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平成14年第1回定例会

​まちづくりの仕組みについて

〈質問通告〉
 

  1. 都市計画マスタープランについて

  2. 具体的まちづくりの仕組みについて

  3. 地域発意のボランティアやNPOの支援策について



〈質問と答弁の全文〉

 平成14年第1回定例会に於いて公明党区議団の一員として一般質問させていただきます。
 最初に先日の区長の区政運営の所信について私の感想を述べさせていただきます。この度、区として財政に関係の情報を区民の皆様に示すことが出来ました。このことは、予算編成方針に「区民の方の施策の選択に資するものとしていく」とあるように多くの新たな施策の提案を示し選択をしていただく際、是非とも必要な情報であります。今後の厳しい日本の経済情勢また区の財政構造を考えるときなぜ、どう財政が厳しいのか、また将来はどうなるのかという不安を抱かれている区民の方々に財務情報を示し説明していくことは非常に重要なことです。私もかねてより主張してきたことで大変評価のできることだと思います。さらに縦割りを廃し区民にとってのサービス重視の体制、組織への見直し、また行政評価制度の導入と経営のマネジメントサイクルの確立、そして顧客満足度で計る成果重視の区政へと決意を述べられました。これらの区政運営の基本については、自治体としても先駆的な運営となり区民にとって真に必要なサービスの実現につながっていくものと確信しています。

 さて、私はまちづくりの仕組みについて3点質問させていただきます。
 20世紀後半の50年間、東京は一貫して人口の増加と経済の拡大のなかで都市づくりが行われてきました。どういう都市づくりかというと戦後の日本社会全体が経済最優先の歴史であったように、都市づくりも例外ではありませんでした。そこには文化とか環境とかコミュニティという発想、視点は欠けていたと言ってもいいでしょう。バブル時代にそのつけは回り都心においては虫食い状態のまちとなってしまいました。今後は大幅な経済成長は望めず財政的な裏づけは乏しく都市づくりの財源は厳しくなっています。従前のいわゆる行政主導の都市づくりの発想を延長するだけでは解決が図れなくなっているのも現実です。今や行政、住民、企業、NPOやボランティアなど多様な主体が連携し参加することによりまちづくりを行う時代になったのではないでしょうか。都市づくりはまさに50年ぶりの大きな転換期にきたと思います。
 そこで、私はまず都市計画法が大きく変わったことを指摘し、まちづくりの将来像、目標について触れておきたいと思います。
 平成12年4月に地方分権がスタートし特別区も「基礎的な地方公共団体」として位置づけられ特別区の自主性、自立性が強化されましたが、それに合わせ都市計画法も平成12年より大幅に改正となりました。都市計画法は昭和43年に制定されてより昭和55年の地区計画制度の創設、平成4年の市町村マスタープランの創設と改正が行われてきました。さらにこの度大幅改正となりましたがポイントは大きく三つあると思います。
 一つは地方公共団体の行う都市計画に関する事務が自治事務となったことであります。つまり国とか都からの指示で行うのではなく自らの仕事として行うこととなりました。自治事務になったことから条例制定領域が拡大し、最近まちづくり条例を定めようと検討する自治体が多くなったのもそのためだと思います。
 二点目は都市計画を決定するに当たっては区市町村が中心的な主体となることと改正されました。よって地区計画決定も都から区に大幅に権限が移譲されました。
 そして3点目は、都市計画法の第3条に「地方公共団体は、都市の住民に対し都市計画に関する知識の普及、及び情報の提供に努めねばならない」という項目が新たに追加されたことであります。この項目は今後のまちづくりを進めていく上で住民参加という点で特に重要な項目だと思います。私もそうですが都市計画法と聞いただけで難しいと思ってしまい、自分たちには関係ないことと、遠ざかってしまいがちです。先日、あるまちづくりフォーラムに行ってきましたが、20歳の学生がパネリストとして話されていました。「なぜまちづくりに興味を持てなかったか、それはまちづくりのイメージがわからない。利害関係者だけが参加すればいいというくらいのイメージしかなかった。」と。彼は成人式の実行役員も勤めた青年ですが、彼をしてそうなのですから若い人達のまちづくりに対する関心度がわかります。「まちづくりはもっと身近なものになりました。」と、住民参加の促進をすすめるため、地方公共団体は広く情報提供しなさいという内容が加わったことはきわめて大事で都市政策が経済優先から住民のための政策へと大きく方向転換したことを意味するものではないでしょうか。これらの改正は、区市町村が地域の住民と一緒になって地域の特性に応じたまちづくりを行う上から必要な法改正となりました。 次にまちづくりを進める上での将来像、目標についてですが、これは各区市町村で都市計画マスタープランとして定められています。計画は概ね20年先を展望したものとなっています。
 当然ですが基本構想とリンクされておりまちづくりの目標となるものです。本区でもそれ以前にありました(昭和62年に作られましたが)「まちづくり方針」の見直しも踏まえ平成7年よりマスタープラン作成の作業に入り平成10年3月に策定されました。区民に大変わかりやすく書かれ、各分野の目標と方針が示され、住民、企業、行政がそのためにどう取り組むのかも明確であります。さらに住民参加によるまちづくりのフローチャートもついています。そこには、「1.問題点をみつけよう。2.どんなまちにしたいか考えよう。3.地域で話し合おう。行動しよう。4.ルールを決めよう。計画を作ろう。5.実現しよう。」の5段階のプロセスとなっています。さらに具体的成果の指標まで示され他区にもなかなかない優れたマスタープランとなっています。
 地方分権もあり都市計画法の改正もありました。また石川区長になり新たな基本構想もできました。このような時、まちづくりの将来像、目標を区民に明確に示すということはきわめて大事であります。そこで最初に区長にこの都市計画マスタープランと今後のまちづくりについての所見をお伺いします。

 次にマスタープランに示されたまちづくりの目標を実現するためにはどうしたらいいのか。私たちのまち、地域を良くしていくためには具体的にどうしたらいいのでしょうか。法制度面で変わったといっても具体的にはどうなのか。単に行政の仕事にとどまるのではなく、行政、住民、企業、NPOやボランティアなど多様な主体がまちを愛し、考え、ともにささえていく時代になったことは述べました。これらの主体が積極的な参加と連携により進めていくこととなります。地域の住民の声がどう形になっていくのかは国土交通省のホームページに問答形式により説明されています。「ぼくたちの意見も聞いてくれるかな」の問いに答えて「都市計画についての法律のなかには多くのメニューが用意されており、例えば学校の近くに特に静かな環境を確保するときのように、地方の判断で特別の制限を決めることも可能です。住民の皆様とも議論しながらこうした仕組みを使いこなして地域に最もふさわしい都市計画を定めていくわけです。」と。また「都市計画の中でも身近なまちづくりのために定められている地区計画については住民の皆様で話し合って市役所などにその策定を要請することも出来ます。」とわかりやすく紹介されています。このように住民の発意から多様な主体の連携のもと、地区計画の策定をもとめることも今回可能となりました。ずいぶんまちづくりが制度上身近になりました。そのような今こそ、区として具体的なまちづくりの仕組みをつくるときだと思います。
 千代田区としては今まで公社を中心にまちづくりを進めてきました。まちのなかへ積極的に入っていき地域住民の声をくみあげ今まで6つの地域で千代田区型地区計画として決定をみました。そこにはコーディネーター役として大変な努力があったことも聞いています。
 平成15年度より「地区計画」は公社から区が担当することとなります。組織もこの4月より都市整備部は「まちづくり推進部」と名称も変わります。住民との徹底した対話は公社だからある意味できた部分もあり今後職員という身分でどこまでできるのかという不安もあれば期待するところもあります。
 そこで身近なまちづくりの具体的仕組みとして区はどのようなものを考えておられるのかお伺いします。

 まちづくりについては法整備もでき、目標も明確になり、具体的まちづくりの仕組みが大事だ、ということは述べましたが、最初から地区計画とはいかなくとも、地域の小さな発意からとでもいいましょうか、住民自ら起こしたまちづくりもあります。それは公社が育ててきたまちづくりサポート事業です。一つの例として花咲かじいさんというグループを紹介させていただきます。JR飯田橋駅から南へ伸びる早稲田通りには色とりどりのパンジーの花がきれいに咲いています。3日には桜草にかわるそうです。ガードレールに設置された花かごは150個になります。花は季節ごとに植え替えられ役700メートルの商店街は、いつも花でいっぱいとなっています。そのグループの代表の女性の方は「住み慣れた地域を花でいっぱいにしたい。そして花を通して心豊かなふれあいのまちを作っていきたい。」と話されていました。「花咲かじいさん」の特色は、地域に根ざした運動を展開されていることで、富士見小学校との総合学習を通しての交流もあります。また花かごを設置したお店や家の方に里親になってもらい水やりなどのお世話をお願いしています。花かごを設置して2年たちますがまちには思いもしなかった変化が生まれました。それは放置自転車やごみが減ったことです。こうも語っておられました。「残念なことですが、吸殻や空き缶を平気でかごに捨てる心ない人もまだいます。ただこれまで私たち住民もポイ捨てを見過ごし、ごみの処理は行政任せにしてきたと思います。しかし小さな命と多くの人が関わりあうようになって意識が変わりました。ごみを捨てさせない。気がついたらごみを片付ける。自分たちがまちのために何が出来るかを考えるようになりました。」と。ちょっと長くなりましたが花を通しての立派なまちづくりとなっている例といえます。そして今回区長挨拶にもありました道路、公園のアダプトシステム(里親制度)として拡大することができました。他にも多くのこうしたボランティア、あるいはNPOが千代田区には活動しています。地域のそうした活動がまちづくりにつながっていくと思います。
 そこで、これら地域の発意ともいえるボランティア、NPOの活動を育みつなげていけるような区として支援策を最後にお伺いします。

 以上3点、まちづくりの目標であるマスタープランと今後のまちづくりについて、また具体的まちづくりの仕組みについて、そしてボランティア、NPOをどう育てていくのかについて質問しました。区長並びに関係理事者の明快な答弁を期待し私の質問を終わります。

(参考 区のビデオ264番に花さかじいさんが紹介されました。下記をクリックして下さい。)
http://www.city.chiyoda.tokyo.jp/video/video.htm


〈区長答弁〉

 大串議員のまちづくりに関しますご質問にお答えをいたします。
 ただいま、まちづくりに関しますいろいろな貴重なお話をいただいたわけでございますが、私自身も、まちづくりというのは単にハードということだけを考えるべきではなく、やはりソフトと申しますか、どうやったらこの地域がそこに住み、働く人にとってより良い地域になるかと言うことを地域で大いに議論をし、そしてつくり上げていく。それが時には都市計画という手法になったり、あるいはもっと違う考え方でまとまったりすることが往々にあります。正に私はそういう過程が一番大切なんだろうと思います。その仕組みの中で最も、いま申し上げましたことの中心的な仕組みが地区計画制度だろうと思います。これは大変一定の地域で合意形成をするのには時間がかかります。しかし、そのことは、ある面ではその地域の方がたが自分たちのまちをどうするかという大変ご熱心な議論になり、そしてある面ではそのことが大変まちづくりに私は有効だろうと思います。
 あるいは、お話のように、今回アダプト制度といいう里親制度を提案させていただきましたが、これもハードというよりも、むしろ地域全体が出来るだけ自らの手で、そこにお住まいになっている方、あるいは働いている方等々によってより良い環境を作っていくという、そういう行動なり考え方を持っていただきたい。あるいは持つべきであるということの一環としてアダプトという考え方を出させていただきました。これは、将来的には公園だとかそういうところにまで広がっていかなければいけないし、広げていくべきであろうと思っております。
 ご質問の中での都市計画マスタープランにかかわる部分についてお答えを申し上げます。
 千代田区の都市計画マスタープランは、街づくり懇談会や街づくり協議会、都市計画審議会等で検討を重ね、さらに説明会、シンポジュームの開催など、正に区民参画のもとに平成10年3月につくられたものでありまして、内容的には、千代田区の地域別の将来像や都市の基本的な骨格をうたったものであることはご案内のとおりであります。
 昨年の第一回定例会におきまして、私は住宅と業務、商業活動が共存・調和したまちづくり、あるいは区民や就業者にとっても安全で災害に強いまちづくりなど、5つの観点から、昨年の第一回定例会でまちづくりを進めていく所信を申し上げたところでありまして、これも区の都市計画のマスタープランの将来像の実現ということを念頭において、こうした考え方を申し上げたわけでございます。
 さらに 、このたびの三次の基本構想及び基本計画においても、今後のまちづくりの基本的方向や具体的施策を明らかにしたわけでございますが、これも今までつくられた都市計画マスタープランと言うものを十分踏まえ、そして、この千代田区がより一層都心の魅力にあふれたまちづくりになるように考えたものでございます。
 一方では、今年度この千代田区の土地や建物にかかわります現況調査を、と申しますか基礎的な調査を実施してまいりました。そうしたことを踏まえまして、今後の土地利用のあり方につきましても、地域の方がたのご意見を頂戴しながら、さらに調査を進めて、考え方をまとめるということになろうかと思います。
 詳細につきましては関係理事者をもって答弁をいたさせますので、よろしくお願いも申し上げます。

〈都市整備部長答弁〉

 ただいま大串議員からまちづくりの仕組みなどに関する質問をいただきまいたけれども、その中で触れられたもろもろの点、区長も申し上げましたけれども、私も強く同感するものであります。ハードだけでなく、まちづくりというのは人間関係づくり、ネットワークづくり、それがあって初めてまちづくりだと思っております。これからもそうしたまちづくりを進めていきたいと思っております。
 具体的な質問にお答えいたしますが、まず最初に、まちづくりの具体的仕組みについてですが、まちづくりは地域住民、行政、企業、NPOなどが互いに協力しあって進めていくものであり、そのための第一歩は、まちづくりを身近なものにすることであると考えております。そこで現在区では、都市計画審議会に公募区民を入れたり、一般の方がたの傍聴が出来るようにするなどまちづくりへの区民参画を推進してきたところであります。今後さらに地域の特性を生かしたまちづくりを進めていくため、地域の方が自由に参加できるワークショップの活用などを図ることも考えております。
 また地方分権により区が主体的に都市計画を決定することができる範囲が拡大したことによりまして、地域特性に応じたよりきめ細かな都市計画が可能となりました。例えば中神田中央地区の地区計画は、地域の発意や特性を踏まえ、弾力的な制度の運用を図り策定されております。今後とも地域の方がたとお話し合いをしながら、それぞれのに地域のふさわしい地区計画など、まちづくりのルールづくりを進めていきたいと考えております。
 次に、小さな発意を育みつなげていくための支援策についてでありますが、ご指摘の通り地域からの意見や発想をくみ取る方法を充実させることは大切であると考えております。例えば街づくり推進公社が進めているまちづくりサポート事業を契機として、地元のNPO組織が立ち上げた東松下町のコーポラティブハウスの建設においては、私どもの建築物共同化住宅整備促進事業、いわゆるミニ優良、これによる助成を行うとともに、街づくり推進公社におきましても、事業参加者の募集の支援を行っております。
 また、来年度からまちづくりに関連した新たなホームページを開設する予定でありますがその中に意見欄を設けるなど検討してまいりたいと考えております。
 今後とも地域住民とともに、きめ細かなまちづくりを進め、魅力あふれる千代田を目指してまいります。

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