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平成29年第1回定例会

真の循環型社会を目指して! 

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OECD報告書「Extended Shared Producer Responsibility」(分担された責任)を掲げて

〈質問通告〉

区長の5期目のスタートにあたり
真の循環型社会を目指して!

  • ごみの減量へ基本的な考え方は

  • 3R特に2Rの推進をどう行っていくのか

  • 集団回収について

  • 食品ロス削減について

〈質問の全文〉


 平成29年第一回定例会にあたり、公明党議員団を代表して質問を行います。
 最初に、区長の5期目のスタートにあたり一点お伺いします。
 区長は、4期目のスタートとなる平成25年第一回定例会の招集挨拶にて目指すべき目標を明確にされました。現代社会の人間関係が希薄になっていることに危機感を表明し、①コミュニティの形成と②障がいがある人もない人もすべての人がお互いを理解し認め合う多様性の重視、そして③参画と協働、いわば地域の自治の拡充を目標として掲げられ、これらを総称して「豊かな地域社会の実現」としました。時宜にかなったすばらしい目標であります。この度の区長選挙ではこの目標に対してどこまで実現できたのか。また、これからの4年間で目指すべき目標を示し、その上で区民に信を問うのが選挙であると思います。マスコミの注目度は高く代理戦争や都議選の前哨戦と報じられ、あっという間に終わってしまったように感じます。本来の区民のための首長選挙はできたのかと正直残念に思っております。
 そこで、5期目のスタートにあたり、改めてこの「豊かな地域社会」はどこまで実現できたのか。また今期目指すべき目標とは何か、お伺いします。

 次に、循環型社会を目指し、ごみの減量についてであります。
 「『私たちが欲しいのは中身だけ』ほんの30年~40年前にはリユース瓶が使われ、ごみは少なく質も全く違っていました。1980年代から使い捨て容器が増え続けその回収、選別、保管などに多額の税金が使われるようになりました。その費用は製品価格に内部化し、買って使う人が負担する仕組みに変えて、税金は本来の目的である福祉・医療や子育て支援・教育などに使えるようにしたい」この言葉は、京都で行われた「2R推進フォーラム」(容器包装の3Rを進める全国ネットワーク主催)で、ある講師の方が「さよなら大量リサイクル、こんにちは2Rな暮らし」と題し話された時の言葉です。重要な指摘であり私も同感です。このような問題認識を持ちごみの減量に関する質問を行います。
 ごみの減量をいかに行うかは、①「拡大生産者責任」の考え方と②生産者、消費者、自治体それぞれの「役割分担」を正しく理解することにつきると言っても過言ではありません。最初にその説明から入りたいと思います。
 まず、「拡大生産者責任」についてです。
(図1を表示して)

図1.jpg

図1

 生産者責任とは、生産過程における責任と消費過程における責任があります。生産過程における責任とは、「汚染者負担の原則」があります。これは1972年にOECD勧告もありました。公害防止費用ないし除去費用は汚染者たる企業が負担するという原則です。消費過程における責任は「製造物責任法」通称PL法が確立され ています。消費過程において製品の欠陥のために消費者が被害にあった場合、生産者が責任を取るという原則です。ここまでは日本も含め世界共通のルール、世界基準となっています。問題はここから先にあります。廃棄過程のここまで生産者責任があるとするのが拡大生産者責任です。つまり、生産過程から廃棄過程までのあらゆる環境影響に対して生産者に責任があるという考え方です。公害防止費用や除去費用を企業が負担するのと同様に廃棄過程における費用は生産者の負担とするものです。その費用は製品価格に上乗せされ最終的には消費者の負担となります。企業は上乗せ分となる費用をできるだけ低くしたいので廃棄物となった時の処理のし易さ、リサイクルのし易さを考えて製品をつくるようになります。発生抑制のカギをにぎるものです。
 ドイツでは、1991年に「包装廃棄物政令」が制定され回収、リサイクルを生産者の負担で行うことを義務づけました。「拡大生産者責任」を世界で初めて実現した例 であります。フランスでは1992年に「包装廃棄物政令」が成立しました。EUとしては1994年に「拡大生産者責任」検討プロジェクトが設置され、廃棄費用は製品価格に上乗せされるべきとされました。
 この点、日本では、廃棄過程の負担は生産者ではなく自治体が担いその財源は税金でまかなうことが原則とされてきたのです。これでは生産者は廃棄のことはまったく考えることなく安く生産できるものをいくらでも生産することになります。例えば、1997年に容器包装リサイクル法ができましたがペットボトルの生産量は2.5倍~3倍に増えました。これは回収、運搬、保管を自治体負担(リサイクルを事業者負担)と法律に明記されることとなったからではないでしょうか。(事業者の負担はトータル費用の15%くらいでしかありません)家電リサイクル法も1998年に制定されましたが、リサイクル費用は消費者が排出時に別途支払うというものです。製品価格への上乗せとはなりませんでした。これでは生産者の自助努力が働きませんし逆に不法投棄を招いてしまいます。
 事業者が廃棄となった製品を引き取るのだからこれらの法律をもって、日本でも拡大生産者責任ができているという意見がありますが明らかに間違っています。唯一、車だけは別です。最初から製品価格に含まれており廃車となればメーカーが回収するから実現しています。(自動車リサイクル法)以上が、「拡大生産者責任」です。
 もう一つ、「役割分担」についても正しく理解しておかねばなりません。
 OECDからの報告書「Extended and Shared Producer Responsibility」1998 (現物を提示して)「分担された責任」これがその報告書です。日本語版がないのが非常に残念です。(図2を表示して)この中で「拡大生産者責任」で規定されている「責任」については二つのカテゴリーに分けてきちんと説明がなされています。
1)金銭的な責任 廃棄物の回収・処理に関する費用を始めとする「環境コスト」の負担に関する責任

  • 生産者・・廃棄物の回収・処理に関するコストを価格に含める形で「環境コスト」を負担する責任

  • 消費者・・製品の購入を通して「環境コスト」を負担する責任

2)物理的な責任 製品の製造から販売、使用、排出、処理にいたる過程での責任で、生産者、消費者、政府・地方自治体に課せられます。

  • 生産者・・製品のライフサイクル全般において環境負荷の低減を図る責任

  • 消費者・・分別回収に協力する責任

  • 政府・地方自治体・・「拡大生産者責任」を実現させるための社会整備を行う責任

 以上が、役割分担についての説明です。
 この点、日本の「役割分担」はどうなっているのか。循環型社会形成推進基本法の第4条にあります。そこには「国、地方公共団体、事業者及び国民に適正な役割分担の下に講じられ、かつ当該措置に要する費用がこれらの者により適正かつ公平に負担されることにより行われねばならない」とされ、役割分担が費用負担の話になってしまっています。OECD報告書に示された役割分担とは異なっていることがわかります。
 世界基準としての「拡大生産者責任」と「役割分担」について最初に説明させていただきました。
 実は、「拡大生産者責任」と同じ考え方をドイツやOECDよりもずっと早くから指摘されていた方が、すでに平成16年に亡くなられていますが元沼津市長の井手敏彦氏です。井手氏は昭和48年から昭和53年まで沼津市長を務められました。日本で初めてごみの分別、いわゆる沼津方式を始めらました。「分ければ資源、混ぜればごみ」の標語もこの時生まれたものです。ました。井手氏は生産者の責任について当時こう述べられています。「いわゆる公害問題に関しては『PPP』汚染者負担の原則が当然のこととされるが、この原則は企業による公害処理の負担が最終的に消費者価格に上乗せされることを拒否していないのである。ごみ処理あるいはリサイクル費用も同じように汚染者負担の原則を貫くことが必要である」(「井手敏彦選集」P.37より)と。「井手氏は、ごみ問題の根源は処理のことを考えない生産にあるんだということをリサイクルを始められてまもなく指摘され」ていたのです。 これはまさに拡大生産者責任と同じ意味でああります。
 井手氏が市長の時、一緒に清掃業務にあたっていた職員の方が今も再雇用として働いておられることを知り、沼津市クリーンセンターを訪問し当時のお話を直接聞くことができました。会えて本当に良かったと思います。
 さて、千代田区のごみの現状です。ごみの量は年約10万トンで事業系が9割、家庭系が1割となっているのが特徴です。また、家庭系ごみの約6割が容器包装類となっています。
 大都市東京としてごみの減量は喫緊の大きな課題であります。センターオブ東京としての千代田区がどう舵を切るのか。オリンピック・パラリンピックを前にして、ごみの減量へ確かな道筋を示す絶好の機会だと思います。幸いにして第3次の千代田区一般破棄物処理計画「(環境モデル都市)資源循環型社会の構築に向けて」が現在見直し作業中であります。平成32年度までの計画ですのでちょうどオリンピック・パラリンピック開催年までの計画となります。企業の本社も集中し大学も集中しています。事業系のごみが大半を占める千代田区としてはこれらの叡智を結集し、今申し上げました「「拡大生産者責任」と「役割分担」を正しく踏まえた取り組み方について提案していただくのもこの時必要なことと考えます。
 提案ですが、29年度からの4年間をごみ減量強化期間と銘打ち、減量への道筋、方針を明確にして取り組まれてはどうでしょうか。
 そこで、区長に改めて区としてのごみ減量への道筋、方針について基本的な考え方をお伺いします。

 次に、3Rの推進についてであります。
 ごみの減量と資源化を促進するための具体策として3Rがあります。
 3Rとは、まず減らす(リデュース)、次に繰り返し使う再使用(リユース)、そして資源に戻して利用する再生利用(リサイクル)のことで、その順に優先順位があり特にリデュース、リユースの2Rが大事とされます。
 区の一般廃棄物処理計画「資源循環型社会の構築に向けて」では、3R推進について、生産、流通、販売事業者の取り組みと私たち消費者のライフサイクルの変革が必要であるとし、以下の具体策を上げています。

  1. 「拡大生産者責任」の考え方に基づいて法整備を行うよう国に求めること

  2. 生産者、流通業者に対して環境に配慮した製品の製造・販売・簡易包装などについて協力を求めていくこと

  3. 床面積1000㎡以上の事業用建築物へのごみ減量やリサイクルについての普及啓発、指導と優良事業所の表彰

  4. 環境教育

  5. 過剰包装を断ることまたリユース食器の利用促進

  6. マイバック、マイカップ(マイボトル)、マイ箸の利用促進(千代田エコシステム推進協議会が行っていました)

などです。いずれも大事な取り組みです。
 より実効性あるものとするためには皆が参加し取り組める運動が必要です。そこで提案ですが、千代田エコシステム推進協議会とも連携し、「すぐできる2R」または「はじめよう2R」などネーミングも考えキャンペーンとして推進してはどうでしょうか。具体的には、

  1. レジ袋はできるだけ使わずマイバックへ(レジ袋の有料化、スーパーではすでに実施) 

  2. リユース食器、リユース瓶の利用を

  3. ペットボトルからマイボトル、マイカップへ

  4. 食品ロスはなくそう

  5. ペットボトルは店頭回収へ(これはリサイクルですので2Rとは異なりますが)

であります。この他、2Rについて「こういう取り組みもあります」など例を募集するのも良いと思います。
 そこで、区として3Rの推進、特に2Rの推進についてどのように行っていくのかお伺いします。また、提案しましたキャンペーンでの2R推進についても合わせてご所見をお伺いいたします。

 次に資源の集団回収についてであります。
 全国どこでも規模の大小はあっても資源の集団回収は行われています。千代田区での集団回収は平成24年時点で町会が27件、マンション等の団体が39件で計66団体であり、翌平成25年は計78団体と徐々に増えてきています。資源の回収においては行政回収と集団回収の2ルートがあるということです。二つのルートはあってよいのですが、どちらを主とし、どちらを補完とするかです。それぞれのメリットと課題また「拡大生産者責任」と「役割分担」を踏まえた上で改めて整理してみてはどうでしょうか。
 23区では唯一荒川区が集団回収をメインに行っています。一つの町会を残してすべてが集団回収となっています。公明党議員団として昨年完成した荒川区リサイクルセンターを訪問しお話をお伺いしました。集団回収のメリットとしては、
団体としては

  1. リサイクル意識が高まり資源の分別やごみ出しのマナーが良くなる

  2. 資源の持ち去り被害が減少する

  3. 力を合わせて資源の回収に取り組むことで住民同士の結びつきが強まる。コミュニティの形成です。

  4. 報酬や回収支援金を使って団体活動が活発になる(例えば町会では基礎額60000万円+世帯割額180円×世帯数であるとのことです)

区としてのメリットは

  1. より分別が徹底され質の良い多くの資源が集まりごみも減量される

  2. 資源回収事業の費用が削減できる

などを上げられています。
 一方、課題については

  1. 担い手の高齢化

  2. 資源の保管場所の確保が難しい

  3. 行政回収と比較して拠点数や回収日などの面から参加しにくい

  4. 集団回収の目的やルールを各団体に説明し十分な理解を得るとともに各団体が情報や意見交換のできる場を設ける必要がある

などです。(平成14年 荒川区清掃審議会からの答申より)
 以上のようなメリットと課題はたぶん千代田区でも同様になるかと思います。千代田区ならではの課題とメリットとしては、課題としては町会に入っている小規模事業所の参加をどうするか。メリットとしては、大きな新しいマンションが次々とできる中、資源の回収という共通の目的を通してコミュニティの形成につながることは大きなメリットとなることです。
 集団回収の割合はまだわずかですが、資源の集団回収の意義や目的またメリットを区民に十分に周知し町会や団体が主体性を持って実施できることが重要であります。意義や目的に共感し新たに参加される方も必ずや出てくるでしょう。
 メリットの他に、「拡大生産者責任」でいう廃棄過程における費用の問題があります。資源回収における行政の関与を徐々に減らしていくことができればその費用を減らすことができます。それは生産者の費用負担の軽減にもつながり、真の意味での「拡大生産者責任」の実現を早めることにつながっていくことでしょう。将来的には資源の回収に関しては集団回収が主で行政回収はその補完という関係が望ましいのではと考えます。
 そこで、集団回収について将来も見据えどのように考えておられるのか、ご所見をお伺いします。

 次に、食品ロスの削減についてであります。
 昨年の第3回定例会において「食品ロス削減に向けての取り組みを進める意見書」が全会一致で可決され国に意見書が提出されました。まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスは日本では年間632万トンあり食品廃棄物全体の4分の1弱にもなります。また、この量は世界全体の食糧援助のなんと2倍であります。
 食品ロスの削減は、区と事業者そして区民が連携して取り組む必要があります。
その取り組みとして提案があります。それは、「幸せ☆おすそわけプロジェクト」です。創価大学西浦ゼミの学生が発案したもので、ドギーバッグ「おすそわけBox」の利用を通して国内の食品ロス削減と途上国の子どもたちの支援につなげるというものです。(現物を提示)(写真1と2を表示)ドギーバッグとは飲食店などで食べきれなかった料理を持ち帰るための容器です。「おすそわけBox」には、ケニアの子どもたちが描いた絵がプリントされており、例えばバッグ1個が利用されるとNGOなどの協力団体を通じて、ケニアの子どもたちの一日分の給食費と同額の12円が送られる仕組みになっています。(写真を閉じる)この企画は、ケニアに留学した学生が現地の劣悪な食料事情を目のあたりにし、「食べ物がない途上国と食品が大量廃棄されている日本、その両方の問題を改善したい」との発意から生まれました。
 ホテルや飲食店にとっては

  1. 食べ残しを持ち帰っていただくことによるお客様の満足度向上

  2. 食品ロス削減と国際貢献への取り組みによる企業イメージの向上

  3. 食品廃棄のコスト減少

ケニアの子どもたちは

  1. 食事へのアクセス、それに伴う栄養状態の改善

  2. 自分の書いた絵が活用されることによる自信向上

お客様からは

  1. おいしい食事を家族におすそわけができる

  2. 持ち帰りを通して国際貢献できる

などそれぞれに特徴があります。(以上、「幸せ☆おすそわけプロジェクト」プラン概要より)
 ちなみに、この容器の素材は、製糖工場でサトウキビから搾りとった残りカスを使用した、非木材系の天然パルプ「バガス」を使用しています。燃えるごみとして処理することができ、環境にやさしい素材として注目されています。
 食品ロスの削減になり途上国の子どもたちの支援につながるとてもすばらしい企画です。ドギーバッグのシールに千代田区のマークを印刷し区の事業として活用することもできます。
 そこで、食品ロスの削減のための区の事業として「幸せ☆おすそわけプロジェクト」の実施を提案します。ご所見をお伺いします。
 (時間があれば以下引用する)最後に、先ほどの井手氏の言葉を引用させていただきます。「都市には、田舎のような地域のわずらわしさがなく、一人で生活できる気楽さがあるという。それが都会の特徴のように信じられえているとすれば、それはあえて幻想でしかないといいたい。都市は生活のあらゆる面で、他人や社会の厄介に依存しているのであって、一人で生活していると思うのは幻想でしかない。巨大な社会資本や他人の努力のなかで生きているにもかかわらず、自由だと勘違いしているなかで刻々と失われていくのは、人に対する思いやりであり、地域性の喪失である。他人にどんなに迷惑をかけようが全く無関心になり、我が身さえ整えば地域がどうなろうと他人事としかとらえない。ごみを外に放り出しても、誰かが何とかしてくれると決めている。そういう生き方がついに人類の生存を脅かすほどの地球環境の危機をもたらすに至ったのである」(「行政と住民共闘の〝ごみ戦争〝」1992年より)と。約30年前に警鐘をならしたものですが、今日現実となっているのです。
 以上、区長の5期目スタートにあたりと循環型社会を目指してと題し、質問させていただきました。
区長並びに関係理事者の前向きな答弁を期待し、公明党議員団の代表質問を終わります。ありがとうございました。
 

〈区長答弁〉 

 大串議員の豊かな地域社会についてのご質問に、まずお答えいたします。
 異なる見方や相反する考え方を持つ人々が、お互いに多様な価値観を認め合いながら、地域社会を形成していくことが住みやすい環境づくりの基本でありまして、このような包容力のある地域社会こそ、豊かな地域社会であるとの認識のもとに、4年前に招集挨拶で私は申し上げたところであります。あわせて、地域コミュニティの活性化と参画と協働の推進についても、豊かな地域社会というバックグラウンドとして重要な課題であるという認識を申し上げまして、4期目をスタートしたわけでございます。その後、平成26年には、コミュニティ施策の一元的推進に向けた方向性や、参画と協働ガイドラインを取りまとめまして、現在、鋭意進めているところであります。
 ところで、豊かな地域社会がどこまで実現できたかということを定量的に示すのは、かなり難しいと思います。概念的には、定性的な部門だろうと思います。しかし、例えば、待機児童ゼロの継続や高齢者を24時間365日支える高齢者総合サポートセンターの設置などは、豊かな地域社会を実感できるようにさまざまに、まいた種が着実に芽が育ってきていると思っております。いずれにいたしましても、27年3月に策定いたしました本区の新たな基本計画であるまちみらいプロジェクトを策定いたしましたが、今年度末から来年度にかけて行う施策評価により、このまちみらいプロジェクトの進捗状況をお示ししながら、豊かな地域社会というもののご判断をいただきたいと思います。いずれにいたしましても、基本は、定性的でありますが、さまざまな指標でもって、実感的にこの判断をしていただくことになるだろうと思います。
 次に、千代田区のごみ減量に関するご質問にお答えいたします。
 21世紀は環境の時代であります。今や世界の大都市における環境のありようが、その都市の価値を高め、評価される時代になったと思っております。環境に配慮した取り組みは、人に優しいまちづくりにつながり、都市そのものに付加価値をもたらすものだろうと思っております。
 廃棄物は、都市における環境問題の原点でありまして、長い歴史の中で、さまざまな取り組みが行われてきております。大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済システムから脱却し、持続可能な環境型社会へ転換が今は求められているんだろうと思います。
 この問題は、グローバルな問題でもありますが、実はローカルな視点から、地域がどう主体的にアクションを起こすかということが、今、最も問われているんだろうと思います。
 23区における廃棄物の問題は、逼迫する最終処分場の延命化に帰結するというふうにも思います。区内に清掃工場を持たない千代田区にとって、ごみの減量、資源リサイクルの推進は至上命題であり、区の責務であると、基本的に認識をしております。
 そうした基本認識のもと、区は清掃工場が移管された後も、ごみの収集品目の細分化を図るなど、千代田区独自の再資源化の取り組みを強化・充実してきたことはご案内のとおりだろうと思います。この基本スタイルは、今後も何ら変わることなく、進めてまいりたいと思います。
 千代田区のごみは、ご質問にありますように確かに事業系のごみが9割を占めているという地域特性がございます。議員ご指摘の拡大生産者責任の考え方を踏まえつつ、区はあらゆる方策を講じることで、事業活動によって発生するごみの減量、再資源化に、さらに一層進めてまいりたいと思います。さまざまなご提案をいただきましたことについては十分踏まえながら、今後ごみ問題、いわゆる環境問題というのを取り組んでまいりたいと思います。
 なお、詳細については、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。
 

〈環境まちづくり部長答弁〉

 大串議員のごみ減量に関するご質問について区長答弁を補足してお答えいたします。
 まず、2Rの推進とすぐにできる2Rに関するご質問についてですが、循環型社会を実現するために、できる限り資源を消費しないライフスタイルを定着させることが重要であると考えております。そうした観点から申し上げれば、これまで進めてきた3Rの中でも川上に当たるリデュース、リユースの2Rに注力し施策展開することは、意義あるものと認識しております。これまで、区は、リユースの取り組みとして、区内のイベント等で発生するごみの削減を目的としたリユース食器の貸し出しや、家庭で不要となったものを預かり、展示・販売するリサイクルショップの運営などを行っております。議員ご提案のすぐにできる2Rとしての5つの取り組みも、2Rを推進させる有効な方策であり、区もこうした取り組みを後押しするため、さまざまな機会を通じて周知をしてまいります。
 次に、集団回収に関するご質問についてですが、区は、新聞紙や段ボール、アルミ缶などの有価物を、効率的かつ良質な状態で回収できる集団回収を、昭和49年度から支援しております。現在、区内には、町会関係28団体、マンション関係77団体、合計105団体が登録しており、平成27年度は約939トンの回収実績に対して、約1,000万円余の報償金等を支給しています。集団回収は、近年問題になっている違法な資源の持ち去り行為に対する有効な防衛策になるとともに、地域コミュニティの醸成にも寄与するものとして、高く評価しています。その一方で、有価物となる資源しか回収されないことや、各家庭での資源の保管場所の確保など、課題があることも承知しております。区といたしましては、地域主体の集団回収を充実させていくことが望ましい姿であるとの認識のもと、今後も積極的に支援してまいります。
 次に、食品ロスに関するご質問についてですが、食品ロスの削減に向けては、区民や事業者に対する意識啓発が何より重要だと考えております。区は環境関連イベントなど、さまざまな機会を通じて、食品ロス問題の現状やその削減に向けた取り組みを広く周知するとともに、区民、事業者みずからが率先して行動してもらえるように、積極的に働きかけてまいります。議員ご提案の取り組みも、前向きに捉え、千代田区における食品ロス対策の一つとして導入が可能なのか調査し、検討してまいります。
 

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