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令和3年第2回定例会

1.認知症施策について  2.改定都市計画マスタープランについて

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質問通告

1.認知症施策について

  • 千代田区の認知症施策推進にあたっての基本的な考え方を問う。

  • 千代田区版「認知症とともに生きる希望条例」の制定を提案する。所見は。

  • ノーマライゼーションという視点から改めて福祉や住まいに関する施策を見直しては。

  • 具体的施策について

2.改定都市計画マスタープランについて

  • 改めて、都市計画マスタープランの改定にあたっての基本的な考え方は。

  • これまで進めてきた都市計画について何を反省し何を評価したのか。それを踏まえ、今回の計画で目指したものは何か、また特徴は何か。

質問の全文

 令和3年第2回定例会にあたり公明党議員団を代表して質問を行います。
 質問は、一つは認知症施策について、認知症に対する見方・考え方が大きく変わったことを確認し、そのことを踏まえた上で区の認知症施策はいかにあるべきかを問います。二点目は、この度、都市計画マスタープランが改定となりましたので改めてプランで目指したものは何かを問うものです。
 最初に認知症施策についてであります。

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 これは厚労省のホームページからですが認知症の人の将来推計です。2025年には700万人に達し、高齢者の5人に1人という割合になると予想しています。この度のコロナでさらに加速しているかもしれません。千代田区では65歳以上の高齢者数は約11,100人ですが、認知症の方の人数把握は介護認定の際行ったものしかありませんが、約1,300人となっています。介護の認定を受けていなくても認知症の方はいらっしゃいますし、軽度認知症の方も含めると実際はかなり多くなるものと思います。
 認知症になることが悪いとか、減らさなくてはいけないということではありません。ただ、認知症に対する見方・考え方をそのままにして、2025年を迎えることはできないということです。
 世田谷区は昨年の10月「認知症とともに生きる希望条例」を施行いたしました。条例の前文にはこう書かれています。「今日、認知症に対する見方が大きく変わってきています。認知症になると『何もわからなくなってしまう』という考え方が一般的でしたが、認知症になってからも暮らしていく上で全ての記憶を失うのではなく、本人の意思や感情は豊かに備わっていることが明らかになってきており、尊厳と希望を持って『自分らしく生きる』ことが可能です。世田谷区は、自分らしく地域でともに生きていくことができる環境を整え、区に住んできた人を含め子どもから大人までの全ての区民が、現在及び将来にわたって認知症とともに生きる意識を高め、その備えをし、『一人ひとりの希望を及び権利が尊重され、ともに安心して自分らしく暮らせるまち、せたがや』を目指してこの条例を制定します」と。すなわち、一つは今までの誤った認知症観の転換を、もう一点は、認知症となっても人としての尊厳をもって地域で当たり前に生活できることを目指しこの条例を制定するとしました。ノーマライゼーションという言葉はありませんが意味するところは同じでありそれを権利として保障したこと、大変画期的であり、まさに希望の条例であります。
 本来であれば世田谷区へ視察にお伺いし直接お話を聞きたいところでしたが残念ながらコロナで叶いません。事務局を通しての書面による調査となりました。調査項目としては、①条例制定に至った経緯、②条例の特長について、③条例により期待される効果の3点としました。世田谷区の担当課長には忙しい中、丁寧に回答していただきました。ここに感謝申し上げます。
 条例の特徴についてです。

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 回答いただいた文書には、「『希望条例』という言葉(に)は、法令用語の枠に止まらずこれまでの社会に残っていた認知症に対する差別・偏見を取り払い、認知症の本人が尊厳をもって地域で暮らすことができるように、という「思い」を込めており、本人の視点を重視し、本人の参画を得て作りあげた条例で」すとまず述べた上で、スクリーンの通り4つの視点を特長としてあげられました。
特に、1番と4番であります。
 1番目に今までの誤った認知症観の転換を。4番目には、認知症とともに今を生きる本人の「希望」と、自分らしく人として当たり前の暮らしを大切にする(本人の意思・権利(人権)の尊重)と。両方とも前文に書かれたように大きな特徴であります。
 最初に世田谷区の「認知症とともに生きる希望条例」についてご紹介させていただきました。
 もう一つ、ご紹介したいことがあります。(報告書の現物を提示)これは平成16年ですから今から17年前になりますが、当時の保健福祉文教委員会として富山市のデイケアハウス「このゆびとーまれ」などを視察した際の報告書です。

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 元議長の戸張さんが委員長、小枝議員が副委員長でした。「このゆびとーまれ」について報告書にはこうあります。「キーワードは小規模多機能。民家を利用し少人数の定員で、高齢者・身体障害者・知的障害者・心身障害児・乳児に対して同じ施設で同時にサービスを提供する。共生社会の実現が理念となっている」と。
 また、スクリーンにあるように理事長の惣万佳代子氏から説明を受けました。その後の質疑応答で、Q「縦割りの福祉行政の中で、それを打破したことが評価されていますが」との問いに、A「『このゆびとーまれ』も法律的には、高齢者のデイサービスや知的障害者のデイサービスなど7つのデイサービスが必要となっている。いまだに他の県では富山型をつくるのなら、玄関を5か所つくりなさい、部屋は7つに区切りなさい、利用者が混ざったらだめだという。そういう県の担当者には、『あなたに障害児が生まれたら、もう一つ玄関をつくるのですか』と質問する」と。さらに、「本来のノーマライゼーションは(中略)一人ひとりを人間として尊敬すること、たまたま障害を持っているだけ、たまたま痴呆(認知症)になっただけで、何も区別する必要はない」と。とても大事な指摘であり、私達には貴重なアドバイスとなりました。千代田区議会としてこのような視察ができたこと誇りに思います。
 その後、「このゆびとーまれ」の取り組みは2012年11月30日放送のNHKクローズアップ現代でも紹介されました。「老婦人は認知症で、しかも癌の末期。でも赤ちゃんがはいはいしてくると笑みがこぼれます。点滴するときは、子どもたちが代わる代わる手を握ります。食事もサジで少しずつ潰して口に運びます。(中略)「医療」でなく「生活」で、人と人のつながりで認知症の人を支えるこの活動は「共生型」と名付けられて制度にも取り入れられ」ました、と。(「認知症~5つの誤解を生みだした歴史~ジャーナリストの立場から~の第9回 大熊由紀子」より)
 なお、理事長の惣万佳代子氏に対して、2015年、赤十字国際委員会ナイチンゲール記章選考委員会から世界最高の記章であるフローレンス・ナイチンゲール記章が授与されました。
 世田谷区の希望条例とまたその淵源と言ってもいいでしょう「このゆびとーまれ」の取り組みを紹介させていただきました。この二つに共通することは多くありました。誤った認知症観の転換、ノーマライゼーションという考え方、本人の意思の尊重(本人の視点)、そして人と人のつながりを大切にすることなどであります。是非千代田区の今後の認知症施策に生かしてまいりたいと思います。
 そこで、区長に今後の千代田区における認知症施策推進にあたっての基本的な考え方をお伺いいたします。また、(仮称)「千代田区認知症とともに生きる希望条例」の制定を提案いたします。ご所見をお伺いいたします。
 次に、ノーマライゼーションの視点からの福祉や住まいに関する施策の見直しについてであります。

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 ノーマライゼーションの定義としては「障害があっても障害のない人と同様に住み慣れた地域で当たり前に(普通に)暮らすこと」(介護職員初任者研修SAKURA SAKUYOより)とされています。
日本では、平成23年にようやくこのノーマライゼーションの考え方が、障害者基本法が改正され第一条の目的及び第三条の理念に明記されることとなりました。読み上げませんがスクリーンで示した通りです。当然、惣万さんのお話しにもありましたように認知症の方でも同様であります。国においては「認知症基本法案」の1日も早い成立を望むものです。
 このノーマライゼーションという理念を実現するためにバリアフリーがありユニバーサルデザインがあります。改めて認知症の方にとってのバリアフリーとは何か、またユニバーサルデザインとは何かを本人の視点から考えていく必要があります。例えば、イギリスのスターリング大学認知症サービス開発センターが作成した「認知症にやさしいデザイン」があります。

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 福岡市ではそのスターリング大学の協力を得て昨年の3月「認知症の人にもやさしいデザインの手引き」を作成しました。色の組み合わせ、サインと目印の活用、明るさの調節、親しみや安心感への配慮、安全な屋外 空間の5つの視点からなっています。とてもすばらしい取り組みで大いに参考としていきたいと思います。(
区としては現在、自宅で安心安全に暮らしていくための福祉住環境整備事業があり、一つは介護予防としての住宅改修給付事業です。対象は65歳以上の方であんしんセンターの職員の方が調査をし、改修が必要と認めた方となっています。手すりの取り付け、段差の解消、引き戸等への扉の取り換えなどです。もう一つは要介護者の自立支援設備改修事業です。こちらは65歳以上で要支援・要介護であること、そして福祉環境アドバイザーの調査の結果必要と認めた方となっています。浴槽の取り換え、階段昇降機やホームエレベーターの設置、IHクッキングヒーターの購入などとなっています。
 高齢になれば介護予防であれ、自立支援であれ、自宅で生活を継続するためにはどうしても必要な改修はでてきます。この事業は介護保険制度のスタートともにできましたのですでに20年以上が経過します。改修のメニューはその都度更新しているそうですが、ノーマライゼーションの視点から二つの事業を一つにまとめ、給付の要件については要支援・要介護の条件をはずし65歳以上で、本人との面談そして福祉環境アドバイザーの調査の結果必要と認めた方としてはどうでしょうか。認知症の方は発症してもすぐには介護とはならない方もいます。しかし、「備え」は必要だからであります。そして、千代田区でも「認知症にやさしいデザイン」ができたときはそのデザインに準ずる改修も対象に加えてはどうでしょうか。
 ノーマライゼーションという考え方が法にも明記され、認知症の方のためのバリアフリーやユニバーサルデザインを考える必要があることについて述べさせていただきました。
 そこで、ノーマライゼーションという視点から改めて福祉や住まいに関する施策について総点検すること、また、千代田区版の「認知症の人にやさしいデザイン」の作成を提案したします。そして、福祉住環境整備の介護予防と自立支援からなる二つの事業を統一することを提案いたします。合わせてご答弁をお願いいたします。
 次に、認知症に関する具体的施策についてであります。
 一つは、今年度改訂が予定されています認知症ケアの手引きです。いわゆる認知症ケアパスであります。
 現在のケアパスは「こんな対応があるとうれしいです」というつくりになっています。どちらかというと認知症の方は支援する対象として支援者側の視点から作られていますが、もっと本人の視点を大事にして作成してはどうでしょうか。例えば、本人が読まれたときに落ち込んでしまうような表記は改め、本人が主体的に発信でき活動もできるような取り組みなどをわかりやすく示すことです。本人も家族も読まれて勇気が出て、希望がもてるケアパスの改訂をお願いしたいと思います。
 二点目は、早期発見・早期対応につなげる工夫についてであります。
 現在、区独自の取り組みとして「心と体の健やかチェック」があります。65歳以上で要支援・要介護の認定を受けていないすべての方に郵送して送り返してもらうというものです。75歳以上の方で、返ってこなかった方には連絡して看護師の方が訪問します。この事業のおかげで早期発見につながったという方はスタートした平成25年度からの累計で54人となっているそうです。すばらしい取り組みで大いに評価しています。
早期発見の方法として、認知症検診いわゆる物忘れ検診の実施を提案いたします。検診できる医療機関が限られること、そしてまだまだ検診をうけることを拒む方が多いことなどありますが、述べましたように認知症に対する見方や考え方が大きく変わってきていること、早期発見・早期対応が重要であることが世界的に明らかとなっていること、そして東京都も検診に対する補助を2019年度より開始したことなどから、千代田区としても実施に向けて早急に検討すべきではないでしょうか。
 三点目に、本人が主体的に発信し活動できる場、また本人や家族が交流できる場についてであります。
 現在、コロナにより認知症カフェはかがやきプラザのひだまりホールにて感染防止策をしっかり行いながら実施しています。また、

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 本人ミーティング「実桜の会」と言いますが、セブンアンドアイ・フードシステムズさんのご協力により月に一回、麹町地域はデニーズ二番町店にて、神田地域はデニーズ神田小川町店にて行っています。そこには認知症地域支援推進委員、精神保健福祉士、ソーシャルワーカー、ジロールのスタッフの方なども参加してくれています。
​ これらの取り組みは、本人や家族が集まり、支え合いながら前向きに生きていくための場でもあります。(本人ミーティングは家族の参加はありません)とても良い取り組みですので今後とも拡充していければと思います。取り組みの目的や趣旨をより周知に努めれば新たに協力したいという方や企業もあるかもしれません。また私も参加してみようという本人やご家族の方もいらっしゃると思います。
 さらにもう一歩発展させて本人や家族の方がいつでも主体的に発信し活動できる拠点をつくることができたら素晴らしことだと思います。是非検討していただきたいと思います。
四点目は、認知症の方が地域で尊厳と希望をもって暮らしていけるよう後押しができる体制についてであります。
 制度としては、身近なあんしんセンターに認知症地域支援推進委員の方がいて日常の活動の中で人と人のつながりを大切にした支援を行ってくれています。そして場合によっては医師や看護師などによる初期集中支援チームへつなげてくれています。
 この地域の体制として提案があります。
 麹町、神田それぞれに認知症の方が在宅で生活ができるよう支援することを目的とする認知症施設ジロールがあります。ご自宅を訪問してのケア、またデイやショートを利用してもらい在宅で生活していけるようあくまで認知症の方の意思を尊重しながら支援してくれています。大変すばらしいことであります。今後、ジロールの持っている質の高いノウハウや知識を地域全体としてどう生かし現在つながっていない認知症も主体的にまた普通に生活していけるようにできるのか、施設とも協議してはどうでしょうか。地域資源の活用であります。
 認知症に関する具体的な施策について4点提案させていただきました。それぞれにご所見をお伺いいたします。
 次に、いよいよ改定となりました都市計画マスタープランについてであります。
 20年前に策定された前マスタープランでは、「経済効率を優先した都市開発により定住人口は激減」と危機感を示しました。いわゆる無秩序な開発であります。そのことに対し、「将来像」としては「機能性や効率性、経済を重視するまちづくりからゆとりや快適性など生活の質を重視するまちづくりへの転換を進め、心の豊かさを実感できるまち」としたのです。そして、ハード偏重でなはなくまちなみやにぎわいのある市街地、またコミュニティなどソフト面に重きをおいたことがプランの特長でした。
 そして、この度の都市計画マスタープランであります。
 課題としては、
 一点目が、高経年の集合住宅の適切な更新・再生が必要であること。(P.5)
 二点目として、コミュニティの希薄化と界隈の個性が失われていることをあげました。(P.5)このことについてはどうしてそうなってしまったのかという理由をもう少し述べてもよかったと思います。理由を明確にした上で初めて次のビジョンが描けるからであります。
 都市のあり方としてのビジョンをどう描くのか、目的の項には、「生活のビジョン」を示すとあります。そして「将来像」には「つながる都心」と書かれ、随所に「つながる」というフレーズが出てきます。生活のビジョンとして人と人がつながること、つまり人と人との関係性を大切にした生活をビジョンとして示し、そのことを基本としたまちづくりを進めますと。結果として目標とした生活の質(QOL)の向上も、また課題としたコミュニティの形成や界隈の個性の維持や復活もできることを示したことが今回のマスタープランであろうと、私はそう理解しました。
 そこで、改めて区長に今回の都市計画マスタープランの改訂にあたっての基本的な考え方をお伺いします。また、前都市マスについて何を反省し、何を評価したのか、さらにそれを踏まえて今回のプランで目指したものは何か、特徴とともにお答えください。
 最後に提案があります。
 今後、区民のまちづくりのよりどころとなる都市計画マスタープランでありますが、プラン全体ではかなりのボリュームがあり、また専門用語も多くなっています。都市計画の専門家以外の方にはちょっと難しいのではと思います。区民に親しまれるまちづくり読本となるよう工夫が必要かと思います。参考となるのは、戦後間もない昭和23年に都市計画家である石川栄耀氏が著した「私たちの都市計画の話」があります。中学校教科書の副読本ともなりました。石川栄耀氏はこう述べています。「子どもにお話しすることを忘れていた私は、なんという手抜かりをしていた事でしょう。それに第一、子どもこそ明日の日本の建設者です」と。
 概要版もすでに作成してあるわけですが、石川氏が言うように中学生にお話しするように、よりわかりやすい概要版を作成し持ち運びができるような冊子にすることを提案いたします。ご所見をお伺いします。

 質問は以上であります。区長並びに関係理事者の前向きなご答弁を期待申し上げまして私たち公明党議員団の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。


区長答弁

 大串議員の区の認知症施策についての御質問にお答えいたします。
 超高齢社会を迎え、今日では認知症は誰もがなりうる身近なものですが、認知症に対する漠然とした不安や恐れを抱く人が少なくありません。認知症対策は高齢者福祉、介護の最重要課題であり、認知症になっても住み慣れた街で安心して暮らし続けることができる地域づくりを進めなければならないと考えています。
 千代田区は介護保険制度が始まった当初から、安心して暮らし続けられる千代田を目指しており、今年3月に策定しました千代田区高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画でも重点事項として支え合える地域づくりを掲げました。
 議員御指摘のとおり、認知症施策の充実は急務であります。地域住民、事業者、行政が連携して認知症を正しく知り、理解し、認知症高齢者に寄り添い、支えることができ、また、認知症高齢者御本人が人としての尊厳を持って、自分らしく暮らしていける地域共生社会の実現を目指してまいります。
 御提案の認知症施策を推進するための条例制定は、制定のみをゴールとするのではなく、まず制定のプロセスにおいて多くの人が関わり、議論することが重要であると考えます。具体の施策推進と合わせて検討してまいります。
 なお、詳細及び他の事項につきましては、関係理事者から答弁いたします。

保健福祉部長答弁

 大串議員の区の認知症施策についての御質問に、区長答弁を補足してお答えをいたします。
 まず、ノーマライゼーションという視点からの福祉や住まいに関する施策の見直しについてです。
 介護保険制度と同時に開始した高齢者福祉住環境整備事業では、介護予防・自立支援の観点から住宅改修等が必要と認められる方を対象とする介護予防住宅改修等給付と、要支援・要介護の認定を受けている方を対象とする自立支援設備改修等給付があり、いずれも御自宅へ福祉住環境アドバイザー等が訪問して適切な改修を行っております。また、制度開始以降、高齢者の生活状況、ニーズに合わせて住宅の改修や給付の項目の追加、給付上限額の変更など、適時、事業内容の見直しを行ってまいりました。
 今後、議員が御紹介された事例も参考に、認知症高齢者本人にとってのバリアフリーやノーマライゼーションの視点を取り入れるとともに、住み慣れた場所でいきいきと暮らし続けられるよう、事業の改善・サービス向上に努めてまいります。
 次に、認知症に関する施策についてです。
 区ではこれまで国が示した認知症施策推進総合戦略、いわゆる新オレンジプランを踏まえて認知症高齢者にやさしい地域づくりに取り組んでまいりました。今年3月に策定した千代田区高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画では、平成30年度に示された認知症施策大綱を踏まえて、認知症の方や家族の視点を重視し、共生と予防を両輪とした施策を推進する方向性を示しました。
 具体的な認知症施策として、今年度中に認知症ケアパスの改定を予定しておりますが、議員御指摘の認知症高齢者御本人や家族の視点を踏まえた内容も取り入れてまいります。
 また、認知症高齢者の早期発見は、適切な支援や対応を進めるために重要でございます。
 そこで、千代田区独自の取組である郵送調査こころとからだのすこやかチェックを活用し、訪問看護師による訪問調査を行うほか、見守り相談窓口事業によるアウトリーチ型の事業や初期集中支援チームによる支援などとの連携により、ハイリスク高齢者の発掘と支援を行ってまいります。認知機能の低下を把握する機会については、後期高齢者がかかりつけ医で受診する長寿検診において、認知に関する質問項目を含めたフレイル検査を行っています。
 今後は、フレイルチェック事業の活用を検討するなど充実を図りながら、認知症高齢者の早期発見・支援に取り組んでまいります。さらに、認知症高齢者御本人が主体的に活動・発信できる機会や、認知症力フェなどを通じて御本人、家族と支援者が交流できる場は、本人意思を支援や施策に反映していく上で大変重要です。
コロナ禍により様々な制約がありますが、区では認知症カフェや家族会の支援、認知症の当事者が参加する本人ミーティングを実施しております。昨年度はセブンアンドアイ・フードシステムズと連携して開催したデニーズでの本人ミーティングが軌道に乗り、外出と交流が楽しめると好評を博すとともに、開催店舗が区内外に広がるなど、新たな地域連携も進んでおります。
 一方、民間機関による取組として、議員御指摘のジロール麹町や三井記念病院が地域の方を広く対象とした認知症カフェを開催しております。こうした地域での取組との連携や企業等の参加を促しながら、今後も多様な地域資源を活用した場の拡充に取り組んでまいります。
 これらを一例とした様々な施策を総合的に行い、誰もが認知症とともに地域で人としての尊厳と希望を持って暮らしていける地域共生社会づくりを進めてまいります。

計画担当部長答弁

 大串議員の都市計画マスタープランに関する御質問にお答えします。
 初めに、改定の基本的な考え方ですが、江戸以来の歴史に積み上げられた豊かな都市環境と高度な都市機能を守り、次世代につなげるという基本理念を継承しながら、現下の新型コロナ感染症や首都直下地震、地球温暖化に伴う気候危機、少子・高齢化の進展、経済の活力の低下など様々なリスクに的確に対応できるまちづくりを進めるということでございます。
 また、未来に向け、デジタル技術を基軸に、防災、エネルギーなど様々な分野のイノベーションを都市に実装し、多様な知恵と力をつなげて、都心生活の質(QOL)を豊かすることを目指すものでございます。
次に、これまでの評価、反省を踏まえた特徴等についてでございますが、旧マスタープランにおきましても、景観まちづくりの推進など、ゆとりや快適性などの生活の質を重視し、心の豊かさを実感できるまちづくりを目指してまいりました。
 一方で、人口4万人を割るまさに自治体存亡の危機からの脱却を目指し、住機能の確保、向上に懸命に取り組む中で、結果として、住戸数や公開空地の面積など、都市空間の量的拡大に重きが置かれたのではないかということがございます。もちろん、かねてより、都市をつくるだけではなく、良好な維持、管理、活用に取り組んできたところでございますが、今後はつくった都市の価値や持続可能性を高めるための良質なマネジメントにより重心を置くべきであると考えてございます。また、こうしたまちづくりにより、実現すべき都市の将来像をつながる都心と示しております。
 これは、人とモノ・情報がつながる豊かなネットワーク社会であり、人と自然がつながる持続可能な社会であり、そして、議員御指摘のとおり、人と人、人と社会がつながる共生社会を目指すものでございます。
 続いて、概要版の作成についてですが、本編はまさに都市計画の基本的な方針として今後の都市計画の決定、変更のよりどころであり、都市構造、戦略的にまちづくりを進める地域、テーマ別の方針、地域別のまちづくりの方向性など詳細、かつ専門的な内容を盛り込む必要があることから、大部になってございます。一方で、区民の皆様の関心を高め、手に取っていたくためには、議員御指摘のとおり、端的な記載、デザイン等の工夫が必要になります。
 今後、現在の概要版のみならず、時代を担う若い世代にも分かりやすいものとなるように努めるとともに、動画やSNSなども活用しながら周知を深めてまいります。

再質問

 一点、ございます。
 質問では新しい都市計画マスタープランの目的のところに、都心生活のビジョンを示しますと書きました。
私は、生活のビジョンを示すというのはこういうことではないんですかというふうに、質問で申し上げました。答弁では、もうちょっと生活のビジョンとはこういうものだというようなものをお答えしていただきたい。人と物、人と自然、人と人、人と社会というお話がありましたけれども、生活のビジョンということからするとどういうことなのか、もう少し分かりやすく説明していただきたいと思います。
 以上でございます。

計画担当部長答弁

 大串議員の再質問にお答えいたします。
 議員御指摘をいただきましたけれども、やはり旧マスタープランの課題の中で地域コミュニティの活力の低下や地域のかいわいの創出ということがございました。
 そういったものを、先ほど申し上げました将来像、人と人、人と社会、人と物、そういったものが多様につながり、過去と未来、そういった時間軸を通じたつながりを創出する中で、地域の個性を維持・発揮し、魅力を創出しながら住んでいても楽しく、訪れても快適な居心地のいいまちづくりを進めるということを一つの生活のビジョンというふうにしたものと認識しております。



 

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