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平成17年第4回定例会

​疾病予防と健康増進の取り組みについて

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メタボリックシンドロームの絵とグラフを示しながら

〈質問通告〉
 

  1. 区として疾病予防・健康増進に取り組む際の基本的な考え方は

  2. 予防の具体策として
    ①検診と保健指導を一連のサービスとして体系化しより効果のあるものにすべき。区としてどう取り組むのか。
    ②高齢者に対する肺炎球菌ワクチンに公費助成を!



〈質問と答弁の全文〉

 平成17年第4回定例会にあたり公明党区議団の一員として一般質問を行います。
 私は、「疾病予防・健康増進」という視点からの「予防」という課題に対し提案も含めて3点の質問を行います。
 現在、国において様々な制度改革が検討されています。「持続可能な制度へ」と言いつつも改革に取り組む理由としては財政的な面が強調されすぎているのではないかと心配しています。そのことを理由に、先に利用者の負担ありきで検討されては国民の理解はとても得られません。例えば、年金も含めた社会保障制度全般の見直しも今なされていますが、単に国家財政悪化を理由に進めるのであれば、これは国民のセーフティネットとしての社会保障制度の断続的な縮小をももたらしかねません。国の役割、自治体の役割は当然あるわけですが、何のための改革なのか、今一度確認し国は改革をしっかり行ってもらわなくてはなりません。多くの国民の期待に応えるべく改革を望むものです。
 そのことを前提として、以下自治体としての「予防」について、質問を行います。
 昨今、「予防の重視」という言葉をよく聞いたり目にしたりします。来年予定される医療制度改革の中心となる概念がこの「予防の重視」であります。また今年行われた介護保険制度改革も「予防の重視」でありました。この「予防の重視」という考え方もあくまで国民の健康維持と増進という視点からのものであり、結果として財政的効果がついてくるということであります。
 「予防」というこの課題は地域に身近な自治体としての役割は極めて重要であり、年々その果たすべき責務は増しているのだろうと思います。それは予防も健康づくりも、医療・保健・福祉そして介護さらには教育まで含めた連携、つまり自治体総体としての取り組みなくしてその推進は不可能だからであります。また一朝一夕には決してできないのもこの予防や健康づくり(増進)であります。成果や効果が表れるのに5年、10年かかるかもしれません。また何よりも区民一人ひとりの自主的な行動が基本となります。まずそのためには一人ひとりに、「自分の健康は自分で責任を持つ」という「健康意識」を持ってもらう意識改革から始めねばなりません。正確でわかりやすい情報の提供と行動へのきっかけづくりが何より重要です。例えば現在区として行っている、

  1. 保健所主催の各種健康講座

  2. 医療機関と連携しての健診と保健指導

  3. 地域の健康推進委員さん主催の講座や催し

  4. 健康手帳の活用

  5. 小中学校で行っている食育を含む健康教育

  6. その他スポーツなど、健康を視点とした各種施策などであります

 今後、幅広い各事業に予防と健康づくりという視点が必要になってくることはいうまでもありません。そこで、予防に限ったことではありませんがこの保健福祉全般にわたる連携のあり方もしくは将来像ということが大変大事になってきます。この点、区として平成15年3月に策定した「保健福祉総合計画」いわゆる「いきいき百科」があります。これは、今まで個別に作られていた各種計画を一冊にまとめたものです。何よりも利用者にわかりやすく、また利用してもらうために写真とQ&Aを多用したカタログ形式によるものとなっています。その冒頭に、石川区長と司会で有名なみのもんた氏との対談が掲載されます。その対談は、石川区長の「保健福祉全サービスを生活必需品とする宣言」から始まりますが、みのもんた氏はそれをわかりやすく解説します。「福祉って漢字で書くと二文字ですけど、人間が生きていく上で、水や空気や太陽などそういう基本的に大事なものの中に、福祉も入らなきゃならないものだと、そいうことですね」と。区長は続けて「戦後、困っている人を助けるのが福祉でしたが、今は誰もが福祉を必要とする時がある。だから福祉サービスというのは特定の人だけが受けるサービスではないんですね。それから『生活必需品』というからには自分で選ぶものでなくてはなりません。しかも自分の生活圏内の近いところで」と述べます。つまり、保健・医療・福祉・介護も全てのサービスを水や空気や太陽のように、誰もがごく普通のこととしてあたりまえのように利用できること、そしてそのサービスは選ぶこともできてしかも身近な生活圏内において実現できる。このことを「生活必需品」と表現しながら連携のあり方もしくは将来像として区民に示されたと、私は理解しています。
 区として「疾病予防・健康増進」に取り組むためには各部の連携とともに首長の強いリーダーシップが必要です。そこで、改めて区長に区として疾病予防・健康増進に取り組む際の基本的な考え方をお伺いします。

 次に、予防の具体策としては最も基本的な施策となります「健診と保健指導」についてであります。
 健診ということでは、最初に生活習慣病について基本的なことを確認しておきたいと思います。
日本人の三大死因は癌(悪性新生物・3割)、心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患・→この二つで3割)であります。いわゆる生活習慣病ですがこの三疾病で約6割を占めます。医療費でいうと約4割を占めているのが実態です。内訳としては癌が1割、糖尿病、脳卒中、心臓病等の循環器系疾患が3割となっています。また65歳~74歳までの前期高齢者が介護を要する状況となった理由の約半数も脳卒中であり、介護予防の観点からも脳卒中の発症予防は極めて重要な課題となっています。心臓病と脳卒中を合わせた循環器系疾患(いわゆる、心筋梗塞・狭心症・脳梗塞・閉塞性動脈硬化症)を引き起こす原因が「動脈硬化」であります。この「動脈硬化」の危険因子といえばコレステロールが有名ですが、最近の研究では、肥満がさまざまな生活習慣病を引き起こし、より「動脈硬化」になりやすいことがわかってきました。ここで言う肥満とは特に内臓のまわりに付着した脂肪を言います。下腹部や腰の周り、太もも、おしりのまわりの皮下に付く皮下脂肪と分けています。この内臓脂肪蓄積によりさまざまな病気が引き起こされた状態をカタカナで恐縮ではありますが、「メタボリックシンドローム」と呼び、今大変注目されているものです。内蔵脂肪が増えすぎた肥満は要注意なのです。ただ外見ではわかりづらいのですが、調べる方法としてウエスト径(へその上で計るウエスト)があります。日本人の基準として、男性で85cm以上、女性で90cm以上であれば疑いがあるそうです。メタボリックシンドロームは生活習慣が密接に関係しています。よって生活習慣をちょっと改善するだけで、実は内臓脂肪を減らし、メタボリックシンドロームを防ぐことができるのです。多くの人が正しい知識を有し、実際に行動することによりこの生活習慣病の発症予防につながります。よって、健診と保健指導が非常に大切となるわけです。私事でありますが、私も健診の際いつも高脂血症と指摘されますが、一昨年とは異なり今年はすでに「死の四重奏」いわゆる血圧・肥満・血糖・血中脂質のいずれも異常でありもう保健指導の領域から治療が必要の段階ですと厳しい注意を受けた次第です。お蔭様で現在はその危機的状況をとりあえず回避しているということです。
 早期発見・早期治療のための健診、いわゆる二次予防としての健診から予防のための健診、つまりは一次予防としての健診が今求められているのではないでしょうか。この生活習慣病の健診と保健指導については、厚生労働省の「生活習慣病・保健指導のあり方に関する検討会」よりこの「中間のまとめ」が発表されました。タイトルは「今後の生活習慣改善支援サービスについて」となっていて、副題に先ほどの「メタボリックシンドロームの概念を導入した生活習慣病健診・保健指導への転換」となっています。内容は、医療を「治療中心」から「予防の重視」へと転換する上で重要となる健診・保健指導のあり方について新たな発想とその手法を示したものになっています。健診によって保健指導を必要とする者(特に予備群)をスクリーニングし、確実な行動変容を促す保健指導につなげるためにも、健診および保健指導を一連のサービスとして体系化することが必要である」としています。そして(仮)生活習慣病改善支援サービスの創設と国民にわかりやすく受け入れられやすい考え方や取り組みとして「メタボリックシンドローム」の導入を提案します。国民のコンセンサス(合意)を形成し、対策を推進するためには病態や危険度、生活習慣を改善する目的等の情報を、専門知識がなくてもわかるように提供していくことが必要なためです。
 この「まとめ」の中では現状での課題も示されています。いくつかあげると、

  1. 健診の受診状況を体系的に把握し、必要性の高い人に受診を勧奨する仕組みがないこと。

  2. 健診・保健指導が各種制度によって各種事業主体別の事業となっており、必ずしも目的や実施方法等の整合性、連携が十分でないこと。

  3. 健診の実施に重点が置かれ、健診結果に基づいた適切な保健指導が十分でない。

  4. 健診と保健指導を実施した人に関する効果の把握がされてなく評価の仕組みがない。

などであります。
 また健診と保健指導を一連のサービスとして体系化するための今後のあり方としては以下の点をあげています。

  1. メタボリックシンドロームの概念を導入し、健診・保健指導の対象、目的を明確にすること。

  2. サービスを必要とする人を効果的に抽出し、これらの人に確実にサービスを提供する。本来必要な人が受けてなかったりするのを防ぐこと。

  3. 保健指導のための人材の確保(マンパワーの充実)

などであります。
 現状での課題と今後のあり方が記述されていて大変貴重な「中間のまとめ」であると思います。以上の点を踏まえて、区としてどのように健診と保健指導に取り組まれようとしているのか、お伺いします。

 次に具体策としては欠かせない予防接種であります。
 特にこれも最近注目されているわけですが、高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの公費助成についてであります。
 インフルエンザにかかりやすい時期がこの11月から3月くらいまでであります。医療技術の進歩で比較的軽い症状で治ることが多いものの、風邪と違って怖い感染症でありこじらせると命取りになりかねません。特に免疫力の弱った高齢者は肺炎や気管支炎の合併症で重症化する例も大変多くなっているとのことです。このインフルエンザに対する最も有効な予防はなんといっても予防接種を受けることが一番であります。そこで平成13年の予防接種法の改正では高齢者に対するインフルエンザワクチンの予防接種が定期接種に加えられました。公費補助もスタートしたわけですが、都の制度として65歳以上の高齢者は現在一律2200円公費助成を受けることができるようになりました。おかげで接種率は年々高くなってきており平成16年度で概ね50%くらいと聞いています。
 さて、現在肺炎の方ですが高齢者の死亡の原因の第4位であり、(目黒区の資料によれば)そのうち55%は肺炎球菌によるものとされます。肺炎球菌ワクチンの効果を示すデータでありますが、Nichol(二コール)らとButler(バトラー)らの報告がよく使われます。Nicholらの報告とは「インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの両方を接種すると発症しての入院率を63%低下、死亡率にいたっては81%低下させ、インフルエンザ単独に比べて10%以上の上乗せ効果がある」というものです。またButlerらの報告とは「基礎疾患を有するハイリスク患者を対象に肺炎球菌感染症の予防効果を検証したものですが、糖尿病患者で84%、心血管疾患で73%、うっ血性心不全患者で69%、CODP(慢性閉塞性肺炎疾患)および喘息患者で65%の予防効果をあげた」というものです。
 ワクチンの有効な対象とされているのは、先ほどのバトラーの報告にありましたように、一般的に免疫力が落ちているとされる高齢者そして呼吸器・循環器疾患、糖尿病、腎疾患などの基礎疾患を有するハイリスクグループとされる人たちであります。現在、日本で肺炎球菌ワクチンの保険適用は残念ながら「脾臓摘出患者における肺炎球菌感染症予防」のみとなっています。なお、肺炎球菌ワクチンはインフルエンザワクチンと異なり一度接種すると5年間有効とされ、現在日本では生涯で一回の接種でよいとされています。
 日本でこの肺炎球菌ワクチン接種の公費助成を行ったのは、平成13年の北海道瀬棚町が最初であります。また一番直近では目黒区がこの11月から始めました。公費助成を実施した自治体としては全国で22番目となりました。今回、この瀬棚町と目黒区を例として紹介し、公費助成の必要性を述べたいと思います。
 さて、瀬棚町(せたなちょう)の例ですが町の医療センターの所長は村上智彦医師です。特に予防に力を入れたその取り組みと成果は全国に広く知られるようになりました。今年8月26日の日経新聞にもその様子が紹介されました。「ワクチンが変える医療」と題された記事の内容は以下の通りです。「高齢者がインフルエンザなどにかかると、肺炎を併発して重症化するケースが多い。肺炎を防ぐ肺炎球菌ワクチンは米国では6割の高齢者が接種する一般的なワクチンである。『実際に肺炎になれば高齢者一人あたり25万円の医療費もかかる。町が一人2000円のワクチン費用を負担しても百人に一人の肺炎患者を防げれば十分採算が合う』と村上所長は町役場や住民に働きかけて平成13年に日本で初めて肺炎球菌ワクチンの公費助成に踏み切った。その効果は劇的であった。翌年平成14年の老人医療費は726000円で前年比27%の減。平成3年のピーク時のほぼ半分である。全国トップであった老人医療費は818位にまで下がった」と。そしてさらに「現在では高齢者の約6割が肺炎球菌ワクチン接種を受けるようになった。これは米国のそれを抜いており、村上所長によれば『全体的に高齢者の肺炎をはじめとした感染症発症率が低下し高齢者全体の健康状態は改善されている』」と、記事では紹介しています。ちなみに村上医師は保健・医療・福祉に関し、「普通のことをあたりまえにやる」ということを何よりも大切にしているそうです。
 次に目黒区ですが、先月11月1日から実施したというので私もさっそく11月8日に訪問し、担当課係長からお話を聞くことができました。実施に至った経緯、理由としては、

  1. 地元医師会から要望があったこと。

  2. 目黒区の方針でもある、高齢者の健康寿命延伸に合致すること。

  3. インフルエンザ予防接種の接種率が年々高くなり高齢者人口の50%に達し、区民の健康意識が高まってきたこと。

  4. 先ほども触れましたが、肺炎が高齢者の死亡原因の第4位を占めており、そのうち55%がこの肺炎球菌によるものであること。そしてこのワクチンはその原因菌である肺炎球菌の80%に対して予防効果があること。

 以上の点をあげておられました。申し込みの受付は10月17日から始まりましたが、当初の1000人の枠は11月16日には早々と一杯となってしまったとのことでした。担当課も予想以上に区民の健康意識の高いことに正直驚いていました。
 以上、瀬棚町(せたなちょう)と目黒区の例を紹介させていただきました。
 千代田区の65歳以上の高齢者の人口は直近で約8800人であり、インフルエンザワクチンの接種率は同じように年々高くなっており平成16年度で47.5%であります。千代田区としてもこの高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの公費助成を行ってはどうかと提案します。ご所見をお伺いします。

 以上、千代田区型予防モデルの実現を望みながら、疾病予防と健康増進について3点の質問をさせていただきました。区長並びに関係理事者の積極的な答弁を期待し私の質問を終わります。
 ありがとうございました。


〈区長答弁〉

 大串議員のご質問にお答えいたします。
 何か私のことを示唆しているように言われまして、大変耳が痛かったわけですが、健康であるということは、私たちが生活、仕事、学業を営む上で大変重要な要素であるというふうに考えております。この健康に関する問題は、もう古今東西、大変いろんな学者を含めて言われているわけですが、例えば歯を磨くという、そういうことについては、ギリシャ神話に出ておりまして、まさに人類の文化、文明が発祥した時代から、歯を磨く、つまり健康という、そういうことを言われているわけでございます。あるいは江戸時代に著名な医学者であります貝原益軒が「養生訓」の中でもいろんなことを言っておりますが、例えば養生は若いときから。節度ある飲食こそ基本である。腹八分目。体を動かすこと。養生は身を動かすこと。日々の生活を楽しむ。心の楽しみを知れ。たばこのことも言っておりますが、等々、私は貝原益軒のおっしゃっている、養生は若いときから。正に私は今日でもこのことはつながるだろうと思いますし、大串議員がおっしゃっている予防というのも、そういう観点で考えるべきだろうと思います。
 本格的な高齢社会の到来とともに、生涯を通じて生きがいを持ち、幸せな人生を送るためには、健康であることがまず前提であります。そうした意味で、誰でもがどこでもいつでも医療や各種保健・福祉サービス等が十分受けられる制度、仕組みが必要でありまして、そうした意味で私はこれまで医療を含めた保健・福祉サービスを「生活必需品」という言い方で申し上げてきたわけでございます。
 私もだんだん高齢者という状況になってまいりますと、本当に健康というものの大切さというのをつくづく感じるわけですが、何といいましても、年々日常が非常に大切だなというのを非常に感じているところであります。今「生き生き百科」のご紹介がありましたけれども、その中で聖路加病院の日野原先生が「輝きのある人生──第三の人生を創造的に生きる」という形で書いておりますが、人生を3つに分けておりまして、19歳以下を第一、それから64までを第二、65以上を第三という、そういう分け方をしておりますが、最近は10歳ぐらい、実は引き上がって、第三が75歳以上じゃないかというふうに言っておりますが、その中でも非常に超高齢化という社会の中で、第三の人生は自分が開拓するべきであり、そのためには頭を使い、芸術を楽しむ刺激が必要だというようなことを申しております。このためには、正に若いときから健康、生活習慣病を含めて、自分でこのことを心がけるということが必要なんだろうと思います。貝原益軒は正に若いときから養生は必要ですよということを申しております。
 もちろんこうした健康づくりの主役は、やはりそれぞれ一人ひとり区民の方々でありますが、そうしたことの機会ときっかけという意味で、私の方はご案内のとおり、かなり健康診断等につきましては、今や20歳以上というところにまで引き下げております。これも21健康ちよだという、そういうプランのもとに実は行っておりまして、これからもそうした意味で健康という問題を、予防も含めてしっかりと区政として努めさせていただきたいと思います。
 ところで、ワクチンの話が出ましたが、私は公費助成の対象ではございませんが、先日行ってまいりました。まだ64ですから。インフルエンザでございますが、そのときわかったことは、あのワクチンについては2人分が1つのびんに入っております。したがいまして、1日ぐらいで実は2人分を使わないと破棄をするということになっております。ぜひ各議員におかれましても、ワクチンについてお二人で一緒に近場の医療機関に行っていただくことが、結果的には医療費の抑制にもなるということでございますので、ぜひそうした意味でご協力をいただきたいというふうに思っているところでございます。
 詳細につきましては、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。


〈保健所長答弁〉

 大串議員の健診と保健指導の取り組みについてお答えいたします。
 予防が可能な糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の予備軍をより早期に発見し、適切な保健指導を行い、それらの危険因子を減らすことは、健康を維持、向上していく意味で大変重要な課題と認識しております。保健所では、生活習慣病予防対策を進めるに当たり、現在地域の医療機関等と役割分担を行い、連携、協力を密に、様々な事業を展開しているところです。今後さらに医療機関が実施している誕生月健康診査と、保健所が実施している保健指導が、一連のサービスとして利用できるよう、一次予防を重視した生活習慣病予防支援サービスを充実してまいります。こうした仕組みを構築する中で、保健所としては、40歳以上の区民を対象に個別指導と集団指導を組み合わせ、保健師、栄養士、歯科衛生士等の専門職からの生活習慣病予防における個別指導、骨密度測定、血管年齢測定並びに体力測定を行うことにより、生活、運動、栄養など、多角的に指導体制を強化し、生活習慣の正しい知識の普及並びに生活習慣病予防の動機づけを図り、健康診査と保健指導の連続性を保った総合的な健康づくり支援策を進めてまいります。
 さらに、それらの取り組みを通じて、区民の健康意識や行動変容を把握しました、先ほど議員から解説がございました新たな生活習慣病予備軍であるメタボリックシンドロームの概念を取り入れ、事業の効果検証を行ってまいります。
 次に、大串議員の肺炎球菌ワクチンについてお答えいたします。
 議員ご質問のとおり、肺炎は悪性新生物──いわゆるがんですが──心疾患、脳血管疾患に次ぐ死因の第4位に位置する重要な疾患です。その肺炎で亡くなる方の約半分が、肺炎球菌が原因と言われております。肺炎球菌ワクチンは、それらの肺炎を減少させる効果が確認されております。保健所では、地域医療機関の協力のもと、ポリオ、麻疹、風疹など、様々な予防接種を実施しているところです。
 さて、肺炎球菌ワクチンを高齢者インフルエンザワクチンと同様に、接種費用を助成して、接種を勧奨することについてですが、千代田区内では既に76の医療機関が肺炎球菌ワクチン接種を実施しているところでございます。今後区といたしましては、高齢者に肺炎球菌ワクチン接種を積極的に勧奨するとともに、接種にかかる費用への助成については、予防という観点から課題として受け止めさせていただきたいと思っております。

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