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真心の伝わる政治を!
大串 ひろやす
平成12年第3回定例会
防災対策について
〈質問通告〉
区の防災について
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集中豪雨対策について
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実践的行動マニュアルを作成せよ
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災害時の情報の収集伝達は
介護保険利用者に対する情報提供のあり方
〈質問と答弁の全文〉
平成12年第3回定例会に当たり公明党議員団の一員として一般質問をさせていただきます。
質問に先立ち、有珠山噴火、三宅島を中心とする伊豆諸島群発地震、そして東海大豪雨と被災された方々に対し謹んでお見舞い申し上げます。
私は最初に、このような自然災害が相次ぐ中、区の防災について質問させていただきます。
あの阪神・淡路大震災より早5年半が経過しました。その教訓を活かそうと全国の自治体で地域防災計画の見直しが行われ、千代田区でも特別委員会を設置し、防災全体の見直しが行われました。その結果本区の取り組むべき防災対策として、16課題73項目が取り上げられました。そしてこの間、環境の変化は目覚ましく、ヒートアイランド現象によると考えられる都市部における1時間に50ミリを超える集中豪雨がたび重なり発生しています。高齢化、情報化も5年前より急速に変化しており、区の防災全体につき、今再び考え直す必要があると思います。この点につき、非常時防災本部長となります区長の所見をお伺いします。
次に、区の地域防災計画についてお尋ねいたします。大半を地震を想定しての現在の地域防災計画でありますが、水害対策についてはわずかなものになっています。多発している都市部の集中豪雨を考えると、水害対策につき見直し・強化すべきと思いますが、いかがでしょうか。
都内23区の下水道設備は1時間当たり最大50ミリの雨量しか想定していません。先の7月の集中豪雨は、それをはるかに超える時間当たり825ミリを記録し、区内でも幹線道路の冠水と確認できただけでも26件の床上浸水の被害が発生しました。道路からあふれた水が地下のお店まで流れ込み、ひざまでつかり、必死で作業をする方、冠水した道路の水の流れは速く、その中、くるぶしまでつかり急ぎ駅に向かう人など、豪雨の驚異を体験した多くの区民、そして在勤者の方々の不安は大変なものがあります。そして、先日の東海集中豪雨は100ミリを超えるすさまじいものでした。すべてが予想外のことで、被害も拡大しました。区として都とも連携し、河川も含めた総点検の必要があります。国土庁防災局は「都市部については亜熱帯並みの雨が降るという前提で、防災対策を練り直す時期かもしれない」と指摘しています。これらについて、区長はどうお考えでしょうか。
さて、災害発生時における被害を最小限にとどめるには、区民、企業、区の三者それぞれの実践的行動マニュアルが必要なことは言うまでもありません。区民用として「防災の手引き」が防災訓練の際配られますが、身近に置く貴重な1冊だからこそ、もっとそれぞれの地域に応じた、自分の身は自分で守ることができる実践的行動マニュアルでありたいものです。区としては、自治体の初動体制で明確になっていますが、災害は防災課だけで対応するのでなく、全職員が一団となって取り組む必要があります。企業には各企業自らつくるアクションプログラムが求められます。三者がそれぞれマニュアルに基づき行動し、また連携していくことが大事となっています。地域に即し、常に新しい実践的なそれぞれの行動マニュアルを作成・準備すべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、最も大事な情報の収集伝達をどうするのかという問題です。
災害時の情報は被災者の命にかかわる情報が多く、一刻も早く危機を回避する情報を区民に提供していかなくてはなりません。おひとり住まいの高齢者に対する連絡はどう行うのか。また、入ってくる情報をどう整理し、正確な情報を迅速に伝えることができるのか。オフサイトセンターを設置し、そこにそれぞれの関係者が一堂に会し、情報を整理する場が求められます。また、防災に役立つためのITの目覚ましい発達もあります。そして阪神・淡路大震災で活躍されたように、アマチュア無線グループとの協力も必要でしょう。情報の収集と伝達、ともに課題があります。いかに行っていくのかお伺いします。
以上、4点質問しましたが、このほか防災アセスメントの必要性、微地形分類図を使った地区別防災地図等、やらなければならない問題がたくさんあります。自然災害のキーワードは予想外という言葉です。起こってからでは絶対あってはなりません。答弁をお願いします。
次に、介護保険利用者に対する情報提供のあり方について質問させていただきます。
選択と契約によるサービスをうたい文句にスタートした介護保険制度ですが、サービスを受ける権利とともに、自己の責任によることもつけ加えられています。であるならば、被保険者である高齢者の方々に適正に自分に合った事業者の選択ができるよう、保険者である区は環境を整備すべきであります。それができて初めて、自己の責任と言えるのではないでしょうか。
先日の区が実施した介護保険アンケートによれば、「サービスを利用する際に不足している情報はありますか」との問いに、3割の方が「不足している」と答えています。その中身は、4割が「事業者をどう選んだらいいのかわからない」というものです。
先日、第2回介護保険運営協議会が開かれましたが、そこでの資料に「サービスの第三者評価」、そして「サービスの選択に役立つ情報提供」、ともに案として拡充となっています。私は、ぜひ急ぎ整備すべく施策だと思っています。200社もある事業者の中から、どう自分に合った適正なサービスを受けられる会社を選ぶのか。お年寄りでなくても難しいと思います。実際、サービスを受け始めると不都合も出てくる。それでも契約した以上は自己の責任となる。介護サービスを客観的に評価すべく、第三者機関を設置し、評価の内容を広く公表していく。また、選択のためのチェックリスト作成等、事業者選択のため、有効な方法を取り入れるべきと考えます。そして自由で公平な選択ができることにより、その結果、事業者間の競争を経てサービスの向上へとつながっていきます。高齢者である被保険者のより良いサービスを受ける権利を確実に確保するために、わかりやすい情報提供のあり方を最後に問い、私の質問を終わります。(拍手)
〈区長答弁〉
大串議員のご質問にお答えいたします。
まず、区の防災についてでございますが、今年の国内にあってはご質問のとおり、火山噴火、地震、水害と心痛む大災害が各地で発生をいたしております。また、関東大震災から約80年、南関東直下地震の切迫性が指摘されてからも久しく、さらに、東海地域における地震の静穏期が継続しておること等からして、巨大地震が東京地方を襲うことを常に念頭に置かなければならない時期であると考えております。
こうした中、区の防災対策につきましては、阪神・淡路大震災を教訓とした地域防災計画の見直しなど、防災諸施策の充実を図ってまいったところでございます。
しかし、危機管理は他の施策と同様に、地域の変化、環境の変化等に的確に対応していくものだと認識をいたしており、より一層の防災施策の充実を図り、もって区民の生命財産を守る責任者として、安全で災害に強いまちづくりを推進してまいる決意でございます。
次に、介護保険のサービス選択に役立つ情報提供についてお答えいたします。 介護保険は、多様な事業者の参入と自己選択に基づく契約によるサービス利用をその制度の根幹といたしております。利用者がサービス事業者を選択する際に、事業者の情報をいかにわかりやすく伝えていくかは、制度運営の上からも大変重要な課題であると考えております。
そこで、国及び都におきましても、介護サービスが比較できるような、客観的な評価手法の検討が始まっております。当区といたしましても、利用者がサービス事業者を選ぶ際に役立つ情報の内容や、またサービス選びのチェックポイントなどを事業者や介護保険運営協議会等の意見を聞きながら調査検討し、利用者の皆様方にわかりやすく伝えていけるような手法の構築に向けて取り組んでまいる所存でございます。ご了承願います。
なお、詳細につきましては、関係理事者をして答弁をいたさせます。
〈総務部長答弁〉
大串議員のご質問のうち、区の防災について、区長答弁を補足してお答え申し上げます。
今年、東京23区には局地的豪雨や台風の影響による大雨洪水警報が、7・8月の2カ月だけでも5回を数えました。7月4日夕刻には、大手町、霞が関地区に千代田区では近年例を見ない記録的な降雨があり、これにより発生した被害は、議員ご指摘のとおりでございます。区では、これらの予防策として、今年度、区内浸水実績図の公表、区の河川情報システムを利用した降雨量と水位情報のファクシミリサービスの提供を開始いたしました。
しかし、下水道整備等の抜本的な対策が必要な地域もあり、その対応については東京都と連携して取り組んでまいりたいと存じます。
次に、地域に即した実践的マニュアルの作成のご質問でございますが、阪神・淡路大震災では、6,400人を超す尊い命が犠牲となりました。また、幸いにして命は取りとめた方でも、地震発生直後、約16万4,000人が家財や瓦れきなどの下敷きとなり、負傷したと言われています。これは地震発生時刻の関係もあるでしょうが、比較的地震が少ない地域で、地震への備えが足りなかったことも大きな原因であるとの報道もありました。このことから、議員ご指摘のとおり、ふだんから災害に備え、自分の身は自分で守るという意識が、災害から命を守る第一歩であると考えます。また、企業・事業所にあっては、災害時における従業員の安全対策は、企業の組織維持や信用保持のためにも重要なことでございます。区においては、これらの防災対策として、区民や企業を対象とした啓発事業を各種行っておりますが、ご質問の地域事情に見合った対応策、また地域における区民、事業所、区の連携につきましては、一層充実させるべき課題だと認識をしております。
さらに、区の初動体制につきましても、区民の被害や混乱を最小限にとめるため、その強化・確立に取り組んでまいります。
次に、災害時には最も重要である情報の収集・提供でございますが、災害発生時には電力、電話回線等の情報を確保するための機能が停止する可能性が非常に高いと想定しております。このため、区の情報伝達手段は無線によりその機能の確保に努めております。しかし、ビルの高層化等により、電波障害が発生し、感知しにくい地域が存在しております。ご質問のアマチュア無線グループとの協力ですが、地域情報を得るには有効な手法だと考えられます。特に、休日・夜間に災害が発生した場合には、グループの方々と有効な情報交換ができるものと考えます。この協力を得るために、区としても条件整備が必要となってまいりますので、その条件等も含めて検討してまいりたいと考えますので、ご了承をいただきたいと存じます。
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