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平成11年第2回定例会

​1.事務事業評価制度を設けよ 2.バランスシートを作成せよ 3.ボランティア活動と区との関わりについて

〈質問通告〉
 

  1. 事務事業評価制度を定めて実施せよ

  2. バランスシートの作成せよ

  3. ボランティア活動と区との関わりについて


〈質問と答弁の全文〉

 平成11年第2回千代田区議会定例会において、公明党議員団の一員として一般質問をさせていただきます。
 地方分権、都区制度改革に伴い、千代田区としても自主性、自立性が高まり、それとともに責任も求められていくようになります。このときに当たり私は、初めに事務事業評価システム、2点目にバランスシートの作成について、そしてボランティア活動と区とのかかわりについての3点について質問させていただきます。

 まず、事務事業評価システムについてお伺いします。
 今後予想されるサービスの多様化に対し、一つ一つが本当に区民のためになっているのかを、区民の目線でチェックする必要があると思います。初めての試みとなるサービスも多くなります。こまめにチェックをし、よいサービスはさらに拡大し、改革するものは早めに改めていく、その作業が必要ではないでしょうか。現在、千代田区では平成9年3月に発表されました行財政効率化推進大綱の中に、事務事業点検基準があります。千代田区の87事業について、四つの着眼点、23段階のチェック項目を設けて行っていますが、このままで今後とも十分機能していけるのか、それとも新しい評価システムを導入すべきなのか。
 他の自治体を見ますと、三重県の政策評価システム、宮城県の事務事業総点検など、膨大な数の事業、サービスをチェックし、公表しています。横並びの行政、また、上から指示されて行う行政ならば、それほどのチェックは必要ないと思いますが、それぞれの自治体が個性を出し、自らの責任で行っていく時代です。
 そこで、千代田区としても、他の自治体の様子を見てからということではなく、最高のサービスを行うため、客観性と透明性のある、他区に誇れる事務事業評価システムをつくる必要があると思います。この点についてお伺いす。  

 次に、今話題のバランスシートの作成についてお尋ねいたします。
 議事録をさかのぼりますと、平成9年第4回定例会においてこの問題が取り上げられ、研究課題とさせていただきます、との答弁があります。現在の景気はバランスシート不況とも言われています。バブル時につくった悪いうみをバランスシート上にて精算しているため起こる不況だからです。急速なグローバル化に対応するため、一斉に進めています。本年度からの連結会計はもとより、2001年3月からは時価会計、そして、同じ2001年3月からは年金積み立て不足と退職金積み立て不足を負債の部へ計上していく退職給付会計の導入も決まっています。そして、また環境の問題にしても、大手企業数社は、まだ基準もできていないにもかかわらず、自らバランスシートに数字を載せ、環境への取り組みを公表しています。私は正直、もうここまで進んだのか、それまでやっているのかと、びっくりしました。というのも、環境についての費用は計算できても、効果については数字にしにくいからです。この動きに投資家はすぐに反応し、評価しました。バランスシートに載せるということは、そこにその会社の行動、決意が込められているからでしょう。
 さて、自治体の会計は官庁会計で収入と支出を年度を通して見ていくものです。これでは、どうしても長期間にわたる公共投資事業により蓄積される資産と負債の状況が視野に入りにくい。昨年と比べての金額の増減はわかりますが、資産、負債の全体がとらえにくいため、真の政策が立てにくいのではないでしょうか。また、政策を判断する基準も乏しくはないでしょうか。また自治体にとってバランスシートそのものの基準もないため、他の自治体との比較はできませんが、区民へのアカウンタビリティとして、また政策策定のための手がかりとして、ぜひ作成してみてはと思います。
 朝日新聞によれば、現在、自治体でバランスシートを作成しているところは、先ほどの三重県、宮城県を始め5県13市、また現在作成中もしくは準備中のところは、東京都を始め5都府県13市区であります。海外で国として作成しているところは、世界で初めて女性参政権を勝ち取ったニュージーランドが既に作成済みであります。イギリスも準備中とのことです。千代田区としてのお考えをお聞きしたいと思います。  

 最後に、ボランティア活動を区としてどう支援し、かかわっていくのかという点について質問をさせていただきます。
 昨年の通常国会において、特定非営利活動促進法(NPO法)が成し、12月より施行されました。今年は日本でもNPOが大きな一歩を踏み出す年と言われています。NPO・イコール・ボランティアとはなりませが、それぞれの活動の範囲は大分重なっています。つまりNPOもボランティア活動も、行政の行う公的サービス部門と民間サービス部門の中間にその行動範囲があるからです。公的サービスは、その目的、規則、公平性があるがゆえの限界があります。民間サービスでは採算性の問題があり、その及ぶ範囲は限られてしまいます。その公的、民間の谷間を見事に埋めてくれるのがNPOとボランティアグループの行っているサービスす。
 たとえとして、福祉の分野で話をさせていただきますが、特に福祉分野においては重要になっています。ボランティア活動の協力なくしては、今の介護の問題も成り立ちません。現在、区内福祉関係のボランティアグループは23グループ、うち会食、配食サービスが16グループあると伺っています。介護保険の対象とはなっていない配食サービスは非常に大事であると認識しております。お一人住まいの高齢者の方にお弁当をお届けし、会話を交わすことは今後ますます大切になってくると思います。
 現在、配食サービスを受けておられる方の声として、「買い物に行くことさえ不自由になってしまった。手づくりのお弁当が届くのをとても楽しみにしている」と。そして他の自治体では、福岡県春日市でもこのような配食サービスを通して対話を図っているそうです。心の通ったサービは、民間に委託してできる分野でもありません。
 ボランティアの例として配食サービスをお話しさせていただきましが、福祉関係はもちろん、環境、防災も含めてたくさんの方が活躍されています。ますます重要となってくる第3のサービスとも言っていいこのボランティア活動に対し、公的サービスとの兼ね合いから、区としての取り組み方、考え方をお伺いしたいと思っています。

 以上3点、区長並びに関係理事者のご答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)     


〈区長答弁〉

 大串議員のご質問のうち、ボランティア活動と区のかかわりについてお答えを申し上げます。
 著しい少子高齢化や核家族化の進行、また女性の社会進出の進展等に伴い、子育てや高齢者の介護などに対する区民要望はますます増大をいたしております。一方、地球環境保全に対する機 運の高まりや、個人の自己実現への要求など、社会環境等の変化に伴って区民のニーズはますます多様化し、高度化をいたしております。とりわけ福祉の分野におきましては、来年度より介護保険制度がスタートし、従来の行政による措置から利用者の自己 選択、自己決定による利用制度へと移行することとなります。このため、利用者の個々の要求に応えられる多様なサービスメニューと、その質や量の確保が求められるようになり、行政のみならず民間、またNPOなどによる多様な事業展開が望まれておることは、委員ご指摘のとおりでございます。
 こうした中、現在、区内で行われておりますボランティア活動は、地域に密着し、区民の日常生活をきめ細かい配慮で支えていただいており、私としても深く感謝をいたしておるところでございます。今後、福祉を始め環境・教育など多様な分野においてますますボランティア活動の果たす役割は重要となり、また区が区民とのパートナーシップのもとに区政を推進していくためにも、その活動をより活発化させる必要があろうかと存じます。したがいまして、ボランティア活動の自主性などを尊重しながら、その活動が安定的かつ継続的なものとなるよう、場の提供や情報提供などの支援を行っていく必要があると考えております。また、区政を進めていく上で、民間、NPO、ボランティアとの連携や役割分担も課題となっており、第3次長期総合計画を策定していく中で、十分検討をいたしてまいりたいと考えております。
  なお、他の事項につきましては、関係理事者をもって答弁をいたさせます。   

〈企画部長答弁〉

 大串議員のご質問のうち、事務事業評価システム及びバランスシートの作成についてお答えをいたします。まず事務事業評価システムでありますが、わかりやすい指標を用いて行政の実態を開示し、透明性を高め、効率性の向上を図ることに目的があるとされ、既に、ご指摘のように三重県などで導入されております。その実施に当たっては、客観性のある評価基準や指標をどう設定していくのか、また区民を始めとした外部評価をどのように取り入れていくのかなどの検討課題もあります。しかし、この事務事業評価システムは、予算編成や事業計画の策定、区民への説明責任を果たすことなど、活用場面が多岐にわたりますので、他の自治体の成果や課題を参考にしながら、第三次長期総合計画の検討にあわせて、有効に機能する事務事業評価の指標を検討していくことにいたしております。
 次に、バランスシートの作成でありますが、バランスシートによって財政状況をより明確に把握でき、透明度が高まるのではないかという考えから、東京都を始め他区、市において検討の俎上に上っております。一部の自治体では施行されていると仄聞しておりますが、バランスシート作成についての統一的な基準がない現段階では、資産の評価はどのように行うのかなど作成手法の課題があり、また、ご質問にもありましたように、各自治体が独自の手法で作成した場合、大きな意義を持つ自治体間の比較ができないというような課題もあります。最近、自治省が学識経験者などから成る調査研究会を設置し、バランスシートの標準的な仕様や資産の評価方法などを検討していくことになりましたので、統一ルールの作成などの検討状況をまず把握してまいりたいと考えております。区は、これまでも財政状況の公表や、財政白書の作成などを通じて、区民にわかりやすい財政状況の説明に努めてきたところであります。今後とも、バランスシートの意義を踏まえ、調査検討を進めるとともに、他の手法も含めまして、財政全体の状況に関する情報提供に努めてまいりたいと考えておりますので、ご了承をお願いいたします。

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