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真心の伝わる政治を!
大串 ひろやす
令和3年第4回定例会
1.人間中心の Society5.0 を目指して!
2.みどりの保護と育成について
「人間中心のAI社会原則」を提示して
〈質問通告〉
1. Society5.0 について
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Society5.0は現実となり つつある。区としてどう認識し、どう準備 し対応していくのか。
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国は、AI を有効かつ安全に利用できるための「人間中心の AI 社会原則」、また「スマートシティガイドブック」を公表した。この原則やガイドブックを踏まえ、仮称「千代田区 Society5.0 構想」(スマートシティ構想)を発表してはどうか。また、モデル地区を定めて行政、企業、区民が参加してのスマートシティを試みてはどうか。
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Society5.0 という社会において、自分らしく豊かに生きていくために必要な教育とは。
2. みどりの保護と育成について
樹木に対する価値が改めて見直されている。みどりの保護と育成がより大事になっている。そこで、
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仮称「千代田区みどりの保護と育成に関する条例」の制定を提案する。所見は。
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みどりの保護と育成についての指標は、現在緑被率や緑視率を用いているが、より樹木の実態を表す樹冠被覆率を用いてはどうか。
行政が管理できる街路樹について
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東京都の「街路樹診断等マニュアル」がこの 4 月に改定された。その目的は、今までの倒木等の危険な街路樹の発見から街路樹を健全に保つための維持管理へと変更することにあった。この都のマニュアルを参考に区としての「街路樹保護育成マニュアル」を作成してはどうか。
〈質問の全文〉
令和3年第4回定例会にあたり、公明党議員団を代表して質問を行います。
最初に、Society5.0についてであります。
まずSociety5.0とはどういう社会なのか。(スクリーン1を表示)
スクリーン1
Society1.0とは人類誕生からの狩猟社会、Society2.0は新石器革命ともいわれた今から1万年から8000年前からの農耕社会、3.0は18世紀末からの工業社会、いわゆる産業革命でありあます、4.0は20世紀後半からの情報化社会、そして私たちは今まさにSociety5.0という超スマート社会の入口にいるとされます。しかもその社会の変革はあの産業革命にも匹敵するものであると言われています。
このSociety5.0という概念が初めて提唱されたのは2016年1月22日に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」においてであります。(1を閉じて2を表示)
スクリーン2
「世界に先駆けた『超スマート社会』の実現(Society5.0)」と題して、説明にはこうあります。「ICTを最大限に活用し、サイバー空間とフィジカル空間(現実社会)の融合させた取組みにより、人々に豊かさをもたらす『超スマート社会』を未来社会の姿として共有し、その実現に向けた一連の取組を更に進化させつつ『Society5.0』として強力に推進し、世界に先駆けて超スマート社会を実現していく」と。(2を閉じる)
ここでいうサイバー空間とフィジカル空間の融合とはどういうことなのか、難しい表現ですので少し私なりに解釈しますと、これまでも個々にはデータやAIを利用して最適な制御を行う自動化は行われていることは皆様ご存知の通りであります。例えば、鉄道や道路などの交通システム、電力やガスなどのエネルギーシステムなどはそうでしょう。コンピュータ内つまりサイバー空間ではリアルタイムにデータの更新がなされ瞬時にAIが最適解を導きだしAIが判断し自動制御しています。これからはIoTやセンサーなど更なる進歩により実社会のあらゆるデータ、まさにビッグデータの集積を可能としサイバー空間にその実社会とそっくりな社会の再現も可能となったのです。社会としての課題もAIが全体最適を導くことができ実社会のフィジカル空間において応用ができると、そう理解しました。
ただし、何が最適かを決めるのはあくまで人間です。技術がどんなに進歩しても社会としての理念や目的が曖昧では価値を生みません。この点、基本計画において「サイバー空間とフィジカル空間の融合という新たな手法に人間中心という価値観を基軸に据える」とされたことはSociety5.0の大きな特徴でもあります。
データとAIを有効かつ安全にしかも主体的に利用できなくては人間中心の社会とはなりません。AIに過度に依存し逆に人間の主体性が失われたり、自由が失われたり、人と人の関係性が失われては本末転倒であります。
2019年に国は「人間中心のAI社会原則」を公表しました。(現物を提示)人間中心の価値観を示すものです。(スクリーン3を表示)
スクリーン3
第2章の基本理念では、
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人間の尊厳が尊重される社会
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多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会
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持続性ある社会
の3点が基本理念として掲げられました。
いずれも素晴らしい理念であります。特に「人間の尊厳が尊重される社会」にはこう書かれました。「我々は、AIを利活用して効率性や利便性を追求するあまり、人間がAIに過度に依存したり、人間の行動をコントロールすることにAIが利用される社会を構築するのではなく人間がAIを道具として使いこなすことによって、人間の様々な能力をさらに発揮することを可能とし、より大きな創造性を発揮したり、やりがいのある仕事に従事したりすることで物質的にも精神的にも豊かな生活を送ることができるような人間の尊厳が尊重される社会を構築する必要がある」と。(3を閉じる)
これらの3点をSociety5.0という社会の目指すべき理念として広く示したことがもう一つの大きな特徴となっています。
それはSociety3.0の工業社会での都市の理念は「機能性の追求」であり、4.0の情報化社会では「経済効率性」でありました。(「Society5.0」東京大学大学院 出口敦教授より)今回はまさに人間に焦点をあてて人間の尊厳の尊重を掲げたという意味において画期的であるからです。
ビッグデータとAIをめぐる世界での競争は激化しており、特にアメリカと中国がしのぎを削っています。何のためのという点がまったく見えません。覇権のためなのか、利益のためなのか。この際、データとAIの利活用及び開発について日本が呼びかけて主要国が一同に会する国際会議を開いてはどうかと思います。AI社会原則の「終わりに」にも書かれましたように「我が国は本原則を世界各国と共有した上で、国際的な議論のリーダーシップをとり、コンセンサスの形成を目指すべきであり、それによってSDGsの実現を支えるSociety5.0の社会像を世界に示し、国際社会の協調的かつ創造的な新たな発展に寄与すべきである」と。その通りであります。実現できることを願うものです。
一方、Society5.0は国や一部の企業任せでは実現できないということがあります。自治体また地域の行政、企業、大学、区民の理解と主体的な参画が必要だからです。まさに行政としてどうリードしていくのかが問われているのです。
Society5.0とはどういうものなのか、またその目指すべき理念として「人間中心のAI社会原則」について述べさせていただきました。
そこで、Society5.0について区の認識と今後の対応、取り組みはどうするのか、お伺いいたします。
次に、Society5.0を目指す際、注意しなくはならない点、また地域社会にどう実装していけば良いのかという点についてであります。(スクリーン4を表示)
スクリーン4
最初に注意しなくてはならない点についてでありますが、先ほどのAI社会原則の第4章には、AIが適正に利用されるため留意すべき「AI社会原則」と、AIの研究開発と社会実装に従事する開発・事業者が留意すべき「AI開発利用原則」を定めています。大事なことですがすべてを読み上げる時間がありませんのでスクリーンに示させていただき要点のみご紹介させていただきます。
1)人間中心の原則として
AIの利用は、憲法及び国際的な規範の保障する基本的人権を侵すものであってはならない。(中略)(また)人々がAIに過度に依存したり、AIを悪用して人の意思決定を操作し(てはならないこと)
各ステークホルダーは、AIの普及の過程で、いわゆる『情報弱者』や『技術弱者』を生じさせず、AIの恩恵をすべての人が享受できるより使いやすいシステムの実現に配慮すべき(こと)
3)プライバシー確保の原則としては(スクリーン4を閉じて5を表示)
スクリーン5
AIを前提とした社会においては、個人の行動などに関するデータから、政治的立場、経済状況、趣味・嗜好等が高精度で推定できることがある。これは重要性・配慮性に応じて単なる個人情報を扱う以上の慎重さが求められる。パーソナルデータが本人の望まない形で流通したり、利用されたりすることによって、個人が不利益を受けること(が)ないよう(にすること)
個人の自由、尊厳、平等が侵害されないこと
プライバシーにかかわる部分については正確性・正当性の確保及び本人が実質的な関与ができる仕組みを持つ(こと)
パーソナルデータはその重要性・要配慮性に応じて保護されなければならない
6)そして、公平性、説明責任及び透明性の原則として、人種、性別、国籍、年齢、政治的信念、宗教等による差別の禁止を謳っています。(5を閉じる)
駆け足でしたが、データの収集や利用についてまたAIを利用するにあたって守らなくてはならないことについて述べさせていただきました。
あと一点、Society5.0は実際にはどう社会に実装していくのかということです。
今年の4月内閣府、総務省、経産省、国交省による自治体・首長向けの「スマートシティガイドブック」が公表されました。(現物を提示)その意義や必要性、導入効果、及び進め方などがイラストなどを多用してわかりやすくまとめられています。類型としては行政主導型とエリアマネジメント型があること、エリアマネジメント型では大丸有地区スマートシティが例として紹介されています。(6を表示)
スクリーン6
進め方としては行政主導型を例に書かれています。その主なものとして
スマートシティの取り組みを発表し、スタートさせる段階
取組み方針を決め市民への共有、体制を整える段階
など、スクリーンの通りです。次頁以降に段階ごとまた詳しく説明されています。(6を閉じる)
一昨日、大丸有地区のスマートシティ推進委員の方にお会いでき直接お話を聞くことができました。大事なこととして、
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区民の方々に身近なものとして捉えていただくことが何より大事であること
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ベンダー主導にならず地域として何を実現したいのかというビジョンを皆で作ること
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行政が音頭を取れば、麹町、神田でも大学や企業が集積しており公学連携によりスマートシティはできること
など大変参考となりました。
Society5.0について、注意しなくてはならない点また社会にどう実装していくのについてAI社会原則またスマートシティガイドブックを紹介しながら述べさせていただきました。
そこで、AI社会原則またスマートシティガイドブックを踏まえ、区としてSociety5.0実現へどう取り組んでいくのかを広く区民に構想として示してはどうでしょうか。仮称「ちよだSociety5.0構想」の策定を提案いたします。ご所見をお伺いいたします。また、大丸有地区スマートシティのノウハウも参考にモデル地区を定めてスマートシティへの取り組みを具体的進めてはどうでしょうか。地域ごと課題も異なりますので例えば人と交通(ウオーカブルなまち)、子どもと遊び場、高齢者と健康などスマート化を図る分野を限定しても良いと思います。合わせてご答弁ください。
次に、Society5.0社会に向けて必要な教育についてであります。
文科省は2018年に「Society5.0に向けた人材育成」と題した文章を公表しています。(7を表示)
スクリーン7
このような記述があります。「ただ一つだけ言えるのは、これまでの延長線を大きく超えた劇的な変化が訪れるであろうということである。(中略)変化に対して受け身で対処せずにむしろ目指すべき社会像を議論し、共有し、実現していくことが重要となる。我々が目指す社会は、経済性や効率性、最適生だけを追求した無機質なものではなく、あくまでも人間を中心として、一人一人が他者との関わりの中で「幸せ」や「豊かさ」を追求できる社会であるべきであろう」と。そして最後に「共通して求められる力」として以下の3点を挙げています。
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文章や情報を正確に読み解き、対話する力
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科学的に思考・吟味し活用する力
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価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力が必要である
と。(7を閉じる)とても大事な指摘であり、私も大賛成であります。
また、先の社会原則にも「教育・リテラシーの原則」の項があり、「人々の格差や弱者を生み出さないために、幼児教育や初等中等教育において幅広くリテラシー教育の機会が提供される」とリテラシー教育の大切さが述べられていました。
そこで、自分らしく豊かに生きていくためにSociety5.0という社会に向けて必要な教育について基本的な考えをお伺いいたします。
次に、みどりの保護と育成についてであります。
今日、改めて都市における樹木の価値が見直されています。命ある樹木として様々な働きをしてくれています。夏の暑さを和らげる緑陰を提供してくれる、雨水の浸透やCO2の吸収、景観と緑による安らぎを得ることができることなどであります。今では都市の重要なインフラとなっています。
しかし、日本には樹木の保護に関する法律がありません。唯一、都市緑地法がありますが主に緑地の保全が目的であります。緑化の推進が第4条にありますが、樹木に特化したものではありません。
自治体として条例によって樹木の保護と育成に関し定めているところがあります。中野区もそうであります。さっそく議員団として公園緑地課を訪問しお話をお伺いしてまいりました。昭和53年に「みどりの保護と育成に関する条例」を定めています。注目すべきは、特に第5条、7条、8条、9条であります。みどりとは樹木、樹林、(生け垣、草花)とした上で、第5条では「区長は、みどりの保護と育成に関する区民の提案及び意見を尊重し、適切な措置を講じなければならない」と、第7条では「区民は、みどりを貴重な財産として、これを相互の連帯と協力により適切に保護する(こと)」と、第8条では「みどりの適正な維持管理をし、良好な近隣関係を損なわないように努めなければならない」、第9条では「何人も、現存する樹木、樹林及び生け垣を保存しなければならない」と。樹木の保護と育成について明確にしています。担当の職員の方は「条例制定当初は生産緑地の保全が主な目的でありましたが、今では、区の緑化政策を進める上での大事な根拠となっています」と、話されていました。
条例があることにより行政は勿論、区民、企業が樹木の価値を共有し保護と育成に取り組むことができていること大変参考となりました。
そこで、樹木の価値について改めて区の認識をお伺いいたします。また、樹木の価値を最大限に高められるよう法的根拠をもって取り組むことができるよう、仮称「千代田区みどりの保護と育成に関する条例」の制定を提案いたします。ご所見をお伺いいたします。
次に、みどりについて目標とする指標についてであります。
区の「緑の基本計画」では「緑の創出に関する目標」として緑被率とその面積を用いています。具体期には緑被率は現在の23.22%を目標年次である2040年までに25%へ、面積としては50haから70haへとしています。これはこれで緑量を示すものとして意味もありますが、芝生や中低木の緑も含まれてのものとなり先に述べました樹木の価値が区として増したのか減ってしまったのかがわりません。アメリカや欧州などでは、樹冠被覆率が使われています。地表面が高木の枝葉で覆われている割合がどのくらいなのか表し評価の指標として使われています。樹冠の被覆を図るコンピュータプログラムi-Treeも用意されており無償提供されています。勿論最初の基礎データの入力は人が行わなくてはなりませんが、市民ボランティアなどが協力しタブレットを使用して効率的にデータの収集もできているそうです。このようにすでに技術的には可能となっています。
そこで、みどりの保護と育成に対する指標として樹冠被覆率を用いることを提案いたします。ご所見をお伺いいたします。
次に、区民に最も身近なみどりとしての街路樹についてであります。
行政がコントロールできるみどりとして大きな比率を占める街路樹は、樹冠被覆率を高める上で最も重要です。日本では、道路構造令による道路整備が行われています。道路法における街路樹の位置づけは道路付属物です。命ある樹木としての価値が見直された今、付属物という物扱いはなんとかならないものかと思います。
そういう中、自治体として独自にしっかりと街路樹の保護と育成に取り組み今まで立派な街路樹を形成してきたところはたくさんあります。山口県宇部市、愛知県豊橋市、仙台市、名古屋市などです。いずれも樹木に関して正しい認識と愛情と熱意ある先人がいたこと、そしてその技術と方法を引きついだ職員の方々がいたからだろうと思います。
さて、東京都はこの4月「東京都街路樹診断マニュアル」を大幅に改訂いたしました。改訂の目的は「本マニュアルの目的と概要」にこう書かれています。「街路樹は都市に暮らす我々にとって身近な緑であり、夏の暑さを和らげる緑陰の提供に加え、大気汚染物質の浄化や雨水浸透機能など、様々な役割がある。これらの様々な機能を最大限発揮させるためには街路樹を健全に保つための適切な維持管理が欠かせない。(中略)海外の主要都市では、街路樹診断等に加え、樹体に配慮した剪定など適切な維持管理が行われており、総合的な視点で街路樹の健全な育成に取り組んでいる。都においても、今後、都道の街路樹の健全状態を確保していくためには、日常の維持管理の更なる充実が求められる。そこで、今回の改訂では(中略)適切な維持管理という視点から新たに樹木点検や診断後の処理に関する記載の充実を図ることにした。あわせて、これまで街路樹診断では困難であった根にも着目し、根の保護に関するガイドラインを新たに追加した」と。つまり、今までは倒木などの危険がある不健全木を発見するための街路樹診断であったが、今後は街路樹の健全な育成のための診断(点検)へと目的を転換するためマニュアルを大幅に改訂したと。タイトルに新たに「等」の文字を入れたこと、根の保護に関するガイドライン(7ページ分)とステークホルダーとの調整(3ページ分)も新たに追加されました。欲をいえば自然樹形を基本とする剪定方法についてもページをさいて記述してもらいたいところですが、来年度以降のさらなる改訂に期待したいと思います。
都においてこのような街路樹における健全育成マニュアルといっても良いと思いますが、できたことは大いに評価すべきであります。
そこで、この都のマニュアルを大いに参考にしていただき、区としての「街路樹健全育成マニュアル」の作成を提案いたします。ご所見をお伺いいたします。
最後に、委員会でも引用させていただきましたが今後のこともありますので、千葉大学名誉教授である藤井英二郎氏の言葉を再度引用させていただき質問を終わりたいと思います。「自動車中心の道路から、歩行者が安心して通行できる道路への変化は歓迎ですが、既存の街路樹を活かすように設計されていない事例が多くみられます。既存の街路樹は斜面などと同じように土地の歴史を刻んでいますし、生き物としての保全を前提に計画する必要があります。樹木を残すことで幅員が一定にならなくても通行する人が注意して譲り合い、コミュニケーションが生まれて心豊かな空間となるのです。歩道や自転車レーンだけをみて基準どおりに設計するのではなく、街路樹も人の生活も考えながら総合的に計画設計しなければ真の豊かな都市にはなりません」と。
以上であります。
区長、教育長、関係理事者の前向きな答弁を期待いたしまして公明党議員団の代表質問を終わります。
ありがとうございました。
〈区長答弁〉
大串議員のSociety5.0についての御質問にお答えいたします。
Society5.0は人とモノが最新のデジタル技術等でつながることにより、効率的で快適な社会を目指すものであり、その取組は、暮らしや教育、医療・ヘルスケア、社会インフラ、金融、物流及び多様な働き方の実現など多岐にわたります。
一方、それを支える様々な技術の活用に当たりましては、人間中心の社会原則において、信頼性、公平性及び透明性に基づくことが重要であり、一定の説明責任を果たすことが必要であると考えます。
区といたしましても、新型コロナウルス感染症を契機としたデジタル化や、AI、IoT をはじめとする各種技術を取り入れ、区民生活の質の向上や都市活動の効率性等を図ることは、今後のまちづくりの基本となるべきテーマであることと認識しております。今後もSociety5.0のスマート社会の実現に向けて、デジタル技術を活用し、区が抱える様々な課題を解決していきます。それとともに、企業、大学、区民と様々な分野において取組や施策を有機的に連携し、地域社会の活性化と、より質の高い暮らしを実現してまいります。
議員御提案のスマートシティへの取組につきましては、地域それぞれの実情と様々な技術の活用とのマッチング等について、海外や他自治体の先駆的な取組事例や専門家の意見等を参考に研究を進めてまいります。また、構想等の策定につきましては、研究を踏まえ、本区のDXを推進していく中で、庁内で議論をし、検討を行ってまいります。
なお、詳細及び他の事項につきましては、関係理事者から答弁いたします。
〈教育担当部長答弁〉
大串議員のSociety5.0という社会において、自分らしく豊かに生きていくために必要な教育についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、社会の在り方が劇的に変わるSociety5.0時代の到来の中で、一人一人の子供が、他者との関わりの中で幸せや豊かさを追求し、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会の創り手となることが必要であると認識しております。
学校、園での取組例として、子供たちが、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、協働して未来社会を創り出す資質・能力を育成すべく、人権教育とSDGsを結び付けて取り上げた実践がありました。
子供たちは、SDGsを知識として学ぶと同時に、自分たちの生活と結びつけ、その課題に対してどのように向き合っていくべきか、自分は何ができるのかを考え、相互に発表することで、その考えを広げ、深める学習をしております。こうした取組こそが、持続可能な社会を担う人材を育成していくものであると捉えております。このことは、まさに、議員御指摘の「共通して求められる3つの力」に通じるものと考えております。
また、Society5.0時代に向けた教育において、いわゆるGIGAスクール構想は、一人一台端末環境の整備にとどまらず、その活用を通じて、個別最適な学びと協働的な学びを実現し、他者との協働の中で新たな価値を生み出すことのできる取組であると考えております。
こうした教育を推進する上で、やはり、議員御指摘の、自らの目的に応じ、情報を適切に収集・取捨選択・発信する、リテラシー教育の充実も欠かすことができないものと認識しております。
引き続き、各校園における授業改善等の取組を継続し、千代田の子供たちが、自分らしく豊かに生きる力強い資質・能力を身につける教育ができるよう、積極的に取り組んでまいります。
〈環境まちづくり部長答弁〉
大串議員のみどりの保護と育成に関する御質問にお答えいたします。初めに、樹木の価値についてのお尋ねがございました。
本年7月、区は、緑の基本計画を改定し、「緑がつなぐ人・まち・未来」を基本理念に、緑が多様な人々の交流を促し、都市の成長やにぎわいの起点となるとともに、住み、働き、学び、滞在する人々にとって、居心地よく、まちへの愛着を感じる場となることを目指しております。
樹木は、緑を構成する重要な要素であり、グリーンインフラとしての環境・防災面の価値はもとより、良好な景観や界隈性、歴史を感じさせるものとして、都市の中にはなくてはならないものであると認識してございます。
次に、仮称「みどりの保護と育成に関する条例」の制定についてのお尋ねがございました。千代田区には区の面積のおよそ2割を占める皇居等の広大な緑地・樹林地がございます。これらの多くが史跡であり、また、都市計画公園・緑地であることから、関係法令・制度により、一定の保全が図られるものと認識してございます。また、管理者も国、都などが多くを占めており、御紹介の中野区の状況とは異なり、御指摘の条例の制定については、様々な課題があるものと認識をしております。しかしながら、樹木を含む千代田区の緑を保全・活用し、さらに増やし価値を高めることは重要でございます。
都市緑地法では、樹林地、草地、水辺地などを「緑地」と定義し、緑地の保全、緑化の推進について定めております。「緑の基本計画」は同法に基づく法定計画であり、区ではこの計画に基づき、様々な施策を体系的・効果的に実施し、樹木の保全、適正な維持管理を図るとともに、今後の都市づくりを通じて、樹木の活用並びに増加を促す開発の誘導などに取り組んでまいります。
次に、緑の指標についてのお尋ねです。
緑の基本計画改定の中で、緑被率を目標水準とするとともに、新たに壁面緑化なども含め た目に見える緑の面積から算出する緑視率を共通指標として設定したところでございます。 一方、御指摘の樹幹被覆率につきましては、暑熱環境の緩和はもとより、緑陰空間のネットワークを検討する際にも資する重要な指標であると認識しております。今回の緑の基本計画の改定におきましても、御指摘のi-Treeの活用などについて議論があったところでございます。しかしながら千代田区には多様な緑の管理者が存在する中で、データの収集や更新、システム構築や管理体制の課題もあり、計画の中に位置づけるには至りませんでした。今後、緑陰の確保など、樹冠の被覆率の効果が期待できる道路や広場等における集中的な展開など、その導入の可能性について研究を進めてまいります。
最後に、街路樹健全育成マニュアルについてのお尋ねがございました。
本年4月に東京都の「街路樹診断マニュアル」が改訂されました。診断後の処置について、より細かく規定し、日常的な維持管理が適正に行われるような視点が強化されたものと認識してございます。倒木の危険を判定するだけではなく、損傷や弱っている樹木の育成に向けた取組が、より具体的に示されております。
改めて街路樹の育成の観点の重要性を認識し、東京都の「街路樹診断マニュアル」を参考として、区の地域特性に即しながら「街路樹を健全に維持管理するマニュアル」の策定に向けて、取り組んでまいります。
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