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平成30年第1回定例会

東京オリンピック・パラリンピック開催にあたって

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区の教育委員会作成「オリンピックと学校」を提示して

〈質問通告〉

東京2020 オリンピック・パラリンピック大会開催にあたって

  • 区として何をレガシーとして残すのか。またそのための取り組みは

  • スポーツマンシップとは、一言でいえば「尊重する」(Respect)ことであり、ゲームの相手を尊重すること、ルールを尊重することそして審判を尊重することである。今こそ、このスポーツマンシップの考え方を学び普及啓発すべき

  • オリンピック・パラリンピック教育について


国民健康保険について

  • 国民健康保険は、何よりも社会保障としての国民皆保険体制を維持するために必要である。そして、誰もが必要な医療を受けることを可能とし住民の健康を支えている。そこで、改めて、国民健康保険の果たしている役割を問う

  • 都と区の保険者としての役割分担は

  • ​区の一般会計からの法定外繰り入れについて。制度の変わる平成30年度においても区として法定外繰り入れを行うとしたことは評価できる。国保の役割を考えると今後も当分の間継続すべきと考える。そこで、法定外繰り入れに関して区の考え方を問う



〈質問と答弁の全文〉

 平成30年第1回定例会にあたり公明党議員団を代表して質問を行います。
 質問の1点目はオリンピック・パラリンピック開催にあたって、区として何をレガシーとして残すのかを問い、レガシーとしてスポーツマンシップを学び、普及・啓発していくことを提案します。2点目は国民健康保険の大きな制度改正が行われることに伴い都と区の保険者としての役割分担はどうなるのかを問い、区の保険者としての決意と姿勢を問うものです。
 最初に、東京2020オリンピック・パラリンピック大会に向けた区の取り組みについてであります。
 区長は、昨年の第2回また第3回定例会の招集挨拶にて以下のように述べられました。「国際オリンピック委員会(IOC)のオリンピック憲章には、オリンピズムの根本原則として人権に配慮した大会であるべきだということが謳われています。オリンピック・パラリンピックが世界的な『スポーツの祭典』であるとともに『平和の祭典』ともいわれている由縁であります。したがいまして『東京2020大会』が、年齢や障害の有無、国籍、文化などの違いにもかかわらず、誰もが社会の一員としてお互いを尊重し合い、支え合う、そのような共生社会の実現に大きな弾みをつける機会となることが期待されております」また、「とりわけ次代を担う子どもたちの心に『レガシー』を残していくことは、区としても重要な取り組みのひとつである」と。東京2020大会開催を共生社会の実現への大きな弾みとしていきたいとのこと私も同感であります。ただ、問題は何をもって「大きな弾み」としていくのか。また、何を子どもたちへのレガシーとして残していくのかということであります。私は、この点、スポーツマンシップを学び広く普及・啓発することこそが共生社会実現への大きな弾みともなり、また子どもたちへのレガシーとなるものと思います。なぜかならばスポーツマンシップとは、せんじつめれば尊重すること、Respectであり共生社会の理念やオリンピズムに通ずるものであるからです。
 さて、先日の平昌オリンピックの感動は今も鮮明に残っています。特に、スピードスケート500メートルで金メダルを獲得した小平奈緒選手です。試合後ライバルの韓国イ・サンファ選手を「リスペクトしています」と声をかけ称え合っていた姿は実に感動的であり、世界のメディアが「まさにスポーツマンシップ」と絶賛したのです。他にも日本のカーリング女子チームやフィギアスケートの羽生選手も同様です。競技内容も大変立派で素晴らしいものでしたが、競技後の選手たちの行動、スポーツマンシップに世界は感動したのではないでしょうか。オリンピックは「スポーツの祭典」であり、それはすなわち「スポーツマンシップの祭典」でもあることを改めて思いました。
 このスポーツマンシップですが、1964年東京大会のとき、当時国士舘大学教授の金子藤吉氏がオリンピックを迎えるにあたってはスポーツマンシップを理解することが重要であると訴えていました。「スポーツマンシップということは、せんじつめると尊重するRespectということに帰する。試合の相手を尊重する。審判を尊重する。試合の規則を尊重する」(「コーチのためのスポーツモラル」1961年新体育学講座第14巻より)ことであると。そして、金子氏同様今回の2020大会を迎えるにあたってスポーツマンシップ教育の必要性を訴えられたのがスポーツコンサルタントして有名な広瀬一郎氏でした。広瀬氏は、東京にオリンピック・パラリンピックの開催が決まったときに、「スポーツやスポーツマンシップの理解が十分でないままスポーツ界最大の祭典で心からのおもてなしができるのでしょうか」とスポーツマンシップ教育の必要性を訴えたのです。スポーツマンシップについて「尊重すべき最も大きな3つのものは『ルール』『プレイヤー』『審判』だと考えます。『相手』でなく『プレイヤー』としたのは相手だけではなく『チームメイト』も大切なものだからです」と。また、体育とスポーツの違いについても述べています。「リーダーに求められる最大の能力は『決断力』と『実行力』『自ら考え行動する力』です。そしてこれらの力を養うのにスポーツが最適である。ただ、これまでの日本の『体育教育』では、身体の動きが重視され『考える力』が軽視されてきました。コーチや先輩のいうことに『絶対服従』する『体育会』的な文化は『自ら考え、行動する力』の育成を妨げます。一方、スポーツマンシップは、『自ら考え』『他者を尊重し』『勇気をもって』『誠実に行動する』という精神です。スポーツはスポーツマンシップを育てる場なのです」と。私は体育とスポーツが異なることを恥ずかしながら今まで知りませんでした。私たちは言葉ではスポーツもスポーツマンシップも日常使っていますが改めてその意味するところをきちんと考えたことはなかったかもしれません。
 金子氏や広瀬氏が述べているようにオリンピック・パラリンピック開催を好機とし、今こそスポーツとは何か、またスポーツマンシップとは何かについて学び広く普及・啓発していくべきではないでしょうか。障害者の方は勿論、子どもから高齢者まですべての区民の方がこれらのことを理解しオリンピック・パラリンピックを迎えることは大変すばらしいことであります。共生社会実現への「大きな弾み」となりすばらしいレガシーとなることは間違いないからであります。また、オリンピックを真に「スポーツの祭典」とし、「平和の祭典」としていけることであります。なぜかならば、政治がガタガタしてもスポーツマンシップを通してつながった友情と連帯の社会はびくともしないからであります。
 以上、東京2020オリンピック・パラリンピック大会を迎えるにあたって、皆がスポーツマンシップを学び普及・啓発できていることが共生社会実現への大きな弾みとなり、レガシーとしても重要であることを述べさせていただきました。
 そこで、改めて、区として何をレガシーとして残していくのか。また何をもって共生社会実現のための大きな弾みとしていくのかお伺いします。そして、その具体的な取り組みとしてスポーツマンシップを学び普及・啓発することを提案します。ご所見をお伺いします。
 次に、オリンピック・パラリンピック教育についてであります。
1964年の東京大会の時に、オリンピック・パラリンピックを迎えるにあたり、スポーツマンシップ理解の必要性を述べた金子藤吉氏を紹介しましたが、当時同じように大会開催にあたってオリンピック教育の必要性を訴え実戦したのが千代田区教育委員会でした。自治体として本格的な学習読本「オリンピックと学校」を作成したのは千代田区教育委員会が唯一だったのではないでしょうか。(冊子のコピーを提示)

区の一般会計からの法定外繰り入れについて。制度の変わる平成30年度においても区として法定外繰り入れを行うとしたことは評価できる。国保の役割を考えると今後も当分の間継続すべきと考える。そこで、法定外繰り入れに関して区の考え方を問う。

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 まだ、その時はレガシーという考え方はありませんでしたが、オリンピックを一過性の大会で終わらせることなく教育を通して子どもたちに成果として残そうとしたのです。その本の冒頭に当時の千代田区教育長であった大竹武三氏が書いています。「この国家的行事に、学校教育が傍観者として手をこまねいていていいものであろうか。(中略)オリンピックの意義を理解し国際理解と公徳心の高揚、スポーツマンシップによる体育競技の振興等を願って、先生方に活用されるよう意図したものである」と。千代田区がこのようなオリンピック教育に独自に取り組まれたことは当時大変画期的なことでありました。新聞には「授業に五輪盛り込む」としてニュースにもなったくらいでした。具体的な例ですが、小川小学校では学級会活動としてオリンピックを取り上げ学級新聞や壁新聞を作成し展示したこと、また学習発表会では国際理解やオリンピックの歴史についての研究発表、東京大会の準備状況などの発表が行われたと記録に残っています。記録には残っていませんがひょっとしたらイギリスで始まったスポーツの歴史や意味についても研究発表がなされたのかもしれません。
 オリンピックを契機にこのような子どもたちの主体的な学級活動や学習発表会を行ったことは私たち千代田区民の誇りでもあります。各小中学校に当時の子どもたちの活動に関する資料がどれだけ残っているかはわかりませんが一度収集整理してみてはどうでしょうか。そして展示することができれば今の子どもたちへのすばらしいオリンピック教育になると思います。
 以上、1964年東京大会を迎えるにあたっての区の教育委員会が行ったオリンピック教育についてご紹介させていただきました。オリンピック教育は今ではあたりまえになりましたがその淵源は千代田区教育委員会であります。
 そこで、教育委員会として今回のこの好機にオリンピック・パラリンピック教育をどう行い、子どもたちにレガシーとして何を残していくのかお伺いします。また、金子氏、広瀬氏が述べているようにスポーツの歴史や意義、またスポーツマンシップとは何かについて学ぶスポーツマンシップ教育を提案します。ご所見をお伺いします。


 次に、国民健康保険についてであります。
 2015年の医療制度改革関連法案の成立により2018年度より国保の制度が大きく変わることとなりました。大きな変更点は二点です。一点目は、国保の都道府県単位化のスタートであり、2点目が今まで各区市町村が行ってきた一般会計から国保会計への法定外繰り入れの解消です。
 最初に、国保の現状について確認して国保の果たしてきた役割を見ておきたいと思います。
 連続して5枚の図を使います。
 最初に公的医療保険の種類です。6種類あります。(図1を表示)

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図1​

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​図2

① 組合健保(大企業に勤める従業員と家族
② 協会けんぽ(中小企業に勤める従業員と家族)
③ 共済組合(公務員と教職員)
④ 国保組合(医師や建設など特定職業)
⑤ 後期高齢者医療保険
⑥ そして国民健康保険の6種類です。
 日本では、1961年に国民皆保険制度ができました。現在では、国籍に関係なく、原則として日本国内に現住所のある人なら、このいずれかの公的医療保険に加入することとなります。
(図1を閉じる)(表2を表示)

 これから示す4枚の図はいずれも厚労省の国保実態調査からのものです。
 加入者の内訳です。制度発足当時は農林水産業の方が一番多かったのですが今では無職の方が44.1%、次いで被用者(サラリーマンの方)が34.1%、そして自営業の方が14.5%となっています。なお、ここでいう被用者とはサラリーマンといっても組合健保や協会けんぽなどの被用者の加入対象とならない方々、派遣やパートなど非正規雇用の人々が多くを占めています。不幸にして会社をリストラされて無職となった人も被用者保険から国保へ移行することになります。来日した外国人労働者も滞在日数が3か月を超えると国保への加入が可能となります。
 このように、国保は他の公的医療保険に加入できない人々を支えるという重要な役割を果たしています。低所得者を対象とする医療保障制度は生活保護しかありませんので生活保護一歩手前のセーフティネットとして医療を保障しているのが国保でもあります。
(図2を閉じる)(図3を表示)

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図3

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​図4

 その国保加入者の所得分布です。一番左の全世帯のところを見てください。所得なしの世帯が28.4%でトップ。年間所得100万円以下の世帯までを合わせると52.7%、200万円以下だとなんと79.7%と全体の8割にもなります。(図3を閉じる)(図4を表示)

 それでは加入者の保険料の負担率はどうなっているのか。所得に対して納めている保険料の割合は約10%です。表にはありませんが協会けんぽは7.6%、組合健保が5.3%ですので国保の負担率が突出して高くなっています。(図4を閉じる)(図5を表示)

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図5

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​図6

 次に、加入者の年齢構成です。ここでも当然ながら高齢者の割合が多いという特徴があります。年々高齢者の占める割合は高くなっています。年齢構成は千代田区の数字があります。千代田区の65歳から74歳は26.6%、40歳から64歳は39.0%、20歳から39歳は23.6%であり全国平均の特徴とは異なっています。(図5を閉じる)

 最後に保険料減免の状況です。国保法第81条に基づく保険料の減免制度で所得により7割軽減、5割軽減、2割軽減があります。全国の数字でみますと国保加入者の実に52.7%がこの軽減制度を使っています。千代田区では、57世帯の方が利用しており率にすると0.7%となっています。
 千代田区の特徴としては、年齢層としては40歳から64歳までの層が一番多く、所得階層としてはおそらく中間層の方が一番多いと予想できます。
 法律ですが、国民皆保険制度を築くため国保法の全面改正が1958年(昭和33年)に行われ、第一条の目的は「この法律は国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と改正されました。それまであった「相扶共済」という文言がなくなり新たに「社会保障」という文言が入ったのです。これは今日も変わることはありません。
 以上、駆け足ですが国保加入者の現状を見てきました。国保は、他の公的医療保険では加入できないすべての方を受け入れ住民の健康を支えるための最後の砦、セーフティネットの役割を果たしており、皆保険制度を支え社会保障としての役割を果たしていることがわかります。
 そこで、改めて国民健康保険の果たす役割とは何か、お伺いします。

 次に、都と区の保険者としての役割分担についてであります。
 大きな変更点である国保の都道府県単位化がこの4月よりスタートします。都道府県単位化とはまた難しい言葉ですが、国保運営のすべての責任を区から都に移行するといういわば完全移行型を意味するものではありません。もともと日本の医療保障は、「医療の提供体制」と「国民皆保険制度」によって成り立ってきましたが、都道府県には今まで通り「医療提供体制」の責任を担ってもらい、新たに国保の財政運営上の責任も担ってもらおうというのが都道府県単位化です。財政運営上の責任を負うとはどういうことか、若干説明が必要です。区市町村の国保財政を安定化させるため年度途中の想定外の医療費の発生、例えば高額な新薬が保険適用となり急激な医療費の上昇などです。このような財政上のリスクを都道府県が負うということです。
 都道府県単位化により保険者としての機能はどうなるのかについてです。
(図6を表示)
保険者機能とは、

  1. 運営方針の策定

  2. 財政運営

  3. 資格管理

  4. 保険料の賦課・徴収

  5. 保険給付

  6.  審査支払

  7. 保健事業

の7つがあります。住民に身近な自治体が行った方が良いものまた広域で行った方が良いものがありますので改めて分担しあうということです。この内、まず住民と直接関わりがあります資格管理、保険料の賦課・徴収、保険給付、保健事業は区が行い、都は財政運営と運営方針の策定を行うようになります。つまり、都は区を補完し共に保険者となるということです。(図6を閉じる)
 国保制度のあるべき姿について、元神奈川県庁職員の神田敏史氏が述べています。「住民に身近な市町村が保険者機能に責任をもち、都道府県は市町村の保険者機能が機能できるための広域的補完的な役割として市町村の財政リスク調整や高度専門的な事務処理等を担い、国は制度設計者として保険者機能が発揮できる財政的制度的な環境構築に責任をもつことではないでしょうか」(「新しい国保の仕組みと財政」p.74より)と。国と都は、区が保険者としての機能が果たせるようしっかり補完すべきと。まったくその通りだと思います。
 今後も、区は住民に身近な保険者としてその機能がしっかり果たせるよう国保加入者の生活や就労の状況また健康状態などの把握に努めること、そして保健所や他の部署とも連携しながら様々な相談に丁寧に応じていくことが大事であります。
 以上、国保に関して都と区の保険者としての役割分担について述べました。
 そこで、新しくなる国民健康保険制度において、都と区の保険者としての役割分担はどうなるのか、お伺いします。合わせて、住民に身近な保険者としてその機能をしっかりと果たしていくことについての区の決意、また加入者の実態を把握しながら様々な相談に丁寧に対応していくことについての区の姿勢についてもお答え下さい。


 最後に、区の一般会計からの法定外繰入についてであります。
 今回の制度改正のもう一つの注目点、法定外繰入の解消というテーマです。
 国の示した都道府県国保運営方針策定要領いわゆるガイドラインに基づき東京都は昨年の12月に国保運営方針を策定しました。その中で、「決算補填等を目的とする法定外一般会計繰入等の解消・削減すべき赤字について、計画的・段階的な解消が図られるよう取り組む必要がある」としました。この「決算補填等を目的とする」の中に、保険料の負担軽減を図るための繰入も入っています。そして区市町村に「国保財政健全化計画」いわゆる「赤字解消計画」の策定を義務づけ期間は国が激変緩和期間に設定する来年度からの6年間です。23区としては解消に向けて統一保険料方式を継続するとしながらも区独自の保険料率設定も容認することとしています。
 このような方針が示されたものの、千代田区はいち早く加入者の保険料負担軽減のため平成30年度も今まで通り法定外繰入の継続を決めました。このことについては昨年の12月7日に私たち公明党議員団は緊急の予算要望を行ったことでもあり大いに評価するものです。
 国は、赤字削減、赤字削減と繰り返し区市町村に法定外繰入の解消をせまります。しかし、そもそも、先に述べましたように国保は国の社会保障としての皆保険制度を支えています。また被保険者の年齢構成、所得階層、職業区分などを見てもわかる通り赤字は制度上、構造上の赤字であります。区市町村がこれまで行ってきた法定外繰入は国に代わってやむなく財政的支援を行っているといってもよいものです。もし仮に解消するとすれば国がそれに見合う財政的支援をしっかりと行うことが先決ではないでしょうか。
 国保の役割や国保の制度上・構造上のことを考えると今後も当分の間、保険料負担軽減のための法定外繰入は継続すべきと考えます。
 そこで、一般会計から国保会計への法定外繰入に関して区の考え方をお伺いします。

 以上、東京2020オリンピック・パラリンピック大会開催にあたってと、大きな制度改正がありました国民健康保険について質問しました。前向きでわかりやすい答弁を期待し公明党議員団の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。


〈参考として〉


 最後に広瀬一郎氏の言葉を引用します。「オリンピックは『体育の祭典』でしょうか。オリンピックは当然ながら『スポーツの祭典』なのです。2020年、東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。世界中のスポーツファンがこのお祭りを楽しむために日本を訪れます。今こそ、オリンピックを『スポーツの祭典』として理解した上で彼らを迎えたいものです。さらに言えば私は10月10日の体育の日を『スポーツの日』と改めて2020年を迎えたいと思っているのです」と、私も大賛成です。



〈区長答弁〉 


 大串議員の国民健康保険に関するご質問にお答えいたします。
 私も、国民健康保険のことはある程度わかっていると思いましたけど、ただいま、大串議員が大変国民健康保険に造詣が深いということを改めて認識させていただきました。そこで、ご指摘のように、国民健康保険制度は、日本の国民皆保険制度を支えるセーフティネットとして、国民の健康を確保するために重要な社会保障制度であると思っております。今般の国民健康保険制度の改革で、国は3,400億円の公費を投入するなど、国保財政基盤の強化を図る一方、6年間の激変緩和措置を設け、保険者に対し、国保の法定外繰入の解消を求めているところであります。
 社会保険の給付と負担との適正化の観点からも、保険給付のために必要な保険料の負担緩和等を図るために投入する法定外繰入、いわゆる一般財源を入れるということについては、早期に解消・削減を図ることが望ましいとは考えておりますが、短期間に一般会計繰入金の大幅な削減を行った場合には急激な保険料引き上げが必要となり、区民生活に大きな影響を与えるということを私たちも懸念したところであります。
 そうした中で、通常の予算要望以外に、緊急の予算要望を、議会は、貴の会派は、要望をいただいたことも十分踏まえまして、我々はこの問題について考えたわけでございます。
 区といたしましては、区民生活への影響を極力小さくするために、本年度と同水準の法定外繰入をするとともに、独自の保険料を設定し、約9割の方々の保険料が、本年度に比べて引き下げることになりました。多分、こうした大幅な引き 下げは過去に例がないものだろうと思っております。法定外繰入については、当面、国・都が考えている激変緩和対象期間である今後6年間を目途に、区民生活への影響を極力小さくとどめる観点から、計画的・段階的に削減を図ってまいりたいと思います。同時に、区を取り巻く社会経済状況を見きわめつつ、医療費適正化や収納率向上等の取り組みを進めながら、適正な保険料率を検討してまいりたいと思います。
 なお、詳細、その他の事項については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。


〈教育担当部長答弁〉


 大串議員のオリンピック・パラリンピック教育についてのご質問にお答えします。
 区では2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を貴重な教育の場であると捉え、オリンピック・パラリンピック教育を進めております。
 育成すべき資質や能力として、心の教育、共生社会、スポーツ志向、伝統文化、国際教育の5つの視点を区独自に掲げ、各校の特色を生かした指導計画を作成して、取り組んでおります。例えば、心の教育の視点では、社会貢献を実践するボランティア清掃や世界のマナーを知る道徳の習得。共生社会の視点ではパラリンピアンとの交流や点字、盲導犬体験による多様性の尊重や他者理解の促進。スポーツ志向では、体育の授業や記録会での自己記録への挑戦や体力向上。伝統文化の視点では和太鼓の演奏や雅楽を聞くことにより、伝統文化のすばらしさを知る。国際教育の視点では、外国の学校や大使館との交流などにより、国際理解を深めることなどに取り組んでおります。さらに、区独自の取り組みとして、区の魅力を子どもたちが英語で紹介できるよう作成した冊子「千代田っ子のおもてなし」を活用して、授業の中で、小学校、中学校で取り入れてございます。こうしたさまざまな学習や体験により、子どもたちの意識や体力面、スポーツに取り組む姿勢などが、かけがえのない記憶とともに、有形、無形のレガシーとして数多く残るものと考えております。
 また、議員ご指摘のとおり、スポーツマンシップの精神であるルールを守ってフェアプレーに努める規範意識や、競技相手や審判に敬意を払う他者を尊重する精神を育むことは、非常に大切です。こうしたスポーツマンシップの精神に関しては、オリンピック・パラリンピック教育の心の教育の視点に位置づけており、例えばオリンピアン、パラリンピアンを学校にお招きし、実際にお話を聞いたり、競技の様子を見たり、体験したりする中で、規範意識や他者を尊重する精神について学びます。
 また、東京都が作成したオリンピック・パラリンピック学習読本を使った学習の中で、勝敗を競い合うだけでなく、フェアプレーの精神、国籍、文化を超えた友情を重視することなどについて学んでいます。
 今後も引き続きオリンピック・パラリンピック教育を通じて、スポーツマンシップ精神を繰り返し学び、オリンピック・パラリンピック終了後も、本区の伝統的な学びのレガシーとなるよう取り組んでまいりたいと考えております。


〈保健福祉部長答弁〉


 大串議員の国民健康保険に関するご質問に、区長答弁を補足してお答えをいたします。
 今般の国民健康保険制度改革では、都道府県も区市町村とともに保険者となり、財政運営の責任主体として、中心的な役割を担うこととされ、その中で、都は国保運営方針を定め、区市町村の国保事務の標準化、広域化を促進することとなりました。一方で、区市町村は地域住民と身近な関係を生かし、引き続き資格管理、保険給付、賦課徴収、保険事業等の事業を担うこととされています。制度改革に伴い、都が示す標準保険料率を参考として、各自治体がその実情に応じて自律的に保険料率を定めることが可能となっています。このため、本区では、区長答弁にもありましたように独自の保険料率を設定し、高額所得層以外の方、すなわちおおむね9割の方の保険料を引き下げることといたしました。
 今後は、データヘルス計画等に基づく区民の健康を増進する取り組みを一層強化して、医療費の適正化を図りつつ、6年間の激変緩和措置期間を目途に、法定外繰入金の計画的、段階的な解消を進めながら、適正な保険料率を検討してまいります。保険料の納付相談等に関しましては、これまでどおり、納付が困難な状況や理由など、被保険者の実情を十分把握した上で、納付相談を行うなど、丁寧で柔軟な対応をするとともに、生活相談や健康相談等の必要な支援策につきましても、関係所管との連携を緊密に進めてまいります。


〈オリンピック・パラリンピック担当部長答弁〉


 大串議員の、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に当たってのレガシーに関するご質問にお答えいたします。
 まず、区としてのレガシーと何をもって共生社会実現のための大きなはずみとしていくのかについてですが、区が目指すべきレガシーは、区に住み、集う、多様な方々が、それぞれの立場や障害の有無などを乗り越え、誰もが社会の一員として、相互に人格と個性を尊重し合い、多様な価値観を相互に認め合う共生社会を実現することであり、大串議員が言われたスポーツマンシップとは、尊重することに通じるものだと思います。そのため、東京2020大会の開催を通じ、スポーツのすばらしさ、スポーツマンシップのすばらしさを広く区民の方々が感じることにより、共生社会の実現に向けて、大きなはずみになると考えております。
 次に、スポーツマンシップを学び、普及、啓発することのご提案についてですが、区ではスポーツ基本法に基づき、千代田区スポーツ振興基本計画を策定しており、平成25年6月の改定版では、計画改定の趣旨として、スポーツは、スポーツそのものを楽しむこととともに、スポーツを通じて、心身の健康の保持、ルールの遵守、相手に対する敬意、よき仲間との出会いなど、さまざまな働きを持っていますとうたっております。まさに、大串議員が説くスポーツマンシップそのものだと思います。区では、この基本的な考え方をもとに、スポーツ講習会などさまざまな機会を通じ、スポーツマンシップの意義や考え方の理解、普及啓発を行ってまいります。このことがレガシーにつながっていくと思っております。


〈再質問〉


 5番大串ひろやす、自席から再質問させていただきます。
 答弁のほう、ありがとうございました。再質問としては、国保のほうでは1点あります。
 国が示した激変緩和期間6年間で、その6年間のうち、財政的な支援としては3,400億円を入れるからいいだろうということなんですけれども、医療費はだんだん、年々上がってきていますから、この6年間で、そうすると3,400億円でおさまるかどうかって、わかりません。現在、全国の区市町村が行っている法定外繰入を全部足しますと、3,900億円ぐらいになるんじゃないですか。それでも3,400億円でどうだということなんだけど、これはしっかりと注視しなくちゃいけないと思います。で、国がそういうことをしっかりやっているということを確認できれば、法定外繰入、解消に向かってもいいと思いますけど、そこを見ないうちに、いや、うちはもう、6年でやりますよというのはちょっと危険。加入者にとって非常に心配な点ですから、(ベルの音あり)そこは見ながらやってもらいたいということが1点です。
 それから、スポーツのほうなんですけれども、千代田区が、教育委員会、ね、1964年のときにつくったこの「オリンピックと学校」はね、非常にすばらしい。で、このときの教育長、大竹武三さんという方が書いていたその思い、非常に強いものがあります。だから、ぜひ、どうですか、(発言する者あり)今の坂田教育長のやっぱり思いというのがないと、これ、できないですよ。だから、それはぜひ、最後聞かせていただけたらいいなと思うんで、よろしくお願いします。(発言する者あり)

 

〈区長再答弁〉


 大串議員の国保に関する再質問にお答えいたします。
 まさに、せっかく国が3,400億円を用意したという、そういう意味づけを、きちっと理解しながら、かつ、加入者の急激な負担がないようなことも考えながら、これからの6年間というものをきちっと詰めてまいりたいと思いますし、時には、この問題について、区長会を通じて、国にもさまざまな要請をしていきたいと思っております。

 

〈教育長答弁〉


 大串議員の再質問にお答えいたします。
 オリンピックに向けて、過去の東京オリンピックの際に、千代田区教育委員会はすばらしい1つの考え方を示したというご指摘を賜りました。私どもこの今般のオリンピック・パラリンピックに向けて、千代田区教育委員会としましては、まあ、これまでの伝統、まさに教育委員会としての考え方、それにつきましては、重々研究もさせていただき、また踏襲もさせていただくところでございます。
 一方では、当時とは社会的な変容も相当あろうかと思います。その中で、私が今1つ思うのは、やはりその当時も言われていたかもしれませんが、現在、学校現場あるいは子どもの中で起こる課題、そういうのを見ますと、やはり1つ、大きなものは、他者感覚の欠如だというふうに私は今捉えているところでございます。したがいまして、このオリンピック・パラリンピックを契機に、1つ、いろいろな違いを違いとして認め、尊重し、リスペクトし、まさにそれはスポーツマンシップであろうかと思いますけれども、そういうことをひとつ、子どもたちに、違いを違いと認めながら、他者へどう働きかけをするのか、その行動、その手法、そういったものをレガシーとして残していく、そういう1つの契機にしたいというふうに考えておりますので、よろしくどうぞお願い申し上げます。

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