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真心の伝わる政治を!
大串 ひろやす
令和3年第3回定例会
「東京地方検察庁がした不起訴処分に対する検察審査会への不服申立てを求める請願」
に対する反対討論
「東京地方検察庁がした不起訴処分に対する検察審査会への不服申立てを求める請願」に対して反対の立場から討論を行います。
検察審査会へ不服申立てを行うことに反対する理由については議会運営委員会において会派としての意見発表の中で述べていることに尽きていますが、重ならないよう私からは前区長の「虚偽の陳述」と前区長夫人の「出頭拒否」について述べさせていただき反対の討論とさせていただきます。
最初に、前区長の「虚偽の陳述」についてであります。
請願では、本件事業者から「本人はもとより、その知人を名乗る者からも、本件優先物件が『事業協力者住戸』であるとの説明の有無の確認はなかった」との回答を得ているので雅己氏の「(知り合いを通じて)確認した」との証言は「虚偽」だとしています。
しかし、この根拠としている事業者の5月20日付けの文書による回答については疑義が残ります。それは、回答では「平成28年1月9日にこの事業協力者住戸と記載のある価格表を次男に提示」としていますが、前区長からは同じ「平成28年1月9日」の日付が記載された価格表が6月16日の証人尋問の際、提出されており価格表には事業協力者住戸の記載はありません。この矛盾は重大であり事業者からも合理的で納得のいく説明が必要であります。前区長からは「私の息子から具体的にどういう形で申込みをしたかという資料を取ってあります。したがって、ぜひ、それを同じレベルで議論していただかないと、公平ではないと思います」と資料の取り扱いについて公平な審査をしていただきたいと述べています。それにもかかわらず、提出された資料について委員会ではついに検討されることはありませんでした。最終報告書にもそのことに関する記載はありません。このことは百条調査の公平性、正当性という点からどうだったのか。大きな疑問が残ります。このような公平、正当な調査の前提を欠き一方の事業者の回答のみをもって偽証とすることは、一定の目的をもった極めて政治性の強い不当な告発と判断されてもしかたのないものとなります。
また、偽証としている「確認した」のかどうかという証言については、あえて偽証しなければならいような事項でなく、本来の調査の目的である事務執行上の問題点からは中核的な事項ではありません。確かに前区長の答弁に不正確なところがあったかもしれませんが、不正確な証言と偽証は明確に区別されるものであります。このような中核的な事項ではない事項についての告発から公訴提起にいたることはまずありえません。
検察の判断は「嫌疑なし」であり、この検察の決定を私たちは重く受けとめるべきであります。
次に、前区長夫人の「出頭拒否」についてであります。
この点については昨年の11月12日の告発議決の反対討論でも出頭拒否にはあたらないとする理由を述べましたが、若干重なりますが述べさせていただきます。
証人喚問を行う際は、その人の人権やプライバシーに配慮しなくはならないことはいうまでもありません。 この観点からなぜ証人喚問が必要なのかその理由を明確にすること、またその理由もあくまで事務執行に関する調査において必要があることとされています。
この点、事務執行に関する事項において、前区長夫人を証人として呼ばなければ証明できないこととする点は何か、明確にされていません。請願ではその理由について「(前区長)自らの関与を否定し、(家族)がやったことだと弁解するのであればその弁解の真偽について明らかにするため」とし、出頭拒否の告発をする際の理由は「当該マンションの共有名義人である(前区長)夫人が当該物件の購入に大きく関わっていることが明らかになった」としています。しかし、証人喚問の日とされた9月18日までには次のことが明らかとなっています。事業者からの9月11日付けの文書照会に対する回答では、当該物件の購入について「区長より何ら便宜を受けた事実はなく、事業協力者住戸を設定し、・・・氏へご紹介したのは、本件マンションの販売戦略上の判断によるものである」と述べられています。つまり、マンションの購入はもはや事務執行上の問題ではなく個人的事項であり百条調査の対象とはならないことが明らかになっていました。にもかかわらず前区長夫人を証人喚問したことは調査権の濫用であり、召喚手続きに重大な問題があったと言わざるをえません。
検察庁は「嫌疑不十分」としました。そのことを不当とするには述べましたように召喚手続きの実態を無視したもので合理的な根拠はありません。
あえて付け加えさせていただければ、10月26日の事業者の証人尋問において先ほどの9月11日付けの文書による回答の確認もなされました。マンションの購入は事業者へ何らかの便宜を図った見返りにより購入できたものではなかったこと、つまり、当該マンションの購入にいたった経緯は総合設計制度または地区計画制度などの事務執行上に問題があったわけではなく、まったく個人的事項だったということが明らかになったのであります。
最終報告書には「疑いは拭い去ることはできなかった」とするのみで、関連する事務執行上の何が問題点だったのかという明確な記述はありません。この点こそが百条調査の正当性を根拠づけるものでありますが、結果として、前区長及びご家族の方々のプライバシーの暴露や人権を侵害すこととなってしまったことは極めて残念なことであります。
ここに、私たち会派を代表しまして、前区長またご家族の皆様に対して人権とプライバシーを守ることができなかったことに対し心から謝罪申し上げます。誠に申し訳ありませんでした。
以上、反対する理由について述べさせていただきました。請願に対しまして反対票を投じていただくことをお願い申し上げまして討論を終わります。
ありがとうございました。
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