。また他の自治体では障害者向けに講座を持っているところもあります。IT講習の現在まで区としてどのような成果があったのか。また今後の施策についてお伺いします。
最後に住基ネットワークシステムについお伺いします。このシステムが稼動することにより住民票を全国どこの区市町村でも希望者には交付される住民基本台帳カード、通称住基カードによる申請ができ受け取ることができるようになります。来年8月稼動、また住民基本台帳カードは15年8月からとなっています。今まで住んでいるところの役所でしか申請できなかった、また受け取ることもできなかったものがこれからはサービスのいいところを選択し交付を受ければ良くなります。待たされたり、すいませんと声をかけないと応対してもらえないという事はこれでなくなるかもしれません。別に今の戸籍課のことを言っているのではありませんので。競争によりサービスの向上が図られるというほど大げさではありませんが、今後ICカードに広域的なサービスが入るようにでもなれば住民票と同じようなことが言えます。今まで自治体でこのような競争はなかっただけに一つのきっかけになればと思います。また住基カードはICチップが入るもので大変多くの容量があります。基本4情報、つまり氏名、住所、年齢、性別の他は全く空きますのでそれをどう使うかは国で決めるのではなく地域である各自治体に任されています。このICカードの高いセキュリティ機能と大容量のデータ蓄積機能を利用して活用を図るものです。現在区役所の出しているカードは印鑑証明を受け取る際に必要となるカードがありますがめったに使わないためいざ使おうというときはどこにいったかわからないという状態です。これは私だけでしょうか。あとは団体登録カードですがこれも各施設ごとにカードを作らねばならず利用する方は大変です。何とか一回で手続きが済まないかとの声も寄せられています。今回のICカードの特徴にサービスを後から追加することができるようになっています。このことをアプリケーションの追加と言うそうです。よって当然ですが安全性も考慮したうえでどういう情報、そしてサービスを付加するのか、またサービスによっては広域の方がいいものと区単独の方がいい、というようなこともあります。そういったことを産官学民で知恵を出し合って決めるのも良いかと思います。いずれにしても主体的に取り組まねば失敗します。
そこで現在までの住基ネットワークシステムの現状はどうなっているのか、ICカードの利用方法、または方向でも結構ですがお伺いします。
以上区の情報化についてビジョン、戦略を示すこと。IT講習の成果と今後、さらに当面する課題として住基ネットワークシステムの現状を問いました。区長並びに関係理事者の前向きな答弁を期待し私の質問を終わります。ありがとうございました。
〈区長答弁〉
大串議員のご質問のうち、区の情報化推進計画についてのご質問にお答えいたします。
こうした問題について、国や都よりも積極的に取り組むべきである、あるいはこの情報化について、ご指摘のようにお客様志向、サービス志向という観点から取り組むべきであるし、こうしたことが情報化の大きなねらいであるというご指摘は全く同感であります。 お話にもございましたように、区市町村は基礎的な自治体でございます。最も住民に身近な団体であります。そして、直接間接を問わず、たくさんの行政サービスを市民の方に提供させていただいているわけでございます。これは国や都とは基本的に違うわけでございます。私は、区政はサービス業というふうに申し上げてまいっております。そうしたことを考えますと、この情報化というものを最も必要な立場が私は区市町村であると思っております。
当然、情報化という観点のときに、何といいましても、サービス業として区民の皆様方の利便性、満足ができるような形でこの情報化というものを行っていくことだろうと思います。私は多分、この情報化というシステムが導入されるならば、正に区民とサービスを提供する行政とがリアルタイムでつながる、そうしたことになってまいるわけでございますから、当然組織のあり方、そして仕事のやり方、そうしたことが抜本的に変わっていかなきゃいけないし、変わるべきだろうと。例えば書類一つとってみても、本当にそれが区民の皆様方にとって必要なのかと。あるいは仕事のやり方、そうしたものをこの情報化という中できちっととらえて、システムを構築していかなきゃならないと思います。これは、国や東京都というよりも、全く基礎的自治体こそ積極的に取り組むべきものだろうと思います。
たまたま住基ネット、住基カードというものが連動はいたしますけれども、むしろこうしたことをきっかけにして、本質的にサービスとはそもそも何ぞやというところまで、原点に返ってこの情報化というものをとらえて、仕組みをつくっていく必要があると思います。昨日も情報化の例で幾つか申し上げましたので割愛をさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、今こうした観点に立って、千代田区の情報化に向けての指針を検討しておりますが、この指針を踏まえて具体的な計画を今後早急につくってまいりたいと思っております。多分、将来的には「電子自治体・千代田区」と、そうした状況が実現をされてくるのではないかというふうに思っております。
なお、その他の事項につきましては関係理事者をもって答弁いたさせます。
〈企画部長答弁〉
大串議員のIT講習の成果と今後の施策についてのご質問にお答え申し上げます。
区では今年度、IT利用に向けた区民の皆様の「きっかけづくり」を目的といたしまして、既に本年10月末までで77回のIT講習を実施し、約1,400名の方々に受講をしていただきました。現在、3期分の講習を行っておりますが、最終的には2,000名を超える方々の受講をいただけるものと見込んでおります。
これまで受講された方々のうち6割前後が、インターネット及び電子メールについて「よくわかった」とお答えをいただいております。さらに上のレベルの技能を習得したいという方々については、今後、既存施設等を活用して、パソコンに触れることができる場の提供などの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〈地域振興部長答弁〉
大串議員のご質問のうち、住民基本台帳ネットワークシステムについてお答えいたします。住民基本台帳ネットワークシステムの進捗状況に関しましては、法に定められた平成14年8月の本人確認情報の利用開始に向けて、住民基本台帳ネットワークシステムに対応できるシステム開発の準備を進めております。併せて、今後公表される国のセキュリティ基準を参考に、あるいは全庁的な情報管理安全対策要綱などとの整合性を図りながら、仮称ですが「千代田区住民基本台帳ネットワークシステム・セキュリティ規程」を整備する予定でございます。
また、住基カードに関しましては、今後、区における他のサービス提供での利用方法も含め、議員のご意見のご趣旨も踏まえながら幅広く検討し、平成15年8月からのカード利用開始に支障のないよう備えたいと考えております。
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