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令和2年第2回定例会

老朽化マンションの建替え促進に向けて!

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​区内分譲マンション490棟のマップを示して

〈質問通告〉

老朽化マンションの建替え促進に向けて!

  • 老朽化マンションの建替えは大きな課題となっている。まちづくり政策及び住宅政策を新規建設(供給)から建替え(再生)に舵を切る時がきている。そこで、区長に老朽化マンションの建替えについて基本的な考え方を問う。

  • まちづくり政策と住宅政策の連携について

  • まちづくりと住宅政策が連携した老朽化マンションの建替えを促進するための方針を示してはどうか。

  • 都市計画マスタープランの改定について

  • 住宅基本条例について

  • マンション再生へ行政の支援のあり方について

  • 行政が関与できる場合について

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​スクリーン1 国土交通省のHPから

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​スクリーン2 千代田区民世論調査より

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​スクリーン3 まちみらい千代田の分譲マンションの実態調査より

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​スクリーン4 まちみらい千代田の分譲マンションの実態調査より

〈質問と答弁の全文〉

 令和2年第2回定例会にあたり公明党議員団の一員として一般質問を行います。
 質問の趣旨は、老朽化マンションについて、建替えたくても建替えられないという課題をいかに解決していくのか。現制度の何が問題で何が不足しているのかを明らかにし、必要な提案を行うものです。
 最初に、分譲マンションの戸数、棟数について確認しておきたいと思います。4枚お示します。(スクリーン1を表示)

 これは国土交通省のマンションに関する統計データからです。平成30年度末における分譲マンションの戸数です。全国で654万7千戸であり、その内1981年以前に建てられた旧耐震のマンションは104万戸であります。築年数でいうと39年以上が経過していることになります。率にすると約16%となります。(スクリーン1を閉じて2を表示)
 この表は、昨年の千代田区民世論調査において居住形態を調べたものです。区民の約9割の方は何らかの集合住宅に住んでおり、そして区民の約4割の方が分譲マンションに住んでいます。(スクリーン2を閉じ3を表示)
 この表は、区内の分譲マンションの戸数と棟数を表したものです。まちみらい千代田が昨年行った分譲マンション実態調査報告書からです。棟数としては490棟であり、戸数は24,609戸となっています。内1981年以前に建てられた旧耐震のマンションは138棟で6,027戸であり、率でいうと約25%となります。全国平均よりもずっと高くなっています。築年数でみても同様です。千代田区は早くからマンション建設が進み、全国で最も早く老朽化マンションの建替や再生が課題として表面化しているといえます。(スクリーン3を閉じて4を表示)

 これはその490棟をマップに落とし込んだものです。本当は築年数によりグループ化し色を変えて表示するともっとわかりやすくなります。1981年以前の138棟ですがその内の83棟、率にすると60%が実は麹町地域に集中しています。次が富士見地域の27棟となりますが合わせて110棟、全体の80%が麹町・富士見地域となっているのです。(スクリーン4を閉じる)
 調査では何で建替えが進まないのかも尋ねています。旧耐震マンションで回答のあった68棟に限っての数字です。複数回答ですが、

  • 合意形成が進まない     44.1%

  • 費用負担の問題       11.7%

  • 容積率不足のため        1.4%

  • 長寿命化を目指しているため 2.9%

  • その他           13.2%

 分譲マンションにおいては建替えるためには区分所有者の4/5以上の合意が必要ですがその合意形成が難しいと答えています。さらになぜ合意形成ができないのかを尋ねればもっと実態がわかるものになったと思います。
 報告書では最後に「まとめ」が用意されています。そこには、①「個々のマンションだけでは解決が難しい問題も多く、地域としての取り組みも必要なことである」とし、まちづくりとの連携が必要なこと。②また、「良質なマンションストックの形成」として(報告書では3つに分類としていますが)マンションを築年数別に分類し必要な支援を行うこと。③そして、「管理組合の日常業務は適正に行われていても、建物・設備の経年劣化や区分所有者の高齢化という『二つの老い』を解決する展望を欠いたマンションが多い」との記述もされましたが、ここは「二つの老い」を解決すべく区として展望を示すことの必要性を述べたものと理解しています。

 貴重な提案がなされました。
 千代田区における分譲マンションについて実態と課題について、まちみらい千代田の報告書をもとに述べさせていただきました。今後は「まとめ」にも書かれた良質なマンションストックの形成、特に老朽化マンションの建替えを含むマンションの再生を政策の大きな柱と位置付けるべきではないでしょうか。再生への展望を示すことであります。
 そこで、区長にマンション再生への展望、基本的な考え方をお伺いいたします。


 次に、都市計画と住宅政策との連携についてであります。
 マンションは私有財産であり述べましたようにあくまで区分所有者の合意による任意の自主建替えを基本としています。よって行政としての施策は管理組合への支援が中心とならざるを得ません。例えばまちみらい千代田が行っている相談やアドバイザーの派遣、再生計画作成支援などであり、マンションへの個別的かつ間接的な支援にとどまっているのが現状です。

 ここには住宅の供給推進の時にはあった都市計画の介在やまちづくりの制度はありません。このことについて、元東京都の都市整備局担当部長の山口幹幸氏は以下のように述べています。「今後のマンション再生を促進するための基本的方向は、都心居住政策の住宅確保から再生へと整備方針等を修正したスキームを再構築し、これを推進する諸制度等を効果のあるものに改めるなど大胆な政策転換を図っていくことである。(中略)地域のまちづくりにおいては、土地の合理的利用を街区単位で考え、そのエリア内でエネルギーの効率的利用、再生可能エネルギーの利用、避難所となる緑地の創出するような計画とするほか、(中略)震災対応マンションとすることも重要と考えられる。こうした環境面や防災面に一層の配慮を加え、質の高いまちづくりに寄与するようなマンション建替えを誘導できる都市計画制度、これを推進する事業手法、普及促進する補助制度が考えられねばならない」と。(「マンション建替え」P.26~27日本評論社より)マンション建替えを誘導できるよう住宅の供給を推進してきたときと同様、都市計画を始め事業手法、補助制度などの諸制度を考える必要があると。同感であります。
 そこで、現在また10年先、20年先を見すえて、住宅政策と都市計画が連携し進める「マンション再生方針」、また促進するための諸制度をセットとして示すことを提案いたします。ご所見をお伺いいたします。


 次に、現在改定作業中の都市計画マスタープランについてであります。
 「改定素案骨子」(案)には「早期に都市化が進んだ千代田区では、機能更新が遅れている高経年の集合住宅の建物が増えており、適切な機能更新・再生が喫緊の課題となっています」(P.4)と高経年のマンションの建替え・再生が喫緊の課題となっていることを述べ

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​スクリーン5 都市計画マスタープラン「改定素案骨子」案より

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​スクリーン6

(スクリーン5を表示)「地域にあった個別建替えや開発等の多種多様な機能更新の誘導を戦略的に展開」すること、また「地域特性や課題を踏まえ、一定の広がりのエリアで、街並みや環境と調和した個別建替え、まちに多様性と創造性をもたらすリノベーション・建物の長寿命化、課題解決に貢献する開発事業などバランスの良い機能更新の組み合わせで相乗効果が高まるよう、界隈の個性と魅力の持続性を最大限に引き出せるよう誘導していきます」(P.22)と書かれました。まさに先ほどご紹介した山口氏が述べられていたことと主旨は同じではないでしょうか。そして、このことを将来像として示したものがスクリーンの通り「都市・まち・エリアのトータルなデザイン」であると理解しています。(p.21)(スクリーン5を閉じる)この将来像に基づいて具体的な諸制度が作られることを期待します。

 そこで、現段階において、改めて高経年マンションの建替え、再生へどのような将来像を描こうとしているのか、お伺いします。

 次に、千代田区住宅基本条例についてであります。

 住宅基本条例の前文また目的には、すべての区民が人間として尊重される地域社会を築くことを宣言し、それは、安全な住環境であり、良質な住宅の確保であることが明記されました。このことはいつの時代になっても変わらない住宅政策の基本であります。とても素晴らしい理念と目的を掲げた条例であります。

 条例が制定された(平成4年ですが)当初は住宅の供給に重きが置かれました。都心居住の推進を掲げた量の拡大であります。その後、人口回復を果たした平成27年には条例を改正し量の拡大から質への重視へと転換が図られました。「良質な住宅の供給」であります。

 その改正から5年が経過しマンションの建替え、再生が喫緊の課題としてより鮮明となってきた現在、さらなる条例の改正が必要ではないでしょうか。つまり、良質な住宅の供給と合わせマンションの再生にも重きを置くことであり、供給一辺倒からの転換であります。

 そこで、高経年マンションの再生をもう一つの柱とすべく住宅基本条例の改正を提案いたします。ご所見をお伺いいたします。

 次に、マンション再生へ行政の支援のあり方についてであります。

 マンションは私有財産ということから届出義務もなく、どこにどのような規模・内容のマンションが存在するのか、その実態を区は把握することができません。まちみらい千代田が行う5年に一回の実態調査によるしかありませんがその情報も限られます。管理組合が直面している課題を把握することができません。しいては個々のマンションに対して的確な支援ができていないのではないでしょうか。特に旧耐震の老朽化マンションに対しては個々早急に把握すべきであります。調査にもあった通り何らかの理由により区分所有者による合意ができないのです。耐震化もできず、建替えもできないという命に関わる状況にあるのです。

 そこで、築年数別に把握しきめ細かな支援をとの報告書の提案に私も賛成ですが、一歩進めて報告書ではAグループとされている1981年以前に建てられた旧耐震のマンションを「要支援マンション」として指定し、管理状況などを届けてもらいきちんと把握できるようにしてはどうでしょうか。必要な支援を的確に行うためであります。ご所見をお伺いいたします。

 最後に、行政が関与できる場合についてであります。

 私有財産であるマンションへの公的関与のあり方ですが、支援は大いに必要ですが、義務化や強制力を伴う関与は慎重かつ最小限であるべきです。さらに、その公的関与について公共性や必要性が高く行政の関与が妥当であるとの理解が得られなくてはなりません。旧耐震の老朽化マンションは、建替えができなければ地震など災害が発生した際、倒壊によりマンション住民や地域住民の命にも及び、また老朽化を放っておけば荒廃化につながり地域の環境にも著しい悪影響を及ぼします。関与が必要な理由であります。関与の例としては、都の緊急輸送道路沿道建築物の耐震化があります。(スクリーン6を表示)

 また、関与を最小化するため、その対象ですが円滑化法第102条による要除却認定を受けたマンションに限るとしてはどうでしょうか。また関与の方法は、調査、指導、そして同法第97条による建替え勧告、公表とします。(スクリーン6を閉じる)

 そこで、要除却の認定をうけたマンションに対して、区として調査、指導、勧告、公表ができるよう条例の制定も含めて仕組みをつくることを提案いたします。ご所見をお伺いいたします。

 質問は以上であります。区長並びに関係理事者の前向きな答弁を期待し質問を終わります。  

 ありがとうございました。

〈環境まちづくり部長答弁〉

 大串議員の老朽化マンションの建て替え促進に関する御質問にお答えいたします。
 まず、良質なマンションストックの形成を含むマンションの再生についての区の基本的な考え方についてですが、区民の約9割がマンションに住み、最大の生活の基盤であることから、安全・安心に暮らすことができ、建て替え等の再生が円滑かつ安定的に行われることが理想であり、区として必要な支援をしていくものでございます。しかし、居住者の価値観や経済力、敷地等個々のマンション環境が大きく異なり、合意形成が進まない状況が見受けられます。このため、まちみらい千代田を窓口として、大規模修繕や建て替えなどに必要となる調査経費や、管理組合の活動経費を助成するなど、マンション再生への筋道づくりを支援をしております。また、マンションに関する様々な課題の解決を支援するアドバイザー派遣事業を行っていますが、一層充実したものとしていくため、アドバイザーの拡充に取り組み、今後の需要増加に対応してまいります。


 次に、都市計画と住宅政策との連携についてですが、第3次住宅基本計画の中で、「共同化・再開発等を通じた住宅ストックの更新」を重点としております。また、住宅基本計画の上位計画であり現在改定中の「都市計画マスタープラン」にも、まちづくりと住宅政策の連携について盛り込む予定であり、マンションの再生に向けての方針としてお示ししていきたいと考えております。


 次に、住宅基本条例の改正についてですが、今後10年・20年先に多くのマンションが再生期に移行することから、議員御指摘のマンションの再生に重きを置く内容に条例を改正する必要があると認識しており、今後検討してまいります。


 次に、旧耐震マンションを要支援マンションと指定することについてですが、今年度施行された「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」により、1981年以前に建築されたマンションの管理組合は、区に管理状況を届ける義務がございます。
 届出内容の中には、耐震化の状況が記載される場合があり、これをもとに、耐震化助成制度や建て替え支援制度について、届出者に丁寧に説明してまいります。


 最後に、要除却マンション、認定マンションに対して、区が関与できる仕組みについてですが、現行法では除却の指導、指示までは可能ですが、建て替え事業への誘導はできかねるところでございます。このため、まちみらい千代田と連携し、アドバイザー派遣などにより建て替えを支援しているところでございます。
 また、本国会には、マンション関連法のいわゆる管理適正化法と、建て替え円滑化法の2つの法律改正案が提出されており、要除却認定の範囲拡大や計画作成など、行政の関わりが強化される見込みでございます。今後、公布される制令などを注視し、区としての具体的な対応を検討してまいります。

〈計画担当部長答弁〉

 大串議員のマンション再生と都市計画マスタープランの改定についての御質問にお答えをいたします。
 御質問にもございましたが、千代田区は我が国でも最も早く都市化が進み、マンション等が早期に進み、およそ9割が共同住宅に居住しているとそういう状況でございます。こうした共同住宅のうち、老朽の分譲マンションには耐震化やバリアフリー、環境性能やマンション内コミュニティーなど様々な課題がございます。
 一方、既に高密に市街地が形成をされています千代田区の住環境整備というのは、すなわち、既存ストックの再生と更新であり、老朽分譲マンションの機能更新・建て替えを適切に進めることは非常に重要だと、そういうふうに認識をしてございます。一方で、こちらのほうも御質問で御指摘ございましたが、分譲マンション自体は私有財産であることから、建物レベルの課題だけではなく、マンション周辺の街区や地域の課題の解決に貢献することで、マンション再生とまちづくりの連携が図られると考えております。例えば、子育て・高齢者棟の生活支援機能、交流を促すオープンスペースや豊かな緑の確保、地域防災力向上やエネルギーの効率化、エリアマネジメントの支援、そういったことにつきまして、地域特性を踏まえてハード、ソフト両面から、マンション再生が周辺のまちづくりに貢献する、そのような将来像を描く必要があると考えています。
 今後マスタープラン改定の中で、こうした観点から、各地域の将来像について議論を深めるとともに、イノベーション、個別建て替え、共同化や都市開発諸制度の活用など、様々な施策などや都市計画手法を適切に組み合わせ、住宅施策と都市計画の効果的な連携を図り、将来像具現化に向け、老朽化マンションの建て替え、再生に取り組めるよう検討を進めてまいります。

〈再質問〉

 1点、再質問させていただきます。
 関与の在り方のところなんですけれども、答弁では、東京都の適正管理の条例がこの4月から施行されたこと、また国のほうでも法律の改正が見込まれていること、答弁ありましたけれども、区としてどう関わっていくのか。そして、どうしても建て替えができないというところにはどのような仕組みでもって関与できるのか。もう区分所有者だけではもう解決がいかないということなんです。相談がよせられています。そういったことに対しては、最小限の関与ですから要除却認定を受けたマンションに対しては、東京都だとか国だとかっていう制度もありますけれども、区としての関与の方法をもう少し具体的に述べてもらいたいと思います。
よろしくお願いします。

 

〈環境まちづくり部長答弁〉

 大串議員の再質問にお答えいたします。
 先ほどの答弁でも触れましたが、マンション関連法の2本案が現在国会で審議されているところでございます。この概要として、適正な管理を促進するための計画策定を区が行えることとなってまいります。また、再生を促進するために、建て替え円滑化法の要除却マンションの位置づけを旧耐震の耐震不足以外にも、例えば外壁の滑落であったり、設備更新が行えないマンション等のメニューも追加をする予定でございます。老朽化再生の視点が盛り込まれる予定となっており、行政の指導対象範囲も広がるというふうに考えてございます。先ほど申し上げたように、その利害関係が様々調整する必要がある中で、区の関与というものが一定の限度があるということになってまいりますので、先ほど申し上げた、まちみらい千代田の様々な支援のメニューと併せまして、今後はさらにいろいろな団体とまた連携強化を図っていく中で、マンション再生が円滑に進められるよう取り組みたいと思っております。
 いずれにしましても具体的な政令なり何なりということがございますので、そうしたものを十分に参考にして、区として取り組めることを具体的に、できるだけ早く検討をしてまいりたいと考えております。

​大串 ひろやす通信

公明党議員団ニュース

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