top of page

平成14年第3回定例会

​保健福祉総合計画について

〈質問通告〉


(仮)千代田区保健福祉総合計画について

  • 計画策定の基本的な考え方は

  • 案が示された後の策定方法は

支援費制度について

  • 選択できるための基盤整備は

  • 障害者計画に数値目標を示せ

  • 施設整備基本構想は

  • 相談とケアマネジメントできる十分な体制を整備せよ



〈質問と答弁の全文〉

 平成14年 第3回定例会にあたり公明党区議団の一員として一般質問をさせていただきます。
 私は、来年4月よりスタートします障害者福祉分野における支援費制度について、またその関係する計画(仮)千代田区保健福祉総合計画について質問いたします。

 最初に福祉の「基礎構造改革」についてふれておきたいと思います。
 福祉の基礎構造改革とは、私は、平成12年4月に地方分権の試金石として注目されてスタートした介護保険制度であり、今一つは同じ年の6月に行われた社会福祉関係八つの法律の改正が行われたことでしょう。この社会福祉事業法(現・社会福祉法)を始めとする八法の改正とは、一番目に措置から契約への移行であります。特に戦後50年余り日本の障害者福祉を支えてきた措置制度は支援費制度へと来年4月から変わることとなりました。二番目は質の高いサービスの拡充であります。そして三番目に地域福祉の充実であります。この点については社会福祉法に各区市町村において地域福祉計画の策定が義務付けられました。
 これらの改正により障害者福祉の実施主体は国や都道府県から区市町村へ実質移ることとなりました。つまり改正の趣旨を真に利用者の方々のために実施する責任が区市町村に委ねられたことになります。
 実はこの関係8法の改正は平成2年にもありました。このときの改正は、一に在宅福祉サービスの明確化、二に在宅・施設サービスの市町村での一元実施、そして三つ目に老人保健福祉計画策定の義務化でありました。在宅でのサービスに重点が置かれた改正となりました。
 さて、この度の社会福祉の基礎構造改革の中での目玉は介護保険制度に並ぶ最大の制度改革となります支援費制度であります。この支援費制度は、繰り返しになりますが、ほぼ50年続いてきた措置制度からノーマライゼーションの理念の具体化を図るため利用者の自己決定を基本にした契約制度へと移行するものです。
 当然のことながら制度改革は利用者の方々のためにあることは言うまでもありません。区としてこの度の最大の制度改革といわれる支援費制度が真に利用者の方々に役立つよう責任を果たしていかねばなりません。私は、その決意に立って発言通告に基づき質問させていただきます。

 最初に(仮)千代田区保健福祉総合計画(案)についてであります。
 今年度は介護保険事業計画の見直しもありますが、地域福祉計画も改定となります。この地域福祉計画には障害者計画、老人保健福祉計画そしてエンゼルプランが地域福祉の観点から包含されています。今回さらに保健医療計画そして健康千代田21も策定されます。これら全ての計画を包含する福祉、介護そして医療の総合的な計画として今回の総合計画の策定がなされます。そして先日、所管の常任委員会に(仮)千代田区保健福祉総合計画(案)としてその骨格が示されました。
 私は、このような福祉、介護そして医療を統合一体化した計画ができることにについて、大変高く評価したいと思います。
 平成11年9月に当時の保健福祉委員会で岩手県沢内村へ視察に参りましたが、そのときの特別養護老人ホーム「ぶなの園」の施設長の言葉が今も忘れられません。その方は、「役場が福祉、介護、医療そして年金が今後どうなっていくのかをはっきりと示すべきだ。」と。それを聞いたとき、一自治体にそこまで示すことを望んでおられることに、正直びっくりしました。私はその施設長の言葉を引用しその年の第4回定例会において区として福祉、介護、医療そして年金を含めた総合的な社会保障のあり方を示すべきではないかと質問いたしました。先日、重度の障害のお譲さんがいらっしゃるおかあさんから相談がありました。それは、医療的な面がどうしても多くなるが福祉のサービスともっと効率よく組み合わせできないものかというものでした。また高齢者の方も介護だけでなく医療も平行して必要な人は多いと思います。例えば地域でのかかり付け医の役割が福祉や介護の関係でますます重要になってきているのもその表れでしょう。そのような中、区としてこのような総合計画を支援費制度のスタートに合わせ、策定するとのことに私は大変意味のあることだと思います。これは野球に例えればいくらいいピッチャーばかりをとってもそれだけでは勝てません。九人全員のチームプレーこそが勝利のためには必要なことといっしょではないでしょうか。
 この保健福祉総合計画は先日の常任委員会に示された資料によりますと、基本計画の保健福祉部門の計画として位置づけられています。すなわち基本計画に示された保健福祉に関する5つの政策課題をいかに達成していくのかをそれぞれの政策課題ごとに、具体的な目標を設定していることが特徴となっています。また先の対象者別計画(分野別計画)との関係では政策課題の「生涯にわたり健康な生活を営むことができるまち」は保健医療計画と健康千代田21を、「高齢者が住みなれた地域で尊厳を保ちいきいきと生活できるまち」は、老人保健福祉計画と介護保険事業計画を、また「障害者の意思が尊重され地域で自立して生活できるまち」は障害者計画にあたります。そして全体を通して「安心して利用できる福祉の仕組みが整っているまち」として、個別計画を支援し選択と利用ができる仕組みづくりを示し、また地域福祉の推進のための目標を定めています。
 このような保健福祉全体の総合福祉計画は全国でもあまり例がなく先駆的な試みだと思います。
 そこで、区長にこの総合計画策定にあたっての基本的な考え方についてお伺いいたします。

 次に計画の(案)がこのようにして示された後の、計画策定方法であります。
 新しくなった社会福祉法には何度も地域福祉という言葉が出てきます。これからは、地域において全ての人が安心して暮らせるためには、地域の人たち自らも地域の福祉のあり方を考えることが重要であると思います。対象者別計画単独では地域福祉を育てることはある意味不可能かもしれません。その点、総合計画の策定こそが地域福祉の推進に通ずるものと思います。今年1月28日の社会保障審議会福祉部会報告には市町村地域福祉計画のあり方が示されました。そこには地域福祉推進の理念の一番目に、「住民参加の必要性」があげられ地域福祉の推進は地域住民の主体的な参加が大前提であり、「地域住民の参加がなければ策定できない」ことが地域福祉計画の特徴であると明言されています。
 案が示されたあとの計画策定に当たって、当事者は勿論、より広範囲の分野の人々、さらに地域住民の参加をどのようにして図るのかがこの計画を真に利用者のために有効なものにする最も重要なポイントではないでしょうか。そこで今後の策定方法はどのようなに考えておられるのか、お伺いします。

 次に支援費制度について2点お伺いします。
 支援費制度の目指すもの、すなわち「障害者の自己決定を尊重し障害者自らが、サービスを選択する仕組み」を確立するため区としては何をなすべきなのか。
 私は、まず選択できるためのサービスの供給体制の整備と支援費支給にいたるまでの相談とケアマネジメントできる十分な体制の整備が、急がれる課題であると思います。他にも権利擁護は大丈夫か、情報提供と評価、苦情の申し立て制度の確立等いずれも重要な課題があります。ここでは先の2点に絞って質問いたします。
 最初に利用されるサービスの供給体制についてであります。選択と契約をうたい文句にスタートしてもそのためのサービス実施の基盤が整ってなければ選択もできません。目標年次までの利用者数の予測、またそれによりどのくらいのサービス需要があり、それに対して現在の供給の状況、さらに目標年次までの確保策を数値でもって示す必要があります。これらは、各自治体で作成される障害者計画に示されることとなります。この計画は現在努力義務となっていますので100%策定されているわけではありません。区市町村レベルでは、策定率74.9%で内訳は区と市においては95.5%、町村では69.4%となっています。さらに注目しなくてはならないのはこの策定済み区市町村のうち先ほどのような数値目標を示している割合はなんと37.8%でしかないということです。
 千代田区としては平成10年に改定された地域福祉計画に障害者計画も入っています。数値目標は、なぜか、巻末の資料編に示されました。サービスの必要量とその確保策まで示していながら資料としての位置づけに少々残念で惜しい気がしますが、ともかく示すことはできました。来年4月からの支援費制度スタートにあたりその障害者計画に示された達成度はどうなったのかは検証すべきでしょう。平成12年には介護保険制度がスタートしましたのでそちらへ移行できた分もありますので一概に百分率での達成度は出ないと思いますがホームヘルプを始めとするサービス需要に対し供給はどうなっているのでしょうか。
 現在千代田区で障害者手帳をお持ちの方は13年度末で964名、また愛の手帳をお持ちの方は120名となっています。内、介護保険制度が利用できる65歳以上の方の割合は約6割であります。新しい計画ではそれぞれ関係する分野も含めた数値目標となることを期待します。選択できるための基盤整備達成のため、数値目標まで示した計画にできるのかお伺いします。

 さて、障害者のための施設整備に関してですが推進プログラムには障害者施設整備基本構想を今年度中に策定となっています。
 プログラムには障害者の在宅サービスの拠点として、またデイサービスや機能訓練、そしてボランティアやNPOなど区民の方々の積極的な受け入れのためのセンターなど18年度完成と計画がなされています。支援費制度では区市町村が主体的に責任を持って基盤整備を進めることとなっています。そこで現在、障害者施設整備基本構想の進捗状況はどうなっているのかお伺いします。

 次に最も大事な点ですが相談とケアマネジメントできる十分な体制についてです。
 支援費支給の申請手続きは千代田区の場合、この11月から開始されます。現状、選択できるサービスのメニューの中で、どのサービスをどのように組み合わせるのか。重度の障害の方は、先ほどもふれましたが、福祉だけでなく医療も含めた相談を希望されています。
 相談ということでは先日、61歳の障害者手帳2級の方が区の窓口へ電話で相談をしたそうです。内容は省きますが結果本人の希望するサービスは「国の基準外」ということで受けられませんでした。普通はここで終わるところ、担当の職員の方はその方の自宅まで訪問し、さらに詳しくお話を聞き事業者の紹介やホームヘルプの相談にも応じてくれたそうです。本人も大変助かったと喜んでおられたそうです。今回の例は、「旧来の行政処分的な、受けられません、だめです。」で終わりとなるのではなくそこから相談が始まるという良い見本だと思います。総合的にカバーできる体制が益々大事になってきます。
 支援費制度開始にともないサービスに関するさまざまな相談、そしてサービスをどう組み合わせるのかというケアマネジメントを行う窓口は区になっています。介護保険のように事業者にケアマネージャーは置かれていません。ケアプランを作成しても支援費は支給されません。
 12年に改正された身体障害者福祉法また知的障害者福祉法の新条項に「求めに応じた斡旋、調整、利用要請」という区市町村の「必要に応じた」だけでない「利用者の願いに応じた」拡充が新しく入りました。 区としてもこうしたことに対応できるよう職員の研修、人材の確保そして障害者また関係者そして団体に蓄積されてきたケアマネジメントの専門性との連携など重要となってきます。
 そこで、これら相談とケアマネジメントができる体制の拡充策についてお伺いします。

 以上、支援費制度についてまた関係する計画として(仮)千代田区保健福祉総合計画について質問させていただきました。
 先日、ある障害者の方と握手した際その力が予想以上に強かったのではっとしましたが、今もその感触が私の左手に残っているような気がします。支援費制度スタートを目前に控え障害者の方々の不安を一掃し逆に明るい希望が持てるよう、区長並びに関係理事者の明快なる答弁を期待し私の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。


〈区長答弁〉

 大串議員の質問にお答えします。
 保健福祉総合計画に関します認識は、全く大串議員と私は同じであります。今、住み慣れた地域、すなわち我が千代田で自立した生活を送っていくことがなにより求められております。これが地域福祉計画の基本理念であります。12年に、法改正以前に、既に東京都におきましては、私が直接手がけたわけですが、地域福祉計画をつくり、あるいは当時は、まだ厚生省は子育てに関しましてはエンゼルプランという、そういうレベルでありましたが、少子化に関する総合計画をつくる等、かなり福祉について斬新的な計画を手がけてきたことを踏まえますと、あるいは12年に介護保険制度ができたときに、福祉と医療との統合ということが介護保険のもう一つの理念であります。そうしたことを勘案しますと、福祉、保健に関する総合的な計画をやはりはやくつくることは、私は、身近な基礎的な地方公共団体としては最も必要なことだろうと思います。こうした観点から今回は総合計画として策定するわけでございます。
 考え方といたしましては、何回も私が申し上げておりますように、福祉サービスというのは今や生活必需品という基本的な認識を持ち、そしてお互いに助け合い、あるいは時には自らもご努力いただき、そして公もサポートするという、自助・共助・公助という組み合わせの中で、かつ時には適正なご負担もいただきながら、福祉、保健、すべてについての総合的な計画をつくっていくということだろうと思います。
 問題は、往々にしてこうした計画が官庁の読み物みたいな形になることは是非避けたいと思います。一般的に役所の計画書は大変難解でありまして、普通の区民の方々から見ると非常にとっつきにくいということを考えまして、今回の保健福祉総合計画におきましては、普通の方がすらっと読めるような読み物風にしたいなと。例えばQ&Aですとか、レベルの話をして申し訳ないですけれども、中学生がこうした総合計画をお読みになっても一応の内容がわかるように、そうした総合計画をつくりたいというふうに思っています。そういう意味では、従来の役所で考えておりますそうした計画書とは抜本的に違う計画書といいますか、形が変わるだろうというふうに思っております。
 これも繰り返すようでございますが、福祉や保健という性格は、やはりそのサービスというのは日常の区民の皆様方の生活必需品であるということから、こうした計画のスタイルと申しますか、それを抜本的に変えた新しいスタイルでつくっていきたいということを関係部に指示いたしまして、鋭意そうした作業を進めております。どうか福祉、保健、医療に関するそうした計画が本当に一人ひとりの区民の皆様方のものになるような、そうしたことを心がけて今回の計画策定をしてまいりたいというふうに思っております。
 その他の事項につきましては、関係理事者をもって答弁いたさせます。

〈保健福祉部長答弁〉

 大串議員のご質問について区長答弁を補足してお答えいたします。
 まず、保健福祉総合計画の策定についてであります。今回、計画としてまとめるにあたりましては、区民本位の満足度の高い保健福祉サービスの提供を第一に考え、平成13年度に区民アンケートを実施するなど、多くの区民の皆様の意見をお聞きしてきたところでございます。これらの意見を参考にしながら、これからの保健と福祉の考え方をまとめ、区の広報で特集号として明日その概要をお示しする予定でございます。そして、議会をはじめ区民や関係する団体の皆様などのご意見をいただきながら、千代田区に住んでいてよかったと実感していただける計画としてまいりたいと存じます。
 次に、支援費制度に関する質問にお答えします。平成15年4月から障害福祉の分野で支援費制度がスタートします。支援費の対象となる事業のうち、特にデイサービスとショートステイは、身近な地域で気軽に利用できるようにする必要があります。このため、障害者総合福祉センターを整備する中で一層の拡充を図ってまいります。また、ホームヘルプサービスについては、介護保険指定事業者に支援費制度への参入を働きかける予定でございます。
 なを、新たな障害者計画に数値を設定すべきとの提言につきましては、平成13年度に実施いたしました障害者を対象とした保健福祉区民アンケートの結果や、今後実施する支援費申請に関する聞き取り調査などにより、実態を反映した現実的な数値となるよう精査してまいります。
 次に、障害者施設整備基本構想についてですが、(仮称)障害者総合福祉センターについては本年度中に基本構想をまとめる予定でありましたが、設置場所の課題もあり、施設の種類や機能、利用予定数や規模等について内部検討を行っているところであります。なを、この検討の際、グループホームなどの生活型施設までを含む総合化は、障害者を囲い込む考え方につながりかねないとの指摘があり、通所サービス施設と生活型施設は分散して設置する考え方でおります。
 次に、相談及びケアマネジメント体制の整備についてお答えいたします。相談内容として想定されるのは、支援費制度の内容、申請等事務手続、事業者に選定・契約、事業者に対する苦情等であります。当面の相談体制については、生活福祉課が全般的事項を担当し、富士見福祉会館、福祉作業所等がそれぞれの事業の利用者を中心に対応してまいります。また、千代田区社会福祉協議会におきましても、福祉サービス利用援助、福祉専門法律相談、成年後見制度の利用支援を行います。さらに必要な場合は、現在の介護保険オンブズパーソンを発展・充実させた保健福祉オンブズパーソンが、利用者からの苦情相談を受けることとなります。なを、支援費制度においては介護保険のようなケアマネジャー制度は導入されませんが、東京都の実施したケアマネジメント研修を受けた福祉関係職員が10名ほどおりますので、利用者の立場で相談に乗り、様々な社会資源を紹介しながら、その方に最もふさわしいサービス利用のあり方をお示しし、ご案内してまいりたいと考えております。

bottom of page