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令和5年第1回定例会

1.Well-Beingを指標とした区政運営を!
2.今後の行財政運営のあり方について

3.まちづくりの適正な手続きについて

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「地区まちづくりルール 普及・推進ガイドブック」を提示して

〈質問通告〉

1. Well-Being を指標とした区政運営を!

  • ​「区政は区民を幸せにするシステムである」とは荒川区のドメイン(事業領域)である。 すべての自治体に共通のものであると思う。そこで、改めて千代田区のドメインとする ところは何か。

  • 幸福度調査の意義と有効性を踏まえ、千代田区版の幸福度調査 (仮称)GCW Gross Chiyoda Well-Beingの実施を提案する。所見 は。

  • 新たな基本構想を補完すべく「Well-Being」と「持続可能性」を両輪とした区政運営の 指針を示してはどうか。所見は。

2.行財政運営の考え方について
3.まちづくりの「適正な手続き」について

〈質問と答弁の全文〉

 質問に入る前に、2月6日に発生したトルコならびにシリアにおける大地震により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに被災された方々に心よりお見舞い申しあげます。そして一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。
 それでは質問に入ります。
 令和5年第1回定例会にあたり公明党議員団を代表して質問を行います。 
 最初に、Well-Beingを指標とした区政運営についてであります。
 昨今、Well-Beingという言葉をよく聞くようになりました。代表的な例としては、2025年大阪万博開催の趣旨となったことです。「世界中の人々がよりよく生きるWell-Beingのための提案を集め、新たなモデルを広く世界に発信する」としました。また、国連の諸機関や国でも取り上げるようになりました。
 Well-Beingの意味するところですが、「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」(厚労省「雇用政策研究会報告書」 概要より)であるとされています。日本語でいえば幸福となるでしょう。
 Well-Being、幸福といえば幸福度調査を実施している荒川区であります。私たち公明党議員団としてさっそく荒川区に視察に行ってまいりました。荒川区への視察は2度目となります。前回は平成27年第3回定例会の際で、それから8年近く経過しましたのでその後の成果について是非聞いてみたいと思いました。

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荒川区役所入口に掲げられた荒川区のドメイン​​

 まず、調査とは別に驚いたことが2点ありました。一つはスクリーンの通り区役所入口に、「区政は区民を幸せにするシステムである」と書かれた大きなプレートが掲げられていることでした。後ほど触れますが荒川区のドメインとのことでした。(1を閉じる)もう一つは、区議会事務局のある5階でエレベータを降りた時のことです。事務局の職員が総出で、拍手で迎えてくれたことです。このことには私たち驚きました。私はこれまでの24年の間、多くの視察に行きましたがこのような対応を受けたことは初めてであります。聞けば事務局として平成28年度から視察に来られた方々すべてにこのような同じ対応をしているとのことでした。議会自らドメインの範を示そうと笑顔と拍手で迎えることとしています。(2を表示)

1)視察目的
 

  • 荒川区の区民総幸福度(GAH)について調査するため

  • これまで行ってきたGAHの成果としては

  • GAHをどう政策に反映しているのか

  • 荒川区では6領域46項目の指標を使って評価しているが、幸福という主観的なものを評価できるのか

  • 幸福度調査については約80の自治体が参加しての住民の幸福実感向上を目指す基礎自治体連合「幸せリーグ」がある。基礎自治体同士が助け合い、学び合いながら政策の互換性を高めて向上していくことが目的としているが、どういうことか。

  • 経済成長の指標であるGDPのみでは住民の幸せ、幸福を図ることは困難であり、マイナスの面さえある。新たな指標としてWell-Beingを加えるべきとの主張が日経新聞を中心に述べられているが大いに賛成である。先行する荒川区ではこの点、どう考えているのか。

荒川区への視察申込書から

 さて、今回の視察の調査項目はスクリーンの通りですが、特には

  1. 今日まで行ってきた幸福度調査の成果は

  2. ​​その結果を政策にどう反映できているのか

  3. 幸福という個人の主観に基づくものを評価できるのか

  4. 最近では、経済成長を図る指標であるGDPのみではなくWell-Beingを指標として加えるべきとの意見があるがどう考えるか

の4点であります。対応してくれたのは荒川区自治総合研究所の所長です。1番の成果と2番のどう政策に反映しているのかについては、成果の一番は職員の意識が変わったこと、また何となくとか先入観ではなくデータを基にした政策・事業を展開することができていること、区民の生活ぶりに思いを馳せることができ、その上で仕事ができていることなどを挙げておられました。(2を閉じて3を表示)

幸福の重層構造.jpg

(出所)京都大学人と社会の未来研究院 広井良典教授「講演『人口減少・成熟社会のデザイン 拡大・成長から持続可能性とウェルビーイングへ』(要約)」公益財団法人荒川区自治総合研究所『RILAC NEWS』№25、2022,p.5より ​

幸福度調査.jpg

(出所)GAHレポートVol.5 p.3より ​

 スクリーンは、左が幸福の重層構造、右は荒川区独自の幸福度調査(GAH Gross Arakawa Happiness)の6分野46項目の一覧表です。調査項目の4番目、幸福という極めて個人の主観によるものを評価できるのかについてです。京都大学 人と社会の未来研究院教授で幸せリーグ顧問の広井良典氏が示したこの幸福の重層構造を見れば納得ですが、広井氏はこう述べています。「幸福の基礎条件と多様な幸福のかたちという重層的な構造を考えることが重要で、しかも行政が特に重要な役割を果たすのはピラミッドの土台の部分(幸福の基礎条件、福祉、医療、教育、雇用などの部分)だと思います」(RILAC news No25 講演「人口減少・成熟社会のデザイン」P.5より)と。また、所長からも説明を聞きました。行政としては幸福の重層構造でいえばあくまで基礎部分とコミュニティの2層までであること、そして幸福度調査の結果を政策に確かに反映していくことが3層の個人の幸福へとつながっていくことであると。(3を閉じる)とても素晴らしい取り組みであります。
 先ほどのドメインについてもお伺いしました。「私たちもドメインという言葉に最初は聞きなれないところもありましたが、区政は何のために存立しているのか、また自身が担当する業務がどう区民の幸せとつながっているのかを考えることの重要性はしっかり伝わっています。このドメインは区政が進むべき方向性、区政の役割を端的に明確に、具体的に表しています」と。まさに「住民の幸福を基点とした真に住民本位の行政運営」(西川区長の言)につながっているのだと思いました。ドメインを設定することの重要性です。
 Well-Beingを指標とした区政運営について、荒川区の行っている幸福度調査について、またドメインの設定について述べさせていただきました。
 区長は今回の招集挨拶の最後に、「新たな執行体制のもと、『Well-Being』 すなわち『区民の皆様が幸福ですべてにおいて満たされた状態になること』に向けて、区議会の皆さまとともに、これまで以上に精力的に区政を前へ進めてまいります」と、述べられました。まさにドメインの内容となるものではないでしょうか。区民の皆さんが「私は千代田区に住んで本当に幸福だった。幸せだった」と言ってもらえるような千代田区を是非ともつくってまいりたいと思います。
 そこで、千代田区としてドメインを設定することを提案いたします。また、区政は何のためにあるのか、改めてお伺いいたします。そして、千代田区版の幸福度調査、仮称「GCW Gross Chiyoda Well-Being」の実施を提案いたします。ご所見をお伺いいたします。
 次に、「持続可能性」と「Well-being」を柱とする区政運営の指針策定についてであります。
 前定例会でも述べましたが、私たち人類は、特に1970年を境にこの50年間、地球の持続可能性のことを考えることもなく過度に経済成長を優先してきたのではないでしょうか。地球1.69個分もの大量の資源を消費し、いったい何を得ることができたのでしょうか。むしろ逆に環境、経済、社会に危機的状況を招きました。地球温暖化しかり、生物多様性の喪失しかり、新たな感染症の発生もそうでしょう。経済社会面では貧困や格差の拡大、飢餓の拡大などであります。
 Fridays for Future Japan(未来のための金曜日)のメンバーである足立心愛(ここあ)さん、高校2年生ですがこう述べています。「今の若い人たちは生まれてから今日まで、経済成長や開発が進むことで自分たちの生活が豊かになったり、幸せにつながっていたりする実感がありません。むしろ逆に環境が破壊され、人権侵害が進むマイナス面の方が多いような気がしています。そんな世の中のあり方に対して『おかしい』『このままではいけない』と感じる若者が多いのは、ごく自然なことだと思います」(月刊誌「潮」2023年2月号P.58より)と。若い人たちから私たち大人への切実な訴えであります。
 経済成長は必要ですが、GDPのみを指標とした限りない拡大や成長、あるいは物質的な豊かさのみを追求する時代ではもはやなくなりました。述べましたように、「Well-Being」あるいは「幸福」という概念に関心が高まっているのもそのためでしょう。この点についても今回お伺いしました。所長は「持続可能性の点からも必然である。地域社会全体で幸せになっていくためにも必要なことです」と。持続可能性やwell-Beingを新たな指標とした社会ビジョンが求められています。ちなみに荒川区の基本構想の将来像は「幸福実感都市あらかわ」であります。
 千代田区としても若い人たちや将来の世代のために区の将来像をしっかりと描く必要があります。これは私たち大人の責任であります。 
 そこで、区の最高指針は基本構想ですが、その構想を補完すべく持続可能性とWell-Beingを柱とする区政運営の指針を策定してはどうでしょうか。ご所見をお伺いいたします。
 次に、今後の行財政運営の考え方についてであります。
 この度の第4次基本構想を実現するため今後の行財政運営の考え方を示しますとして以下の4点を挙げています。

  1. 変化に柔軟に対応できる行財政運営のため毎年の予算の時に中期的な方針を定めること

  2. 二番目として、持続可能な財政基盤の確立

  3. 三番目に、区債はできるかぎり発行しないこと

  4. そして最後に、透明性のある財政運営

としています。2番、3番、4番はこれまでも行ってきたことであり、改めて述べるまでもなく当然に継続して取り組むべき事項です。説明が必要なのは最初の「変化に柔軟に対応できる行財政運営の推進」とした項目の「毎年度中期的な取組みの方針を示す」とした点です。基本計画がない中、この中期的な取組み方針は大変重要であります。予算を審議する際、どうしてこの事業が必要なのか、また適切なのかを判断するに必要だからです。中期的といいながらなぜ毎年度示すとしたのか。毎年度変更しては中期的な方針とはなりません。
 さらに、「考え方」には2040年問題にまったく触れていないことです。概ね20年先の目標年とする基本構想を財政面から裏付けるのであれば、2040年までの長期の財政見通しを示した上で、こうだからこのことを区民の皆さんへ提案しますというのがあってしかるべきです。ちなみに2040年問題とは、この2040年には第二次ベビーブームである団塊ジュニア世代が65歳以上となり高齢者人口がピークとなること、そして現役世代の急減が同時に起こることをいいます。財政問題でもあるとされる所以でもあります。千代田区も例外ではありません。
 そこで、改めて2040年問題も踏まえた上での今後の行財政運営の考え方をお伺いいたします。また、「中期的な取組み方針」について、なぜ毎年度示すとしたのかお伺いします。合わせてご答弁ください。
 次に、平成13年財政白書のその後についてであります。
 平成13年作成の財政白書は第3次基本構想、いわゆる千代田市構想ですが、財政面から裏付けるためのものでした。自主、自律の財政を目指して区民の皆さんへ示されたものです。「強い財政」です。区の財政の現状を分かりやすく伝え、今後の行財政運営の考え方を示すと同時に多くの提案もなされました。例えば、①行財政改革の推進、②区民の負担と受益の関係を明らかにすること、③バランスシート及び行政コスト計算書の作成、④中期財政計画の作成、⑤PDCAサイクルの確立、⑥基金の適切な活用、⑦区と民間との役割分担などであります。
 そして平成15年度からは、わかりやすい「予算の概要」が作成され、その巻末には必ず財政状況と行財政効率化推進に取組んだ結果も掲載されてきました。そしてその毎年の積み上げの結果として白書が目標とした「自主的で自律的な行財政運営の確立」ができたものと思います。
 そこで、平成13年財政白書で区民の皆さんに約束または提案された事項は多くが実現できたものと思いますが改めてどこまで実現できたのか、また今後の課題として残されたものとは何かお伺いいたします。また、申し上げました2040年を見据えての今後の行財政運営の考え方を区民の皆さんにわかりやすくお伝えし、提案するための新たな財政白書の作成を提案いたします。ご所見をお伺いいたします。
 次に、まちづくりの適正な手続きについてであります。
 昨年の第1回定例会でもこの適正な手続きについて質問しましたが、現在「まちづくりプラットフォームのあり方」の骨子案を、また「エリアマネジメント活動推進ガイドライン」の素案を公表したところでもありますので改めて質問させていただきます。
 まちづくりの適正な手続きについて、都市計画運用指針の「基本な考え方」にはこのように記述されています。「土地の合理的な利用が図られるよう制限を課す場合、その根拠として適正な手続きに裏打ちされた公共性のある計画として機能するものである」と。「適正な手続きに裏打ちされた」との文言が使われまちづくりを進める際の適正な手続きの重要性が強調されました。
適正な手続きとはどういうことをいうのか。住民主体のまちづくりを進めるために、法令に定めのある手続きに加え住民等の意向を汲み取るためのプロセスを必要な手続きとして自治体として定めるものであると理解しています。この点、千代田区としての適正な手続きについては現手続きにさらなる工夫が必要であります。
そこで、現手続きについての認識とさらなる工夫としてはどのような手続きを考えているのかお伺いいたします。
 次に、「まちづくりプラットフォームのあり方」についてであります。(4を表示)

「千代田区まちづくりプラットフォームのあり方骨子案」令和4年12月

第1章 まちづくりプラットフォームのあり方の概要
3.背景 〈千代田区のまちづくりにおける合意形成〉
 千代田区では、これまでのまちづくりにおいて、都市計画法など法令に定められた手続きを推める中で、区民等の意見を反映し、そのプロセスによって合意形成を図ってきました。また、法令に定めのない地域のまちづくり構想やまちづくりガイドライン、開発等においては、平成26年4月に策定された「千代田区参画・協働ガイドライン」に定められた手続きを準用することで、区民等の参画と協働を図り、そのプロセスによってまちづくりの合意形成を行ってきました。
 これらの合意形成のプロセスは、区と区民における参画・協働には有効に活用され、区と区民等との合意形成に機能してきました。しかし、まちづくりに関わる人が多様化し、「区民と区民」の合意形成の重要性が増す中、これまでの合意形成のプロセスに加え、よりまちづくりに特化した合意形成の仕組みが求められています。

(骨子案P.4より)

 スクリーンは「まちづくりプラットフォームのあり方」骨子案の「区の動向」「千代田区のまちづくりにおける合意形成」の項に書かれた文章です。大事なことが書かれました。私なりにここのところを解釈しますと、都市計画法など法令に定められた手続きを進める中で区民等の意見を反映し、そのプロセスによって合意形成を図ろうとしてきたこと、また法令に定めのないまちづくり、例えばまちづくり構想やまちづくりガイドライン(沿道に関するものも当然に入ります)については区の参画・協働のガイドラインに定められた手続きを準用し、合意形成を図ろうとしてきたこと、しかし今後はまちづくりに特化した合意形成のための仕組み・手続きが必要であることを、述べたものと思います。(4を閉じる)
 さらに、次の「まちづくりの合意形成」の項には「合意形成を図るうえでは、議論をはじめとした適切なプロセスを通じて、お互いがお互いの意見に対して納得しあえる着地点を見出していく」とも書かれ、「適切なプロセス」という表現ではありますが、適正な手続きが必要であることが重ねて書かれました。
「プラットフォームのあり方」骨子案ですが今後のまちづくりを進める上での適正な手続きについて書かれました。
 そこで、「まちづくりプラットフォームのあり方」策定の目的と期待される効果とは何か、また適正な手続きとして「まちづくりに特化した手続き」及び「適切なプロセス」が必要としていますが具体的にはどういうことなのか、お伺いします。合わせてご答弁ください。
 次に、まちづくり協議会のあり方についてであります。
 これも昨年の第1回定例会にて質問しましたが、まさにプラットフォームとも重なりますので改めて質問させていただきます。(5を表示)(現物を提示して)

地区まちづくりルール 普及・推進ガイドブック

3.ルールづくりの進め方とポイント
検討組織の設立

  • 検討組織は地区住民に信頼される組織となることが重要であある

  • 自治体会等の範囲を基本としつつ、概ねの対象区域を決める

  • 既存組織をベースに公募等を行い、なるべく多様なメンバーで構成する

  • 検討の推進にはリーダーの存在が重要である

  • 地元の専門家がメンバーになると心強い

  • 組織は固定メンバーを基本としつつ、入退会が可能な仕組みを用意する

  • 密室で検討を進めないように会議の公開や検討内容の公表が必要である

  • 検討組織の内容が固まったら、会則を定めることが望ましい

  ・検討組織の名称、目的、構成、役員、検討内容、決定の手続きについては、会則として明文化した方が良い。そのことにより、検討組織に属さない人にとっても検討組織がどのような会なのかが明確になるとともに、メンバーの自覚を促すことにもつながる。

国土交通省のホームページから ​

 これは国土交通省のホームページからダウンロードした「地区まちづくりルール 普及・推進ガイドブック」です。まちづくりを進める際の「検討組織の設立」ところをスクリーンに項目だけ示しました。これらすべて大事ですが特に大事だと思う点は3点であります。一点目は、検討組織が地区住民に信頼される組織となっているのかということです。説明には「自治体が検討組織を認定する仕組みがあれば認定を受けることにより信頼性を高めることができる」と、行政が公の検討組織として認定する際の判断基準が大事となります。二点目は公開の原則、そして3点目は会則を定めることであります。会則のところの説明には「検討組織の目的、構成、役員、検討内容、決定の手続きなどは会則として明文化した方がよい。そのことにより検討組織に属さない人にとっても検討組織がどのような会なのかが明確になるとともに、メンバーの自覚を促すことにもつながる」と。(5を閉じる)大事なことであります。
 そこで、まちづくりに関する協議会のあり方についてはどう考えているのか、改めてお伺いします。また、千代田区ではまちづくりの協議会ごと設置要綱を定めることにより公の検討組織でることを認定していますが認定の際の判断基準とは何か、そして公開の原則や会則を定めることについてはどのように考えているのかお伺いします。合わせてご答弁ください。
 次に、エリアマネジメント活動推進ガイドラインについてであります。
 この度、エリアマネジメント活動推進ガイドラインの素案が公表され、現在パブリックコメント期間中です。ガイドラインの冒頭にはなぜエリアマネジメントなのかという理由が述べられています。「まちづくりの中心が開発(デベロップメント)から管理運営(マネジメント)にも配慮したまちづくりになるとともに、地域に住み、働き、学ぶ様々な方々が、主体的に地域に関わって行う取り組みであるエリアマネジメント活動が求められています」と。この意味するところですが、ここも私なりに解釈させていただきますと、これまでの経済性、効率性を優先した開発重視のまちづくりから地域の様々な主体がより主体的に地域の課題解決を始め、まちの界隈の個性を守り、コミュニティの形成などを図るまちづくり、Well-beingなまちづくりといえるかもしれません、への転換することが必要である。そのためのエリアマネジメント活動が求められていると。そう理解しました。
 そこで、エリアマネジメント活動推進ガイドライン策定の目的と期待される効果とは何か、また「開発から管理運営にも配慮したまちづくりへ」という言葉が使われていますがこの意味するところとは何か。合わせてご答弁ください。
 質問は以上であります。区長並びに関係理事者の前向きな答弁を期待します。よろしくお願いいたします。
 
 なお、私の本会議における質問は今回が最後となりました。この場をお借りしまして一言御礼の挨拶をさせていただきます。この24年間、区民の皆様の真心に支えられて今日まで議員として活動してくることができました。心より感謝申しあげます。誠にありがとうございました。また、理事者の皆様、そして議員の皆様にも今日まで様々な面で大変お世話になりました。誠にありがとうございました。

〈区長答弁〉

 大串議員のWell-Beigを指標とした区政運営に関する御質問にお答えいたします。
 初めに、区政は何のためにあるのかとの御質問ですが、区政の目的の一つは区民お一人お一人の幸せ、すなわちWell-Beingを実現するためのものであると認識しております。
 新たな基本構想に掲げた将来像では、変化に柔軟に対応しながら、本区に関わる全ての人、お一人お一人が活躍できる社会を目指すこととしており、換言いたしますと、まさにWell-Beingの実現を目指すものであります。現在及び将来の区民の皆様が生き生きと暮らせる社会を、区民の皆様と理念を共有しながらつくり上げてまいります。
 また、Well-beingと持続可能性を柱とする区政運営の指針の策定についてですが、若い世代や将来を担う世代に対して、持続可能で、一人一人が幸せを実感できる社会を構築していくことが私たちの責務であるということは、大串議員御指摘のとおりであります。新たな基本構想では、これらの視点を反映させており、具体の取組を進めていく必要があると考えております。このような考え方・理念を実現していくためには、それらが区民や職員によって共有され、意識されていることが必要です。このため、まずは新たな基本構想の理念の浸透と共有を図っていくことがドメインの設定にも通じるものであり、持続可能で、一人一人が幸せを実感できる社会づくりにつながるものであると考えております。
 最後に、大串議員におかれましては、平成11年より、24年間という長年にわたって、区の施策等に対しまして様々に御意見を賜ってまいりました。この場をお借りいたしまして、心から感謝申し上げます。
今後とも引き続き、区政の発展のために御協力のほどをお願い申し上げまして、私からの答弁といたします。
 なお、詳細及び他の事項につきましては、関係理事者から答弁いたします。

〈まちづくり担当部長答弁〉

 大串議員のまちづくりの「適正な手続き」についての御質問にお答えいたします。
 まちづくりにおける現手続につきましては、法定手続はもとより、千代田区参画・協働ガイドラインに定められた手続に基づき、適切に実施してまいりました。
 一方で、定住人口の増加やコミュティーの希薄化、価値観の変容や情報発信ツールをはじめとしたコミュニケーションの多様化など、様々な社会変化等が生じていることから、これからのまちづくり推進に当たっては、議員御指摘のとおり、現手続に加えて、よりきめ細やかな手続が必要になると認識をしております。そのため、「まちづくりプラットフォーム」と称し、より具体的な手続と、その手続を含めまちづくりの合意形成を支える新たな仕組みづくりについて検討に着手いたしました。
 まちづくりプラットフォームは、地域まちづくりの合意形成を支えることを目的に、まちづくり協議会等に対して第三者の視点から助言や支援を講じることなどを現在検討しているところでございます。また、地域まちづくりの取組内容やその実績等を一括して情報管理することも検討しております。これまでのまちづくりにおける合意形成の事例やノウハウを蓄積し、そうした情報を共通認識にして、各地域でよりよいまちづくりの議論がなされることを期待するとともに、行政として支援してまいります。
 合意形成につきましては、意見の一致を図るため、鋭意取り組んでまいりますが、全員の意見が完全に一致することは現実的ではありません。また、合意形成がなされたとしましても、その着地点に納得する方もいれば、納得はしていないけれどもやむを得ず判断される方もおられることと思います。こうしたことから、意見の着地点を見いだしていくことについては、重要度や地域の実情等に合わせた適切なプロセスを経る必要があると認識しております。
 具体のプロセスとしては、まずは、関係者が持つ情報の質・量が均衡となるよう、情報共有の徹底を図っていく必要がございます。その際、これまで以上に情報発信の時間軸の管理、発信する場所や媒体の工夫を図るようにするほか、議論の場の形成や意見の整理などについても、今後、その手続・手法等も含め検討を深めていきたいと思います。
 次に、まちづくり協議会の在り方についての御質問にお答えいたします。
協議会の在り方につきましては、議員御指摘のとおり、会議体の組織や公開基準、会則等いずれも重要であると認識の上、検討を進めているところでございます。また、より地域に即した協議会としていくためには、第三者視点も必要であると認識をしております。そのため、来年度、まちづくりプラットフォームの在り方検討において、助言や支援についての実証実験を予定しております。その中でも協議会の在り方について検討を深めてまいります。
 次に、「エリアマネジメント活動推進ガイドライン」についての御質問にお答えいたします。
本ガイドラインは、地域自らがその地域の価値を向上させる活動にチャレンジできるようにすることで、地域課題の解決や生活の質、いわゆるQOLの向上を図り、地域の愛着・つながりを強化させていくことを目的に検討を進めているものです。また、その効果としましては、地域活動の促進はもとより、エリアマネジメント活動そのものの認知度の向上、そして、区民・事業者・行政等の地域に関わる多様な関係者と活動の考え方の共有を図るものとして機能させていきたいと考えております。
 管理・運営に配慮したまちづくりにつきましては、特に地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための住民・事業者・地権者等の主体的な取組として、快適で魅力に富む環境の創出や良好なコミュニティの形成など、ハード面、ソフト面ともに一層配慮したまちづくりを推進してまいりたいと考えております。そのため、エリアマネジメントについての分かりやすい情報発信とともに、エリアマネジメント団体等の在り方も含め、今後、研究をしてまいります。

〈政策経営部長答弁〉

 区長答弁を補足して答弁いたします。
 まず、千代田区におけるドメインの設定についてですが、区民本位の区政を推進していく上で、ドメインを設定し、共有することは有効であると考えております。ドメインは、区の将来像を掲げる基本構想と通ずるものであることから、新たな基本構想が策定された場合には、まずはその理念の浸透と共有に努めてまいりたいと考えております。
 次に、千代田区版幸福度調査の実施についてです。
 以前も御質問いただいておりますが、政策目標に対応する調査として、調査結果を政策の見直しに反映させるなど、行政評価制度の一環として有効に運用されているものであると認識しております。本区においては、これまで、施策の重要度・満足度を調査・分析の上評価に活用し、施策の見直しにつなげてまいりました。新たな基本構想の下における行政評価制度は、次年度以降、本格的に検討する予定ですが、行政評価の手法は様々あり、評価対象の設定や評価結果の活用方法など検討事項も多岐にわたります。議員の御指摘や他団体の事例なども参考に検討を進めてまいります。
 次に、Well-Beigと持続可能性を柱とする区政運営の指針の策定についてございます。
 区長答弁でもございましたとおり、Well-Beigと持続可能性については、新たな基本構想にもその視点を反映させており、将来像の実現に向けた重要な要素であると考えております。現時点で指針の策定までは想定しておりませんでしたが、基本構想の浸透と共有に努めるとともに、具体の取組も進めながら研究してまいります。
 次に、行財政運営の考え方に関する御質問にお答えいたします。
 初めに、2040年問題も踏まえた今後の行財政運営の考え方についてです。
 議員御指摘のとおり、高齢者人口の増加と就業者人口の減少が、急速かつ同時に訪れる2040年問題は本区においても見込まれる問題ですございます。令和3年度に実施した人口推計では、2040年に向かって生産年齢人口は増加が見込まれており、本区特有の状況もございます。
 一方で、年金、医療や介護などに要する費用を増大させないために、健康寿命の延伸や、医療、介護サービスの生産性を上げる取組は、本区においても必要なことでございます。こうした本区特有の状況と全国的な対応の混在に加え、国においては社会保障制度の見直しが行われる可能性も高いことから、20年先までの財政状況を見込むことは困難と考え、今後10年間の見通しと、施策を柔軟かつ迅速に展開するための行財政運営の考え方を、併せてお示しをしたところでございます。
 また、中期的な取組方針については、これまでの計画の硬直性に対する工夫として、変化に柔軟に対応することを可能としたものです。毎年の見直しを許容した趣旨も、社会経済情勢等の変化によって施策などの見直しが必要となった場合に、スピード感を持った対応を可能とするためでございます。一方で、あくまでも中期的な取組の方針であるため、合理的な理由もなく頻繁に見直すことは予定してございません。
 次に、財政白書に関する御質問2点についてお答えいたします。
 まず、平成13年に策定した財政白書における提案等の実現状況についてでございます。
 財政白書においては、今後の財政運営についての提案として5項目を提示しております。「財政指標をガイドラインとする財政運営方針の策定」、「予算編成手法の改善」、「地域に関する課題解決を予算面から支援」、「区民の選択によるサービス供給」及び「会計手法を活用した説明責任の遂行」の5項目でございます。これらの項目は、いわゆる行革条例の制定、複数年度予算編成の実施、統一的財務諸表の作成と公表など、全ての項目で実施しており、現在の健全な財政状況の基礎となった取組であると考えております。御質問にもありましたとおり、これらの取組の成果として、「自主的で自律的な行財政運営の確立」については一定程度進みましたが、これを維持・強化していくことが今後の課題でございます。
 次に、新たな財政白書の御提案についてですが、予算において、今後の財政見通しを「区の仕事のあらまし~予算の概要~」にてお示しをし、決算の際には、貸借対照表や行政コスト計算書等の財務諸表を「主要施策の成果」に掲載するなど、本区の財政状況は財政白書という形式での周知から、それぞれの冊子及び区ホームページにて毎年度周知する形式で実施してきております。したがいまして、現時点で新たな財政白書を作成する予定はございませんが、一方で、財政白書における5項目の提案には、予算編成手法の改善や財政状況の説明など、一度実施して終わりではない項目もございますので、大串議員の御指摘を踏まえながら、今後も不断の努力として継続し、自主的で自律的な行財政運営に鋭意取り組んでまいります。
  

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