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平成17年第1回定例会

​アレルギー対策について

〈質問通告〉

アレルギー対策について

  • アレルギー対策の体系的・総合的な取り組みを

  • アレルギー総合相談窓口を拡充せよ

  • 食品の成分表示の徹底を図れ



〈質問と答弁の全文〉

 平成13年第1回区議会定例会に当たり、公明党議員団の一員として一般質問させていただきます。
 昨日の区長の区政運営に関する基本姿勢を聞いて、私は大変うれしく、また感動いたしました。何に感動したといっても、それは区はサービス産業であるということと、経営感覚あふれる区政を訴えられたことです。まさにより良いサービスをどうしたら提供できるのかを考えたとき、私も民間の経営感覚を導入することに全く同感であるからです。最初に一言感想を述べさせていただきました。

 さて、私はアレルギー性疾患対策について3点質問させていただきます。
 アレルギー性疾患というと、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー性鼻炎、さらにアレルギー性結膜炎、食物アレルギー、じんましん等であります。これらの疾患に悩む患者は増加の一途をたどっています。厚生労働省の調査によれば乳児の29%、幼児の39%、小児の35%、成人の21%に上っています。平均して3人に1人の割合で何らかのアレルギー性疾患を持っていると報告されています。
 東京都は昨年7月に、アレルギー疾患に関する全都調査を発表いたしました。それによると3歳児の41.9%の子どもたちが何らかのアレルギー疾患を持っているとの報告があり、私もその数値に驚きました。その内訳はアトピー性皮膚炎が最も多く18%、続いてじんましんの15%、ぜんそく・ぜん鳴の9.5%となっています。41.9%という数字は、この問題がいかに深刻かを物語っています。
 今や国民病とまで言われるアレルギー性疾患対策は、一日の猶予も許されない緊急の課題となっています。私たち公明党は昨年、全国で1,464万名のアレルギー性疾患対策を求める署名を行い、国にその対策を要望いたしました。その結果、アレルギー対策予算は来年度、研究費をはじめとする対策費に平成12年度の約3倍の70億円が計上されることとなりました。環境省、厚生労働省、文部科学省を合わせて今年度は24億円でありました。また、国におけるアレルギー疾患の研究・治療で中核的な役割を果たしている国立相模原病院に昨年10月、臨床研究センターが発足し、アレルギー疾患の研究体制が一段と拡充されました。また、同病院では最近マスコミでも話題のシックハウスについてシックハウス検査室を来年1月に運用開始する予定となっています。今年4月には花粉症やアトピー予防のためのワクチン開発を目指す免疫・アレルギー科学総合研究センターが発足します。そして、同じくこの4月からアレルギー原因物質の食品表示、遺伝子組みかえ食品の表示が義務付けられるようになります。さらに、各都道府県でアレルギー相談員の養成を行う等、数々の成果を上げることができました。
 現在、千代田区でも公明党女性局が中心となり、アンケートによる実態調査を既に開始しています。区としても患者、またその家族と直接かかわる自治体として、この緊急を要するアレルギー対策として現在の実態を調査把握し、何ができて何が不足しているのかを総点検する必要があると思います。
 千代田区において乳幼児健康診断の際、アレルギー健診も同時に行っていますが、何らかのアレルギー性疾患にかかっている子どもの比率は11年度で3カ月の幼児は34人で15.5%、1歳6カ月の幼児は30人で16.9%、そして3歳児は最も多く、46人の23.7%となっています。先ほどの東京都の調査よりは低いものの、大変な数字です。病気別では、湿疹が38.5%で最も多く、次いでアトピー性皮膚炎が23.1%、そしてぜんそくは5.1%となっています。どの年代も約2割の乳幼児がアレルギー疾患に悩んでいるということになります。
 現在、アレルギー対策としての施策は何があるでしょうか。また、何が必要なんでしょうか。乳幼児健診の際のアレルギー健診、保健婦による家庭訪問、環境衛生監視員による家庭内のだに、かび等の調査、ぜんそくに関しての医療券の発行、ぜんそく日記、ピークフローメーター等による自己管理指導、栄養士による食事指導、そして最も重要な窓口相談等、いずれも大事なものばかりです。しかし、現在アレルギーと名のつく事業はアレルギー健診のみとなっています。
 アレルギー疾患はまた他のアレルギー疾患を併発している場合が非常に多く、これら必要な施策を予防、治療、そして調査・研究ときちんと体系立った対策とし、取り組むべきことが今こそ重要になってきたと考えますがいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。

 では、その患者と家族が具体的にどういう悩みと要望を持っているのか、先ほどの東京都の実態調査により知ることができます。通院に時間がかかる、医師に相談する時間が少ない等、治療に関する事項とともに、薬についての正しい情報が得にくい、アレルギーに関する情報があり過ぎて迷う、アレルギーについて気軽に相談する場がない等、適切な情報、相談を求めています。また、相談に乗ってもらいたい場所としては、医療機関を除くと保健所、区市町村の保健センターが64.4%と最も高いニーズがあると報告されています。
 私たちが現在行っているアンケートでも、「お金ではない、いかにすればこの子の病気が治るのか、治療のための情報が欲しい」、また「もっと早くこの病院のことを知っていればそんなに苦しむことはなかった」、さらに先の都の調査と一緒ですが、「保健所や区に相談窓口があればぜひ利用したい」等です。このような多くの要望が寄せられています。医療機関に関する情報提供、さらに健康相談、そして食生活へのアドバイス等、適切で正しい情報が得られ、個別の相談に乗ってもらえる窓口の拡充をぜひお願いしたいと思います。例えば月のうち日を決めて専門医、保健婦、栄養士、環境衛生監視員の方々によるアドバイスができるようにしてはどうでしょうか。また、日常窓口で対応する職員、保健婦の方に専門知識をつけてもらうための研修制度の充実も大事となってきます。そして、何よりもそのような窓口があることを広く区民の方々へアピールしていく必要があるのではないでしょうか。
 そこで、以上述べました相談窓口の拡充につき答弁をお願いします。

 さて、先日私のところに友人がアレルギーで困っているとの相談がメールで届きました。その友人は、お子さんだけがそばアレルギーを持っているそうですが、「そば」と家庭内で誰かが言った途端、体に変調を来してしまうそうです。また、お母さんの不注意でそば粉入りのまんじゅうを買ってきて食べさせてしまった。その瞬間、体中にじんましんができて呼吸困難に陥ってしまった。病院に運ばれ事なきを得ましたが、とても深刻な問題ですとの内容の訴えでした。現在、アレルギーの原因となるものは大気汚染、住環境におけるだに、かび等の繁殖、またシックハウス症候群の原因である人工化学物質、そしてこの方のような特定の食物などが考えられます。
 また、アンケートの中でこのような意見もありました。区内在住の30代の女性からですが、「食事に一番気をつけていますが、国でも特にアレルギーを持つ子どもの食品の安全性に対する基準をはっきりしてほしい」。また、別の同じく30代の女性は「アレルギー疾患を持つ子どもがいますが、将来に対して不安が募ります。今、口にしているものの中にアレルギーを起こさせるもの入っていないか心配です」との意見が寄せられています。アレルギー症状を引き起こすおそれのある原材料などが食品の中に含まれているかどうかは極めて重要な問題です。食物アレルギー患者にとっては命にかかわる切実な問題です。
 そこで、最初にも触れましたが、この4月よりアレルギー症状を引き起こすおそれのある原材料の表示と遺伝子組みかえ食品の表示が国によって義務付けられる運びとなりました。アレルギーを引き起こすおそれのある原材料としては卵、乳及び乳製品、小麦、そば、らっかせいの5品目です。食品メーカーはそれらを消費者にわかりやすい形で表示することが義務付けられますが、それらが正しく行われているかどうか、チェック、指導等は地方自治体にゆだねられます。区としてそれら食品表示の徹底をどう推進されていくのか、最後にお伺いします。

 いまだ23区どの自治体もアレルギー対策を総合的かつ体系的な事業として取り組んでいるところは残念ながらありません。ぜひこの千代田から対策ができたと言われるよう、前向きな答弁を期待し、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)    


〈区長答弁〉

 大串議員のご質問にお答えいたします。
 実は私的なことですが、私は花粉症でありまして、この5年ぐらい突然花粉症になりまして、大変悩まされております。ちょうど今の時期から大体4月ぐらいまででありまして、一応、薬で抑えていますが、この種のことに大変悩んでいることであります。そういう意味で大串議員のご質問は、自分が身につまされておりますので良くわかっております。
 お話しのように近年はアレルギー性疾患が大変増加しているのは、私の例でも十分だろうと思いますが、予防や治療については民間療法も含め様々な情報があふれております。このため、行政にはアレルギー性疾患についての適正な治療を受けるための的確な情報提供システムをつくる役割があるだろうと思っております。国や東京都においてもアレルギーに関します研究機関や医療機関の整備に力を注いでいるところでありますが、区におきましては住民に身近な行政機関として健康診断や相談業務を充実させるよう取り組んでいるところであります。議員ご指摘のとおり、現在実施しております健康診断、相談業務を通じて予防や治療を一連のものとしてとらえていく必要があると考えております。したがいまして、今後これまでの対策をより充実したものにしていくとともに区民への十分なPRにも努めてまいりますので、ご了承いただきたいと思います。
 なお、詳細につきましては関係理事者をもって答弁いたさせますので、よろしくお願い申し上げます。    
〈保健所長答弁〉

 大串議員のアレルギー疾患に関する質問につきまして区長答弁に補足してお答えします。
 千代田区では出生数が年間200人程度のため、保健婦や栄養士による乳幼児へのきめ細かい指導が可能です。ご指摘のとおり当区では乳幼児健診時にアレルギー健診を併設して、アレルギーに関する指導が受けられるようにしております。アレルギー性疾患の原因の一つはその人の体質にあるため、完全に予防することは不可能ですが、家庭において原因をできるだけ除去するための指導を行っております。また、問題になっておりますシックハウス症候群についても相談指導に当たっています。
 現在、3歳までのお子さんは病状経過が健診の場で確認できるようになっており、それ以降もアレルギーの相談窓口として保健所が常時対応する体制を整えております。また、健診結果は分析を行い、職員の専門研修や研究に生かしております。治療につきましては病状のある方に対して相談を行い、その後引き続き医療機関に紹介しております。幸い、千代田区は専門医療機関が多く、最先端の治療を受けられる環境に恵まれております。また、保育園や幼稚園等との連携を図り、3歳から就学時までの児童へのアプローチをより確実にし、見過ごされる児童のいないよう努めております。
 次に、食品の表示問題についてでございますが、アレルギー起因物質を含む食品を摂取することによる重篤な健康被害が発生していることは議員ご指摘のとおりでございます。
 現在、厚生労働省は食品衛生法施行規則を改正し、本年4月より卵、小麦、そばなどアレルギー反応の原因となる五つの原材料を含む加工食品について、その表示を義務付けました。さらに、さば、イクラ、山芋など19の原材料についても表示を奨励することとしました。千代田区においても法令の改正を踏まえ、食品製造業者に対し講習会等において表示制度の周知を図るとともに、広域流通食品につきましても他の自治体と連携を図りながら、表示制度の徹底を推進してまいりたいと考えておりますので、よろしくご了承下さい。

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